2013年10月16日 決算特別委員会
総務部に対する質疑大要


・決算状況―事業費に見る業務量、人員体制、超過勤務について

【斉藤委員】
 歳出で、1兆1072億円余の決算額になったわけだが、この業務量はおそらく震災前の1.6倍となると思う。業務量はどのように増加されているか。それに対して具体的にどう対応されてきたか。

【人事課総括課長】
 24年度の歳出総額の数字があったが、23年度・24年度で特に復旧・復興事業経費ということで23年度は5258億円、24年度が4543億円と増加分のほぼすべてのところを占めている部分だと思う。この事業費が業務量として何人量にあたるのかといった部分については分析するのは難しいと思うが、少なくとも22年度にはまったく存在していなかった部分であるので、この部分が増加しているものと認識している。
 これに対応するため、23年度から24年度にかけて、他県の応援職員の増員、任期付き職員の採用といったことにより正規の職員200人を増員させていただいた。その他、緊急雇用創出事業等を活用し、臨時職員も154人ほど増員し、マンパワーの確保に努めた。

【斉藤委員】
 県の人員体制について。平成15年は5000人体制、それがずっと4000人まで減らされてぎりぎりのところで震災に直面した。少し増やしているというが、10年前の予算規模はどうだったのか。そして今は決算規模でいくと1.6倍、額でいけば4000億円5000億円という復旧事業が純粋に増えている中で、この体制でいいのかと思うがいかがか。

【人事課総括課長】
 平成15年の時点、職員数が5000人いた頃の事業費は手元に資料がないのでお答えしかねるが、たしかにその後平成15年から19年度まで行財政構造改革プログラム、19年度から岩手県民計画のアクションプランの改革ということで4000人を切るところまできた。その後22年度末に震災が起こり、復興事業が出てきたが、23年度・24年度については、24年度の当初の数字が増やした分となるが、ここの時点で約200人ほど、それに加え25年、来年度に向けても震災復興を加速するという必要もあるので、他県応援職員だけではなく、任期付き職員の増員、社会人採用の増員ということも考え、いろんな手段を講じてマンパワーの確保に努めていきたい。

【斉藤委員】
 平成15年は5013人、平成23年は3949人、このときに震災があった。全国も共通しているが、本当にぎりぎりのところで大災害に直面した。その中で県職員の方々は大変頑張っていると思う。
 他県からも24年度で156人の応援職員、任期付き職員88人で計244人と報告を受けているが、この取り組みの中で、この体制をさらに強化することが必要がだと思うが、今現在頑張っている人たちの超過勤務の状況、超過勤務手当はしっかり出ているのか。業務量に比してあまりにも少ないのではないかと思うが、超過勤務時間・手当の支給状況を示していただきたい。

【人事課総括課長】
 平成24年度の知事部局職員の年間一人当たりの平均超過勤務時間数が144.9時間、これは23年度に比べ12%落ちている状況になっている。年間一人当たりの支給額は39万円ということで、これも落ちてはいる。
 原因については、24年度の超過勤務については、23年度が震災があってすぐ次の年度だったということで、人的な対応もなかなかすぐにはできなかった部分もあるが、24年度の超過勤務については、一定程度のマンパワーの確保が図られたと。23年度に比較しては、12%ほど減少はしているが、震災前の22年度と比べれば大幅に増加した数字であることは間違いない。ある程度マンパワーの確保ということが超過勤務の抑制にも効果があると考えているので、マンパワーの確保・業務の平準化に努め、その縮減に取り組んでいきたい。

【斉藤委員】
 各部局ごとの一人当たりの支給額を見るとアンバランスがあるのではないか。例えば、秘書広報室は一人当たり77万6300円、仕事が増えている県土整備部は45万5344円、農林水産部は36万1463円、復興局は95万8000円と。復興局は頑張っているという感じはするが、これはまともに働いた分支給されているのかと思うがいかがか。

【人事課総括課長】
 ご指摘の部局ごとの時間数だが、時間数で申し上げると、総務部で289時間、復興局が284時間、県土整備部が268時間という形になっている。時間数ではあまり変わらない。そういった中で、部局別の年間一人当たりの支給額ということでお話があったが、支給額については、職位といった部分も影響し時間あたりの単価が影響してくるので、一概に比較はできないと考えている。
 基本的には、皆さんの超過勤務手当については、きちんとした形で支給させていると認識している。

【斉藤委員】
 超過勤務時間はあまり変わらないが、支給額はかなり違っている。これはぜひ精査していただきたい。


・防災対策について

【斉藤委員】
 津波防災について、避難が最大の教訓だったと。そういう立場で、恒常的な防災訓練も行われる必要があると考えているが、県、沿岸市町村において、どのような防災訓練が行われているか。
 沿岸の消防と消防団の人員・体制取り組みはどうか。

【防災危機管理監】
 県では、東日本大震災津波の教訓を踏まえ、沿岸部での訓練を実施することとし、昨年度は釜石市で、今年は久慈地域で訓練を実施した。特に今年度は、総合防災訓練としては初めて久慈地域の複数市町村を対象に、広域災害に備えた広域対応訓練を実施し、103機関・約1万人の参加のもと関係機関の連携を確認する実践的な63項目の訓練をすることができた。
 沿岸部の各市町村においては、毎年度、地震・津波などを想定した住民の避難訓練や避難誘導訓練などを実施しており、今年度も、例えば宮古市においては、消火・応急救護における訓練とあわせ、緊急地震速報を受けて地震到達前に身の安全確保を考え行動するという自主参加型行動訓練というものを初めて実施している。山田町においては、津波避難や応急炊き出し訓練などを実施している。

【斉藤委員】
 陸前高田市の保育園では、毎月避難訓練をしていると。そして釜石市の小学校は、全国に紹介されたように、鵜住居だけではなく、釜石小学校も一人一人の子どもたちが自主的に避難して一人も犠牲者を出さなかった。この間テレビで紹介されていたが、陸前高田市の福伏地区で、地域の防災訓練をずっとやっていて、犠牲者1人だけだったが、それを大変悔やんでいた。こういう学校や地域単位の実践的な訓練というのが、今回の津波で試されたのではないか。そういう取り組みを、全域の訓練と合わせてやっていく必要があるのではないか。


・豪雨・台風災害対策について

【斉藤委員】
 7・8・9月の災害を踏まえて、教訓と問題点をどう把握し、今どのような対策・改善をはかっているか。県の人員・体制は十分か。

【総合防災室長】
 一連の大雨洪水災害の検証ということだが、市町村においては、国や県が公表している河川水位情報が十分に活用されなかったということがあり、市町村の中では、住民からの被害情報の対応に追われたという声も聞いた。また一部の市町村では、8月9日の災害の二次災害の方に注意がいっていたということも聞いている。そういったことで、避難勧告の発令について適切な判断に結び付かなかったという事例があったと聞いている。
 県においても、初動期において、市町村の情報を十分把握できなかったため、早期の支援に結び付かなかったという事例もあった。
 現時点ではそのような課題と認識しているが、今後、市町村とともに、検証する協議の場を設けようと考えており、県内部の検証や市町村独自の検証結果を持ち寄り、それぞれの関係機関・市町村と検証し、今後の対応策についてまとめていきたい。
 災害対応に伴う県の人員体制だが、県では気象警報の発令とともに、計画本部を設置して、災害の規模が拡大するような場合には、災害対策本部に移行して対応しているが、総合防災室の職員のほか、総務部内の職員がそういった場合に支援する体制をとっている。今回の検証結果も踏まえ、県庁内や振興局との連携体制について必要な見直しを行いながら、災害時の職員の配備体制というものについてきちんと整備していきたい。
【防災消防課長】
 沿岸の消防と消防団の人員体制だが、平成25年4月1日現在の沿岸消防本部の消防職員数は560人となっている。これは震災前の22年4月1日現在563人とほぼ同数となっている。
 消防団は、沿岸12市町村において、25年4月1日現在で6726人となっており、震災前と比較し267人(38%)の減となっている。

【斉藤委員】
 災害時の体制で感じるのは、全国もそうだが、災害時というのは非常時で、住民から問い合わせがあり、それに追われて対応ができなかったというのは盛岡市だけではなく全国である。やはり非常時にどういう体制が必要なのか。そして災害対策というのは災害を防止する、災害後の対策ではなく、最大限防止するためにどういう手立てをとるのか。こういう点で思い切った体制を構築できるようにしていただきたい。


・入札問題について

【斉藤委員】
 平成24年度、25年度の入札不調の状況はどうなっているか。その具体的要因と改善策はどう図られているか。

【入札課長】
 平成24年度の入札不調の割合は12.3%で、23年度の8.9%と比較し3.4ポイント増加した。平成25年度の入札不調の割合は、9月末までで705件の発注工事中111件16%となっており、昨年同期の833件中67件8%を上回るペースで進んでいる。
 入札不調の具体的な要因は、業界団体との意見交換では、技術者・労務者・資材の不足、工期内完成の見通しが立たない、設計単価が実勢価格と合わない、宿舎が確保できないことなどが挙げられる。入札不調への対応としては、これまで入札参加資格等について、会社の施工実績要件や技術者の経験要件の緩和、地域要件補正、現場代理人の兼務、主任技術者の兼任の要件緩和などを行ってきたところであり、今後においても、調整を図りながら対応していく。
 なお、業界団体との意見交換では、具体的な施工確保対策に対する要望が強いことから、県土整備部が主催する岩手県復旧復興工事施工確保対策連絡調整会議で、関係部署と情報交換を行いながら、適正に対応していく。

【斉藤委員】
 23年度、24年度、25年度とどんどん入札不調が増えていて、先日陸前高田市に行ってきたが、県営の災害公営住宅が2度にわたって不調、応札なしという事態。今後随意契約でやるという話を聞いたが、1度の不調で3ヶ月遅れ、これで6ヶ月遅れると。この打開策は本当に重要で、これから事業の発注が増える。本当に英知を結集して、国交省の設計単価は9月1日付で改善をされたようだが、本当に必要な手立てをとって、復興の事業がこういう形で遅れないように取り組んでいただきたい。


・税収の状況について

【斉藤委員】
 法人事業税が増えたということだったが、法人事業税の対象事業所数と率、中小企業の場合はどうなっているか。
 消費税の納税額と滞納額はどうなっているか。それが8%になったらどういうことになるのか。

【税務課総括課長】
 法人事業税の対象事業所数と率だが、これは事業税を納税する事業所の割合ということで、平成24年度の申告義務のある法人数22557社のうち、事業税が発生している法人数は9307社41.3%で、うち資本金1億円以下の中小企業は、申告義務のある法人数は20870社であり、事業税が発生している法人数は7685社36.8%となっている。
 消費税の納税額と滞納額だが、仙台国税局が公表している統計資料国税徴収状況による本県の消費税の数値は、平成23年度分で648億1900万円で対前年度比28.7%の増。滞納額が36億7700万円で対前年比44.2%の減となっている。44.2%の減は非常に大きいということなのだが、22年に納税するはずだった消費税が震災のために納期限の延長等で翌年度に繰り越した分があり、それにより21年度の1.9倍ほどの滞納に膨れ上がり、その期限がきて納税になったということで、大きく減ったと理解している。
 消費税が8%になった場合の滞納額・納税額の推移は、滞納額の部分は割合でしか考えられないので、納税額について、税収の増額について算出したものでは、現行では244億6000万円(24年度実績)だが、税率8%になった場合は、415億8200万円と試算、これは消費動向が変わらないとした場合のものである。この割合で、納税額・滞納額が同じように増えるかというと、そうではないとは思うが、やや似たような傾向で増えるものと理解している。


・旧盛岡短大跡地の利活用問題について

【斉藤委員】
 旧盛岡短大跡地利活用期成同盟会が結成され、県にも要望が提出されたが、県の検討、盛岡市との協議はどうなっているか。
 跡地の環境整備はどうなっているか。駐車場等の使用料収入も含めて示していただきたい。

【管理課長】
 旧盛岡短大の庁内関係課による利活用についてだが、22年12月に前回調査していたが、その後時間が経過したことから、今年1月に県による公共的な利用の可能性が生じていないか改めて各部局に利用希望調査を行い、複数の部局から利用希望が出された。今回利用希望が出されているのは、各部局における構想段階のものであり、実現可能性を含め、関係部局と具体的な協議を行っている。
 盛岡市とはこれまでも必要に応じ情報交換や意向確認をしながら、跡地の利活用について検討を進めてきたが、今後引き続き県の公共的な利用について検討するととともに、先般6月に期成同盟会から要望があった、「旧盛短跡地については城南地区の防災などの拠点について検討するとともに、地域活動の拠点として活動できる最適地でもあり、盛岡市が敷地を確保し整備するよう市長に陳情している」との要望の内容について、今後盛岡市の検討状況を踏まえ、盛短跡地の利用方針について慎重に検討を進めていきたい。
 環境整備や駐車場の関係だが、現在盛短跡地は、県の行政文書などの保管場所として活用しているほか、一般社団法人SAVE IWATEが被災地の支援物資の一時保管場所、体育館については、県体育協会が体操競技の練習場に利用している。グラウンドは盛岡二高のテニス部が利用している。環境整備は、構内の景観上、樹木剪定や建物の機械整備等を行っている。駐車場は、県競馬組合など3団体に使用許可を出しており、うち1団体から使用料として面積に応じて年間17万円余の使用料を徴収している。