2019年10月23日 文教委員会
文化スポーツ部に対する質疑(大要)


・スポーツ医科学を踏まえた活動について

【スポーツ振興課総括課長】
 スポーツにおいていろんな事件が全国的にもあった中で、「スポーツ・インティグリティ」の確保ということが、スポーツ庁を中心に我々にも通知がきている。我々はあくまでも、競技団体を通して指導者等への指導という形になる。教育現場については教育委員会で所管となる。
 一般的なスポーツの振興、競技力の向上を進めながらのスポーツ・インティグリティの確保ということだが、県体育協会の方に基本的に指導やいろんなお願いをして、スポーツ・インティグリティの確保については、10月に県体育協会理事長宛に国からの通知を受けている。具体的な中身としては、コンプライアンス意識の徹底、会計処理をきちんとする、情報管理や透明性の確保などということが明記されており、私どもはこの国からの通知をよりどころにして、競技団体に県体育協会を通じてお願いしている状況である。その中で、相談窓口を開いているということである。
 今後についても、いろいろな事案が発生している中で、スポーツ・インティグリティという言葉に包括されるように、アスリートファーストできちんと指導することだとか、スーパーキッズでお話ししている、基本的に科学的な指導―これは東京2020の選手育成を見ても明らかなように、そのようにシフトしているということを競技団体の方に伝えながら、ご指摘のような事案にならないような形で務めていきたい。

【斉藤委員】
 インティグリティというのは具体的にどういう意味か。

【スポーツ振興課総括課長】
 一般的には「誠実性・健全性・高潔性を順守する振る舞い」と言われているが、我々の観点からすると「ルールの順守、コンプライアンスの順守、相手思いのスポーツ指導」と考えればいいのではないかと考えている。

【斉藤委員】
 いわてスーパーキッズは文化スポーツ部の所管ですね。このインティグリティの確保ということは大事だと思うが、スポーツ活動において、スポーツ医科学の到達点というものがあると思う。だから、スーパーキッズはある意味一流の指導者によってきちんと練習されると。これは精神的なことも含めて。これは大変素晴らしいと思う。だから、そこで学んだ子どもたちが中学校などの部活に行くと、かなりのズレを感じている。そういう意味で、スポーツ庁から通知がきたから―ということも大事だが、スーパーキッズで一部の将来性のある選手を育てることは大事だが、九十数パーセントの子どもたちが部活動で指導を受けていて、そこと大きな落差があったらおかしいと思う。これは体協や高野連や陸上競技連盟だとかいろいろあると思うが、スポーツ医科学の到達点がどのように現場の指導者に徹底されているのか。

【スポーツ振興課総括課長】
 指導者に対する周知や助言については、さまざまな階層ごとに研修会等を実施している。例えば、ジュニア選手だとか、県内を回りながらコーチング能力やスポーツ・インティグリティに関する指導を受けるという形での研修会、そういうことをやりながら、具体的にスポーツ・インティグリティに関係するような、社会常識も含めた指導を行っている。そういうことで指導者の質を上げて、その裾野の拡大を図りながら県内でもスポーツ振興を図っていくという考えでやっている。その考え方により、具体的には指導者への研修会だとか講習会等を通じての取り組みというのが現在の状況ということである。

【斉藤委員】
 詳しい中身は後で資料でいただくことにして。
 例えば、高校野球の県大会決勝で佐々木朗希投手が投げなかった。これは大きな話題になって、私は素晴らしい決断だったと。将来性のある選手をしっかり育てるという点で話題になり、球数制限というのも今議論されている。そういう意味で、小中高と成長過程の中で、どういう練習が必要なのか。まさに医科学が問われると思う。岩手県では、大谷翔平だとか菊池雄星だとか全国がびっくりするような素晴らしい選手が出ていて、「なぜ岩手から」と言われるぐらい、ある意味岩手はそういう選手を育ててきたという側面もあると思う。その点でいくと、「アスリートファースト」と先ほど言われたが、小中高の成長過程に対応したトレーニングということが大事だと。
 もう1つ感じるのは、陸上競技の話を聞いてびっくりしたが、中学校では毎月のように大会が入ると。あれはやりすぎではないのか。大会のために―となってしまう。もっと中長期的に子どもの成長を考えながらやらないと、本当の意味で大成しないのではないか。大会のあり方というのも、成長過程に応じて選手を育てるという点でいけば見直す課題が多いのではないか。
 学校であれば学校の責任が問われるが、学校外のクラブ活動でもパワハラがあり、そこでパワハラを受けた子どもの親がどこに相談していいか分からないと、こういう相談が私のところにあった。そうした相談体制、相談があったらきちんと対応すると。私が6月に取り上げた案件は、実は日本スポーツ協会の相談窓口に相談して、そこから県体協→学校というルートで調査依頼がきた案件である。岩手県でどこに相談すればいいか分からないと。そういうこともしっかり示してやることも大事ではないか。

【スポーツ振興課総括課長】
 冒頭お話した通り、相談窓口については、「スポーツにおける暴力行為等相談窓口」というものを県体協の中に設置し、相談を受け付けるということにしており、また競技団体の方にもその旨を通知している。
 今言われたお話も踏まえ、スポーツ・インティグリティの一層の確保という観点からも、相談体制があるということは再度各競技団体等を通じて市町村体協も含めて周知したい。