2013年10月9日 商工文教委員会
教育委員会の補正予算に関する質疑(大要)
・児童・生徒の携帯・スマートフォンの所持状況について
【斉藤委員】
児童生徒健全育成推進費で、情報モラル教育ということで、本会議でも議論になった。
今の小中高生の携帯・スマホの所持状況、利用時間について、いわゆるスマホ中毒と言われる問題が最近大きな社会問題にもなっているが、その実態を示していただきたい。
【生徒指導課長】
平成25年度の全国学力学習状況調査の結果によれば、スマートフォンを含む携帯電話を「持っていない者」という質問で、岩手県の小6で65.5%、中3で57.2%が所持していないと。高校生については、県の高等学校長協会が本年8月に実施した調査によると、スマートフォンを含んだ携帯電話の所持率は96%と聞いている。
インターネットもしくは携帯電話の使用時間について、平日インターネットを2時間以上使用している割合は、小6で8.5%、中3で26.1%、高校生は37.9%という調査結果になっている。
【斉藤委員】
中3でも持っている割合が5割弱、高校生になると96%が持っている。それで2時間以上ということになると、中毒に近いのではないか。授業時間にやっているわけではないと思うので、本当に生活時間の多くをスマートフォンに拘束されているということになるのではないか。
事態はかなり深刻だと思う。すべての子どもたちを対象にしたきちんとした教育をしないと、すでに中毒にかかりつつある、かかっているということを前提にした情報モラル教育が行われなければならないのではないか。その点については、今回の予算措置は、教育研究センターに一定の設備をつくって研修すると。研修程度では何ともならないのではないかと思うが、今回の措置でどういう効果があるのか。
本当に小6ぐらいからは、本格的にすべての児童・生徒を対象にした情報モラル教育をやらないと、手遅れになってしまうのではないか。
【生徒指導課長】
インターネットもしくは携帯電話の普及にともない、児童・生徒の情報活用能力の育成が求められているということもありますし、一方で、使い過ぎによる児童・生徒の生活習慣の乱れ、ネット依存、ネット上のいじめ、もしくは犯罪被害等の深刻なトラブルも懸念されている。
情報モラル教育については、小中高それぞれの学習指導要領に、発達段階にあわせて必ず学校で行うようにというものもあるので、現時点でも、それぞれの小中高の発達段階に合わせて各校では100%情報モラル教育は行っている。ただ、スマホに関わるさまざまなトラブル等も小中高でそれぞれ聞こえてくる現実もあるので、これを今後の学校教育の中で考えていかなければならないと思っている。
携帯電話・スマホの問題については、保護者への啓発という部分も大変重要になってくるものと考えているので、警察からも啓発リーフレット等の提供も受けているので、その辺も連携しながら進めていきたい。
【斉藤委員】
過去100%やられているというが、どういう形で、例えば総合学習の時間なのか、どの程度の頻度で、どういう中身でやられているのか。
保護者の啓発はその通りだが、どのようにやられているか。
【生徒指導課長】
情報モラル教育については、いわゆる総合的な学習時間や特別活動の時間とか、授業時間ではないがホームルーム等の時間も使いながら、子どもたちには指導している。
保護者への啓発については、警察からのリーフレット等を、例えば入学式後の保護者説明会等に配ったり、子どもたちを通して保護者に配る方法だと保護者に届かない現実もあるので、学校に保護者が来ていただいた機会を活用しながら配布している状況等もある。
【斉藤委員】
本会議の県警本部長の答弁で、「本県において8月末現在、青少年のための環境浄化に関する条例違反等11人が、性的被害となる事件を検挙している」と。これは把握されているか。
【生徒指導課長】
完全に学校から全部事故報告がきているというものが11件ではないが、携帯電話・スマホ等を使って、それがお互いに会う機会になったという状況の中で被害に遭っているということについては把握している。
【斉藤委員】
すでにこうした被害者が出ているので、さらに被害が出ないまでも、中毒症状に陥っている危険性もあると。これが深刻な現状だと思うので、まさに新しい課題、どんどん広がる可能性のある課題なので、かなり本腰を入れた取り組みをしっかりやるべきではないか。
【教育長】
ご指摘の通りである。学校でいろんな取り組みをしているわけだが、やはり言葉だけとかパンフレットだけでは危険性はなかなか伝えるのは難しいだろうと。
今回お願いしているのは、実際にスマホ等を活用していただき、実はこんなことを書きこんでいるけれど第三者から見られていることとか、実際に日常にやっていることがどういう結果をもたらすか、第三者から見られているという実体験を積んでもらわなければならないだろうと。それは保護者にもしかり、スマホは便利だけれども危険な面もあるということを実体験していただき、そのためには機器やソフト開発も必要である。そうした環境の中で実体験をしてもらうため、少し一歩踏み込んでそういう取り組みを行い、そういった危険に近づくことを少しでも阻止していくと。今携帯・スマホを持つなと言っても無理だと思うので、そういう取り組みをやっていきたい。
【斉藤委員】
本当に新しい重大な課題に直面しているので、危機感をもって、警察任せにならずに、連携も必要だが、子どもたちの健全な育成という点で全力で取り組んでいただきたい。
・県立学校復興担い手育成支援事業について
【斉藤委員】
地元の担い手をつくろうということで、これは県内全域だと思うが、特に被災地において、地元にどれだけ定着しているのか。今年の卒業生、今年度はどのぐらいか。就職内定率もかなり改善されているが、その状況もあわせて示していただきたい。
【高校教育課長】
内定の件については、岩手労働局の昨年度の3月卒業生の調査では、釜石地区の県内就職者数は205名中91名、宮古地区は167名、前年度よりも県内比が釜石・宮古とも高くなっている。大船渡は153名にたいし77名で前年比より若干下がっている。久慈地区は237名中95名ということで前年度より高い。
【斉藤委員】
今回の取り組みでその効果はさらにどのような形で発揮されるのか。
【高校教育課長】
対象になっている学校が、沿岸地区では久慈工業高校になるが、当然資格取得等に関わる研修等も入れているので、資格取得も可能になると。あわせて久慈工業の場合には、中学生も呼んで、その分野に対する興味・関心も喚起するという事業も考えている。
宮古商業については、商業系であるので、そういった方面で貢献できる生徒を育成したいと。
福祉も対象になっているが、福祉については、どちらかというと教員養成、資格のスキルアップをはかり、福祉に関わる生徒たちの育成に寄与しようと、若干間接的ではあるがそういったものである。
釜石地区では176名の求人にたいし就職者175名。宮古は140人にたいし140人。大船渡が89人にたいし89人。久慈が117人にたいし117人と、いずれの地区も前年よりも上回っており、15%から最大54%上回っている。
・特別支援学校費の施設整備費について
【斉藤委員】
特別支援学校の教室不足数の状況を全体と学校ごとに示していただきたい。
【特別支援教育課長】
特別支援学校の教室不足調査については、文科省がすべての公立特別支援学校に対して毎年実施している。
24年度の調査において、本県で教室不足があると回答している学校は、盛岡都南支援学校5、みたけ支援学校15、二戸分教室3、奥中山校1、花巻清風支援学校18、前沢明峰支援学校16、一関清明支援学校千厩分教室4、気仙光陵支援学校1、宮古恵風支援学校8、久慈拓陽支援学校4、計10の本校・分校・分教室で75教室が不足している。
【斉藤委員】
これまでも議論され、特別支援学校の教室不足数75というのが、岩手の教育行政の中でもっとも遅れた課題の1つだと思う。
平成22年に、特別支援教育推進プランで、整備計画を立てようとした。しかしこのとき立てられなかったのは震災が理由ではない。国の方向が定まってなかったというのが1つ大きな理由である。しかしそれから数年経ち、これ以上特別支援学校の教室不足数というのは放置できない事態にきているのではないか。これはまさに超党派的な声ではないかと思う。
特別支援教育推進プランというのがパブリックコメントされて、最終的にまとめられようとしていますが、パブリックコメントをしながら、県議会に報告・説明がないのはいかがなものか。県議会の意見を聞くということがまずパブリックコメントとあわせてやられる必要があるのではないか。
【教育長】
いま議論しているのは、どうしても国の方向が定まらないという全体を見据えてやる必要があるので、そういった意味で、現行計画の見直しというところにはとどまっている。従前から当然県議会に議決をいただくべき計画、条例等の解釈の問題、これまでの経緯等も踏まえ、現在いろいろ検討を進めているところである。したがい、こういった計画を行う場合の県議会との関係については、全庁的な課題もあろうかと思うので、その辺については議論させていただきたい。
【斉藤委員】
委員長にもお願いしておきたいが、資料は届いたが、県民に聞くパブリックコメントをしながら、県議会に説明して意見を聞かないということはまったく片手落ち。県議会の意見こそ聞くべきだと、商工文教委員会にきちんと報告して意見を聞くというのは今後きちんと進めるべきだと思う。
特別支援教育が遅れた1つの大きな課題だと思うが、教員がきちんと配置されているのか。必要な学級数にたいして教員の配置がどうなっているのか。そのうち、正規の教員、常勤講師、非常勤講師の配置はどうなっているか。
【県立学校人事課長】
各学校の要望を聞きながら、標準法に基づき配置している。
平成25年度においては、921名の教職員、常勤講師143名、非常勤93名を任用している。
【斉藤委員】
今の正規の教員は全体の79.6%である。生徒が急増している中で、ある意味でいくと常勤講師に頼ってやっていると。この常勤講師も、何年もそこで常勤講師やっても本採用されないという事態もある。こういう特別支援教育に情熱をもって頑張っている人たちを本採用にすべきではないのか。この比率を改善すべきではないか。全体の教員の正規教員の比率はどうなっているか。
【県立学校人事課長】
全体でだいたい9割である。
【斉藤委員】
そうだとすれば、特別支援教育の場合は8割弱なので、常勤講師という臨時に頼った形になっているのではないか。
施設設備も遅れている、教員配置も遅れているのだと思う。こういうところにメスを入れるような推進プランでなければいけないと思う。いま何が現場で困っているのか。
先ほどもあったが、男女兼用トイレが残されていると。これはどれだけの学校に残されているのか。
【特別支援教育課長】
男女兼用で児童用トイレを使用している県立の特別支援学校は、4校である。みたけ支援学校、気仙光陵支援学校、釜石祥雲支援学校、宮古恵風支援学校である。この4校はいずれも、知的障害の教育を対象とした特別支援学校であり、小学部低学年について、男女が児童用トイレを兼用していることは承知している。
【斉藤委員】
岩手県は、障害のある人もない人もともにさわやかに育つというか、そういう条例も制定しているわけで、こういう問題は直ちに解消されるべきで、障がい児だから差別されていると言われても仕方がない。そうした事態ではないのか。本格的な整備計画を真剣に考えるべきである。整備計画を立てても一気にできないのだから。計画を立てて優先順位でやると。
今回の予算で、花巻清風については、特別教室の設計の予算が出たが、花巻清風は18教室も足らない。やるんだったら18教室を解消する施設整備が出されなければいけないのではないか。今回どのぐらい解消されるのか。その他はどうするのか。
【特別支援教育課長】
具体的な教室の部分については、今後設計等の中で詰めていきたいと思っている。
花巻清風支援学校高等部だけではなく、小学部・中学部の部分も教室不足の転用という形で進めているので、そこは学校全体の今後の花巻・北上地域の児童・生徒の動き等も鑑みながら、花巻清風支援学校全体の整備については検討していきたい。
【斉藤委員】
せっかく予算が出されて教室がつくられて、教室不足数を解消しようというときに、何教室つくられるのかはっきり答えられないようではいけない。18不足しているのだから。これは債務負担行為で7000万円というのが出ていたので、そのぐらいを想定した特別教室になるのか。そのことによりどこまで解消されるのか。どうせやるだったら思い切った解消策がとれないのか。
全国的には10年間で倍に特別支援学校の生徒が増えている。今の状況で減るということはありえない。
先ほど教育長は「将来の見通しが立てにくい」という話は不正確で、増えることはあっても簡単に減らないというのがこの間の推移である。だとすればそれだけ重視してこの問題に先を見通して取り組んでいくということが必要ではないか。
【学校施設課長】
今回補正に計上しているものは、計画としては、特別教室4つを別棟として新築し、その上で現在不足となっている高等部の教室、現在使っている被服室が普通教室2つに相当する大きさがあるので、特別教室4つを普通教室に改修し、特別教室4つを改めて新築するという内容であり、18のうち更新される、新たに教室の増設となるものは4である。2室が兼用を開始されて2室が新築という内訳になる。
花巻清風支援学校の整備だが、たしかに高等部についてはまだまだ不足数があるのが現状である。ただ、現段階においては、整備の方法等について敷金の配置等問題がまだまだ山積しているので、学校側とも相談し今後詰めていきたい。