2013年9月3日 商工文教委員会
山田町のNPO問題に関する質疑大要
【斉藤委員】
いま裁判も継続中だが、今日報告のあった再精査における考え方の「ア」について、「24年度事業の検証と同様に使途が事業の目的に合致しており、かつ支払証憑で支出内容がかくにんできるものを補助対象とする」と。これは当たり前である。23年度完了検査でやっているわけで、完了検査で見逃したものという意味か。
【雇用対策課長】
下段の「イ」に記載されているが、1つは法人の説明と異なるということが分かってきたものがある。もう1つは、23年度では発見できなかったものになろうかと思う。
【斉藤委員】
山田NPO問題というのは23年度にあったと思う。これを岩手県が見過ごした、チェックできなかった責任はきわめて重大だと思う。
何度もこの場で取り上げてきたが、まず、5度も契約変更が行われた。4回目5回目は、もう不足分の補てんだった。使い切って、不足した分を補正した。それをあなた方は認めてしまった。そこに重大なチェックミスがあったのではないか。この間指摘してきたことについてはどのように検証されたか。
【雇用対策課長】
今回改めて県の対応についての検討という作業は行っていないが、委員からご質問のあった山田町の契約変更に対する県の補助金の承認については、あくまでも事業として特段の問題は見受けられないということで承認したものである。
当時の状況から振り返れば、必要なチェックを行った上で承認したものと考えている。
【斉藤委員】
必要なチェックをしたものと考えているということではダメである。前回の審議のときに、執行されたものが報告されていなかったと答えている。契約変更の県に対する申請の前にやられてしまったと。それで説明・報告を求めなかったということも言っている。県が見過ごしてきたことはたくさんある。
一番の焦点で取り上げてきた御蔵の湯について。これについては、県と町の間でも何度もやりとりがあり、材料費・リースならよいと、建設工事ならダメと言っていた。あれはリースという形で事実上県は認めた。リースで認めるならリースの対象は誰なのか、オールブリッジという全く実態のない会社ではなかったか。そういうチェックもしなかった。しかし今回の再精査で、「費目は材料費であるが実態は建設工事であり、軽微な修繕等の材料購入とは認めがたい」と。こんなことは23年度のときに分かっていた。以前も指摘したが、23年9月にNPOから宮古地域振興センターに建築確認申請が出されている。そして9月に建設工事が発注されている。あなた方がまったくこの問題をチェックもせず、やり口だけ山田町に教えた。材料費でリースならよいと、そうやって山田町はやった。しかし実態はまったくなかった。この問題についてどう考えているか。それでも当時の対応は正しかったと言えるか。
【雇用対策課長】
御蔵の湯の整備に関して、リースでの対応という指示をしたということだが、この点については、個別具体の事案を前提とした説明ではなく、あくまで制度の考え方として説明してきたものである。
建築確認申請の件だが、宮古土木センターに提出されている。同じ建物の中ではあるが、残念ながらそこまで宮古の各部局間で必ずしもそこまでお互いの情報を承知していたわけではないために、決してそれを県が事前に分かっていて御蔵の湯の建設を認めたということは決してない。
【斉藤委員】
県と町のやりとりは何度かあり、きちんと答えている。建設工事は認められない、材料費・リースなら良いと。そう答えて、材料費・リースで契約変更がきた。だったらリースの相手は誰か、信頼できる者か、計画には1000万円のリース料だった。そういう実態を確認するのは最小限のチェック機能ではないか。どうも県の誤りを認めたがらないが、行政も政治も結果責任である。結果に対してどういう責任をとるか。そういうやりとりの中で、建設工事は認められないが材料費・リースなら良いと、それで申請があがってきた、だったら確かめなければならない。ある意味では御蔵の湯はNPO破たんの最大の焦点・試金石だった。
部長は、私の予算委員会の質問の中でこう答えている。「結果として、その不正なり偽りを当時の審査の中で発見できなかったということだ」と認めている。担当のあなたもそう思わないか。
【雇用対策課長】
結果という意味では、県は事実について事前に察知することはできなかったということになろうかと思う。
【斉藤委員】
これは私が言ったように、23年9月に建築確認申請がなされて建築工事の発注がされた。この時点でチェックしていたら、平成23年度の不適正支出はこの程度でとどめられた。平成23年度の半年の段階でチェックできた。
もっとさかのぼれば、実は平成23年の5月2日に、県社協が山田町長に直訴し、「『大雪りばぁねっと。』は各ボランティア団体と亀裂を生んでいる、不要な物まで買って請求書だけよこしている」、「この団体は北海道に帰ってもらった方がいい」と。県社協の専務がそう直訴した。それを無視して、さまざまな役職に就けてきたのが山田町だった。そういう意味では、大事なそういう時々に、きちんとしたチェックをしていたら、この問題は最小限に防げたと思う。
材料費は、この実績額では6199万円になっているが、御蔵の湯関係でどのぐらいになるか。
【雇用対策課長】
御蔵の湯関係の材料費は約4200万円余である。
【斉藤委員】
そうすると半分以上は御蔵の湯関係となる。額も半端な額ではないので、チェックして当たり前だと思う。そもそもこの雇用創出事業というのは1500万円から始まった。それが5回の契約変更で4億3000万円になった。それ自身が異常である。得体の知れないNPOに対して。町のいいなりに契約変更を認めてきた。その中に御蔵の湯というとんでもないものが入っていた。そして12月の段階で使い切ってしまった。それを山田町が補正しようと思い、それにストップがかかってこの問題が発覚した。町の補正予算というのは不足払いだった。それは認めるか。
【雇用対策課長】
不足払いであったかどうかは分からない。
【斉藤委員】
23年度分が平成24年度に支出された。人件費やその他が。これは平成24年度分でいくらあったか。
【雇用対策課長】
さまざまな形で23年度分の支払いが行われていたと記憶しており、リース会社が一旦受け取ってそれをNPO法人にバックしさまざまな支払いに充てた額は4200万円と記憶している。
【斉藤委員】
24年度は5億2000万円の不適正支出と。その中に平成23年度分があったと思う。それが4200万円か。
【雇用対策課長】
24年度分の不適正な補助対象外として除外した金額は約5億円あった。その中の1億800万円余がリース会社への支払いで、これも5億円の一部である。このリース会社への1億800万円余の中から、NPO法人にもう1度バックして23年度分の人件費の支払いに充てられたり、あるいは光熱水費等、これは直接だったかどうかは分からないが充てられたりしたものである。4200万円もその5億円の一部である。
【斉藤委員】
平成24年というのは一応調査して確定しているのだから、平成24年度あなた方が調査したときに、そこに23年度分が入っていたと、それが4200万円かと。その手口は、リース会社に1億800万円出していた、それがNPO法人に戻って23年度分の人件費や水光熱費とか払われた。そういうことで確認していいか。23年度分はそういう形で24年度分にもぐりこんでいたのが4200万円ということか。
【雇用対策課長】
いま手元の資料で、そのリース会社に支払われた1億800万円の使い道を年度別に整理したものがないので、承知しかねる。
【斉藤委員】
第4回第5回の契約変更の総額はいくらか。
【雇用対策課長】
1億6898万3645円である。
【斉藤委員】
第4回第5回というのが、使い切って補正したという額、これは山田町の担当課長から私は聞いてきた。だからこの額は実際にはつじつまが合わなかった額である。23年度、本当にしかるべきチェックをしていたら、24年度の7億2000万円とか5億2000万円という話にならなかった。本当に残念で仕方がない。
御蔵の湯関係は、実態は建設工事だから適正な事業目的には合致しないとなると思うが、そうすると、ここで働いていた人件費も対象外になるか。
【雇用対策課長】
あくまでも、施設の整備にかかる経費を対象外と考えており、人件費は問題ないと整理している。
【斉藤委員】
表の中で、制服費435万円に何の疑義の内容もない。しかし1着20万円のブランドスーツである。これは裁判でも不正だと言っている。県はなぜこれを事業目的に合わないと言わないのか。
【雇用対策課長】
1着20万円のブランドスーツだが、4億3000万円の中にはその金額は含まれていない。
全体像が23年度で精算した額は4億3000万円だが、未払いのまま持ち越した分などさまざまあるので、そのお金がどこから出たのかは承知していない。
【斉藤委員】
今問題になっている、裁判でもムダな支出だった、目的外だと指摘されている。このブランドスーツは何着購入したのか。領収書はあるのか。
【雇用対策課長】
この4億3000万円の内訳に入っていないため、支払明細等は一切私の方では確認していない。
【斉藤委員】
ブランドスーツの証拠書類はなかったということで空欄になっていると。ここには含まれていないと。驚くべき実態である。
それで、額的に一番多いのはリース費9841万円。私はこのリース費で水上バイクとかいろんな物を買ったのではないか。主な物を挙げてください。
【雇用対策課長】
水上バイクは24年度の方に入っているので、23年度に入っている主な物は、御蔵の湯、高速ボート、災害対応機材などがある。
【斉藤委員】
高速ボートをリースしたというのが実態か、買っているのか。
【雇用対策課長】
23年度の完了検査で確認したのは、リース契約書とその領収書であった。今回確認したのは、その販売元の会社がNPO法人から代金を受け取ったと確認している。
【斉藤委員】
販売代金として売ったということか。リースだったのか。
【雇用対策課長】
NPO法人に売ったと。23年度の4億3000万円の中で、高速ボートのリース料として計上している額は1050万円である。
【斉藤委員】
高速ボートも買ったと。完了検査ではどういう説明があってこれがクリアされたのか。リースの証明書のようなものがあったのか。1050万円がなぜ見過ごされたのか。
【雇用対策課長】
念のためにお答えするが、あくまでも「売った」というふうに販売元の会社に確認した。「買った」つもりなのかどうかはNPO法人には確認していない。
23年度の確認の方法だが、リース契約書と相手方が発行した領収書で、リースであり支払いがなされたと確認したものである。
【斉藤委員】
高速ボートを1050万円で販売元は売ったのか、それとも実態としては1年分のリース料だったのか。そうでないとリース契約を偽装したことになる。これはきわめて重要なことである。そもそも高速ボートは1050万円で買えるのか、そして支払われたのか。
【雇用対策課長】
リース料ではなく、販売代金として受け取ったということである。
23年度に完了検査で確認したリース契約は、NPO法人とオールブリッジが取り交わしたリース契約書である。そしてオールブリッジが発行した領収書で支払いを確認した。
今回、売買取引について確認した相手先は、もちろんオールブリッジではなく、口座の記録にあったその商品を取り扱っている企業である。
【斉藤委員】
本当に異常なことは具体的にどんどん明らかにしてやらないと裁判にならない。売った方は販売代金として1050万円受け取っている。これは一番明確な事実である。リースではないということである。それなのに、リース契約を偽造したのだと思う。だいたいNPO法人とオールブリッジは一体なのだから。本当に重大なことだと思う。
今でも山田町にはたくさん備品が残っている。リースだったらみんな引き上げるはずである。引き上げないということはほとんど買ったものではないか。そしてそれを彼らは勝手に処分しているのではないか。最近、オールブリッジとNPO法人は一体だということで、裁判所が処分はできないとした。破産管財人がそのような訴えをして認められた。だから勝手に売り払いしたということもやってはならないことだし、そうした今残されている備品はどのぐらいあるのか。
【雇用対策課長】
現在残されている備品の状況については確認していない。
【斉藤委員】
23年度に不正のすべてがあったのだと思う。それをさらに拡大させて24年度もやって破たんしたと。23年度の完了検査がすんなりいったこと自身がきわめて許し難いことだと思う。
先ほど材料費6200万円のうち4200万円は御蔵の湯関係だと。あと備蓄センターの材料費や駅裏耐火材料費が不正だとなっているが、これはどういう中身か。
【雇用対策課長】
備蓄センター材料費は、古い山田高校体育館、これはすでに町に譲渡済の施設聞いているが、そこを備蓄センターに使っている。この材料費で、実際には経費の支出の中には、床をはがした土間になっていたためにコンクリートたたきを打ったものが内訳である。金額は850万円。
駅裏耐火材料費は、山田駅の裏側にNPO法人がプレハブの施設を設置している。ここに書いている通り、耐火材料費と書いているが、請求明細・支払明細を見ると、そこに計上されている中身は、何部屋かつながったようなプレハブであり、そこに廊下をつけている、入口の前に建て増ししたような形で、あとはドアをグレードアップされるようなもので、これにかかる経費は180万円余である。
【斉藤委員】
ずさんなものがどこまでいくのか底知れない感じはするが、これは裁判でも代表理事は訴えているわけだが、裁判に岩手県はどのように関わっているのか。調査は、前の委員会のときには9月議会まではということで回答があったので、9月議会までにはきちんとしたものが出ると思う。
町にこれを請求すると。これはまた町の一般財源で補てんするしかない。これは大変なことである。今も体育館とかB&Gとかいろんな施設がNPO法人の資材が残されていて使えないと。これも損失だと思う。本当にこの損失も明確にしてやっていかなくてはならないと思うが、県が今後どのように取り組んでいくのか、裁判にどう関わっているのか、町をどう支援していくのか。
【雇用対策課長】
残り期間は少ないが、9月議会までには明らかに確定できるように努力したい。
裁判の関係だが、法的には県は関与していない。今後県としては、県が把握した情報、ある程度町も同様に把握しているものとは考えているが、県が直接調査して確認した状況であるとか、そういった情報についてはもちろん提供し、一番の県のできる支援としては、事業なり、県が把握している内容に関する情報提供であろうかと考えている。