2013年12月9日 12月定例県議会・最終本会議
議案および請願の不採択に対する高田一郎県議の反対討論


 日本共産党を代表し、議案第3号、議案第31号に対し、請願受理番号93号、94号の請願不採択に対し反対討論を行います。
 
 議案第3号岩手県県税条例の一部を改正する条例は、消費税8%増税にともない地方消費税率1%から1.7%に税率を改めようとするものです。
 消費税8%増税に伴う地方消費税実質収入額は約416億円になり、増収額は約171億円と見込まれます。しかし、歳出への影響額は25年度当初予算ベースで試算すれば95億円の負担増となり、県民の家計負担は一世帯あたり年間で約63000円の負担増と見込まれます。消費税5%増税のとき、経済がプラス成長であっても税収が大幅に落ち込み、国税は14兆円も落ち込みました。県税は平成22年度と5%増税前の平成8年度と対比すれば、県税決算額は232億円も減収となっています。県の地方消費税収入が増えても景気悪化による個人消費の落ち込みなど県税全体の減収となることは避けられません。消費税大増税を前提とした県税条例の改正であり反対です。
 
 議案第31号は、胆沢ダムの建設に関する基本計画の変更についての意見に関し議決を求める議案です。今回の基本計画見直しはコスト縮減や設計の変更により80億円縮小されるものです。胆沢ダムは、平成元年に1360億円の事業費で始まりましたが平成12年には1.8倍の2440億円となりました。水道事業では構成市町に1.8倍の水道料金の値上げが求められており、灌漑用水については県の負担となるものでゆくゆくは県民負担となるものです。異常な事業費拡大に伴う県民負担となるもであり反対です。
 
 請願受理番号93号は、「特定秘密の保護に関する法律の制定に反対する請願です。
 機密漏えいに厳罰を科す『特定秘密保護法』が6日、参議院本会議で可決しました。世論調査でも国民の8割が慎重審議を求めているにもかかわらず衆議院に続く参議院でも質疑打ち切り、与党単独採決など民主主義を踏みにじる暴挙に国民の怒りが沸騰しています。しかし、憲法に反する違憲立法であることが国会審議を通じていよいよ明らかになりました。
 第一に、この法律は国民主権の原理に真っ向から反するものです。
 『特定秘密』の指定には何の歯止めもなく『秘密』が際限なく広がる危険があることが明白になりました。国民主権とは、主権者である国民が国政の基本問題についての情報を十分知ることができ、判断できることが、不可欠の前提となります。国民の『知る権利』を蹂躙したこの法律が憲法の基本原理である国民主権を踏みにじるものであることは明らかです。
 第二に、基本的人権の原理に真っ向から反します。
 国民から見ると何が秘密かも秘密です。『秘密を漏らした人』『秘密を知ろうとした人』だけでなく共謀した人、教唆―そそのかした人、煽動―あおった人も処罰の対象とされてしまいます。『秘密を扱う人は『適正評価』として、家族を含めてプライバシーが洗いざらい調査されます。
 第三に、日本国憲法の平和主義の原理を踏みにじるものです。
 なぜ「秘密保護法」が必要か、政府は、「米軍と情報を共有するため』としています。日米軍事一体化を進める上で、米国から同等の秘密保護体制を要求されてきましたが、国家の情報を統制し危険性を追及し批判することを封じ込めることに狙いがあります。集団的自衛権の行使など海外で戦争できる国にする、ここにこそ法律の狙いがあり、それは憲法9条改定への地続きにつながっていきます。岩手日報論説では「政権を握った後は民意に耳を傾けない、国会にも権力の乱用をチェックする機会を与えない政治に緊張感が失われ、この国の民主主義は死に絶えていく危機にある」と警告しています。反対する運動は、法曹界、ジャーナリストなど立場の違いを超えさらに広がっており、平和と民主主義を求める巨大なエネルギーは限りなく拡大し必ずこの稀代の悪法を撤廃させる大きな運動となっていくことにつながります。
 国民の世論に追い詰められ国会で強行採決となりましたが、日本国憲法の原則である国民主権、基本的人権、平和主義を根底から脅かす稀代の違憲立法を県議会が容認することがあってはなりません。
 
 請願受理番号94号TPP交渉に関する請願は、TPP協定交渉の内容を国民に開示すること、交渉からの撤退を求める請願であります。
 TPP交渉は今月7日からシンガポール閣僚会合が始まり、年内妥結に向け大詰めを迎えています。1日行われた日米交渉で甘利大臣は、農産物の重要5品目で『これ以上1センチも譲れない』と米国に伝えたと報道されています。しかし、問題は、『これ以上』の『これ』とは一体何なのか、それが国民に明らかにされていません。
 自民党の西川TPP対策委員長は、10月『農産物の重要5品目を関税撤廃の例外から抜けるか、抜けないか、検討させてもらわなければならない』と重大な発言しました。1日の日米交渉では日本は95%前後の自由化率を提案する方針を米側に示したと報道されました。これらは重要5品目の一部を関税撤廃の対象とすることを示すもので、交渉の現状は『重要5品目』を聖域にするという自らの公約も国会決議をも裏切る道を進んでいます。
 日米交渉でもうひとつ重大なのは、フローマン米通商代表が、日本に譲歩案をはねつけ、『重要5項目を含む全品目の関税撤廃に応じろ』と繰り返し要求したとされていることです。安倍首相は、日本には一定の農産物のセンシティビティがあることを、2月の日米首脳会談でオバマ大統領が認めたと説明してTPP交渉に参加しました。米国がセンシティビティを認めたことが事実ならば、『全品目の関税撤廃』以外ありえないと要求するなどということがどうして起こるのでしょうか。
 例外なき関税撤廃こそがTPPの真実だということはいよいよ明らかです。政府が自らの公約を守り、国会決議を守るというのならばTPP交渉からの撤退以外にはありません。
 しかも、3月15日の交渉参加に際して安倍総理は「交渉の進捗状況に応じ、公表できる情報はしっかりと国民に提供する」と約束したにもかかわらず、参加したとたんに、『秘密保持契約』に署名をししてしまいました。国民に交渉内容の経過や日本政府がどんな主張をしているかを知ることなく結論を押し付けられることになります。
 昨年の12月議会では、「TPP参加しないことこそ国益にかなうものである」として交渉参加に反対する意見書を全会一致で採択しました。すでに、TPP参加を前提とした『コメ政策改革』が示され具体化されようとしていますが、国民にとって取り返しのつかない不利益になることはハッキリしており、TPP撤退こそ国益にかなうものです。

 以上が反対理由であります。ご清聴ありがとうございました。