2013年10月17日 決算特別委員会
復興局に対する質疑大要
・東日本大震災津波復興基金の事業実施状況について
【斉藤委員】
これまでに具体的にどう使われているのか。
今年度の残額、今後の見通しはどうなっているのか。今後さらに新規の事業を実施する財源の余裕はあるのか。
【総務企画課総括課長】
これまでに725億円を積み立てた。うち、市町村の財政事情に対応するため、約425億円は市町村に交付しているので、残り300億円が県の分ということになっている。
具体的には、安全の分野においては、三陸鉄道の駅舎整備等に約20億円、暮らしの分野では、住宅再建費用の一部助成などに約66億円、生業の再生の分野では、中小企業の事業再開に向けた支援等で38億円をはじめとして心のケア対策だとか私立学校の災害復旧支援など幅広い経費に充てさせていただいている。
県の事業に活用できる復興基金、これまで使った分も合わせて総額で300億円ではあるが、平成25年度末の残高は140億円程度が見込まれている。今後において継続が見込まれている事業、各部局において今後やりたいという事業も検討しているものもあり、それらも含めると現在の想定では、このまま推移した場合という仮定では28年度中にも基金が枯渇する恐れがある。このような状況を踏まえ、被災地域の状況とニーズに的確に応じるためには、このような自由度の高い資金がぜひとも必要なので、国に対してはこれまでもお願いしてきているところではあるが、新たな財源措置を是非とも今後ともお願いしていきたい。
【斉藤委員】
県がこの間住宅再建に100万円とか改修・修理、宅地補修まで含めて取り組んできたと。中小企業に対する支援策も行われてきた。今の回答だと、平成28年度で枯渇するということなので、これからも新規の事業も必要だと思う。これはぜひ強く国に拡充を求めていただきたい。
復興交付金と復興特別交付税の状況について。復興交付金は県や市町村の要望に基づいて出されているとは思うが、取組状況はどうか。県・市町村の独自負担分というのは、全額補てんをされていると見ていいのか。
【総務企画課総括課長】
交付金基幹事業で5省40事業ほどある。これまで県と市町村合わせてさまざま配分されているが、面的整備が一番認められており1865億円余、約4割を占めている。その他に災害公営住宅の整備、水産業の共同施設利用などの順で交付されている。
これらの事業については、住民の合意形成や土地利用計画との整合性等で説明して、その都度国から認められるというような形で交付されてきてはいる。ただ、これらの熟度の説明や住民合意の説明がかなり厳しいところもあるが、これまでのところ計画が確定したものについては順次認められてきている。
負担分について、基本的にはすべて交付税で認められるが、例外として、公営住宅の分は家賃収入があるので、そこで8分の1、この分については家賃収入で充てるという仕組みになっている。
【斉藤委員】
陸前高田市の西地区の事業で、手続きに11ヶ月もかかったと。これは首相にも直訴したということで、それで査定庁ではないかと言われているが、そもそも5省40事業というのが限定的で、さらに作成した計画について、手続きで何ヶ月もかかると。こういうことをやっていたら何のための復興庁かと思うので、そのことは強く改善を求めていただきたい。
・復興事業の3つの課題について
【斉藤委員】
1つは職員の確保、2つ目には復興財源の自由度の高い財源措置、3つ目は事業用地の円滑な確保に向けた特例措置と。この3つの課題で、国の動向はどうか。
【副局長】
人材の確保だが、国においては、全国の自治体から職員の派遣に加え、公務員OB、民間実務経験者等の活用、都市再生機構の現地の人員体制の強化などを行っているところである。しかしながら、今後まちづくり事業の本格化にともない、専門的知識を有する人材の不足がさらに深刻となってくることが懸念される。県としては、任期付き職員あるいは再任用職員の採用のほか、総務省の派遣スキームに基づく職員の派遣要請を継続し、関係機関等への総合的な調整機能を強化するようにさらに求めていく。
復興に必要な財源の確保だが、ただ今の交付金の話も含めて、復興が実現するまでの間の確実な財源確保、さらには自治体が自らの考えや判断、責任により執行できる自由度の高い財源措置が必要であるということで、これまでも国にたいし継続的に要望を行っているところである。その結果として、国の平成24年の補正予算において、被災地域の住宅再建を推進するため、復興特別交付税の増額などが措置されたところである。今後、産業振興等にかかる財源等も必要になってくる。引き続き交付税等による追加的な財源措置を国に対して強く要望していきたい。
事業用地の円滑かつ迅速な確保について。今年9月の権利者の調査を行った結果では、相続未処理や多数共有等を理由として、事業用地の取得までに相当の時間や労力がかかる土地が3割判明している。現在国においては、住宅再建・復興まちづくりの加速化措置により、財産管理人制度の円滑活用だとか、収用手続きの効率化など一定の措置が講じられている。しかしながら、県としてもこれらの措置を積極的に活用はしているが、いまだ抜本的な対策にはなり得てないと認識しており、さらにこの点についても国に強く要望していきたい。
【斉藤委員】
事業用地の確保の問題で、この間復興特別委員会でも資料を出していただき、所有者不明とか相続未処理など1535件34.4%がそういう状況だと。本当にこの状況だったら、いま打ち出しているロードマップもその通りいかないということである。
陸前高田市の市長が、「用地確保の地権者が全国に散らばり、長崎の五島列島まで行った」と。本当に人材が少ない中でそういうことをやらざるを得ない。そういう状況に直面している。
2つ問題があると思う。1つは、区画整理事業をやるときに、起工承諾をとらないとかさ上げができないと。全体の承諾がないと進まない。この点について、かさ上げをやりながら地権者の調整はできるのだから、少なくともかさ上げがすぐに可能なところはできるような処置というのは必要なのではないか。
2つ目には、34.4%の用地交渉が難しい方々に対して、県も政府に要望しているが、大震災特例、一般化せずに今度の震災に限って、被災地に限って地方自治体に所有権なり貸借権なり与えるということをしないと、本当に今の計画自身がそのまま進まないと思うがいかがか。
【まちづくり再生課総括課長】
土地区画整理事業について、7市町村18地区で現在計画されているが、うち15地区で事業認可を得ており、12地区で土地区画整理審議会を設置し、移転地の配置等を定める仮換地の手続きを進めている。例として、もっとも早い野田村の城内地区では、今月中にも仮換地の式を行い工事に着手できる見込みと聞いている。
一方、事業認可後においては、仮換地指定前であっても、土地区画整理事業の工事実施に関する地権者からの同意をいただく起工承諾を得られた箇所から順次工事を実施することが可能となる。仮換地指定の手続きと並行して、起工承諾による手続きを進め、現在6地区で造成工事に着手しているところである。
また、今後復旧・復興事業が本格化するにあたり、用地交渉を同時期に多数の箇所で行わなければならない。相続未処理地や共有地などが存在する土地も相当数見込まれており、権利調整などに膨大な労力と時間を要することが懸念されている。
県では、復興の加速化には、大震災特例のような抜本的な見直しが必要であると考え、これまで事務レベルで22回にわたり、事業認定などの土地収用手続きの迅速化や、所有者不明土地等の市町村等により管理・処分について、国への要望を重ねてきたところだが、いまだ抜本的な対策が講じられていない。
今後用地取得の迅速化を進めるためにも、引き続きさまざまな方策を検討した上で国にたいし強く要望していきたい。
【斉藤委員】
この問題が本当にネックで、この障害を取り除かない限り大変な職員と労力と時間を費やさざるを得ない。本当に真剣に取り組んでいただきたい。
この間、小泉政務官が来て、ニュースを見ると、前向きな対応をしたように聞いているが、対応はどうだったか。
【理事兼副局長】
私も知事と一緒にその場に立ち会ったが、復興庁で今検討をさまざま重ねているという話だった。非常に我々も期待している。なかなか事務レベルで復興庁の担当参事官とは何時間もこれまでやってきたが、ところが憲法解釈で、向こうも財産権は譲れないという、内閣法制局なり法務省の見解があり、一旦国交省も同意して決めたので、国のメンツという部分で相当引っかかっている部分はあると感じているので、ぜひ政務官にはそこを突破していただきたいと密かに期待している。
【斉藤委員】
被災地の首長は、1000年に1回の大災害なのに、通常の法制度で対応することは無理だと。1000年に1回にふさわしい今までにない施策がなかったらいけない。陸前高田市ではこうした署名運動も全世帯に呼びかけるということもやっているので、是非そうした政党への対応を強めていただきたい。
・仮設住宅の改善の活用について
【斉藤委員】
民有地に建設した仮設住宅の今後の活用は大丈夫なのか。
仮設住宅はすでに2年経過し、すき間が拡大した、床がブヨブヨになっているなどの声も寄せられているが、こうした仮設住宅の改修にはどう取り組まれるか。
【生活再建課総括課長】
民有地に建設した仮設住宅の活用だが、全体で応急仮設住宅を13984戸建設したが、うち民有地に建設されたものが7208戸51.5%となっている。国から仮設住宅の供用期間が建設の4年間まで延長が認められているので、現在各市町村において、地権者への周知と借地契約延長の手続きを進めている。今後とも引き続き地権者に対して借地契約延長の同意に向けた取り組みを市町村が進めていることとしているが、仮に契約延長に同意が得られない場合であっても、他の仮設住宅への転居などにより被災された方の住居については継続して確保していくことにしている。
仮設住宅の修繕・改修についての取り組みだが、これまで仮設住宅の居住環境改善のために、外壁の断熱補強や風除室の設置、敷地外通路の舗装等の追加工事を実施してきたほか、24年度には、風呂の追い焚き機能の追加、物置の設置、敷地内の排水対策等の改修を行っている。また日常の管理については、年2回、全団地の定期点検を行っているほか、応急仮設住宅保守管理センターにおいて、電話等の対応により入居者からの設備の不具合等の相談を受け付け、随時修繕を行っている。ちなみに24年度決算で申し上げると、維持修繕業務の委託料として9億2392万1000円ほど、追い焚き・物置設置等の追加設備工事として51億5707万8000円ほど支出している。
【斉藤委員】
仮設住宅が51%民有地ということで、これはおそらくきちんと地代を払っていると思うが、そこに家を立てたら高く売れるという状況である。本当に地権者が誠意をもって協力していただいているということなので、相応の地代をしっかり払って継続されるようにしていただきたい。
みなし仮設住宅についても4年に延長ということでいいわけですね。みなし仮設住宅の場合でも、家主の了解が必要なので丁寧にやっていただきたい。
仮設住宅の問題で切実な要望は、空き室の活用である。息子・娘がUターンして帰ってくると。住むところがない。復興のために、仮設住宅に入っている家族の息子・娘が帰ってくるというときに、こういう方々も仮設住宅に入れる、仮設住宅に住んでいる家族の場合なら入居させることが必要ではないか。
【生活再建課総括課長】
仮設住宅は、災害救助法の規定により県が設置し市町村が管理する被災者のための住宅とされており、原則として被災者ではない親族や復旧工事の作業員等は応急仮設住宅を利用することはできないとされている。
現在、空き室となっている住戸については、新規の入居希望者へ提供するための対応、また多人数のために住戸が手狭になっているという入居者の方の世帯分離等に対応するため、一定数を確保している。
なお、今後の活用が見込まれない空き住戸については、市町村からの払い下げの要望を受けて用途廃止した上で市町村に譲渡することは可能である。その上で、市町村の判断でUターンして来られる親族や復旧工事に携わる作業員の方の宿舎等として有効活用するかどうかについては、市町村の判断に委ねられている。ただ、その際に市町村が譲渡を受けた後で、その段階で災害救助費の対象外となるということであり、維持に必要な借地料等の経費や使わなくなったときの解体・撤去費についてはすべて市町村の負担となる。
【斉藤委員】
仮設住宅は、例えば応援の職員や市町村が要請したボランティアが活用できる。本当に被災地のために息子・娘が帰ってくるときになぜ使えないのかと。今まで一定の解釈を拡充しやってきたのだから、こういうことも要望すべきではないか。
最悪の場合、息子・娘が帰ってきて仮設住宅で一緒に住むとなり、その後世帯分離すると、これは可能だと思うので、もう少し柔軟な対応を考えるべきではないか。
【生活再建課総括課長】
仮設住宅の用途の拡大については、厚労省の通知に基づいて順次なされているところであるので、実態を踏まえていろいろお聞きした上で検討していきたい。
帰ってきて一旦一緒に住んだ上での世帯分離についても、基本的には被災した時点での世帯が基本であるので、その部分については解釈の分でのお答えしかできない。
【斉藤委員】
ぜひ市町村の柔軟な判断を尊重するような対応をやっていただきたい。
・震災関連死について
【斉藤委員】
直近の申請件数、認定件数、非認定、審査中の状況はどうなっているか。
震災後6ヶ月以内の申請者数とそれ以外の申請数はどうなっているか。
認定された関連死の要因別状況、この中に震災関連の自殺が28人いる。この28人は当然認定されるべきものと考えるがどうなっているか。
【生活再建課総括課長】
県全体の災害関連死の申し出件数は、9月末で730件となっている。うち認定が417件、非認定が292件、審査中が21件となっている。
6ヶ月以内の申請件数は363件、6ヶ月を超える申請件数については160件となっている。
要因別の中で、自殺された方について28人というのは内閣府の統計だが、うち審査会において認定された数についてはご遺族に配慮し数は公表していない。
【斉藤委員】
いま6ヶ月以内と6ヶ月以後の方の数が出た。このうち認定された数を示していただきたい。
まだ申請数が出ているようなので、申請を呼びかけると同時に、再申請の状況も示していただきたい。
【生活再建課総括課長】
累計で申し上げると、6ヶ月以内の県全体の認定者数は372人、6ヶ月以上が45人となっている。
再審査関係だが、現在23件審査したところであり、うち3件について以前の不認定の審査から認定になった。