2013年8月6日 商工文教委員会
「学生の学費負担軽減、奨学金の拡充についての請願」に関する質疑大要
【斉藤委員】
重要なのは国際人権規約第13条2項b項c項である。この留保を日本政府は撤回したと。これはどういう条項か。
【堀江教育次長】
わたくしどもの方で承知しているものではない。
【斉藤委員】
ちょっと信じがたい答弁だったが、これは請願の中に書いていることなので、承知していないということになると請願に対する説明にもならない。これは義務教育から高等教育まで漸進的に無償化するという項目である。今まで日本政府はこれを留保していて、毎年国立大学の授業料と入学金を一年交代で引き上げてきたということがあった。留保は撤回したので、基本的には義務教育から高等教育まで無償化の方向に日本政府としても舵を切ったと言っても過言ではない。
今までの日本における高学費というのは、国際的に見ても異常で、1970年に私が入学したときには、年間授業料12000円、月1000円だった。今50万円を超えている。本当に50倍近い値上げというのは、物価の値上げと比べても異常な値上げだったわけである。
奨学金の問題では、1999年に、奨学金制度がある意味でいけば抜本的に変えられた。それまでの無利子の奨学金制度に有利子の制度が導入された。それで借りる額も増やしたという。しかしヨーロッパでは基本的には給付制である。それなのに、遅れている貸与制にさらに利子をつけると、これは奨学金というのは名ばかりで、これは教育ローンである。いま無利子・有利子を活用している人はどのぐらいいるか。
【堀江教育次長】
これは2年前のデータだが、国の学生支援機構で貸与している無利子分と有利子分について、無利子を1とすると有利子が2.7の割合となる。
【斉藤委員】
多数は利子付きの奨学金。400万円4年間で借りたとすると、そうすると20年間で返すと返済額は700万円になる。我々でもこんな借金はできない。学生支援機構の調査では、33万人876億円も滞納になっている。ましてや青年の雇用状況は2人に1人が非正規である。働いて返そうと思っても、まともな職に就けず返せない。返せない人たち、滞納になっている青年たちの収入状況は分かるか。
【堀江教育次長】
そこまでは把握していない。
【斉藤委員】
ぜひ真剣に調べてほしいのだが、年収300万円未満が87%。その半分近くが100万円未満だったと。4割以上が100万円未満と。
震災特例の奨学金で、年収300万円以下なら返済不要というのが震災特例でつくられた。これは実質的な給付制奨学金制度で、これが震災の中でできたことは高く評価している。その基準が300万円だった。その300万円未満が滞納者の87%を占めるということは、やはり支払い不能に近いと。奨学金問題の深刻さはそこにあると思うので、そもそも有利子で奨学金の枠を拡大したことは国策としては問題だったのではないか。給付制の流れに改善していくというのが世界の流れで、そういう意味でいけば、いま借りて多額の数百万円という奨学金の返済で困っている青年たちを、救済する特別の手立てが必要ではないか。
例えば、市役所や県立病院に就職したとか、これは良い方である。今の青年の中では一番安定的。こういう人たちも奨学金の返済で組合費が払えないなどという状況である。
そういう中で、これは本当に特別の手立てを講じなかったら奨学金の返済地獄、こういう新しい青年の貧困の事態になってしまう。そういう救済策を県としても実態を把握して強く国に求めるべきではないか。
【堀江教育次長】
県としても、給付型奨学金制度という部分については、これまでも国に再三要望してきているところであり、引き続き要望していきたい。
高等教育のところについては、国の施策というところでもあるので、国の方でも委員ご指摘のような課題があるという認識をもって、有利子・無利子の関係、給付型がどうなのかということも含めて、議論しているという風にうかがっているので、そういった国の動きを注視しながら、引き続き必要に応じて要望していきたい。
【斉藤委員】
前回は県立大学の奨学金利用状況も聞いたが、有利子が圧倒的に多く、全体としても奨学金を利用しているのが半分以上を超えていた。
そういう意味で、今回の請願というのは、いま全国対策会議が3月31日につくられたと。これはNHKでも特集した。各全国紙でも特集が組まれるような新しい社会問題になっている中で、早くこういう対策を国に求めていくということで、ぜひ請願の採択を強く委員各位に求めたい。