2013年12月5日 商工文教委員会
教員の超過勤務、多忙化問題に関する質疑(大要)


【斉藤委員】
 739万円余の超過勤務手当の補正になっているが、超過勤務が発生した理由、対象人員、超過勤務の実態を示していただきたい。

【教職員課総括課長】
 補正をお願いしている予算は、中学校の事務職員にかかるものである。
 教育事務所において、小中学校の事務職員の超過勤務について、昨年度から増加傾向にあり、実態を調査した。6月と9月の2回にわたり調査したが、その結果、中学校で予算が不足する見込みとなった。小学校・県立学校事務局については、現予算で対応できるものとうかがっている。
 中学校で超過勤務している主な理由は、平成18年度から野田村をのぞく全市町村で、小中学校における事務の共同化を実施している。これは、小中学校の事務職員は、単数配置、1人しか学校に配置されていないというのがほとんどであり、経験の浅い職員が配置された学校、それから学校により手当の件数が大きく違うので、そういったところの事務処理の軽巡化を図るということで、いくつかの学校の事務職員が集まり、共同で事務処理をするということをやっている。その事務の共同実施が定着しているわけだが、さまざまな部活動指導業務等の勤務実績の確認事務とか、新採用の事務職員あるいは臨時的な事務職員の指導事務など、事務処理の適正化をあわせてやっており、共同実施グループに総括となるとりまとめの職員を定めているが、その職員の業務量が増加しているということで、その部分で予算の不足になるということである。
 超過勤務の実態は、中学校分で申し上げると、この4月から9月までの1人当たりの時間数は、平均で月7.1時間である。小学校は5.9時間、県立学校は5.3時間という状況である。

【斉藤委員】
 県立学校の教職員の勤務の実態調査をやられたと。この県立学校の教職員の超過勤務の実態を詳しく示していただきたい。

【教職員課総括課長】
 県教委では、平成24年4月から全県立学校において、教員の時間外勤務の状況を調査しており、平成24年度の年間一人当たりの平均時間は、県立学校全体で32.6時間となっている。

【斉藤委員】
 月80時間を超えた教員は何人、100時間を超えた教員は何人いたか。

【教職員課総括課長】
 時間外の勤務が80時間を超えたのは166人で全体の6%、100時間以上は198人で7.1%程度となっている。

【斉藤委員】
 これを聞いて本当に驚いた。月80時間というのは過労死ラインである。合計364人13%、7人に1人ということになる。80時間以上ということになると、直ちに是正しないと、いつ過労死が起きてもおかしくないという勤務実態である。
 教育長もこれは承知していると思うが、この深刻な実態についてどう受け止めているか。主な要因は何か、どう改善しようとしているか。

【教育長】
 我々としても深刻に受け止めている。それぞれ多い要因を聞くと、どうしても部活動指導、進学対策といったことでどうしても子どもたちのためにという思いで先生方が頑張っているというところが散見され、また非常に負担感を持っているのは、会議や事務処理というところに負担感を持っているという実態が明らかになっている。したがい、それぞれの学校でどのように同じ問題意識を持って取り組むかということ、単なる調査ではなく、学校と一緒に考えようということで、今年からそれぞれ職員を各学校に派遣し、一緒になって取り組む活動を実施している。したがい、やはり子どもたちが目の前にいるということで、なかなか一挙に即止めるべきという議論になるかならないかということはあるが、少しでもこれが解消できるように努めていきたい。

【斉藤委員】
 80時間以上は過労死ライン、100時間も7%、本当にいつ過労死になってもおかしくない事態である。率直にいって。土日も休めない。いま改善できるものはすぐ改善するという決意で臨まなければ、本当に深刻な事態である。
 小中学校の実態で盛岡に聞いてみたが、盛岡の小中学校は100時間以上勤務したのは58人、小学校6人・中学校52人。この盛岡の調査では、小学校の場合、教員が平均は39時間、中学校は59時間、ところが「持ち帰り時間」というのがあり、小学校が27時間、中学校で11時間である。これは高校よりも大変なのではないか。いま教員をめぐる状況というのは、これではいじめが起きても対応できない。この多忙化という問題は、子どもの命がかかっている問題だと思う。教員のいのちと健康がかかった問題でもある。だから、思い切って教員を増やすとか、事務処理が負担だというなら事務処理を軽減するということを、やりながら解決しないと。いろいろ協議してということでは危機感が足りないと思う。異常な事態についての認識が足らないのではないか。

【教育長】
 やはり最終的には学校にどうやって人を増やすかということが最大の眼目だろうと思っている。大震災も踏まえ、国にお願いして加配をいただきながら一生懸命配置を行っており、また県単によっても生活サポートも含めていろんな措置を講じているが、やはり基本は教職員定数の改善が最大の眼目だろうと。我々としても国にたいして再三要望している。ただ一方で、教職員定数を減らそうという動きもあるので、この点についてはぜひとも一緒に取り組んでいただきたい。

【斉藤委員】
 この深刻な実態を社会的にアピールする必要がある。この現状を隠さないで。盛岡の小中学校の実態を見て驚いた。例えば、中学校は時間外勤務が持ち帰り時間も含めて月平均で70時間と。小学校の場合は持ち帰りが多く66時間と。こんなに稼いでいたら、子どもに寄り添うという余裕がなくなる。
 一番の問題は、子どもが犠牲者だということである。本当に子どもを大切にして、深刻ないじめ問題に学校が一丸となってやるというときに、まったく余裕がない。
 そういう意味で、せっかく皆さんが調べて実態の一端が明らかになった。市町村教委でも小中の先生方の調査もやっている。これをしっかり受け止めて。
 県庁の時間外勤務が100時間を超えているのは5000人のうち1ケタである。正確に超過勤務が反映されていないかもしれないが、それにしても先生方の超過勤務はあまりにも異常である。その異常さを本当にしっかり受け止めて、すぐ解決できることはやって、そして基本的には教職員定数の改善、これはぜひ文科省にもアピールすべきである。そういう実態は、厚労省・労基署だって放置できない。
 何からどう具体的に検討し、改善しようとしているかお聞きしたい。

【教職員課総括課長】
 時間外に教員がしている内容はさまざまで、部活動だとか本来教員が生徒のためにと思ってやっていること、それ以外にもさまざまある。
 現場に入っていろいろ教員の方からお話を聞いても、部活の指導が大変だが、さまざま事務的な部分で大変苦労しているのでそこを改善してほしいという要望がほとんどである。
 部活の方では、今年度から事務処理を教員に代わってやるという仕組みを入れている。校務文書の統廃合という取り組みをしており、この辺は一定の効果が表れており教員からも評価があった。一方では、事務的な業務への対応がなかなか軽減されないというところが見られた。
 今後、各種の調査や会議・研修の見直しなど、そういった事務的な業務の効率化を図るということと、良い取り組みの事例を共有化して、業務の改善を促進して負担軽減に努め、教員の皆さんが本来児童生徒と向き合う時間をしっかりとれるように、取り組んでいきたい。