2013年9月5日 臨時県議会・本会議
議案に対する質疑(大要)


【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。議案第6号について知事に質問いたします。
 議案第6号は、「権利の放棄に関し議決を求める」ものですが、政務調査費返還請求事件が、7月29日、最高裁によって「上告審として受理しない」と決定され、仙台高裁の判決が確定したことから、知事が31人の当時の県議に970万9855円の返還請求を行うことになったことに伴うものであります。
 今回、権利の放棄が提起されているのは、東日本大震災で犠牲となられた方であり、当然のことと考えるものであります。同時に、最高裁の上告不受理決定と仙台高裁判決の確定は、岩手県議会と議員にとっても重要な意味をもつものであり、県議会自身が今回の判決確定を真摯に受け止め、政務調査費の活用については一層の厳格な活用と透明性の確保に努めることが求められるものであります。また、今回の判決確定は全国的な意義を持つものであります。
 そこで、知事に質問します。確定した仙台高裁の判決では、「政務調査費の財源が県民の経済的負担に依拠していることからいっても、その裁量にはおのずから一定の限界があると言うべきであり、当該支出にかかる個別の事実から調査研究活動と県政との関連性を慎重に検討した結果、同支出にかかる議員の判断に合理性があるということができない場合は、同支出につき調査研究のための必要性を認めることができず、本件使途基準に合致しないものとして違法になると解するのが相当である」と指摘し、「個別の事実に基づき上記関連性について慎重に検討すべき」として違法性が具体的に検討されたものであります。「飲食を伴う会合への出席について」は、「特に酒食を伴う場合には、原則として公費である政務調査費からの支出が許されないと解すべきである」と指摘しています。知事は、今回の最高裁の上告不受理、仙台高裁判決の確定とその内容について、どのように受け止めているでしょうか。
 また、県が裁判でどのような主張をし、判決ではどういう判断が下されたのでしょうか。
 最後に、返還請求の状況を含めて示していただきたい。

【達増知事】
 平成23年9月30日の仙台高裁の判決を受け、最高裁に上告の受理申し立てを行っていたところであるが、平成25年7月29日に最高裁において上告を受理しない旨の決定がなされ、仙台高裁での判決が確定したところである。
 政務調査費制度の趣旨は、議員の調査研究活動を充実させ、議会の審議能力を強化するというものであり、裁判では、「政務調査費の使途は議員の広範な裁量に委ねられるべきである」と一貫して主張してきたが、判決においては、議員の判断の合理性を求めるなど議員の裁量を限定的にとらえて判断されたところである。
 県の主張が認められなかったのは非常に残念だが、司法の下した判断であり、重く受け止めている。
 返還請求等の状況については、判決の確定を受け、去る8月7日に、対象者30人にたいし、9月26日を期限として967万5000円余を請求したところであり、9月2日現在、19人から412万1000円余が納入されている。