2019年9月20日
県立中部病院の産科医確保を求める申し入れでの回答(大要)
【医療局長】
東北大学から、「医局の医師が増えないという中で、東北大も、宮城県だけではなく、他の県も医師を派遣しなければならず、絶対数が不足しているということで、減らさざるをえないという申し出があり、我々も本県の産科医が不足している中で、なんとか派遣継続をお願いしている。ただ、東北大学の方針は変わっていない。その話を受け、保健福祉部と連携し、関係機関と協議を進めながら調整を進めてきたが、昨日知事が記者会見で話した通り、来春から岩手医大が中部病院の産婦人科診療に参画していただけるということで、いま具体の調整を行っている。医局の人事が絡むので、何人の医師が確保できるか、取り扱いの分娩がどのぐらいになるかはこれからの調整になってくるが、基本的には、今の中部病院の診療が維持できるように、そのような形で医大にはお願いしている。何とかそういう形になるように今後とも進めていきたい。
【斉藤議員】
中部病院は、県立中央病院に次ぐ大変重要な役割を実際に果たしている病院で、そこから一気に5人中3人が引き上げるという、中部病院の機能を麻痺させてしまうような東北大学の提案なので、東北大学の事情も切実なんだとは思うが。
【医療局長】
その点については我々も、こちらの体制もなかなか厳しいので、「もう少し緩やかな…」というお願いもしてきたところ。
【斉藤議員】
周産期医療協議会が3月に開かれて、議事録を読ませていただいたが、中部病院は6人いて、今年は5人体制。今の周産期母子医療センターの機能という点でいけば、5人でも足りないぐらいである。そういう意味でいけば、岩手医大の派遣の実数はまだ定まっていないようだが、「機能を守る」という話なので、最低5人以上は絶対に必要だし、いま磐井病院は6人ということで、磐井病院も一関病院の影響を受けて大変な状況にあるので。
そういう点では、岩手医大を核にしながら、さらに5人+αの体制がつくられるようにすることが必要だと思う。
【医療局長】
やはり産科医の確保が大事だと思うので、保健福祉部とも相談しながら、確保に向けた新しい取り組みを、どういったことができるかこれから研究していきたいと思う。
【千田議員】
今年、医師偏在指標が厚労省から出されて、これから確保計画をやられるということだが、やはりその具体化、大学への要請強化もだし、やはり国としても体制をとってもらうという取り組みが必要ではないか。
【医療局長】
昨日の知事の記者会見でも、知事もやはり医師の偏在について協力に申し上げていかなければならないと述べておられたので、我々もそういう方向で、国全体で考えてもらわないと解決しないと思うので、そこは機会あるごとに要望していきたい。
【斉藤議員】
国は、偏在と言っておきながら、絶対数の不足は認めていない。我々の感覚からいけば、そもそも絶対数が不足しているという中での地域偏在。やはり国の政策からいけば、もう定員を増やすことは止めようという議論になっているので、絶対数を確保しながら地域偏在を打開していく特別の手立てが必要になってくると思う。
もう1つやっていただきたいのは、奨学生医師が確実に20人30人と毎年配置されてきたので、その中で産科医や小児科医がきちんと確保されるような取り組みを、これは基本的には学生の意思だが、産科医・小児科医を選択するインセンティブ、そういうことが必要ではないか。
【医療局長】
今の奨学金の制度の中で、産科・小児科を選んでいただける先生方については、地域病院での勤務を免除と言いますか、周産期センターで勤務すれば、そこは地域病院の義務履行とみなすという特例的な扱いをし、なるべくなっていただきたいという形にはなってくる。今後、そういった産婦人科を希望される先生にどういった工夫ができるか、それは先ほど来年度に向けてということで、保健福祉部とも相談しながら検討させていただきたい。
【千田議員】
小学生医師の方々との懇談をもってらっしゃると思うが、やはり今の状況だと産科医・小児科医を選ぶ人が少ないと思うので、医師になる前の必要とされる部分の発信をやっていただきたい。
【高田議員】
磐井病院も東北大から派遣を受けているので、心配ではあるが、なぜ今回中部病院から3人引き上げということになったのか。
【医療局長】
そこのお話は特にございません。磐井病院は、両磐をカバーしつつ宮城県北もカバーしている部分があるので、そういった点もあるのかどうか。
【斉藤議員】
昨日の知事会見で良い方向も示されたので、一定の不安解消にはなると思うが、ただこの東北大引き上げの方針というのは、一過性にとどまらない危険性があるので、やはり東北大には引き続き協力に要請は続けていただき、ここで歯止めをかけるというような取り組みが必要だと思う。
今回は岩手医大が派遣の方向であるので、ただそれに甘んじないで、5人の体制でもギリギリだと思うので、中央病院も6人体制で周産期医療を担っているので。
局長は、産科医確保の新しい取り組みと述べられたが、あらゆることを考えて、奨学生医師に対しても意欲をもって診療科を選ぶような状況をつくっていくかということもさらに考えていただきたい。
これからの県政全体を考えたときに、「子育てに優しい」というのは1つのキーワードで、子育て支援を県も市町村も強化しているときに、お産に関わる体制―例えば里帰り出産もできないということになったら、岩手の幸福を追求する県政のあり方に関わってくるので、子育て支援の土台なので、厳しい中でもぜひ新たな取り組みをやっていただきたい。