2013年10月18日 決算特別委員会
保健福祉部に対する高田一郎県議の質疑大要


・脳卒中対策について

【高田県議】
 まず最初に脳卒中対策についてお聞きします。本県における脳卒中の死亡率は全国ワースト1であり、また脳梗塞も男性では第一位となっております。寝たきり高齢者の最大の要因となっており、脳血管疾患対策というのは県政の大きな課題になっていると思います。そこで平成24年としての県としての脳卒中予防対策についてどんな取り組みをされたのかお聞きします。

【健康国保課総括課長】
 脳卒中の危険因子は高血圧や喫煙など多岐にわたる事からそれに関わる生活習慣である栄養、食生活、身体活動、運動、禁煙等の各種の対策に総合的に取り組む事が必要であると考えております。そこで県では健康岩手21プランに基づきまして食事と運動を組み合わせた肥満予防教室、バランスのとれた食事のできるよう栄養成分の表示の店の登録、PR等を実施しております他、特定検診の受診率や、特定保健の実施率を向上させるために市町村の担当者等も含めた課題調整会議。このような特定検診の従事者の資質の向上のための研修会などを実施しているところでございます。一方でタバコ対策としてタバコの健康への影響に関する重点的な普及啓発それから学校や事業所での禁煙教育などを実施するほか県立施設や市町村施設、職場の禁煙、分煙化をすすめるとともに分煙等をすすめる飲食店の登録、PRなど受動喫煙防止対策を実施しているところでございます。

【高田県議】
 検診とか生活習慣の改善とか研修会とかさまざまなお話をされましたけれども、脳卒中の予防とか発症時の対応など正しい知識の普及を含めてですね、県民運動というのが非常に大事だというように思います。県南でもかなり力を入れて取り組んでおりますけれどもさらに力をいれて取り組んでいただきたいと思います。予防対策で非常に大事だといわれているのが、脳ドックが、これが有効手段だといわれています。脳ドックついて県内ではどんな取り組みがされているのでしょうか。わたしはお医者さんなどに聞きますと少なくとも5年にいっぺん脳ドックを受ければ良いというお話もされていますけれども。県民の皆さんが気軽にそういう検診が受けられるような環境を作っていくことも非常に大事だと思いますので、この点についても答弁頂きたいと思います。
 それから病気が発生した後のリハビリ問題ですけれども、回復期のリハビリテーション病棟がですね、県内では二戸、気仙、胆江、釜石と空白になっています。そういう点で全ての医療圏で回復期のリハビリテーション病棟の提供体制というのが非常に大事になっていると思いますけれども、この点についてのこれまでの取り組み状況、今後どうしようとしているのか。この点も含めて答弁頂きたいと思います。

【健康国保課総括課長】
 脳ドックの状況についてでございますけれども、県内で主に医療保険者が独自に脳ドックに関する被保険者に対する助成を行っていると認識しておりまして、例えば、花巻市とか北上市とかそういうふうな自治体のほうで対象の方々に対して検査料の一部を助成するというような形で行われておりますが、申し訳ありません県全体としての状況の把握は行ってございません。

【医療政策室長】
 回復期リハビリテーション提供体制についてでございます。本県におけるいわゆる診療報酬制度によって評価されている回復期リハビリテーションの病床数につきましては人口10万人あたり52.5床でありまして県全体でみれば全国回復リハビリテーション病棟連絡協議会が提唱する50床の水準には達しているところでございます。また昨年度、策定した県の医療計画において脳卒中の回復期を担う医療機関については全ての医療圏で整備されているところでございますが委員ご指摘のあったとおり地域ごとにみてみますと盛岡保健医療圏に半数近くが集中をし、沿岸部、県北部において少ない状況なっているのは私ども承知してございます。こうした中、圏域ごとに設置されております地域リハビリテーション広域支援センターにおいては患者の状態に応じて適切なリハビリテーションを切れ目無く提供することが出来るように専門職員のネットワーク構築、地域包括支援センターや介護事業所への支援に取り組んでいるところでございます。今後県としては多様化するリハビリテーション需要に対応するためにリハビリテーションに関係する医師の確保、また理学療法士、作業療法士、言語聴覚師等の専門職の資質の向上取り組むなど回復期リハビリテーション提供体制の強化むけて支援をおこなって行きたいと考えております。

【高田県議】
 脳ドックの問題については、予防対策としては重要な手段でありますので、今答弁お聞きしますと全県把握していないという話でありますのでこれは実態を把握して脳ドックに気軽に受けられるようなそういう環境をつくっていただきたいと思いますし、また回復期リハビリテーション病棟の提供体制についてはですね、先ほどお話したとおり沿岸部とか空白になっている状況でありますので県立病院の一次経営計画のなかでもこの提供体制を強化すると、こういうことをうたっていますのでね、是非対象を拡大するように努力して頂きたいというふうに思います。
 
 
・国保税の問題について

【高田県議】
 次に国保税問題についてお伺いいたします。県民のもっとも重税感の強い国保税の問題ですけれども平成24年度の国保の加入世帯の所得状況、課税世帯の所得あるいは税額がどうなっているのか。また被災地の国保ですね、医療費は減免制度が継続しておりますけれども税についてはそうなっていない、陸前高田市では半分助成をしていると、半額負担という事になっていますけれども、被災地の状況国保の運営状況も含めてどういう状況になっているのか。特徴があればお伺いしたいと思います。

【健康国保課総括課長】
 加入世帯の所得状況についてでございますが、まずひとつお詫びを申し上げたいのは所得状況に関する数値につきましては国の公表データを基に把握しているところでございまして正確な数字で申しますと23年度の数値になる事についてお許しを願いたいと思います。平成23年度における加入世帯の所得状況でございますが所得なしが19.7%、100万円未満が33.7%、100万円以上200万円未満が24.9%、200万円以上21.6%となってございます。それから課税世帯の所得と国保税額についてでございますが1世帯あたりの総所得金額が114万4千円この金額から基礎控除33万円を差し引いた課税所得額が81万4千円、国保税額は13万2千円これは課税所得額の16.7%となっているところでございます。
 それから被災地の国保税の状況ということでございますが、これは被災地のほうの国民保健事業状況報告の速報値に基づきまして被災地沿岸12市町村の平成22年度と平成24年度を比較したものでございます。あくまでも速報値でございますが1世帯あたりの調定額では平成22年度12万9千円、平成24年度は10万9千円と約2万円減少しているような状況でございます。それから国保税に関する減免でございますけれども委員ご指摘のとおり陸前高田市で行われている国保税の減免につきましては市独自で行われております。と申しますのは、国の方が制度として一部負担金とともに国保税の減免について制度を設けたわけですがその制度の中では市町村民税の減税が一つの条件となっておりますが既に被災した市町村のほうでは被災された方々、市町村民税をかける部分がないということで国のほうの制度にあわないということで国の助成を交付金等を受けられない状況でございまして、現状として今お話の通り、国保税の減免を行っているのは陸前高田市独自でというような状況でございます。

【高田県議】
 国保の現状について課長からお話がありましたけれども、所得階層をみても100万円以下が3割以上いるという状況です。国保の運営状況というのは本当に低所得者がどんどん加入をして、一方では国庫負担をどんどん減らすという、そういう構造になっていますから負担能力をはるかに超えている税になっているというのが国保の実態だと思います。そこで市町村もその徴収に大変苦労して納税相談とか、差し押さえとか、あるいは短期保険証、資格証明書を発行するなどペナルティーまで課してやっているという状況なんですね。そこでいま何が起きているかといいますと、例えば私が住んでいる一関などでは減免申請をしても被災地よりもマシなんだと門前払いするような対応とか、あるいは分納契約をして、分納、分割をして納めますよとこういう約束をしていながらですねその直後に次の日に差し押さえ通知がくると。重税に耐えかねてですね、命を絶つ人も出ているんですね。対応を一歩間違えば、命を脅かすような状況になっているんです。そこで県として税の徴収とか滞納者への対応、どうあるべきか県としての考え方についてお伺いしたいと思います。

【健康福祉課総括課長】
 まず最初に国民健康保険、これにつきましてはこれは皆さんご承知だとおもいますが加入者が納める国保税と国からの補助金などを財源としていることから財政運営のためには確実な収入が必要であるという事がひとつございます。ただ、先ほど申し上げました通り一方では非保険者の方々につきましては所得が低い方々と無職の方々非常に厳しい経済状況の方が多くいらっしゃいます。滞納されている方々への対応につきましては、これは市町村のほうで対応している部分でございますが、滞納の理由については失業や疾病などに起因する経済的理由によるものなどについて県としては市町村に対して、このような方々、国保税の納税が困難な被保険者の方々に対しましては決め細やかに相談に応じまして分割納付や徴収猶予、減免を適切に行うよう市町村に要請をしているところでございます。

【高田県議】
 地方税についての対応についてもですね。税務運営方針というのがありましてこれに基づいて対応していくべきものだと思います。滞納処分を行う上でも納税者個々事情を斟酌して納税者の実態を踏まえて対応すべきだというのをしっかりうたっているわけですからそういうふうな対応になるように県としてもしっかり、指導・援助して頂きたいとように思います。


・障害者福祉サービス支援事業について

【高田県議】
 最後に障害者福祉サービス支援事業について残りの時間質問したいと思います。私は午前、午後の質疑を聞いていましたけれどもやはりこの事業というのは、4億5,6千万円の大変な大きな事業であります。原資は復興予算でありますからやはり東日本大震災で障害者施設も大変大きな被災をしました。障害者さまざまな被害をうけましたけれどもやはり復興予算である以上、復興に役立つような、やはり事業でなければならないというのが基本だと思います。そういう復興予算にふさわしい事業になっているのかどうかというのが検証すべき中身だと思います。そこで何点かお伺いいたしますけれどもその前提となるのが、やはり実態を把握をして今なにが必要なのか、なにが課題なのか。つまり事業所が被災をしたわけです。そして障害者のさまざまな課題を抱えているわけです。この実態を踏まえて復興対策をすすめていく上では、何がいまやらなければならない課題なのかということを整理をして対策をうって行くべきだと思うのですが。
 この点についての県としての現状認識といいますか、その点についてお伺いしたいと思います。

【保健福祉部長】
 いま、事業の進め方とかというお話ございました。それで、おっしゃる通り復興の目的に沿った事業をしなければならないということだと思いますので、この事業については先ほども申し上げました通り被災した障害福祉サービス事業所の支援が第一だということでございますので、これの事業所の実態を調査して把握しながら必要な支援をして行くということで取り組んでいるものでございますし、さらに被災者の状況把握でいわゆるニーズをサービスにつなげるということも必要だということがございます。そういった形の中で取り組んできているものでございますので委員おっしゃるような趣旨で考えているものでございます。

【高田県議】
 この事業で障害者サービス事業運営状況調査という報告書を頂きましたけれども、これをみますと、東日本大震災による被害影響、いま何が課題かというところでみてみますと、やはり一番大きいのは被災をしてさまざまな風評被害があったために収入が大幅に落ち込んでしまったという事とそして人材が不足していると。特に沿岸被災地では、色んな犠牲があったし事業所に働いているひとが内陸に来てしまったとか、非常に内陸以上に、人材が不足していると、これが課題になっているんですよね。ですから復興を考えるのであればこれにふさわしい対策、対応があって良いとふうに私は思うんです。そこで何点かお伺いいたしますけれども、先ほどらいから議論がありました実態調査ですね、私はこの事業の目的、性格からすればですね被災者全員16000人という数字がありましたけれどもこの全体をですね調査の対象とすべきだったというふうに思います。委託契約書には被災された障害者とこれを対象にするとなっていますが私はこの事業の目的からすればですね、やっぱり全体を調査すべきではないかと。立派なマニュアルをつくりましたけれどもマニュアルをつくるにしても、障害者自立支援法の移行への支援、こういった事業の目的からすればですね、やっぱり全員を対象にすべきだったそもそも、そうじゃないかと私は思うんですがいかがでしょうか。

【保健福祉課総括課長】
 この事業の実施にあたっての考え方につきましては全体の被災地の障害者の全体調査で把握、把握ともうしますのは被災障害者を抽出いたしまして現状把握行います個別調査の対象は年度内の事業完結ということも考慮したしまして当該被災者のうち、より優先度の高い災害時要援護者となる重度障害者を基本とするということで復興支援推進委員会の協議をへて決定をしたという経過でございます。

【高田県議】
 先ほどのお話を聞きますとですね、重度の障害者を対象として調査をしたという話ですよね。そういう答弁でしたよね。そこでお伺いしますけれども、私は全体を調査すべきだという前提で質問をしているんですけれども。今回の事業の委託契約仕様書によりますとやっぱり、仮設にいる障害者の現状把握を委託していますけれども実際は重度しか対象にならなかったということですよね。これは契約書の中身からすれば、少し逸脱している中身ではないでしょうか。 そうでないとすれば、契約に基づいて仮設住宅及びみなし仮設にいる障害者の現状把握というのはどの程度されているのか。その点についてお伺いしたいと思います。そしてもう一つこの実態報告書を私も拝見いたしましたけれども、実際調査をしたのは陸前高田市を除く11市町村となっております。これはなぜ高田市を除いたのか、これも委託契約書の仕様書の中身からすれば少し逸脱する中身ではないかなと思うんですが、その点2つ答弁頂きたいと思います。

【障害福祉課総括課長】
 まず 調査対象の絞込みという事になりますけれども、これにつきましては、被災障害者を対象とするという仕様書に基づきまして、そのうちより優先度の高い被災時要援護者となる受動障害者ということで基本に調査をするということでございまして仕様書には被災障害者ということでございましたけれども具体的な全ての人数何人という規定はございませんでその調査の仕方については先ほど申し上げました、推進委員会での協議もへて具体的にすすめて行くと言うことで実施していただいたものでございます。また、もう一点の陸前高田市の関係でございますが、この陸前高田市につきましてはJDFという日本障害フォーラムという全国的な障害者の団体がございますがここが市の委託を受けまして、既に被災者の調査を開始しておりましたので重複しないように復興支援センターはJDFの調査に協力をした上で調査結果の提供をうけたという結果でございます。
  
【高田県議】
 結局被災をされた障害者の皆さんがどれだけ調査がされたのかという数字も明らかに出来ませんでしたから、結局そこはやらないで、重度の障害者を中心にやったと。これは仕様書からしても逸脱している中身はないかなと思います。重度の障害者というのは医療費助成などをやっていますから、特定できますし、どういう課題があるかというのは分かるのですね。だから今回こういう内容の調査というのはあまり意味のない調査ではないかなということを指摘したいと思います。最後ですけれどもこの、今度の被害を受けた事業所の支援ですけれどもどれだけの効果があったのかということをですね最後に質問をして終わりたいと思います。今度の障害者福祉サービス復興支援事業委託実績報告書、私も担当課からいただいて拝見をいたしました。この事業所支援に二つありまして障害者就労支援事業所の活動支援事業。一つは販路を拡大していくと。それから障害者自立支援法による新体系サービスの移行支援。この二つであります。これは、すでに大震災以前からですね販路の拡大とか新しい法律事業が行ったときには社協のあるいは県の、あるいは厚生労働省の対応で、そういう対応をしてきたのではないしょうかね。改めてこの事業を導入してやるような事業ではなかったのではないのかなと思います。そういうやる必要があったのか、その効果についてお伺いしたいと思います。それで最後に部長にお聞きしたいのですが、私はこの事業というのは厚生労働省が、国がですね、被災地の現状をよく見ないで机上のプランでそして作って、そして10割負担だから10割補助だからこの事業にのってやったほうが良いんじゃないかというような発想で始まってさまざまな問題が露呈しているんじゃないかなと思うのですよ。復興予算という点すれば大きな問題がある事業じゃないかなと私は思うのですが、部長の見解をきいて終わりたいと思います。
  
【障害保健福祉課総括課長】
 事業内容の効果のお尋ねでございますけれども国の方で設定、想定しました事業の内容には委員ご指摘のような新体系への移行支援等もございました。県で策定しました仕様書の中にもその事は項目としてありますけれども実際上の支援の中身としては主にはアドバイザー派遣ということと事業所の研修いう中身が主要になってございます。これは被災地の支援ですのであらかじめこれだけをやるというこちら企画する側の考えではなくて現地へいって事業所の状況によりそってですね、ニーズを聞き、その中で何をすべきかを把握をしていったと。その結果、アドバイザーの派遣の要請があり、あるいは職員のスキルアップのための研修をしてほしいという要請がありそれに応えていったという、その事が主要な中身になってきたということでございます。
【保健福祉部長】
 国の事業でございますけれども国では大震災津波により被災した障害者福祉サービス事業所が、ハード面については別のメニューがございますが、ソフト面の支援のメニューがないとうことでこの事業を立ち上げたというふうに考えております。県としてもそういった面でかなり大規模な被災をうけた事業所もございますので、その中でそういう面での支援が必要だということでこの事業に取り組んだものでございまして、その他にその事業所支援以外にも被災者のニーズ把握も必要だということからこういった独自の取り組みも含めて対応してまいったという次第でございます。