2019年4月16日 
「災害公営住宅の孤独死防止とコミュニティ確立に関する申し入れ」でのやりとり(大要)


【斉藤議員】
 2月末現在で8935人、これは3月末でもほとんど変わっていないですね。だからかなりの規模で災害公営住宅に入居されていて、入居者の特徴というのは、1つは高齢化、もう1つは低所得者が多い、いわゆる生活苦という中で、孤立化・孤独化が進行していると。そういう中で、昨年、災害公営住宅で18人の孤独死が出たと。前年と比べて3倍ということで、私たちは昨年のデータに衝撃を受けて、いま必要な手立てをとらないと、1000人以上が孤独死した阪神大震災の轍を踏むことになるということで、2月県議会でも高田一郎さんが一般質問で取り上げ、私が予算特別委員会で取り上げたと。それで、2月県議会の論戦を踏まえて、答弁もきわめて不十分で事実に合わないところもあったので、今日は具体的には5項目を。
 1つは、「この間の災害公営住宅での34人の孤独死の検証を行い、その教訓を踏まえた取り組みを進めること」と。どういう状況の中で孤独死が発生しているのか、この検証をしっかりしていただきたい。
 2つは、「一人暮らし高齢者や支援が必要な入居者に対して、見守りとコミュニティ確立への支援を抜本的に強化すること」と。そのために、県が作成した「災害公営住宅等における見守り事業実施の手引き」―これは平成25年3月13日、保健福祉部・県土整備部・復興局で立派な手引きを作っているんですよ。ここに見守るべき手立てや体制が基本的なことはきちんと提起されているんだけれども、これが忘れ去られているのではないかと。ここでは、集会所と支援員の事務室を活用して、見守り常駐体制をとるということも、いくつかの課題の1つとして提起されていると。私たちは、50戸以上の災害公営住宅には、生活支援相談員を配置して、この文書ではLSAとされているが、100戸以上には複数配置すべきだと。そして本当に一人一人を見守る体制をこの時期につくるべきだと。この点で、予算特別委員会でも評価したんだけれども、盛岡に整備する南青山災害公営住宅に、被災者支援センターを整備すると。この取り組みをやはり全県に広げる必要があるのではないかと。盛岡の復興支援センターにも行って聞いてきました。だいたい99戸に入居する人は、復興支援センターが面倒を見ている人たちで、復興支援センターでは500数十人いるんだけれども、災害公営住宅に入る人たちはその中でも低所得、高齢者。だから、系統的に支援していく必要があるということで、市とセンターが協議もして設置することになったと。本来ならこういう取り組みがもっと早く進められる必要があったのではないかと。しかしそういう方向が出たので。予算特別委員会でも紹介しましたが、南三陸町は60戸以上の災害公営住宅に生活支援員を配置して、入居者全員の状況を把握してコミュニティ形成支援に努めていると。南三陸町は複数配置していますね。そういう取り組みもあるので、思い切った見守り・コミュニティ形成の支援と。
 3つは、「災害公営住宅の自治会に対して、知事答弁を踏まえて、入居者名簿の提供を行うために具体的な手立てを講じること」と。「今のところ自治会からの要請がない」という県土整備部長の答弁―これは高田県議の一般質問に対して八重樫部長がそう答弁したもので、これは事実に反すると。これはぜひ撤回して、真摯に取り組んでいただきたい。資料の最後に、私のホームページのコピーを載せました。実は、私たちがこの問題を聞いたのは、8月10日に、釜石の平田アパートの自治会役員と懇談したときです。このときには、広域振興局の土木管理課長・岩渕さん、建築住宅センターの小友さんも同席しています。その席で、小林自治会長から「104世帯入居しているんだけれども、入居者についての情報が提供されずに、何の行事をやるにしても、誰がどこに住んでいるか分からない」という提起をされて、私が9月県議会の知事に対する総括質疑で取り上げたわけです。私はその後も、栃ヶ沢の自治会長さんからも言われました。大船渡の県営みどり町アパートの方からも、「何度も要求したけれども出してくれなかった」というのが共通の意見です。だから「そういう要求がなかった」という答弁は、私が事実に基づいて取り上げることを否定すると同時に、知事が答弁していることも否定することになるんです。こういうことが議会でまかり通ったらとんでもない話なので、これは正していただきたい。あなた方の答弁がひどいのは、「コミュニティ形成支援員からそういう話は聞いていない」と。自ら確認もしないで、私の質問や高田県議の質問を否定するというやり方は、この答弁を思い出す度に、夜も眠れないぐらい頭にきました。私24年県議会議員をやっているけれど、こういう答弁をされたのは初めてです。我々の質問の土台を否定するような、そして知事の前向きの答弁まで否定した。ここに資料を出していますが、これは私たちの議会の議事録で、決算特別委員会総括質疑での知事答弁で、「県営の災害公営住宅の入居者の情報について、個人情報保護の観点から、同意いただいた方の情報について、自治会にも要請に応じて提供しているところであります」と。私はこの時点で提供されていないことは知っていました。しかし知事がこのように答弁したので、あなた方はその通り実施するだろうと思って、知事の答弁を否定するようなことは言わなかった。前向きの答弁として受け止めて。その上で、12月の私の一般質問の答弁で微妙に変わっていて、そして2月の一般質問になると、八重樫部長が「そういう要求はない」と。本当にこれはひどい答弁なので、しっかり是正して真摯に。やはり9月議会で知事が答弁した通り、あなた方がそれを受けて、情報提供をするためにはどういう手立てが必要なのか。だいたい必要な情報提供をするという通知もしていません。そして、新聞報道を見てほしいのですが、3月1日の読売新聞「検証 高齢者見守り体制急務」ということで、ここでも県営平田アパートの自治会長さんが出てきますが、「これまで住民名簿の提供を県に求めてきた。粘り強い交渉の末、今年に入り空き室の場所だけ教えてもらえた。だが入居者情報については『ノー』」だと。新聞報道でもこのように書いているわけです。私の予算特別委員会で質問する前の記事です。そういう知事答弁の土台を崩すようなものは撤回をして、真摯に。そして自治会に対して情報提供するためには、どういう手立てが必要なのかということを丁寧に、援助してほしいんです。盛岡の復興支援センターは「県を通じて市に情報が提供されて、それを復興支援センターは市から情報提供を受ける」と。だから入居予定者は分かっているんです。そういうことは可能なので、個人情報保護を壁にして、住民の安全を守ることを軽視していいのかということが問われているので、ぜひそういうところは打開していただきたい。
 4つは、災害公営住宅の家賃軽減対策です。これは、大規模自治会交流会が開催されたときにも家賃問題が提起されて、私たちも何度もこの点は要望を受けています。5年が経過した国の家賃軽減対策、これについては、県や市町村が独自の減免制度を持っているので、ぜひこれは周知徹底して、家賃の値上がりがないように手立てを図っていただきたい。それから、収入超過者への退去勧告は直ちに中止して、謝罪と是正の措置をとることということで、国の通知を踏まえて災害公営住宅の収入基準の引き上げを検討してほしいと。国交省自身が、災害公営住宅は15万8千円の今までの収入基準を超えても入れるとしてきたわけです。そして収入基準も変えることができるということまで言っているわけなので。収入超過者というのは、一時しのぎで入っているわけではなく、終の棲家だと思って入居しているので。ところが、3年経ったら値上げされて、近傍家賃になり、2倍3倍になるんです。若い世代は、子育てにお金がかかるので住宅再建まで至らずに災害公営住宅に入っているんです。だからそういう人たちに、収入基準を超えたからということではなく、「公営住宅法により収入超過者は住宅の明け渡しに務めなければならないこととされています」という通知がいってしまっているので、収入超過者も入れるとなっているのだから、この通知が間違いです。家賃が高くすることはあっても、明け渡しまでいったら原則に反することなので、まず謝罪をして是正すると。あと、15万8千円が収入基準になると、どうしても共稼ぎで子育て世代になるとオーバーしてしまう。一般の公営住宅と違って、家を流されて被災した人たちが入る災害公営住宅なので、それにふさわしい収入基準があるのではないかと。家賃は77400円を上限にしているけれども、これは一歩前進ですが、入居者にとっては2倍3倍の家賃になって、重いんです。若い世代も入居できる、若い世代も含めたコミュニティを形成するという二重の意味で、収入基準の見直しは図る必要があるのではないかと思います。
 5つは、「被災者の親の面倒を見るために、里帰りして同居している息子・娘に対し、世帯主の親が亡くなった場合に退去を迫ることがないように」と。そういう人たちはすでに退去させられていて、大船渡の例は、その後一般入居の枠で入った人もいると聞きましたが、こういう人たちは実は自治会の役員の担い手になっているわけです。あとは70代80代。これは運用で改善できると皆さん言っていて、市町村と協議してだいたいその方向性が見えてきたと思うので、これもできるだけ早く改善していただきたいと。
 以上が少し立ち入った申し入れになりましたが、今日の申し入れの内容です。

【県土整備部長】
 まず、今まで斉藤県議、高田県議からお話のあったように、入居者情報の提供については、単に災害公営住宅のコミュニティ形成に資するだけではなく、災害時における要支援者への対応、入居者に高齢単身世帯が増加する中で被災者一人一人に寄り添いながら、一人の孤独死も出さないための対策ということで、大変大きな見地からご指摘をいただいていたものと、今更ながら考えておりますが、議会答弁の中で、そういった議員の皆さんの大局的なお考えに対して、私ども狭い見地での部分的な回答に終始していたのではないかと考えています。そういったところも大変申し訳ないと、説明が不十分であったと反省しているところであります。先生方のご意見等も踏まえ、こういった大局的な見地のご提案もいただいていますので、そういったお考えに添うように、入居者情報の円滑な、私たちも取得して、すぐにでも要請があった場合には提供できるような体制を構えていきたいということで、いま組織的な取り組みを指示しているところであります。まずは、これまでのいろいろなご質問の答弁に関しては、足りないところがあったということで、お詫びを申し上げたいと思います。
 項目に従ってお話をさせていただきます。
 1番目の孤独死の検証ということでありますが、保健福祉部の方から、34名の孤独死があったという資料を私どもも頂戴しておりました。住宅管理部局として、やはりそういったことも共有させていただく必要があろうかと思いますので、保健福祉部や県警にも確認して、これらの状況についてもう一度まず勉強させていただきたいと思います。その中で、今回いただいた2〜5という対応・対策について、準備していきたいと思っております。
 2番目の生活支援相談員の配置についてですが、こちらも保健福祉部の所管事業ではありますが、いろいろ相談させていただきながら、生活支援相談員の配置については、管理上のいろいろな部屋とか設備を使っていただくのは我々としても非常によろしい取り組みだと思いますので、そういったことも情報共有しながら、できる限りのことをしていきたいと思います。盛岡での取り組みは、これはこれでしっかりやらせていただきますが、そういった事例も観察しながら、どういった展開ができるのかも検討させていただきたいと思います。
 それから、先ほど申し上げました名簿の提供についてですが、平田アパートでの説明会についても、県の中でも、もう一度情報についてしっかり管理をします。いま即答できるところではないのですが、そこをちゃんと確認して、いずれにしても大きな意味でのご提案を受けているということでございますので、先ほど言った通り、すでに住民の方に個別にアンケートを取る算段を進めております。もちろん入居時には、社協や自治体に提供する情報については、以前答弁させていただいた通り、あらかじめ情報は取っておりますが、自治会への提供ということについては、同意していただく調書を、実はまだ準備していなかったということで、後でまた取るということになっていましたので、そこは時間がかかるということになっていました。ですから、そこは手間がかかりますが、悉皆で全員の方からアンケートを取って、提供できる資料を我々の方で整えて、同時に、自治会の皆様にも「そういったことをしますので、必要があれば請求してください」という周知をいたします。そういう準備をすぐにでもできるように進めたいと思っております。
 家賃軽減対策ですが、減免制度については、いずれいろいろ周知を図っていくつもりではありますが、さらに丁寧に皆様に行き渡るように進めさせていただきたいと思います。
 収入超過の関係ですが、県の中でもいろいろ議論してきた経緯があります。それで、収入超過額の上限を上げるということについても検討はしていますが、やはりここは、公営住宅制度の中で、一般公営住宅にお住まいの方―これは内陸に多いわけですが、これから沿岸部でももしかすると一般開放もされていくようなこともあります。その制度上、公平性をまず保ちたいということで、災害公営住宅の上限額については選択の中には入れておりませんでした。その代わりということでありますが、近傍同種家賃の設定ということで、こちらの方で何とか対応させていただいているということでございます。これについてはまず状況は観察させていただきたいと思っております。
 5番目、肉親の被災者の方が亡くなって入居できなくなった場合についてですが、こちらも当面、被災地には民間のアパート等も少ないという現実がありますので、そういった状況を見ながら柔軟に対応して、今までも柔軟には対応させていただいていますが、場合場合で退去された方もいらっしゃるとは聞いておりますが、早々の退去を求めるということはやっておりませんので、様子を見ながら。例えば、1年ごとに仮の入居ということで、そうした状況があるので1年間と、そういうことで状況をお聞きしながら対応していくということも考えられると思いますので、柔軟に対応させていただきたいと考えております。

【斉藤議員】
 最初に提起した34人の孤独死の検証というのは、ある意味、いま孤独死が増え始めた局面なので、どういう経過や状況の中で孤独死が発生しているのかということを掴むことは、対策をとる上でも大前提だと思うので、ぜひこれは保健福祉部や県警と連携して、検証にあたってはまだ数がそれほど多いわけではないので。しかし34人の検証がそれなりにされれば、かなり具体的対策が見えてくるのではないかと。
 見守り・コミュニティの確立で、災害公営住宅には、阪神大震災の教訓を踏まえて立派な集会所と支援員の事務室が整備されているんですよ。ところが、体制がそうならなかったのが実態です。私は本当に残念だと思って、前の部長や住宅課長のときにも、せめて栃ヶ沢は一番大きい団地なので、県が配置するか市が配置するか別にして、協議をすると。おそらく協議が中途になってできなかった。やっぱり思い切って、南三陸町では60戸以上ということで配置して、実際に一人一人の状況を把握していると。いま8900人が入居しているけれども、県の管理だと3000人ぐらいですか。かなりの数なんですよ。だから、コミュニティ形成支援員2人で見るというのは事実上無理だと思う。あとおそらく、2人に入居者名簿、例えば一人暮らしの名簿が提供されて重点的に訪問しているのかということを後で聞きたいんだけれども、いずれ2人で24団地を見るのは無理です。だから、県土整備部としてこの体制を強化するか、市町村が思い切った盛岡の災害公営住宅のような体制をとるか、今の時点で思い切って手立てを取るべきだと。
 実は私は今回の申し入れにあたって、11年経って阪神淡路大震災の教訓をまとめた「超・高齢社会先取地”こうべ”の地域見守り活動」ということで、11年経ってからシルバーハウジングにLSA(生活支援相談員)を配置しています。さまざまな見守り活動をやっています。そういう意味でいけば、東日本大震災津波は10年という区切りがあるけども、閣議決定でも見守りの体制は今後も引き続き重要な課題になっていると。だから10年で切るのではなく、10年以降も継続が必要な事業として、実際に取り組むし国にも求めていくということが必要ではないかと。阪神大震災では10年以降にそういう取り組みをしているので、今の時点で思い切って、孤独死を出さない手立てをやっていただきたい。大規模自治会のときにも、船戸助教が最後に言ったのは、「いま高齢化している災害公営住宅の中で、自治会だけにコミュニティの形成や運営を任せるのは無理です。行政・自治会・民間支援団体が一体になって災害公営住宅のコミュニティ形成に取り組まなければいけません」と。ここが一般公営住宅とは違うところなんですよ。栃ヶ沢団地だけで本当にいろんなところから入居していると。特に県営住宅はそうなっていて、平田団地でも大槌や近隣自治体からも入ってきて、簡単にコミュニティ形成はできなくなっていると。そういう時に行政が支援する、民間のNPOなどが一緒に支援するという、自治会と三者が一体となった取り組みが行われるように、県営住宅を管理する県としても考えていただきたい。
 入居者名簿については前向きの答弁があったので評価しますが、全国の取り組みがそうなんですが、ぜひ「入居者の命と安全を守るために自治会に名簿を提供していいですか」という聞き方をしてほしいんです。単に名簿を出す、出さないではなく、いざという時に入居者の命と安全を守るために名簿が必要だと。平田団地もそうです。避難訓練をやる時に、誰を避難させればいいのか分からずにやらなかったと。ここもリアルに議会で紹介しましたが、そういう意味で、「入居者の命と安全を守る上で自治会に名簿を提供していいですか」と、立ち入った聞き方をぜひしていただきたいと思います。だいたい自治会は、10回ぐらい協議して1年ぐらいかけて作られていて、これはこれで立派です。そのほとんどが全世帯加入の自治会になっているんです。規約上は、全世帯が自治会の構成員になっているので、そういう意味でも、名簿がないというのは、普通の町内会では考えられない。普通の町内会では、子どもが小学生や中学生になればお祝いということをやるんです。75歳になったら敬老会に案内するとか。ところが入居者が分からなければそういうことができない。そういう意味で、全世帯加入の自治会として、コミュニティを形成する上でも名簿は必要だということでやっていただきたい。
 家賃の問題については、いろいろみなさん検討してきたということですが、今の時点で再検討が必要なのではないかというのは、実際に入居者が高齢化していて、自治会のなり手がいないという中で、働き盛りの人たちが収入基準を超えて退去せざるを得ないということでは、自治会そのものが継続できない、支えられないということになるのではないかと。ある自治会長さんは「10年経ったら今の災害公営住宅は老人ホームになります」と言っていました。いま比較的若い世代で、終の棲家と思って頑張っている人たちが住み続けられるような災害公営住宅としてのあり方というのは、おそらくそういうことは考えないでいろんな公平性は検討してきたと思うけれども、災害公営住宅の自治会を維持する、コミュニティを維持するという意味でどうなのかと、そのことが再検討の時期にきているのではないかと。釜石の平田アパートを基準にして軽減するというのは一歩前進ですが、ただ、災害公営住宅の実態は「それでも厳しい」「それでも出ざるを得ない」ということなので、再検討を求めたいと思います。
 それと、親の面倒を看た世帯主の死亡のことですが、実際にこの人たちは退去を求められて、出た人も何人もいます。今後こういう対応をしますということを早くやらないと、次のケースに対応できないということで、せっかく前向きの対応をしようと思うのなら、柔軟な対応をしますよと、県がやれば市町村だいたいやると思いますし、驚いたのは、陸前高田市が特公賃(特定公共賃貸住宅)をやって、あれは収入基準が50万円ですよ。ほとんどの世帯が対象になります。おそらくあれが被災地の実態だと思うんです。そういう人たちの災害公営住宅、あれは一般入居となりますが、ただ基準が上がれば所得で家賃が決まるので、近傍家賃にはならないので。その方が軽減率が高くなると思います。陸前高田市はかなり思い切った一般入居の特公賃の制度をやったけれども、災害公営住宅に今住んでいる方々が終の棲家として可能なあり方はどうなのかというのは、ぜひ検討していただきたいと思います。

【県土整備部長】
 先ほどお答えした、収入超過者の認定通知書に、我々のシステム上「退去していただかなければならない」という文言が印刷されたものが郵送されてしまいます。こちらのシステムがなかなか改修が直ちにできなくて、予算もあるので、もちろんそれには説明文書が付いてきますが、なかなか読むのに手間だったりするので、それについては、管理者の方からこういったことが出てきましたが、丁寧に「そういうことはありませんので」と個別にお話をさせてもらっています。これからその際に、我々の方で手書きで棒線を引いて、さらに注目していただいて、説明文を添付するといった対応を直ちにとらせていただきたいと思っております。

【高田議員】
 名簿の提供については、どんなスケジュールでされているんですか。
 それから、アンケートを全員から取って、情報を提供したいという方々のみに提供していくという形になるんですか。

【県土整備部長】
 やはり、個人情報等も両立させていかなければならないと思いますので、先ほど先生述べられたように、こういうことで情報提供させていただきたいということを添えて、アンケートをさせていただき、戻ってきたものをリスト化して準備したいと。これは直ちにやりますので、今月から来月にかけてやりたいと思っています。

【高田議員】
 一般の要支援者名簿がありますよね。あれについては、例えば、公益上必要性がある場合には、個人情報保護の枠を乗り越えて、条例なんかをつくったりして提供して、県内でも二戸市など4市町が100%情報提供するとか、長野県茅野市が条例をつくって提供するとか、そういう対応をしているんですが、そこまで踏み込んだ提供の仕方というのは難しいんでしょうか。

【県土整備部長】
 まず自治会をターゲットに進めようと思っておりますので、制度とかそういったものはまだ検討段階にはないと思っておりますが、まずは自治会への準備を進めさせていただきたいと思います。
 名簿提供の要請も出していただけるように、両サイドに周知していきたいと。

【斉藤議員】
 現場が求めていても出されなかったのが事実なので、栃ヶ沢の自治会長さんもそう言っているんですよ。あそこは、声かけ運動で約9割の名簿を自力で整備しました。だいたい3つの自治会はみんな自分たちで整備したというので、平田アパートなんかは、やろうとしたけど住民間のトラブルが起きて中断してしまったというケースもあるので。

【高田議員】
 昨日テレビでやっていましたが、災害公営住宅で、これから地震や火事が起きた場合に、エレベーターが止まったりして、どういった形で要支援者を避難させるかということで、釜石かどこかで勉強会がやられたと。情報提供、どこに誰が住んでいるか分からないとどうしようもないということでした。

【県土整備部長】
 そこはおっしゃる通りでありますので。ただ、押し売りというか、どうぞ使ってくださいという風にやると、「なぜ私の情報が―」ということを回避する準備もしておかなければならないと思いますので、どちらもうまくいくようにですね。

【高田議員】
 聞き方が大事ですね。

【千田議員】
 内陸部も、いろいろ世話してほしいけども、個人情報の関係で、でも県民の命を守るという点で使うんだよということを、いろんな形で周知されると安心して提供できるのではないかなと思いますので。

【県土整備部長】
 うかがい方も工夫してやっていきたいと思います。

【斉藤議員】
 ぜひこれからスピードアップして、緻密に丁寧に。いま一つの転機だと思うので、この時期に思い切った手立てが取れるかどうか。それが宮城・福島と違った岩手の取り組みということで、この分野でもできるのではないかと思うので、よろしくお願いします。