2013年10月11日 9月定例県議会・本会議
請願の不採択に対する高田一郎県議の反対討論
日本共産党を代表し、請願第75号及び80号から83号までの請願不採択に対して反対討論を行います。
請願第75号は、「青年の生活と雇用を守る措置を求める請願」です。この請願は、青年の生活と雇用を守るため最低賃金の引き上げ、長時間労働の根絶、正社員化などを関係機関に求める請願です。
若い世代の雇用と労働条件は深刻さを増しています。派遣労働、パート、契約社員など非正規労働者は実に労働者の38%、2000万人を超え青年層は過半数を超えています。現在の最低賃金では、年間2000時間働いても年収150万円にもならず、働いても働いても貧困から抜け出せないワーキングプアが増え続けてきた最大の原因がここにあります。
最低賃金の引き上げ、長時間労働根絶や正社員化への拡大など青年の安定した雇用への改善は、賃金全体の底上げにつながるとともに、労働者の4割近い非正規労働者の賃上げやデフレ不況の脱却に決定的に重要です。安倍内閣は、「世界一企業が活動できる国をめざす」として非正規労働者の拡大、解雇自由化など雇用のさらなる規制緩和を検討していますが、若者が経済的に自立できない雇用の広がりは、奨学金の滞納、国民年金の納付率の減少など少子化問題や社会保障制度の根幹を揺るがすなど深刻な影響を及ぼしています。
各党も最低賃金の引き上げを求め、岩手県も不十分ながら12円の引き上げが行われ、政府も内需の拡大にとって賃金引上げが必要だとしています。これまでも県議会は、最低賃金の引き上げを求める請願を採択してきたにもかかわらず、今回不採択としたことは最賃の引き上げや雇用の改善を求める県民の声に背を向けるものです。
次に請願80号は、消費税8%への来年の4月実施の中止を求める請願であります。
消費税増税は、暮らしと営業を破壊するだけではなく、日本経済を奈落の底に落とし被災地の復興に冷や水を浴びせるものです。
1997年、橋本内閣での5%の増税は、国民の所得が着実に増え続けるプラス成長の時代でありましたが、結局大不況に引き金を引く結果となり11兆円もの大幅税収減となりました。1997年比で、年収は平均70万円も減少、年金も引き下げられる中での大増税は、日本のくらしと経済、財政に深刻な打撃を与えるものです。読売新聞の世論調査でも「景気の回復感がない」が77%となっており、4月実施の中止は圧倒的国民の声であります。
第二に、消費税増税がこれまで政府が述べてきた社会保障や財政再建のためではないことが明らかであるからです。安部首相は、消費税増税で深刻な景気悪化が起こることを認め、そのために復興財源であった復興特別法人税(9000億円)の廃止を含め6兆円規模の「経済対策」を行うことを表明しました。所得税の復興増税は25年間払い続けるのに対し、270兆円もの巨額の内部留保を抱える大企業には法人税を前倒しして減税する、8兆円の大増税で景気を悪化させ、「景気対策」といって6兆円のばら撒きを行うことは経済対策にも財政政策にもならず支離滅裂というものです。
社会保障政策にいたっては「自立自助」「相互扶助」「家族の助け合い」を今後の社会保障の理念に据え、社会保障への公的投入抑制や医療・介護・年金への給付縮小など社会保障制度改悪の具体化が始まっています。
消費税は、所得の少ない人に重い負担となる最悪の不公平税制です。日本共産党は、@税制のあり方を所得や資産に応じて負担するという応能負担の原則に立ち改革し、富裕層・大企業優遇税制を改めること。A労働者の賃上げなど内需をあたためて税収を増やす経済改革を求めています。
自民党は、参議院選挙での公約で増税の可否についてふれるのを避け「判断は秋だ」として争点をそらし続けました。選挙で自民党の議席が増えたからといって国民が増税を認めたわけではありません。「中止すべきだ」「先送りすべきだ」という意見が過半数を超えており、消費税増税は民意に反するものであります。
次に、請願82号は、「放射能を海に流さないこと『放射能海洋放出規制法』の制定を求める請願」です。六ヶ所村に建設されている核燃料再処理工場も工場内の放射能漏れや耐震設計などのミスが指摘され、本操業が始まれば放射性物質の海洋放出など三陸沿岸漁業など大打撃が受けると関係者から不安の声が広がっています。福島第一原発事故で明らかなように、未完成の原発を続けていくことにこそ問題であることが明らかになりました。六ヶ所の核燃料再処理工場はもとより、放射性物質を海に流さないことを求めることは福島第一原発事故の教訓でもあります。
最後に、請願第81号は、岩手県全域における除染基準の見直しを求める請願、83号は、岩手県南における土壌汚染調査を求める請願であります。
福島第一原発事故から2年7ヶ月が経過し、月日が経つにつれ半減期や空間線量が低下していることは事実です。空間線量が高い県南の自治体では、重点除染地域に指定され除染計画にもとづいた除染が行われています。しかし、除染地域に指定された自治体でも全域が除染されるものではありません。土壌中の汚染状況は放射能汚染が高い場合でも除染されないままになっている地域もあります。政府の「低線量被爆のリスク管理に関する報告書」でも、放射性物質に触れる機会を減らし、できうる限りに防護措置を優先すべき」と述べています。放射能汚染による県民の命と健康を守る問題は、第一義的な責任は東京電力と政府の責任で対応すべきことは当然ですが、県としても最大限の取り組みを行うべきであります。
以上が請願の不採択に反対する理由であります。ご清聴ありがとうございました。