2013年12月9日 12月定例県議会・最終本会議
2012年度岩手県一般会計決算に対する賛成討論
日本共産党の斉藤信でございます。日本共産党を代表して2012年度岩手県一般会計決算について不認定とする決算特別委員長報告に対する反対討論を行います。
東日本大震災津波からの復旧・復興は県政の最大課題であり、国政の最優先課題であります。11月末現在、大震災津波による犠牲者は、死者4672人、震災関連死428人、行方不明者1143人となり、合計6243人となる戦後最大の大災害となりました。2012年度の決算を評価する最大の基準は、県政が東日本大震災津波の復旧・復興の取り組みで、被災者の立場に立った取り組みを進めてきたかどうかであります。
2012年度決算は、歳出総額で1兆1072億円となりましたが、東日本大震災関連が約4400億円に及びます。その主なものは、住宅再建に県独自に100万円の補助を行う「被災者住宅再建支援事業費補助」が1703世帯に11億700万円、被災住宅補修への補助3667件などバリアフリーや県産材の活用、宅地復旧、利子補給など新築・改修に県独自の補助を行う「生活再建住宅支援事業費」に17億8300万円の補助が行われています。214億6000万円余の東日本大震災復興基金は全額被災市町村に交付され、市町村独自に住宅再建に100万円から300万円の上乗せ補助と250万円から700万円の住宅ローンの利子補給が実施されていることも重要なことです。
国による被災者の医療費・介護保険利用料の免除措置が昨年9月で打ち切られましたが、県は市町村と共同して免除措置を継続しました。これは、今年度も継続されるとともに、来年12月までの継続も明らかにしたことは特筆すべき取り組みです。被災地福祉灯油等特別助成事業として16359世帯に県として4089万円の補助、全体では1億424万円の補助を行っています。今年度の実施を含めて3年連続となるものです。これらの事業は他県では行われていない積極的なものであります。
生業の再生の分野でも、共同利用漁船の確保に222億7500万円の補助を行い、5439隻を確保し、養殖施設の再建整備では、72億1100万円の補助で6157台を復旧しました。こうした取り組みによって、壊滅的な被害を受けた漁業・水産業は約7割近くまで復旧してきたのであります。中小企業の再建でも、県独自の「被災資産復旧費補助」は2億5300万円で192件の事業者を支援し、グループ補助金は259億円の補助で、95グループ1159社の再建を支援してきました。とくに、申請の約8割が採択され、水産加工や造船など被災地域の地場産業を重点に支援してきたことは評価できることです。
三陸鉄道の再建整備に23億円余が投入され、来年4月には全線開通の見込みです。
災害廃棄物、いわゆるがれき処理には442億円余が投入され、今年度末での処理の見通しが立ちました。
東日本大震災津波からの復旧・復興の現状は、被害があまりにも大きかったこと。国の取り組みの遅れと規制によって、被災者の立場からみれば深刻な現状を変えるまでに至らず、被災者のいのちとくらしを脅かす状況となっています。しかし、岩手県の復旧・復興の取り組みは、不十分さがありながらも、被災者の立場に立った取り組みと評価できるものです。被災した他県と比べても積極的な取り組みとなっています。
復旧・復興の取り組みは、今年度も県内外から職員が派遣され、県には163人、市町村には581人余の応援をうけて取り組まれているものです。こうした東日本大震災津波からの復興を柱とする2012年度決算を不認定とすることは、献身的な復旧・復興の取り組みに背を向けるものであります。
緊急雇用創出事業に関わって、山田町が事業主体となる「山田町災害復興支援事業」で6億7000万円の事業費の返還を求める不祥事が明らかになりました。この問題は、本来、受託団体として不適格な実績も経理能力もないNPO法人、大雪りばぁねっと。に、履歴書や実績を確かめることなく、山田町が2年間で12億2000万の事業を委託したことに最大の問題がありました。委託後も山田町は、大雪りばぁねっと。の乱脈な経理にまともな指導監督も行ってこなかったことは重大な問題です。山田町の責任は極めて重大です。
同時に、県の責任として、県社協の専務理事とともに当時の地域福祉課総括課長が5月2日に、NPO法人、大雪りばぁねっと。の問題を直接山田町長に指摘したことを県として共有できなかったこと。無料入浴施設「御蔵の湯」が当初計画とは違って大規模に建設されたにもかかわらず、リース、材料費、組み立て費というごまかしで認めてしまったこと。2011年度の3月に行われた1億6900万円に及ぶ第5回の契約変更は事業費使いきりの不足払いだったにもかかわらず認めたこと。2011年度の完了検査は、伝票も現金出納帳もなく収支が全く合わなかったにもかかわらず認めてしまったこと。さらに、こうした経理の問題を把握しながら翌年度7億9000万円の事業を認めてきたことは、県の指導・監督、チェック機能と責任が問われる問題でした。日本共産党はこの問題を徹底して追求してきました。県の検証委員会によって県議会での審査を踏まえて、徹底した検証と責任が明らかにされることを強く求めるものであります。
県が県社協に委託した「障がい福祉サービス復興支援事業」について、知事を呼んでの集中審議が行われました。過大な事業費に対して十分な体制と取り組みが行われなかったという問題がありますが、事業費の不正支出という問題ではないことは明らかであります。
また、山田町が事業主体の緊急雇用創出事業の不祥事を持って、県政最大の課題である東日本大震災津波からの復旧・復興の積極的な取り組みを否定するものではないことも明らかではないでしょうか。
以上申し上げ、2012年度一般会計決算を不認定とする決算特別委員長報告に対する反対討論、2012年度一般会計決算に対する賛成討論といたします。
ご清聴ありがとうございました。