2013年4月18日 復興特別委員会
被災事業者への支援に関する質疑大要
【斉藤委員】
復興相談センターだが、買取件数が50件、今月中には60件にいくかということで、徐々に買取件数が広がっていることは評価するが、岩手県の復興実施計画では、25年度までに635件という目標である。再生支援機構も56件ということでだいたい同じ規模できているが、被災の実態からみると、これをどうスピードアップしていくことが必要か。また相談件数そのものが、被災業者から比べるとまだまだ至っていないのではないかと思う。
【産業復興相談センター・古谷シニアマネージャー】
現状は、設立当初においては、我々もまだ制度をどういった形でつくっていくかというところで、当初に相談いただいた事業者で、現状であれば実際に支援に至ることができたのではないかと思われるような対応をしてしまった事業者が相当数いるのではないかと考えている。当初相談いただき、その時点では制度の紹介だとか金融機関との調整がされたことをもって、何とか支援ができたと思っていたところについても、今後2年経ってみて、やはり苦しいという事業者が相当数いるので、当初相談いただいた事業者に対する再度のコンタクトというものは今後継続・強化していかなければならないと考えている。
そもそも、相談センターなり復興機構というものが、まだまだ被災事業者の方々に十分知られていないのではないかという懸念ももっている。アンケートをとらせていただいた際においても、仮設店舗に入られていて、政府の特別融資のようなものについては承知であっても、復興相談センターの存在が承知されていなかったという事業者も相当数おり、同様に状況が再生支援機構の担当者からも聞くところである。
今後、本当に実需、支援を必要とされている事業者のニーズの深追いというものを相談センター・支援機構の方で広報活動を含め取り組んでいかなければならないと考えている。
現状の相談センターの能力ということでみると、当初、半年間・1年間というところについては確かに相談センターの中のキャパシティが追い付かずに、そのことがゆえに事業者を待たせてしまったという事例があったが、ここ半年以上については、仙台の人間も相当程度経験を積んできており、支援のパターンも類型化されてきており、現時点においては、センターの事情により支援が滞っている、時間がかかっているというものは少なくなっていると思う。
一方でも相談いただきながら、数ヶ月間にわたって相談いただいた状態になってしまっているという部分も一部あり、そういった場合の多くは、相談している最中に、新たに補助金が入ったので計画を作り直したりだとか、土地のかさ上げ計画をもって本設場所を決めようと思っていたが、そちらがまだ確定しないとか、従前の土地で事業を再開しようと思ったら土地収用にかかったので計画を見直すといった事情がある。
ただし現状においては、センターのキャパシティというところは相当程度活用できる状況があるので、やはり新規の相談の流入を増やしていくということにかかっていると思う。
【斉藤委員】
フォローアップ事業というのが新規事業で大変今後重要だと感じたが、相談センターが26年3月までだという話を聞いて驚いた。これから本番というときに、期限付きでは本腰を入れた相談活動にならないのではないか。被災の状況からいっても、1年2年で目途がつく話ではない。そういう意味では、これは本当に継続して、一定程度の長期にわたりフォローアップを含めた取り組みが必要ではないか。国の動きも含めて教えていただきたい。
【古谷氏】
期間の延長については、これまでも設置者である商工会議所や県庁から国にたいして延長の要請をお願いしていると認識している。また地域の金融機関の皆さんからも相談センター・機構の延長については強い要望をいただいていると承っているので、我々は現場の人間として必要ではないかと申し上げており、そういった要望が聞き入れていただけることを期待している。
【斉藤委員】
岩手の場合は、仮設店舗が区画数で1760、これは全国の半分を占める。仮設店舗が多いというのが岩手の特徴で、この方々は、仮設店舗で頑張りたいという声も強いのと同時に、本設への再建を求めているわけで、それが2年後3年後である。そこまでどのように経営を維持・継続するか、本設の段階で新たな支援策が必要になってくる。もちろん区画整理事業も2年後3年後である。だから、そこまでの経営支援と本設段階での支援というのが示されることが大変大事ではないか。
【古谷氏】
相談センターの期間が延びていけば、本設移転時にも支援ができるということがあるだろうと思うし、もし相談センターの期限が早々に来てしまったら、本設移転時への支援も含めて金融機関に支援をいただくような形で調整を進めていくということを考えている。
どれだけ時間が空いてしまうのかということにもより、かなりいろいろバリエーションができてしまうというところだが、これまでの支援実績においても、事業計画上は仮設での営業を継続されることを前提としながらも、将来本設に移ることを想定されているので、その際にはぜひ支援をお願いしますと金融機関にお願い申し上げ、前向きな回答をいただくことをもって支援を進めていったという実例もある。
【斉藤委員】
再生支援機構だが、相談件数が226件で56件の債権買取。復興相談センターは411件の相談で50〜60件ということで、事業者に聞けば、再生支援機構の方が面倒見が良いという話もある。再建計画まで一緒になって作ってくれると。出資もすると。相談センターも頑張っていると思うが、ここがそれぞれの機能・役割がもっと事業者に分かりやすく、相乗関係で進められることが必要ではないか。そういう点ではどういうことが必要なのか。
【古谷氏】
支援機構との協調関係はおっしゃる通りであり、これまでのところ、センターと支援機構が半ば競争する形で支援件数を積み上げていくというところがあった。これはこれで、片方で十分支援ができていないところについて、もう片方が支援するという形で支援件数を増やしていくというところにおいてはある種意味があったと思うが、これが行き過ぎてしまうと、事業者のためを思った再生なのか、数を積み上げていくためのものかというところで原理原則がおかしくなってしまう可能性があるので、一度支援機構と相談センターで役割分担だったり、それぞれの本来の役割に即した共有だったりといったものを検討しなければならないと考えている。
ちょうど今中小企業庁の方で、支援機構とセンターでそういった議論をしようというようなことも言っていただいているので、そういった中で改善していきたい。