2013年10月21日 決算特別委員会
環境生活部に対する質疑大要
・災害廃棄物対策について
【斉藤委員】
災害廃棄物、津波堆積物処理量、処理率はどうなっているか。うち広域処理量と率はどうなるか。処理できないものの状況はどうなっているか。
【災害廃棄物対策課長】
災害廃棄物の処理だが、8月末現在で361万6千トン、進捗率68.8%である。うち津波堆積物は80万5千トン、進捗率で55.4%となっており、すべて資材化されている。広域処理については、23万7千トンで、処理量全体の6.6%である。
処理できないものは何かということだが、災害廃棄物すべて処理しなければ次に進まないので、なんとかすべて処理していきたいと思っている。
【斉藤委員】
先ほど再利用が312万トンで86.4%とかなり高いので驚いたが、再生利用できないものは何か。不燃物を含めて。
津波堆積物は処理は進んでいるが、基本的には復興資材になると思うが、例えば、陸前高田市では、高台で崩した土砂が東京ドーム8杯分も残る。だから津波堆積土も処理するのだろうが、それが本当に活用できるのか。そこの見通しももたないと、単なる土だから復興資材になるのか。その見通しも含めてしめしていただきたい。
【災害廃棄物対策課長】
再生利用は86.4%となっているが、それ以外のものについては、焼却処分あるいは埋め立て処分ということである。
復興資材だが、津波堆積土は約80万5千トン処理しているが、これらについては公共事業に使っていただくということで、部局間連携あるいは国・市町村の事業で使っていただくようにお願いしており、今のところ使っていただく方向で進めていただいている。
【斉藤委員】
使えるという話だけで、簡単ではないと思う。例えば、先ほどの陸前高田市の場合の例、気仙沼に7万トンと。
不燃物が105万トンあり、これは基本的には埋め立て処分ということになるのか。
焼却灰を含めた最終処分はどのぐらいになっているか。
【災害廃棄物対策課長】
不燃物100万トン以上あるが、それらの大部分については、太平洋セメント大船渡工場でセメント資源化をしていただいている。県内に災害廃棄物を扱える最終処分場が岩手クリーンセンターだけなので、県内のセメント工場2ヶ所、隣県のセメント工場などにお願いしている。
【斉藤委員】
災害廃棄物の処理費用、広域処理の費用は昨年度、これまでの累積でどうなっているか。
キロあたりで比べるとどうか。
【災害廃棄物対策課長】
平成24年度の県受託分の処理費の総額で443億円かかっている。うち広域処理にかかる委託経費は約34億円ということになっている。
【斉藤委員】
この額は県の委託分だが、県の委託分は全体の何%を占めるのか。
【災害廃棄物対策課長】
全体の分ということになると、市町村の総額がいま数字をもっていなくて、ただ岩手県の場合は12市町村のうち主に6市町村で、一番被害の大きかった陸前高田市・大船渡市・釜石市については独自でやっている。ただ、広域処理については県で調整させていただいているので、その辺が複雑になっており、全体がいくらかということについてはお答えしかねる。
平成23年度の自己繰越ならびに平成24年度の繰越が確定していないが、23年度24年度の合計で1593億円である。うち県が受託を受けている分、23年度を足すと579億円である。そのうち、広域処理34億円と述べたが、平成23年度分を足すと39億円となる。
【斉藤委員】
残りの処理の見通しと施設の稼働状況、現在の雇用状況はどうか。
【災害廃棄物対策課長】
9月の中間目標が72%ということで、現在集計中だが、この数字については上回ることはできるのではないかと考えている。津波堆積物の方の数字が50数%ということで、復興資材の保管場所の確保や具体的な活用先のマッチングを進め目標を達成したい。
処理施設だが、現在順調に稼働しており、フルに動いている。雇用については、12市町村合計で約1300人ほど地元雇用している。
【斉藤委員】
フルに稼働していると。しかし年度末で基本的には処理は終わるわけだが、いま1300人余が働いている。今年度でこの雇用は打ち切りになるが、例えばフル生産の体制が最後までいくということではないと思う。来年あたりから人員が減らされる見通しなのか。この1300名の雇用を継承する対策が必要になってくる思うが、商工労働観光部との連携も必要だと思うがいかがか。
【災害廃棄物対策課長】
施設については、現状では年度いっぱいかかってくるのではないかと思っている。冬場にかけると、作業効率も落ちてくるので、そういったこともあるのではないかと思っている。
雇用の関係だが、各事業者において、引き続き建設業に携わりたいというような希望がある方、そういった方々にたいして必要な試験、免許を取得できるような講習や、再就職のための手続きの仕方に対する講習だとか、そういったものをやっていただいている。
【斉藤委員】
1300名というのはかなりの数で被災地で頑張っている方々なので、さまざまな再就職のための手立てをしっかりフォローしてやっていただきたい。
・放射能汚染対策について
【斉藤委員】
放射能汚染状況重点地域の除染の状況とその効果はどうか。
農林業系副産物の処理、焼却処理の状況はどうなっているか。
【環境保全課総括課長】
放射能汚染状況重点調査地域の除染状況について。放射性物質汚染対処特別措置法に基づき、本県においては、汚染状況重点調査地域に、一関市・奥州市・平泉町が指定されている。この地域においては、これまで学校や公園など子どもが長時間滞在する施設を優先に除染してきた。結果、本年5月末をもってすべての対象施設において除染を完了している。今後3市町においては、除染実施計画の完了が今年度末ということになっているので、それに向け除染が円滑に進むよう支援をしていく。
【資源循環推進課総括課長】
農林業系副産物の焼却状況だが、放射性物質に汚染された農林業系副産物については、農林水産部の調査によると、本年8月末現在で約53000トンの発生があったということで、そのうち焼却処理や埋却等により、約11000トンが処理されたところである。
焼却処理については、これまでに処理に取り組んだ市町村は12市町となっており、2つの市町で焼却処理を終えている。
【斉藤委員】
焼却処理についてはどのぐらい処理する計画で、今どこまでいっているか。
【資源循環推進課総括課長】
まず焼却の実績量だが、今年の9月1日現在、焼却された量が2400トンである。現在残り12市町村で焼却も検討されており、なかなか上手くいっていないところもある。最終的にどれくらいの市町村で焼却の計画量になるかという部分がはっきりしないので、実際に焼却した量だけの説明とさせていただきたい。
【斉藤委員】
全体の焼却の状況が2割ちょうどで、やっと焼却が始まったが2400トン止まりで、先ほどの答弁でも一関あたりは10年以上かかるのではないかという深刻な話があった。この点では国の無策さもあるが、知恵を出して1日も早く処理して安心して農家が仕事できるようにする必要がある。
除染の問題で、子どもが近づく場所はそうだが、住宅の除染はどうなっているか。
【環境保全課総括課長】
先ほどの3市町において、その後住宅だとか事業所の放射線量を計測している。その調査において、ホットスポットと言われる局所的に放射線量が高い場所、雨どいの下などは結構な数があるが、実際の事業として除染が必要とされる戸数は一関では20戸程度、奥州市についても数十件といったレベルで、本年度中に除染が完了すると聞いている。
【斉藤委員】
ホットスポットも大事なところでしっかりやってもらわなければならない。
・ごみの広域処理計画と焼却施設の整備について
【斉藤委員】
県南ブロック、県北ブロックで、この間さまざまな議論があって、広域処理計画の見直しをせざるを得ない状況にあると思うが、それぞれどういう議論がなされ、どういう方向性になっているか。
【資源循環推進課総括課長】
県南ブロックでの広域化検討の状況だが、平成15年の7月にこのブロックのごみ処理広域化を具体的に推進する組織として、県南地区ごみ処理広域化検討協議会が設置された。この協議会が県南地区の今後のごみ処理施設の集約化や処理主体のあり方の方向性を検討するため、平成23年度から県南地区ごみ処理広域化のための基本調査を実施した。現在この調査結果をもとに、一関市の焼却施設整備の方向も含む県南地区ごみ処理広域化基本構想を検討中である。
県北ブロックだが、本年10月16日に開催の岩手北部広域環境組合の管理者・副管理者会議で、同組合の解散を本年12月31日とすることを決めた旨の連絡をいただいたところである。
県として、ごみ処理広域化について、現在のブロック体制は維持しつつ、ごみ処理施設の段階的な集約など、地域の実情に合わせて対応していきたい。
【斉藤委員】
ごみ広域処理計画というのは、本当にどさくさ紛れにつくられて押し付けられた経過があり、本当に長期間経過した中でその矛盾が出てきたと。
いま県南ブロックについては、一関市の焼却施設の整備も含めてということだが、これは本当に今の放射性廃棄物、農林業系副産物の処理も含めて、大東のセンターだけではまったく足りないと思う。そういう点では、早く方向性を打ち出して必要な手立てをとる必要があるのではないか。
県北ブロックは解散ということなので、施設の長寿命化で対応すると理解していいか。
【資源循環推進課総括課長】
県北地区のごみ焼却施設は、現在二戸地区と久慈地区にそれぞれ1施設ある。組合の解散をまず決めたということで、各地域において、現在あるごみ焼却施設をとりあえずは長寿命化でいこうという方向で現在検討が進められていると聞いている。
【斉藤委員】
県北・県南でこうした広域処理計画が行き詰まったというのが1つの教訓だと思うので、今後に生かしていただきたい。
・軽米町内への産業廃棄物最終処分場建設問題について
【斉藤委員】
地元から大変強い反対の陳情・要望が出されていた。県も最近この計画が問題があるという指導をしたようだが、この間の経過、県の対応を示していただきたい。
【資源循環推進課総括課長】
軽米町内への民間事業者による産業廃棄物最終処分場の建設問題について。昨年12月に事業者から条例に基づき、施設設置にかかる事前協議書の提出があった。これについて、専門家による調査・検討をもとに審査した結果、法令の構造基準等に適合しないということなどを総合的に勘案し、本年9月24日に協議を不調とするという通知をした。
地元である軽米町はじめ、水道水源として、下流で取水している洋野町および八戸圏域水道企業団等から建設反対の要望が出されていたところである。
県としては、事業者がさらに新たな事前協議、あるいは施設設置許可申請が提出されることもあると思うが、仮にそうした場合に、これまで同様、条例・法令の規定に基づき適切に審査・対応していく。
・再生可能エネルギーの取り組みについて
【斉藤委員】
再生可能エネルギーの導入実績と今後の導入計画はどうなっているか。
地産地消の取り組みはどうか。県内業者等による導入分はどうなっているか。
【温暖化・エネルギー対策課長】
平成24年度末の発電施設の導入実績については、約510メガワットとなっている。基準年の平成22年度に比べ、約28メガワットの増加となっている。計画については、昨年3月に策定している岩手県地球温暖化対策実行計画において、平成32年度までに約1157メガワットとする目標を定めている。
地産地消の取り組みだが、平成24年度以降に導入されているメガソーラー7ヶ所9.2メガワットのうち、県内事業者によるものは2ヶ所2.5メガワットとなっている。また計画中の複数の案件も公表されている。風力発電や地熱発電、小水力発電、バイオマス発電でも県内事業者による取り組みが進展している。さらに野田村においては、地域住民が主体となった、広く出資金を募るハンド方式による市民ソーラー事業も立ち上がっている。そのような地域に根差した取り組みが始められている。
県としては、大規模発電施設の誘致とともに、県内に豊富にある再生可能エネルギーの地産地消に向け、地域住民や事業者などによる地域に根差した取り組みを促進していくことが重要と考えている。このため市町村と連携しながら、地域でのセミナーや勉強会による普及啓発、導入にあたっての自然的社会的条件等を示したマップの提供とともに、専用サイトによる有益な情報の積極的な発信等を行い、県内事業者の取り組みを支援していきたい。