2017年6月15日 
葛巻高校の学級減の計画見直しを求める申し入れ 教育長回答(大要)


【教育長】
 東日本大震災津波で、高校再編計画の策定を凍結したという中で、県民の皆さんの定住の状況も一定程度見えてきたと。また、生徒数が減少してきている中で、教育の質の保障は避けて通れない課題だということで、議論する必要があるということで、基本的な考え方の見直しと、具体的な再編計画の策定について、地域検討会議などさまざまな機会を通じて、県民の皆さんとの意見交換を通じて、昨年の3月に策定したということである。
 基本的な考えとしては、再編計画の中では、1つには「学びの質の保障」ということもあるが、一方では、教育というのは地域の未来にとってきわめて重要な位置を占めるということで、岩手県にいるからこそ教育を受けられるというような思いで、「教育の機会の保障」ということも大きな柱立てにして、この2つの考え方をもとに、総合的な判断をして計画を策定させていただいた。
 この計画に沿った再編を行っていくということがベースになるという考え方には今も変わりない。具体的な対応として、学科再編・学級減のあり方を今まさに検討中であり、例年だと、8月の閉会中の常任委員会でご説明を申し上げるべく鋭意検討中ということである。
 本日の申し入れも十分踏まえながら検討する必要があると思っているが、ベースは計画に沿ったものになるということはご理解いただきたい。
 今年51人入学したということで、これは町の努力というのは非常に大きいと。また葛巻高校は、まさに教育委員会が設置しているわけであり、学校の魅力を高めていくということと地域との連携はきわめて重要だということで、そういう思いも我々共有しながら、今に至っている。
 これまでの取り組みを見ると、先進的な取り組みとして山村留学、基本的には県外の子どもが入学するという一家転住を基本としている。ふるさと振興という観点も含め、弾力化した。というようなことは、町長・副町長はじめ、議会の皆さんにも何度となくおいでいただき、そこでさまざまな意見交換をさせていただき魅力を高めていくということでやってきている。
 50人を超えるということだが、ここは1学級定員40人なので、1学級を超えたという見方と、80人定員で30人近い欠員があるという現状にもある。そして、再編計画では、他の学校の経営資源の適正配分という考えをもって他の学校も対象としているので、そういう中で、これまでの経緯や、実績を踏まえて、慎重に検討した上で実施に移行すると言っているので、それらも踏まえ方向性を決定していきたい。
 いずれ、本日いただいた申し入れについては、受け止めさせていただきたい。

【斉藤議員】
 葛巻町内の来年卒業する中学校3年生は45人で増える。なおさら来年は入学生が増える可能性がある。そして、葛巻高校も葛巻町も、町内の進学率70%を80%に高めたいと努力しているし、山村留学も最初が1人、2年目が2人、今年は3人と、定着しつつあり、町は寮の建設も今年検討すると。いま葛巻高原のプラトーの宿泊施設から通うだけで30分かかるので、自転車で通えるような条件のところに整備したいと。そして公営学習塾もやりたいということなので。

【教育長】
 葛巻高校については、中高一貫校として、これまでも大きく育ててきたという自負を持っている。ただ、どうしても生徒数の減少という現実に向き合ったとき、これを切り開くには、社会増を何とかして実現したいという気持ちで一緒にやってきている。これまで町も協力的で、町の協力を条件みたいにするのは問題があるので、主体的な支援、協議会の中で主体的に取り組んでいただいているが、今後とも町の意向等も十分お聞きしつつ、現実を直視しながら、いただいた申し入れも含めて結論を出せればと思っている。
 楽観していただく状況ではないが、地域の思いも汲みたいという思いもあるが、現実的に厳しい状況にもあるので、それらを踏まえて良い結論を出していきたい。

【斉藤議員】
 2年前の花泉高校の学級減のときも、商工文教委員会の議論も踏まえて、一応学級減の計画が出た後に3月まで最終的に待ったが、しかし一度計画が出されるとアナウンス効果で影響があるので、今回は、来年の計画を示すときにきちんと、その辺を踏まえてやっていただければ、地元もさらに取り組みが強化されると思うので。

【教育長】
 当時の教育長も私だったので、地域の皆さんに努力していただいたと。現実を見ると、やはり入学者数もそういう状況であり、大変申し訳ないが、結論には間違いなかったという思いを持っている。ただ、葛巻高校や西和賀高校は意味合いが違うところがあり、特例校として位置づけているので、そして小規模校には加配を、いま葛巻高校にも行っている。1学級校にも行っている。現実的に、そこは少人数指導ということもやらないと、教育環境がますます厳しくなってくるので、その辺はまた弾力的に対応していきたい。

【高田議員】
 初めて葛巻高校に行ってきたが、町をあげて支援し感心している。来年は創立70周年と、70周年の年に学級減かということを学校関係者も町の方々も言っていた。
 本当に進学にも就職にも応えるということで2コースに分けてやっており、もし1学級になってしまえば、進学を希望する家庭は盛岡に行ってしまうのではないかと、一層過疎に拍車がかかるのではないかという危機感があり、さまざま取り組みをしているので、そうした思いに応えていただきたい。

【教育長】
 教育の質にしても、学ぶ子どもたちの環境とすれば、やはり4学級以上は必要だと思うが、ただ、画一的に全県というのは現実的に無理な部分があり、それが外から子どもたちだけでなく家族できて地域が盛り上がるような、そして子どもが生まれて将来また入るような、そういう動きが大きなうねりとなって地域が盛り上がっていくと。それに向かって町も頑張っているので、十分話し合いをしながら。

【千田議員】
 学校そのものもそうだが、町が子育て支援住宅や若者定住対策で人口減少を食い止めて、そして子どもたちを育ててもらう、そういう姿勢が素晴らしいなと。
 県内どこもそうだが、人口減少の中で、そういう取り組みを岩手の特徴として頑張っていく必要があるなと思うので、そういう特徴的なところは特に配慮していただくことが非常に大事だなと思う。

【教育長】
 まさにいま検討中ということで、場合によっては厳しいご提案、計画にお示しさせていただいているので、慎重に検討するが、改めてまたご意見を頂戴するような機会をつくらせていただきたいと思う。