2013年10月9日 農林水産委員会
大雨災害対策等に関する高田一郎県議の質疑(大要)


・大雨災害対策について

【高田県議】
 私からは大雨災害についてお伺いしたします。今回の7月、8月、9月の大雨災害で農地あるいは農業用施設を含めますと10301箇所ということで、東日本大震災の年につぐ、ここ20年来で大きな被害となりました。今回の補正予算には台風18号関係では、被災農業者緊急支援事業及び小規模農地災害復旧事業については予算措置されておりませんが、おそらくなかなか被害状況を精査できなかったのかなと思いますが、予算措置されていないのはどんな理由なのか。当然、県南、県央と同じような同等の支援をするべきだとおもいますが、この点についての見解をお伺いしたいと思います。
 問題は、やっぱり来年の春までに作付けできるかどうかが最大の焦点だと思います。東日本大震災の復旧をすすめながら、内陸部の被災をしっかりやらなければならないというのは、大変なことだと思います。全力を挙げるというのは、分かるのですが来年の作付けにまにあわせるためには、何が課題、ネックになっているのか。昨日の一般質問での質疑にもありましたけれども、コンサルが不足しているとか、査定も簡素化にしていかなければならないとか、さまざまな課題がありますけれども来年の作付けに間に合うためには、最大なにが今問われているのか。おそらく整理をして対応を取っていると思いますが、この点についてお伺いいたします。
 
【農業振興課総括課長】
 被災農業者緊急支援事業、補正を行わなかった理由でございますけれども、まず7月末から3ヶ月の大雨災害に関わる被害というものの実態を把握しますと、パイプハウス被害と機械等に被害ですが土砂に埋まったような場所は土砂を除けば、ハウスの復旧が要らないというものも出てまいりましてそうしたものの事業の見込みについてやりますと、まず最初の補正の予算で間に合う見込みが出てきてございます。あとは国からの対象事業になるかならないかについては金曜日に。国の事業に県費、市町費をおんしてやる事業でございますので、そういった2つのことを踏まえていま18号対応については、総務部と調整中でございます。

【農村建設課総括課長】
 小規模農地等災害復旧事業についてでありますけれども、これにつきましては、まずその時点でまだその時点で把握しきれていなかったということと、激甚指定これについては10月4日に激甚指定されたというような経緯がありますのでそれを踏まえて今後適用に向けて検討してまいりたいと思っております。農地、農業用施設の早期復旧に向けての課題ということでございますが委員ご指摘の通り、まずコンサルの確保という課題があったわけですが、それについては査定の簡素化等の取り組みによって概ねめどがたちつつあるという事でございます。何よりも早期の工事着手が大事だと思っておりまして、そこに向けては早期の査定ということになりますので、早期の査定着手に向けて市町村の取り組みを丁寧に支援しているところでございます。

【高田県議】
 台風18号についても同じ被害でありますから、答弁の流れからしますと同等の支援を行って行くと理解をしましたのでそれについては了解したしました。
 前回の農水委員会質疑を交わした経過がありますけれども紫波町の山王海土地改良区、農水委員会でも視察をしてきました。大変の被害だなと。1600haも通水不能になって、来年の作付けは間に合うのかなと。用水をみますと重機も入らないようなところが沢山あって大変だなという思いもあったんですが、あそこについては具体的に見通しについてどういう状況になっているのか。
 なかなか間にあわなかった場合には代替作物というお話をされました。これは代替作物だけの対応で大丈夫なんでしょうか?その東日本大震災のときにはどういう対応をされたのですか。それに代わる補償というのはないのですか。
 そこも含めて答弁いただきたいと思います。

【農村建設課総括課長】
 山王海土地改良区の土砂堆積による農業用水路の被害についてでありますけれども、あの場所に関しましては査定前着工制度を活用した応急工事に現在取り組んでおりまして紫波町が現在その手続きを踏み、工事に着手しているところでございます。来年、春の通水に向けて現在施工しているところでございます。
【農村園芸課総括課長】
 来年度作付けに向けて鋭意努力していただくことになりますが、どうしても水が間に合わないということで作付けができない場合、水田でございますので大豆、そばなどの作付けである程度の収入は確保できるように。それらの作付け指導をしてまいりたいと考えてございます。

【高田県議】
 農地災害等については、東日本大震災を含めて対応しなくてはいけないという、大変苦労も多いと思いますが、極力、作付けができるように全力を挙げて頑張っていていただきたいと思います。それで個別具体的な点について再度質問いたしますけれども小規模農地災害復旧事業今回3600万円ほど予算措置がされていますけれども、これは市町村、土地改良区だけでなくて農業者からなる組織、いわゆる共同施工者、何人か集まった組織でも対応できるとのお話でありましたが、本格的な復旧については、稲刈りが終わった後と思いますが、畑などが崩れたようなところは自力でやっているとかそういうところもあるんですが、これは遡及対応ができる制度かどうかということをお聞きしたいと思います。被災農地緊急支援事業1億3000万円余が予算計上されていますが、この事業内容をみますと被害を受けた農家の施設や機械などの再整備に対する支援です。農家からすると大変ありがたい事業だと思いますが、この事業の中身をみますと今年度限りとなっております。今年度限りの事業。この今年度限りの事業にしたのはなぜなのかと。この点についてもお伺いしたいと思います。

【農村建設課総括課長】
 小規模農地等災害復旧事業の遡及ということでございますが、まず自らトラクター等を用いて復旧したいわゆる自力復旧については各種の災害復旧事業の対象にはならないと考えてございます。それと委員がご指摘の通り今まだ、稲がある状況でございましたので復旧着手したところというのは、農地等についてはあまり多くないのかなと感じておりますが遡及措置につきましてはこの制度で考えられております事業主体。いわゆる市町村、土地改良区あるいは3戸以上の共同施工者、JA等々というところが事業主体が行ったものについては、資料等を整理していてもらう必要というのはございますけれども遡及措置可能と考えております。
 被災農地緊急支援事業につきましては、各災害の内容等に応じて、その災害の規模、内容等に応じて対応を検討して行きたいというように考えてございます。

【高田県議】
 私が聞いたのはそうではなくて、この被災農業者支援事業というのは、今回甚大な被害を受けた園芸農家。まあ農家等に対して機械の整備とか再整備とか農業施設の再整備をするために支援をする制度であります。農家にしてみれば、農地も被災をした施設も被災をした、そして園芸農家などについては大幅な減収なわけですよね。収入がないなかで農業施設等と復旧しなくてはいけないと。そういった時になかなか今年度トラクターや機械を買うときにその気になるかというとそうならないと思うんですよね。今年は委託だけでもお願いをして稲刈りをしてもらいましょうというのが精一杯なのかなと。だからもう少し事業をする実施期間も今年度限りにしないで柔軟な対応をすべきではないかと私は思うんですが。それについてなぜ25年度限りにしたのかということをお伺いしたいと思います。

【農業振興課総括課長】
 単年度限りにしたという理由につきましては、災害復旧については、ある期限を設けてまず、それに向かって努力していくというのがまず基本かと思います。従いまして来年度再び意欲をもって営農できるように市町村と連携しまして、まずこの事業活用して行くことを、まず第一にすすめてまいりたいと考えております。

【高田県議】
 実態はなかなか、そのこれだけ壊滅的な被害をうけてですね、すぐ今年、今年度中になかなか農業機械を購入すると。すでに返済しなくてはいけないものもありますから新たに導入するとなると2重ローンになってしまう。債務免除とか、返済猶予とか、そういったことをやってもらえれば良いのですがなかなかそういう状況に無い中での再建となるわけですから、私は農家が再建してこそこの事業は生きるわけですから、私は柔軟な対応をすべきだと思うのです。
 せめて25年、26年の事業にするとかですね。部長いかがでしょうか?

【東大野農林水産部長】
 今、ご指摘のありました事業につきまして、この事業、国の事業を活用してそれに上乗せして、県単独で上乗せするという形で、生産者の方々の負担を少しでも軽くして再度営農して頂こうという事業になっております。根っこが国の事業でございますので緊急的に災害復旧を支援するというフレームの中で出来てございます。そういった事情もございますので国のほうにひとつは、そういったなんらかの方法で来年度事業が実施が可能なのかどうなのか、そこら辺を聞いてみますし、事業自体の希望がどのようにあるのかと言うことも大切だと思います。希望が無いのに国に対して来年もというわけには行きませんので。そのあたりを確かめながら対応させて頂きたいと思います。

【高田県議】
 了解しました。農家の皆さんが意欲をもって再建できなければ事業の意味がありませんので。部長の答弁理解いたしましたのでそういった方向で被災者に寄り添った対応して頂きたいと思います。大雨災害で最後に共済の早期支払い、今どういう状況になっているのか。早期の支払いを共済組合にも働きかけていると思いますが、この点についての現状についてお伺いしたいと思います。それから昨日の一般質問の議論の中でもありましたけれども、任意加入となっている農作物については、例えばリンゴなどは基金協会から植え替えとか育成費、充分とはいえませんが支援措置があるわけです。しかしその他の今回被害のあったリンドウとか野菜とかこういったのはどういった状況でしょうか?

【団体指導課総括課長】
 農業共済、共済金の早期支払いに関わる現状ということでございますけれども現在県内の7つの農業共済組合におきまして評価員、あるいは職員も出払って、その損害評価の実施に努めているところでございます。併せて評価の結果に基づく共済金額の算定、一部では損害評価会も既に開催されておりますが、損害評価会の開催と国への報告認定といったことで出来るだけ早期に支払いをするという事で動いております。従前はですね、こういった手続きに手間取りまして支払いが越年をするということも、ままありましたけれども最近は出来るだけ年内に支払いをすると。特にも今回こういった被害が発生しておりますので12月、11月出来るだけ早期に支払いをするということで各組合、努力をしているという状況でございます。

【高田県議】
 農家にとって年末にさまざまな支払いがあるわけですから越年しないように年内支給ということが当然求められると思いますので県としてもさまざまな努力をしてもらいたいと思います。それで次は大雨災害に関わることでありますけれども、治山事業ですね。県単独治山災害復旧事業 。それぞれ6300万、1500万今度の補正予算に計上されています。
 今度の被害状況から言いますと、充分な予算措置になっていないのではないかと思うのですが。私は一関市に居住していますが東日本大震災のときのまだ復旧されていない治山事業が、まだ見えてあるんですね。そういう意味では、当初の治山事業の計画。見送りになるものがあるのかどうか。事業計画がどうなっているのか。この点について答弁頂きたいと思います。つまり過去に治山事業として復旧していないところが先送りになってしまうのか。それについて、見通しについてお伺いしたいと思います。

【森林保全課総括課長】
 今回の7月及び8月の豪雨災害につきましては、治山施設災害につきましては、16箇所で6350万の被害となっております。林地荒廃被害ということで、これにつきましては、91箇所で27億5000万円余というような被害となっております。このうち治山施設災害につきましては、規模が今回は小さかったものですから国の採択にあわないということで県単治山で措置をさせていただきたいということで提案もうしあげおります。山地崩壊などの林地荒廃被害これにつきまして、緊急に必要な8箇所について、災害関連緊急治山ということで、対応するということで今進めているところであります。先ほど計画のなかで取り残しのようなものはないかとみたいなものはないかとのお話でございましたが、治山事業に関しましては、まず保安林に指定されている。あるいは保安林に指定されることが確実であるであると言うことがまずひとつの条件になります。もうひとつは、例えば山が崩れたと言いましても、下流部に保全すべき対象が無いとか、こういったものにつきましては経過を観察しながら経過をみながら対応して行くといったようなものもございます。まずは、緊急的なものをやってそれから全体的なもので必要な箇所に治山施設を配置して行くといったような形で事業を進めているものです。
【農産園芸課総括課長】
 先ほどご質問のございましたリンゴ以外のいわゆる園芸作物だとおもいますが、共済制度のない作物の対応でございますけれども。施設園芸の場合、特に共済制度ございますが、リンドウ等共済制度がございません。そういったものの復旧につきましては市町村と連携しながら植え替え等を支援してまいりたいと思ってございます。今回の規模が大きいものですから追加補正もさせていただいたところでございます。

【高田県議】
 治山事業についてですけれども、今回の措置は緊急的なところを予算措置するんだというお話をされました。私は、東日本大震災のときの治山事業が全て終わってないんではないかと思うのです。これは、先送りされるのかということをお聞きしたのです。そして今回、緊急的なところをやるんだという事になりますと、いわば全体の災害復旧箇所のすべてでは無い訳ですよね。これがきちんと対応できるのかということなんです。むしろ予算がありますから、すべて一回にということは大変だと思うのですが、被災者にしてみれば、裏の山が崩れている。いつやってもらえるのかと不安なわけですよね。来年やりますとかなれば、少し安心するわけで。それぞれの被害箇所に対してきちんと説明責任がやられているのかということも含めてしっかりやって行くべきだと思います。東日本大震災で今回も被害をうけて、見通しも説明されていないところが多々ありますので、そこは説明責任を果たして行くべきではないかと思いますが。その辺について答弁いただきたいと思います。

【森林保全課総括課長】
 東日本大震災治山施設災害の問題でございますけれども、東日本大震災では沿岸地域を中心にではございますけれども55箇所の被害を受けてございます。うち17箇所について、国庫補助事業の治山施設復旧事業で工事を実施しております。この17箇所のうち15箇所はすでに完了してございます。残り2箇所というのは野田村の防潮堤、釜石の防潮堤。この2箇所を除く15箇所につきましては既に対策を完了してございます。今回の被害の説明責任ということでございますが、私ども今回の被害につきましては市町村と一体になって現地に入りまして、調査をしまして。今後どうするかという方針をきめまして、先ほど申し上げたように林地荒廃被害の8箇所についてはすぐ手を打たなければならないということで、災害関連緊急治山でございます。もうひとつは3箇所なのですがJRに土砂が出たところとかですね、そういったところなのですが。それにつきましはすぐに応急措置を取ろうということで対策をすすめてございます。それ以外のものにつきましては、詳細に調査しないとどこから手をつけて良いかと言う事も含めて、これから検討していきたいと考えておりますし、情報につきましては市町村をつうじて情報提供してまいりたいと考えております。

【高田県議】
 治山事業についてはしっかりと説明責任をやっていただきたいと思います。震災対策農業水利施設整備事業9500万円ほど予算計上されていますが、これは農業水利施設の防災、減災を行うものでありますが、その事業内容ですね。あるいは実施主体、補助率はどうなっているのでしょうか。今回、国の経済対策を受けて農業水利施設を調査をして、耐震診断を行って必要な補強整備を行うということでありますが。農業用水利施設というのはどこまでをいうのか。今回ため池が追加措置されていますけれども、ため池といっても個人でもっているのもあれば、共同でもっているのもあれば、どの程度の水利施設を対応しようとしているのかお聞きします。

【農村課総括課長】
 震災対策農業水利施設整備事業の内容でございますが、これにつきましてはため池の点検を今年度670箇所ということで。点検事業につきましては国費100パーセントになってございます。対象ということでございますが、今回の点検につきましては2ha以上のものにつきましてこの事業で対応できる。国の制度で2ha以上のため池について対象となるということになってございます。


・きのこ原木等処理事業について

【高田県議】
 もうひとつお聞きします。
 きのこ原木等処理事業です。今回4億9700万円余が予算計上されています。当初予算、これまでの予算を含めますと9億円近い予算措置がされていまして汚染された原木の焼却処理を含めますと10数億円の予算措置になっていると思います。これは2カ年事業ですけれども、農家の皆さんは早く出荷を解除してもらわないと時間が経てば経つほど生産を断念せざるを得ないということがどんどん出てきていると思うのです。これまで9億円の予算措置が計上されていますがその進捗状況ですね、一時保管がどうなっているのか落葉層の除去とかはね返り防止対策がどうなっているのか?その進捗状況ですね。出荷再開に向けた出荷制限解除の見通しですね。県として生産解除に向けた県はどのような役割を果たしてきたのか。その事を伺って終わりたいと思います。

【林業振興課総括課長】
 しいたけの関係質問でございました。この事業における処理状況でございますが、10月2日現在で処理が必要なほだ木562万4000本ございますがそのうちの約半分、289万7000の処理が終わっております。ほだ場から取り除くと、保管するという処理が終わっております。落葉層の除去でございますが必要な面積69万3000uのうち、これにつきましては3000uの除去にとどまっております。補正の内容でございますが、大規模な補正をお願いする訳でございますが。ひとつには落葉層を除去しましても土に放射性物質がありますので、そこに新しいほだ木を置いた場合に雨などではね返ってまた汚染されるということで。はね返り防止資材が必要だという知見がありましたので、今回の補正で敷設する費用についても計上したということでございます。大型な補正になりましたのは当初の時には生産量等から推計でこれくらいの面積の環境整備が必要だろうという推計でありましたが、今回実際に実施するにあたりまして、市町村さんの事業ですが生産者個々にあたりまして意向を確認して、ほだ場の環境整備の希望を詳細に調査した結果、必要な面積が非常に大きくなったということでございます。ざっくり申し上げまして、しいたけ生産農家というのは、県内に1500人ぐらいいらっしゃいます。そのなかで菌床栽培を除きますと大体1200人程度が生産者でございますが、今回出荷停止の影響を受けている方々が約1000人おりまして、その1000人のうちの大体3分の1程度が、この補助事業で環境整備進むということでございまして。
 先ほど生産者の意欲とか、解除に向けた取り組みというのがありますが、元凶となっている原木ほだ木を除去すること。環境整備をしてきちんと栽培管理をすること。そして、出てきた生産物を測ったらば、影響の無い値であること。この3点セットが必要となるわけでございますが、その前提としては、今は辞めているけれども、いまは出荷できないけれども生産したいんだと。環境整備をして生産をしたいんだという意欲が前提でございまして。お話を市町村をつうじてお伺いしたところ多くのかた3分の1程度ですが、そういう方々がいらっしゃるので、そういった方々の生産意欲を失わないように県として考えております。解除の見通しでございますが先ほどの3点セットのお話は、県としてそういった方法で解除したいと希望があり国に協議をして今のところ一定の理解をいただいております。まだ、どこどこ市町村がいつごろというのは国が行うことで分かりませんが、ある程度理解をいただいているということから、そう遠くない期間に解除というのは、ある程度目にみえる形でどこどこ市が解除、どこどこ町が解除ということが目にみえてきますからそうなるとさらに今どうしようかなと思っている方々もやっぱり生産再開しようとなると思いますので、そういったことで出荷制限解除を早く成し遂げて生産者の皆様方に意欲をもって生産を再開していただく。そういうようなことを進めることが県の勤めと考えております。