2013年9月3日 商工文教委員会
8月9日の豪雨災害、被災事業者への再建支援に関する質疑大要
・8月9日の豪雨災害について
【斉藤委員】
資料を見ると、宿泊施設で3億3353万円、商工業者で1億9105万円の被害、その他に盛岡市繋の源泉関連施設が1億2700万円、矢巾町の水辺の郷とマレットゴルフ場など2億1872万円と、総額8億7480万円とかなりの被害である。広さはなかったが局地的には本当に大きな被害だと、調査を通じて感じた。
8月21日に副知事、商工労働観光部長も同席していただいたが、豪雨災害に関する申し入れを日本共産党としても行った。
その際、商工業関係者の被害に対して、融資にとどまらず、東日本大震災の対象の被災資産復旧事業費補助に準じた支援策を講じるように申し入れたところである。さきほど総括課長から、中小企業被災資産復旧費補助に準じて、それを目安に検討しているという前向きの話もあった。観光関係者も被害が甚大だが、それ以外の商工業者も休業中が6店舗ある。商工事業者も含めて、被災資産復旧費補助の施策の対象にすべきだと思うがいかがか。そしてこれをやる場合に、9月議会の補正ということになると思う。だとすれば、9月17日の議案説明会ぐらいまでに煮詰めていかなければならないのではないか。盛岡市は9月6日から議会が始まり、町村はもう始まっているところもある。そういう意味では、早く打ち出す必要があるのではないか。
【商工労働観光部長】
今般の大雨洪水等による被害対策については、現在関係する地域とともに、より効果的な、これまでの大震災津波等の支援策も考慮しながら、それらを十分に勘案し、より効果のある、できるだけ市町村とすり合わせしながら、きめ細かな支援となるように現在鋭意制度設計を通じて検討を急いでいる。
【斉藤委員】
より効果的、きめ細かにということなので期待したい。
今回被災した全壊・大規模半壊については、県は独自に全壊に100万円、大規模半壊には50万円の独自の補助を行うと、その財源は予備費でということが明らかになった。これはきわめて前向きで重要な取り組みだったと思う。被災者の生活再建に対しても県は一歩踏み込んだと思う。
観光関係者・商工業者に対しても、大震災で県独自にああいう施策を行ってきたわけなので、ぜひ答弁にもあったように、被災資産復旧費補助という県単の制度を目安にして、できるだけ早く打ち出していただきたい。
キャンセルが約9000人ということになると、それだけの収入が入らずに被害を受けてしまった、支出がさらに増えるということになるので、一番のかき入れ時の被害だった。わたしは11日と16日に調査に行ってきたが、本当に不眠不休でホテル内に流入した土砂をかき出している状況で、可能なところは早く営業を再開すると。大きな被害を受けたところも、大曲の花火の直前にはそれに合わせて再開したという話も聞いたが、繋の源泉施設の被害状況、今後の見通しはどうなっているか。
【観光課総括課長】
源泉施設の関係だが、1億2000万円余の被害が出ている。あくまでも仮設施設での復旧ということで、これからさらに調査をしていく必要があると思っている。温泉については、現状では各施設に温泉は供給できる体制にはなっていると聞いているが、改めて、排他とか地下についての調査が必要であるとは聞いている。
【斉藤委員】
矢巾町の水辺の郷、マレットゴルフ場の被害額が2億1872万円ということで額が大きく驚いているが、この状況はどうなっているか。
【観光課総括課長】
こちらの施設については把握していない。
【斉藤委員】
いずれにしても、かなり前向きに商工業者、観光関係者に対する支援策は協議中ということで、早く打ち出して復旧・復興の力にしていただきたい。
大震災で岩手県は、被災資産復旧費補助を早く打ち出して、岩手の姿勢を示したと思う。県が独自に商工業者に支援するというのはあの時点では大変画期的な制度だったと思っている。そういう決断、良いことは早くということで打ち出していただきたい。
・仮設店舗の状況について
【斉藤委員】
復興本部員会議も先日開かれたようだが、仮設店舗について、現在347ヶ所で整備されていると。着工は353ヶ所と。これは区画数でどうなっているか。1700を超えていると思うが。
仮設店舗の場合は、1年経過すると市町村に移譲になる。新聞報道でも、大船渡の場合は、仮設店舗の解体だけで6億円かかると。釜石市に行ったときには2億円かかると言われた。移譲はいいが、解体費用を市町村が負担したら復興どころではない。この問題はきわめて重大な問題ではないか。
東北3県で1700区画というのは、半分以上を占める。岩手は仮設店舗で多くが再開しているというのが特徴である。そういう意味で、仮設店舗の現在の営業状況、売り上げの状況など分かれば示していただきたい。
【経営支援課総括課長】
区画数だが、8月19日現在で1783区画である。
解体費用の負担については、施設も仮設とはいえ立派な施設であることもあり、解体費も相応にかかるということで新聞報道ではそういう試算が出ている。それぞれの市町村の負担が大きくなるということが想定されるので、県としても、国に対して財政的な支援をするように要望をしている。
売り上げ等についての具体的な情報はないが、仮設店舗も含め事業者が抱える課題としては、売り上げの減少や利益率の低下などが挙がっている。
【斉藤委員】
仮設店舗が1783区画ということで、岩手の場合の1つの特徴として仮設で商工業者が事業再開すると。ここで踏ん張って、本格的な再建に結び付けていくということが必要だと思うが、仮設での営業に対する支援、もう1つは本設―区画整理事業やいろんなまちづくりとセットになると思うが、その時のグループ補助に匹敵するような、またグループ補助の継続というようなことが必要になってくると思うが、これは2年3年以上かかると思うがその点の対応はどうか。
【経営支援課総括課長】
仮設から本設に移るときの支援ということだが、グループ補助金の中に、商店街型という新しい制度もできているので、そういったグループ補助金を中心とした支援制度を継続するように、国の予算は単年度の予算ですので年度ごとの判断になるが、本県としてはグループ補助金の事業継続が必要だということで国に訴えており、今後とも地域の実情を伝えていきたい。
【斉藤委員】
グループ補助は今年度までは予算化されているが来年度の見通しはない。概算要求ではどうなっているか。
25年度に入って、3回公募して総額80億円の予算だが、1回目は10グループが申請し5グループ26者10億円が決定された。今までと比べると、申請数も決定数も少ない感じがするが、どういう特徴があるのか。
【経営支援課総括課長】
来年度の概算要求については、グループ補助金という項目は出ていると確認している。
今年度の状況だが、5グループ26者を決定している。今年度は、去年までと違い、年3回公募があらかじめ分かっており、その1回目ということもあると思うが、事業計画をつくったりするのにも相応の時間がかかるので、これまでに比べればやや少ない数なのではないかと思っている。現在2回目の公募期間ということで、今週の月曜から月末までの期間が第2回目の期間、第3回目が12月ということであり、このスケジュールもあらかじめ示しているので、時期に合わせてグループをつくったり、グループでの検討を進めていただいたりしているものと考えている。
【斉藤委員】
商店街の再建というのは、まちづくりの中心である。そしてそのまちづくりというのは、多くは区画整理事業でかさ上げして行われるというのが基本的手法である。そうすると、2年3年はかかる。そのときになってグループ補助が必要になってくる、二重ローンの解消も必要になってくる。
二重ローンの問題でも、今年度ぐらいまでしか相談センターの問題も含めて示されていないのではないか。これも概算要求上では継続されるようになっているのかどうか。二重ローン解消の取り組み状況を含めて示していただきたい。
【経営支援課総括課長】
二重ローンの相談センターの項目についても、概算要求に入れている。
県としては、グループ補助もそうだが、二重ローン問題についても、復興の進行とともに必要になる対応であるということで継続を今までも求めている。
二重ローン問題の中での債権買取数は、8月26日までで、県の産業復興相談センターが71件、東日本大震災事業者再生支援機構は7月末で70件ということで計141件となっている。
・水産加工業の再建について
【斉藤委員】
被災地の復興のもう1つの柱が漁業・水産加工業だと思う。水産加工業の再建状況、売り上げについて。我々の調査でも訪問したが、労働者を確保できないという切実な問題も指摘され、ハローワークでも工場見学会などをやっているが、そうした最新の状況はどう把握しているか。
【経営支援課総括課長】
水産加工業ではなく事業所全体として、復興局の調査によれば、今年の2月現在で78.9%の事業者が事業を再開している。課題については、売り上げ減少や利益低下、労働力の確保、取引先の減少などを課題として挙げている。
【雇用対策課長】
労働者の確保の状況について。水産加工業は、7月末の労働者の職業紹介状況が発表されたが、その中の食料品製造に関する求人・求職のバランスシートを見ると、やはり県全体の平均が0.91に対して、食料品製造は1.58倍ということで、求人の方が5割ほど上回っているということで、なかなか確保が難しい状況であろうかと思う。とはいうものの、求職者もある程度の人数はいるので、やはり引き続き地道に職業紹介やマッチング等の取り組みを継続していきたい。
またかねて問題になっていた労働者を確保するための住居の問題だが、釜石市に限った話だが、厚労省に要望していた雇用促進住宅の利用については、おおむね了解を認められ、現在市が施設を管理する機構と条件について調整する段階まできている。そういった形でさまざまな関連する取り組みは継続していきたい。
【斉藤委員】
釜石の雇用促進住宅については新聞報道でもあった。被災地で雇用促進住宅を活用できるところはどのぐらい他にあるのか。釜石市の場合は何世帯ぐらいの確保になるのか。労働者確保のために住むところがないというのではいけない。大槌では、釜石に住ませて大槌まで働きに来てもらっているという話も直接聞いてきた。雇用促進住宅のようなものがあるなら、最大限活用するというのが国の姿勢としても当たり前ではないかと思う。
事業復興型雇用創出事業について。取り組み状況と、水産加工関係では、どのぐらい使われているのか。
【労働課長】
県内にある雇用促進住宅だが、実際に今運営しているところと、入居者があっても廃止を決定しているところ2つに大別されるが、そうした中で、今手元にあるのは釜石市の雇用促進住宅の現状で、2つの種類のもの全て含めて、25年4月当初現在で12棟400室、実際の入居が285室となっている。この中の1つの住宅については、釜石市の方でみなし仮設ということで使用しており、水産加工業に従事する方への住宅として提供可能なものが形上は4つほどあるが、老朽化の状況等もあり、すべて活用できるとはなっていない。実際に活用できる部分がどのぐらいかも含めて、釜石市や機構と調整している。釜石市以外の資料については手元にないのでご了承願いたい。
【雇用対策課長】
事業復興型雇用創出事業の利用状況だが、24年度末で申請助成対象者数が7785名、今年度に入り6月から申請受付を再開し、6〜7月で2105、23年度末からスタートしたので、トータルは10034人が助成対象者数として受け付けている。
業種ごとの認定状況については、集計していない。