2013年11月25日 決算特別委員会
山田町NPO問題―沼崎前町長に対する参考人質疑(大要)
【斉藤委員】
当時の町長として、大雪りばぁねっと。に2年間で12億2200万円の事業を委託し、6億7000万円が不適正支出として返還が求められる事態となったが、その原因と責任についてどう認識されているか。
【沼崎前町長】
原因については、事業委託契約を順守しなかった法人および代表にあると考えているが、契約の一方の当事者は私であり、政治的・道義的責任を負うべきものと考えている。
【斉藤委員】
沼崎前町長は、大雪りばぁねっと。の岡田栄悟代表理事を、履歴書もNPOの定款も事業実績も処理能力も経理能力も確かめずに、山田町入りした翌日3月28日には町の災害対策本部会議に参加させ、4月9日には災害ボランティアセンター副所長に、5月2日には災害対策本部本部員、沿岸域捜索担当主幹、物資センター担当主幹に任命しているが、異常な重用、対応ではなかったか。
このことが今回の問題の出発点になったのではないか。
【沼崎前町長】
行方不明者の捜索が喫緊の課題であった。したがい、即戦力として期待したことから、災害対策本部会議に出席させた。
ボランティアセンター副所長は、町社協の任命である。
5月2日のそれぞれの辞令交付は、実際の活動にたいして、身分の根拠を付与するためのものであり、肩書きが先にあってやれということでは決してない。
【斉藤委員】
ボランティアセンター副所長の名刺は副町長が作ったと言っているが知っているか。
【沼崎前町長】
ボランティアセンターは基本的には社協が設置すべきものだったが、それがなかなか社協の力及ばずということで、立ち上げの際にはNPOの力を借りたという経過である。
【斉藤委員】
最後まで履歴書をとらなかった。免許証のコピーもとらなかった。なぜか。
【沼崎前町長】
その点については、私も反省すべきところはあるわけだが、最初の辞令交付の際に担当から、「履歴書の提出が遅れているが、後日提出されることになっている」という報告があったので、その場で辞令交付はした。ただその後、まさに毎日が戦場のような忙しさの中で、そのことについて再確認すべきだったと思うが、それができていなかったということである。
【斉藤委員】
NPOの定款や事業実績を見たら、これが不的確な団体だとすぐ分かった。旭川に問い合わせればすぐ分かったのである。なぜそれができなかったのか。
【沼崎前町長】
来た当時、確認すべき手段を私たちがもっていなかったということである。
【斉藤委員】
緊急雇用創出事業では、失業者の履歴書まで出させている。
最初に9100万円の委託事業、平成23年度は4億3000万円。最後まで履歴も実態も調べないでやったのか。
【沼崎前町長】
履歴書の確認についてはおっしゃる通り、なかなか確認する機会をつくれなかったと。そのことについては反省している。
【斉藤委員】
この問題の出発点は、第3者委員会の報告でもあるように、「受託団体として不適格」な団体に委託事業をしたということである。これが第一の問題だと思う。
それで5月2日に県社協が行ったのは、お金の使い方だけではない。さまざまなボランティア団体と亀裂を起こして、ボランティア団体としては不適格だということで、北海道に帰ってもらった方がいいと進言したのではないか。
【沼崎前町長】
議事録を確認したが、そういうやりとりはなかったように記憶している。
【斉藤委員】
昨年の5月に総務課長がNPOに職員を派遣するよう2度も進言したが、なぜそれを却下したのか。なぜそう言ったかというと、完了検査が3月31日で終わらなかった。続いていた。あまりにも異常で大変だというので、町長に職員を派遣してやるべきだと進言した。
御蔵の湯の建設問題について。御蔵の湯の開所式、これは山田町の主催で開かれて、町長が主催者あいさつしている。「仮設公衆浴場を…建設し、開所の運びになった」と述べている。誰が建設したのか、誰の所有なのか確かめたか。
【沼崎前町長】
開所式は本来NPOが実施すべきものだが、アイシン精機様はじめ、多くの協力者がいることから感謝の意を伝えるために、町からもあいさつを述べたものである。
建設はリース会社と聞いている。
【斉藤委員】
あいさつでは、町が建設したと。それを委託したと。所有者がオールブリッジだというが参加していない。なぜか。所有者はなぜ参加しなかったのか。
【沼崎前町長】
記憶は定かではないが、その時のあいさつは主催者あいさつではない。あいさつという項目が次第の中にあり、あいさつのときに私と振興局と業者からあいさつをしている。それを主催者あいさつととらえているかもしれないが、そういう趣旨ではなかった。先ほど答弁したように、本来はやはりNPOの主催ということを明確に出すべきだったと思うが、例えばアイシン精機さんとかそのような物品を寄付された方がいたということで、町を代表して皆さま方に、その場で感謝の意を伝えるべきだという判断の結果、あの場でのあいさつとなった。
【斉藤委員】
この御蔵の湯のパンフは総務課長が作った。それで町が主催ではないのか。所有者はオールブリッジというがなぜ出なかったのか。実態がなかったのではないか。
【沼崎前町長】
たしかに町がまったく関係ないということではなく、町が事業を委託しているわけで、ですから一切やりなさいと言えない、そのお手伝いをおそらく事務方としてできる範囲の中でやったのだと思う。
【斉藤委員】
1億3000万円余でカガヤが建設したが、カガヤとの建設工事の契約書を岡田氏は拒否したそうだが聞いているか。
【沼崎前町長】
まったく聞いていない。
【斉藤委員】
カガヤの社長と会っているようだが、何回会ってどんな話をしたか。
【沼崎前町長】
会った回数は定かではないが、最初に会ったのは震災直後に義援金を届けに来ていただいたときと記憶している。
カガヤが組み立て作業を行っていることは、着工後に知った。
【斉藤委員】
リース・材料費なら建設できるという認識だったとするなら、リース会社を確かめるのは当然ではないか。
【沼崎前町長】
制度上は、事業委託をしてNPOの方での契約になる。ですから、町として事前にリース会社を確認すべきだったということではない。
【斉藤委員】
1億3000万円余の立派な仮設浴場を想定していたか。
【沼崎前町長】
最初から我々が御蔵の山に建設された大規模な仮設公衆浴場を想定していたということではなく、アイシン精機様からいろんな機材を提供されいただくことになり、それを生かす仕組みなり計画なりそういったものを知恵を出し合おうというところからスタートしたわけだが、いろんな経過の中で、あのような形のものができたという経過だと理解している。
【斉藤委員】
緊急雇用創出事業では、重機を使えば建設土木工事でダメである。県のチェックが甘かったし、町もそれを無視してやってしまった。だから4月19日付で「これは建設土木工事で認められない」となった。それに対してどう対応して、副町長はトップ会談をやったというが、誰と話をしたのか。
【沼崎前町長】
トップ会談をやったという話はしていない。
我々とすれば、4月19日付の文書に指摘された内容については、今に至るまで県と協議をしながら進めてきたはずであると。町からすれば今さらハシゴを外されるのは納得できないと。そういうことで再度県に協議をしようと町の内部で話し合って指示をしたという経過である。
【斉藤委員】
4月23日に対策会議が開かれている。それに基づいて誰が誰に対応したのか。
【沼崎前町長】
資料もないのでお答えできない。
【斉藤委員】
今の副町長に聞いてきたが、トップ同士の話があってこの話が元に戻ったと。数日後に了解になったと。本当にこれはきわめて重大である。
平成23年度からこの事業は破たんしていたと思う。12月の契約変更、1月の契約変更は不足払いではなかったか。
【沼崎前町長】
申し訳ないが、事務処理の詳細な内容については私としてはそこまでの記憶はない。
【斉藤委員】
契約変更は全て町長決済でやっている。12月はきれいに5000万円。1月は本来なら事業を整理する時期に1億6900万円の契約変更を行っている。岡田氏は何と言ったかというと、「不足だから補正予算を組んできた。簡単に下りたよ補正」とうそぶいた。12月に給料は払われていない。途端に賞与まで出た。こんなデタラメなことをやったのではないか。
【沼崎前町長】
今のような事務的な詳細な内容については今は分からない。
【斉藤委員】
事務的というが、1月の契約変更は1億6900万円である。これは小さなことではない。なかった材料費が出てきた、休日手当が出てきた、浴場建設費・材料費もここで初めて出てきた。気づいていたか。
【沼崎前町長】
私は決済をして最終的な責任は私にあるわけだが、その中にある数字の動きについて、知っているか問われて、そこまで私は分からないと申し上げている。率直なところである。
【斉藤委員】
1月の契約変更は不足払いだった。破たんしていた。