2013年10月17日 決算特別委員会
警察本部に対する質疑大要


・被災地での交通対策、安全対策について

【斉藤委員】
 被災地での交通事情と交通事故の状況はどうなっているか。

【交通部長】
 被災地での交通事情についてだが、交通量については、車両感知器で、震災前の平成22年8月と本年8月の1ヶ月間計測し、これを比較したところ、国道45号をはじめとした幹線道路において、本年8月には震災前の1.1倍から1.9倍と増加している。またダンプカーなど復興工事に関係する大型車両や支援車両などの増加が顕著となっている。
 被災地の交通事故の状況だが、平成25年8月末の被災地三署(大船渡・釜石・宮古)における交通事故発生状況については、人身事故の発生件数が222件と前年比5件減少、死者数は6人で前年比2人減少、負傷者数は301人で9人増加となっている。

【斉藤委員】
 特に陸前高田市のように市街地が壊滅したところは、草ボウボウで、どこが交差点か分からない。そこにダンプカーがものすごい規模で走っている。そうした被災した市街地も、仮設の信号機というか、そういうものが必要なのではないか。それから道路標識もない。これからさまざまな復旧工事が行われるところも、今の交通事情を考えたら、そういった対応が必要ではないか。

【交通部長】
 被災地における信号機や標識の復旧については、24年度までに必要な個所についてはすでに完了している。
 しかし、陸前高田市や大槌町のように、市街地が大きく被災したために、復旧・復興に向けて現在工事が進められており、交通安全施設を復旧する交通環境にないという場所については、復旧が遅れている状況にある。
 交通信号機については、仮設信号機というお話だったが、基本的に交通事故等で信号機が損壊した場合に応急的につける仮設の信号機はあるが、通常の場合はすべて、性能面・安全面を含め、通常のやり方で立てるというやり方になると思う。
 陸前高田市街地における信号機や標識の設置だが、交通事故の発生状況や交通量を勘案し、信号機については、なかなかかさ上げ工事や新規の道路整備など新たな交通環境に対応した段階で、必要な時期に必要な整備を図りたいと考えているが、十字路等市街地の交差点については、一時停止などの交通規制が必要という状況はあるので、これについては所轄署と検討しながら整備を進めていきたい。

【斉藤委員】
 復旧工事はこれからどんどん増えていく。今もかなりの規模だが。
 おそらく本部長も被災地を回ったと思う。どういう印象をもったか。交通対策・安全対策でどういうことが必要だと感じたか。

【警察本部長】
 被災地については回らせていただき、大変な状況と感じている。安全対策も進めていかなければならないと考えている。
 今後かさ上げ工事等がどんどん進んでいくだろうと考えているが、幹線道路においては、交通事故防止対策上に特に必要がある交差点等については、工事の進捗計画等に関わらず信号機の設置を検討していく。また幹線道路以外においては、信号機に代わる一時停止規制等の交通規制の実施も検討していく。

【斉藤委員】
 ぜひ被災地の実態にあった、交通事情にあった早急な対策を強くお願いしたい。
 例えば陸前高田市の場合は、市街地の3分の2は災害危険地域で、ここはかさ上げ対象ではない。山側の3分の1なので、しっかりやっていただきたい。
 被災地での犯罪件数、泥酔事案、DV等の状況はどうなっているか。

【生活安全部長】
 被災地を管轄する大船渡・釜石・宮古・岩泉・久慈の5署管内の状況について。
 犯罪件数だが、5警察署の刑法犯認知件数は平成24年中が938件で、震災前の平成22年1032件と比較して94件(9.1%)減少している。平成25年には、9月末現在の件数で674件で前年同期比5件(0.7%)減少している。
 泥酔事案だが、泥酔者の保護件数は、平成24年中が327件で平成22年と比較し126件(27.8%)減少している。平成25年は、9月末現在で283件となっており、昨年まで減少傾向にあったものの増加傾向にあると認識している。
 DV(配偶者暴力)の状況だが、平成24年中が49件で平成22年が47件となっている。本年9月末現在では42件ということで、前年同期比で5件増加している。
 震災後2年7ヶ月余が経過し、被災地では数値的には一定の治安が保たれていると考えているが、一方で近隣トラブルなどの犯罪に至らない事案の発生もあり、県警としては引き続き被災地の安全安心の確保に努めていきたい。

【斉藤委員】
 人口減少の中で、生活苦、先の見通しが見えない中でこうした事案が増えているというのが実感なので、これからが問題なので、ぜひ注視して必要な対応をとっていただきたい。


・携帯・スマホなどによる犯罪について

【斉藤委員】
 携帯・スマホなどによる少年少女が巻き込まれた事件はどうなっているか。どういう対策がとられているか。

【生活安全部長】
 9月末現在、少年の福祉を害する事件を34件検挙しており、前年同期比で2件の増加となっている。この中で、携帯・スマホなどの利用に起因する事件は、性的被害となる事件を12件検挙、その他薬物事件を1件検挙しており、前年同期比で2件増加している。
 被害防止の取り組みについて、具体的には県内各地の学校や地域からの要請を受け、児童・生徒や保護者および教育関係者等を対象に、身近な検挙事例をもとに、安全なインターネット利用教室としてサイバーセキュリティ―カレッジを開催したり、一般の防犯教室においてもこの種の話題を取り上げるなど、あらゆる機会を利用してインターネットサイトに潜む危険性を重点的に指導して、正しい携帯・スマホ等の利用に関する啓発を行っている。

【斉藤委員】
 高校生では98%、中学校3年生でも5割以上がスマートフォンを持っている。この情報モラル教育というのが今やっと始まったという状況の中で、全国的にも深刻な事件、この間の殺人事件もそうした形を通じて起こったケースだった。これは教育委員会ともよく連携して、スマホそのものが爆発的に普及しているので、その正しい利用の仕方をよくやっていただきたい。


・警察本部における超過勤務の実態と対応について

【斉藤委員】
 昨年度の警察本部における超過勤務時間、超過勤務手当額と時間、率はどうなっているか。
 1人当たりの状況はどうか。改善をされているか。

【警務部長】
 平成24年度の警察職員の超過勤務の状況は、超過勤務時間数が72万2209時間、これを職員1人当たりにすると、年間平均超過勤務時間数が約309.8時間、月平均で約25.8時間になる。
 超過勤務手当については、手当の総額が14億2517万円余、支給時間で54万9194時間、これを職員1人当たりにすると、手当額が約61万円、年間平均支給時間数が約235.2時間、月平均に換算すれば約19.6時間である。

【斉藤委員】
 これは昨年から見て改善されているのか。県警が超過勤務時間をきちんと把握していることはいつも評価している。ただ全額払われていない。今の答弁では、年間平均1人当たり74.4時間サービス残業である。支給率はどうなっているか。74.4時間というのは、平均の警察官の賃金でいくらになるか。

【警務部長】
 改善の状況だが、平成23年度の1人ひと月当たりの平均の超過勤務時間数が35.5時間、24年度は25.8時間ということである。
 24年度について、職員1人当たりの平均超過勤務時間数に占める平均支給時間数の割合は約76%となるが、この数字については職員の超過勤務時間数および1人当たりの時間単価には個々に差があることから、あくまで平均と平均を比較したものである。

【斉藤委員】
 平成24年度は76%支給されたと。24%が不払い労働だったということである。サービス残業というのは社会的犯罪で許されないことではないか。
 74.4時間というのは1人当たり平均いくらになるか示せないか。

【警務部長】
 職員の超過勤務時間数および時間単価には個々に差があるので、一概には算出しかねる。
 超過勤務については、縮減すること自体は大事だと考えており、署長会議など各種幹部会議等において、具体的な指導を行っている。それから幹部職員をはじめとする職員全体の労働時間短縮にたいする意識の向上をはかっており、毎週金曜日をリフレッシュデーと設定し、週休日に超過勤務を命じた場合の振り替えを決定するなど縮減に向けた取り組みを行っている。
【警察本部長】
 超過勤務については、職員の健康保持、勤務環境の観点からも、まずは縮減することが必要であるという認識であり、各種の幹部の会議等において、私からも具体的に指示しているほか、縮減に向けたさまざまな取り組みを推進しているところであり、徐々に改善が図られていると考えている。
 今後においても、事務の合理化・効率化を推進し、超過勤務の縮減に向けた取り組みを引き続き継続するとともに、勤務実態の把握に努め、突発的な事案に対処する必要がある場合には、所要の措置を講じるなど適切に対応していきたい。

【斉藤委員】
 支給率は76%、以前は70%だったので改善されていることは評価する。しかし不払い労働は社会的犯罪行為ではないか。

【警察本部長】
 まずは縮減していきたいと考えている。


・警察官の不祥事について

【斉藤委員】
 平成24年度、25年度において懲戒処分となった件数・内容を示していただきたい。

【参事兼首席監察監】
 本県警察における懲戒処分は、平成24年中が5人、25年は現時点で6人と厳しい状況にある。
 処分別では、平成24年中停職3人、減給1人、戒告1人。25年は免職2人、停職1人、戒告3人となっている。
 内容は、平成24年中は、業務上が3人で、情報セキュリティ違反、職務懈怠、捜査書類の紛失とったもの。私行上については2人で、名誉棄損(不適切交際)、セクハラである。25年中は、業務上は3人で、警察手帳の紛失、著しい速度超過、パワハラである。私行上についても3人で、酒気帯び事故、強要未遂、酒気帯びの速度違反となっている。

【斉藤委員】
 残念ながら24年より多くなっている。
 今年の7月に沿岸の署長が交通事故を起こしているがどういう事案か。

【参事官兼首席監察監】
 当該職員による交通事故について、本年7月の休日に、私用車による事故として報告を受けている。当該事故は、職員が市道から駐車場に入ろうとした際、駐車場から出ようとした車両と鉢合わせになり、後退したところ後続の市道上の車両と接触事故を起こしたものである。

【斉藤委員】
 事故の発生した時間はいつか。

【参事官兼首席監察監】
 7月13日の午前11時頃と報告を受けている。

【斉藤委員】
 私が調べたところは、この人はパチンコ業者から接待を受けて、酔ったままで自家用車をバックさせて車上に出ようとして市民の車とぶつかったと。違うか。ぶつかったときにアルコール検査をやったのか。

【参事官兼首席監察監】
 飲酒運転というような事案という認識はしていない。そのような報告も受けていない。したがい、この事案については、管轄警察署において物件交通事故として適正に事故処理をしている。
 飲酒検知というものは確認はしていないが、検知はされていないと認識している。

【斉藤委員】
 予算委員会のときにも、2月8日に処分した酒気帯び運転、これは信号無視事故事案だった。これも飲酒運転だったが、検察庁が調べて分かった。そんな事故隠しを県警はしていた。それは厳しく指摘したが、この事故についてもアルコール検査をしたのかどうか、きちんと調べていただきたい。警察官のときは調べもしないというやり方はいけない。したかどうか分かるか。

【参事官兼首席監察監】
 通常の物損事故、人身事故でもそうだが、飲酒検知する・しないについては警察官であろうと一般の事故であろうと同一である。臨場警察官の判断により、顔が赤いとかお酒臭いとか、そういう状況があって初めて飲酒検知するものと認識している。この件については、そういう状況になかった、したがい検知していないのではないかと認識している。

【斉藤委員】
 署長は署員にたいして、「誰でも間違いはある。他人の過ちを批判してはならない。警察官の事故はすべて秘匿しなければならない。署長の事故は署員全体の恥となる。だから署長である私の事故を絶対に他言してはならない」とかん口令をしいたと。信じられないが、徹底した調査をしていただきたい。