2013年6月25日 6月定例県議会・本会議
給与改定議案に対する反対討論


 日本共産党の斉藤信でございます。私は、日本共産党を代表して、議案第2号から第5号までの県職員の給与削減に関する条例改正議案に反対の討論を行います。
 今回の給与削減は、県職員、教員、医療局・企業局を含め、57億4900万円に及ぶもので、平均的な県職員の場合、年間25万円余の削減になるものです。すでに、平成11年度から、連続15年間にわたり給与削減が続き、その総額は、年間ベースで医療局等は除いて309億8400万円、県職員平均122万円の減収となるものであります。これは年収の約17%となるものです。これだけの給与削減が続いていること自体異常なことであり、県職員の生活を破壊するものと言わなければなりません。
 今回の国による地方交付税の削減による地方公務員の給与削減の押し付けは、憲法で保障された団結権とその代償措置の人事院勧告制度、地方においては人事委員会の勧告制度を無視する憲法違反の暴挙だと言わなければなりません。また、地方固有の財源である地方交付税を一方的に削減して給与削減を押し付けることは、地方自治を破壊するものであり許されません。知事は、こうした国のやり方に対し強く抗議するとともに、全国知事会や地方6団体としても徹底して抗議し、その撤回を求めるべきであります。
 また、今回の給与削減の口実となった国家公務員の7.8%の給与削減が、民自公の談合による議員立法によって、まともな審議もなく強行されたことは、国会の歴史にも汚点を残す前代未聞の暴挙でありました。
 岩手県は今、戦後最大の東日本大震災津波の復旧・復興に取り組んでいるさなかにあります。全国から岩手県に応援に駆け付けている職員は160人に及び、県が独自に採用している任期付職員は255人となっています。被災した市町村には、全国から519人が派遣されています。こうした献身的に復興に取り組んでいる職員に対し、賃金を引き下げるなどということは血も涙もない冷たいやり方だと言わなければなりません。任期付職員については、今回の交付税削減の算定に入っておらず、3年から最大5年の任期で復興事業に取り組んでいる職員は給与削減の対象とすべきではありません。
 復興事業の財源のためだというなら、民主党政権での2兆4千億円余の復興予算の流用、安倍自公政権での1兆2千億円余の流用こそ正すべきであります。
 県医療局は、知事部局と同様の給与削減を実施するとしていますが、医師は医師確保の立場から給与削減の対象としないとしています。当然のことです。私は看護師不足の現状と過酷な職場の実態からみても、看護師の給与削減は行うべきではないと考えます。医療局は、昨年度の決算では、13億2600万円の純利益となっています。東日本大震災津波による特別損失など特別利益・特別損失を除いた経常損益では3年連続の黒字であります。医療局職員の基本給は東北各県の県立病院職員と比べても低く、引き下げではなく引き上げこそ求められています。
 今回の大幅な給与削減は、デフレ不況の打開にも逆行するものであります。答弁にもあった通り、今回の県職員の給与削減額49億9000万円の知事部局分等の地域経済への波及効果は、約78億円余に及びます。15年連続の賃金削減額309億8400万円余の地域経済への波及効果は488億円余であります。この間、公務員の賃金が下がり、さらに民間の賃金も下がる悪循環が続いています。労働者の賃金が下がり続け、国民の所得が減少してきたことがデフレ不況の最大の原因であることは多くの専門家が認めるところでございます。
 最後に、大槌町は、職員も被災しており、復興に献身的に取り組んでいるとして給与削減を行わない決断をしました。高く評価するものです。県や多くの市町村では、期末・勤勉手当については削減しないとしています。これは労働者のたたかいの反映とみるべきであります。しかし、今後、国によるこうした憲法違反の暴挙は絶対に許さない取り組みを強化すべきことを訴え、反対討論といたします。
 ご清聴ありがとうございました。