2021年5月12日 
新型コロナ対策の抜本的強化を求める申し入れでのやりとり
(大要)


【菅原県委員長】
 達増知事には、5月9日の私どもの東北ブロックオンライン演説会に、心あたたまるビデオメッセージをいただきまして感謝申し上げます。小池書記局長も高橋ちづ子さんも、大変喜んでおりまして、お礼状を渡してくれということでしたので、先ほどお渡ししたところです。
 さて今日は、全国的な新型コロナ感染拡大の下でですね、緊急に私どもからも申し入れをさせていただきたいということで設定をさせていただきました。もうすでに報道されている通りでありますけど、緊急事態宣言が4都県から6県ということで広がって、今日の報道を見てみましたら、北海道、愛知で一日として最高になるということも報道されております。
 そういうことを踏まえて、また県内でも大変深刻な感染拡大、昨日の盛岡の矢野所長の記者会見を見て、10万人当たり16.09(盛岡市)、その人数から言えばステージ3という段階だということで注意が喚起されると。先ほど3時からの県の記者会見で、野原部長の変異株のお話も聞かせていただきましたけれども、変異株が県内でも広がりを見せるということになれば、大変感染拡大と重症化も心配されることなので、その点では本当に県政として真っ先にやらなければならない仕事になっていると。このようになったのは私どもは、やはり菅政権の後手後手、我々からすれば無為無策ということになるんですけれども、それがもたらしたものだと思っております。
 同時に、オリンピックもどうなるかと。世論調査は「中止」か「延期すべき」というのが多数でありますけど、ちょっとこの状況の下ではなかなか難しいんじゃないかと私どもは考えております。
 ぜひ県民の命と暮らしを守る立場から、今日の内容をご検討いただきたいということで、よろしくお願いしたいと思います。詳細な内容については斉藤県議団長からお話させていただきます。よろしくお願いします。

【斉藤議員】
 それでは私から。
 県もですね、国の予備費の具体化も含めて5月24日に臨時議会を開催するとお聞きをしました。そのことも含めて、事業者に対する支援にとどまらず、全国的な感染の急拡大、県内でも4月5月感染拡大している中でですね、いま思い切った手立てを講じることが必要だと。そうした対策と補正予算の編成を今日は申し入れるものです。
 大きな柱は5つ、17項目です。
1.検査体制の強化
 1つは、PCR検査を抜本的に強化して、新型コロナ感染拡大を封じ込めると。クラスターが発生している高齢者施設等の職員・入所者の定期的PCR検査を直ちに実施することということで、4月5月にかけて2件高齢者施設のクラスターが発生をしました。その点では一番危険なところと言いますか、そういうところでのクラスターが最近発生したということで、私は高齢者施設の職員・入所者に対する定期的な検査を今思い切ってやるべきだと。盛岡市は、感染拡大の兆候が出たら、1ヶ月間毎週検査するという予算化をしました。盛岡も今やるべきだと思っているんですけれども、全県的にもそういうことで、江刺については県が判断をして高齢者施設の検査をやったと。奥州はさらに独自に検査を広げるという、いまそういう時期なので、ぜひ高齢者施設等の職員・入所者の定期的な検査にただちに踏み出していただきたい。
 2つ目に、医療機関の従事者、障がい者施設、保育施設、学校などの検査も実施をすることが求められているんじゃないかと。
 合わせて、これは政府も言っていることですが、抗原検査を積極的に活用すると。ウイルス量の多い陽性患者は抗原検査で確実にキャッチできると。制度はPCR検査ほどではないけれども、感染させる人たちはキャッチできると言われていますので、この抗原検査も積極的に活用すべきだと。
 あとは、変異型ウイルスの遺伝子検査の徹底と定期的公表というので、今日部長は記者会見をやられまして、N501Yも9件出ているという今日の記者会見を見てびっくりしたんですけれども、いよいよかと、そういう大変危険な兆候が出てきたということだと思いますので、これに対する具体的対策、私はもう検査以外にないと思いますけれども。
 そして広島県では「いつでも誰でもどこでも検査が受けられる」体制をすでに実施して、150人の無症状の陽性患者を発見して対策をとっていると。クラスター発生を事前に防止できたと言われていますので、ぜひそういう検査ができる検査体制の強化、実は慶応大学の先生が都道府県の感染対策をランク付けして、第1位が鳥取県でした。ここは約5000件の検査体制をつくっているんですよ。そういう点でいけば幅広く検査をする体制をつくっているということで、岩手県でもそういう規模で、いま思い切った検査体制を確立することが必要なのではないかというのが第一の柱です。
2.ワクチン接種
 第二はですね、早期にワクチン接種が実施できるように取り組みを強化すると。本当に国民的な大変切実な課題です。
 そこで1つは、医療機関従事者のワクチン接種を早期に、ある意味前倒しで完了させることが必要なのではないかと。今日のニュースでは、岩手県の場合、1回目を接種したのが84.1%、2回目が26.2%、6月までかかると。いわば、ワクチンを打つお医者さんがまだワクチン接種していないというのが現場の大変深刻な矛盾なんですね。だから医療従事者は、前倒しで早く完了させて、ワクチン接種に集中できるような体制が必要なのではないか。
 そして高齢者施設等の従事者については、厚労省は1月28日、県は4月30日に通知を出しまして、高齢者施設の入所者と同時並行で早期接種できるように通知を出しています。ただ徹底されていないんですね。この間一関に行ったら、やはり前の順番通りなんですよ。高齢者の次に基礎疾患のある人、高齢者施設の従事者。通知では「できる」という形になっているんだけれども、この間の高齢者施設のクラスターも、職員から広がっているんですよ。ある意味この介護施設、高齢者施設の従事者を優先してやらないと、高齢者施設の感染を防げないということですので、この周知徹底をぜひ図っていただきたいと。高齢者の接種始まっていますけれども、おそらくどこでも高齢者施設がその中でも優先なんですね。従事者はそれとセットでやるということですから、早急な徹底を図っていただきたい。
 それから町村会からも要望あったようですが、市町村への支援を県としても強化して、診療所での個別接種、集団接種における医師・看護師・薬剤師等の配置、各医師会との強力・支援の体制を確保していただきたいと。盛岡を聞いたら、ほとんど個別接種、開業医任せなんですね。ちょっとこれで本当にいいのかという危惧を持ちました。その点では、よくそれぞれ市町村の現状に合わせて多種多様な形になっていますので、よく把握をして必要な支援をやっていただきたい。
 それと必要なワクチン接種の供給計画を国に強く求めてほしいと。2週間単位なんですよ。それで7月までにやれと根拠なく言っているんですよね。逆にいけば菅政権はワクチン接種しか考えてないといってもいいぐらい無策です。やっぱり供給計画も、7月までにやるんだったら7月までの供給計画をはっきりさせてやる必要があるんではないかと。盛岡は8月までかかるということが新聞でも報道されていますけれども、無理なくしっかりやらなくちゃならないと私は思います。
 そしてワクチン接種に関わる必要な財政支援ですね。一関では高齢者にタクシー券を出すんですよ。2回分、4往復で4000円。これは市単独の予算なんです。そういうさまざまなワクチン接種にかかる経費ありますし、盛岡の場合は、インフルの予防接種受けているのは高齢者の半分なんです。だから、インフルの予防接種を受けてないような高齢者にどのように今度の新型コロナのワクチン接種を受けてもらうかというのは特別の努力が必要なわけですから、そういう手立ても含めて対応していただきたい。
3.医療機関への減収補填、病床確保
 大きな3つ目が、医療機関に対する減収補填を行って、必要な病床確保と宿泊療養施設を確保するということで、保険医協会の調査がまた新聞報道で出ましたけれども、やはり減収、受診抑制で。だから基本的には国が補てんすべきだと思うけれども、県としてもこれを考える必要があるのではないか。N501Yが広がってくれば急速に感染広がりますし、患者も増えますので、その点では病床確保、そして宿泊療養施設も2ヶ所までは契約したという話も聞きましたけれども、そういう手立てをしっかり取っていただきたい。
4.事業者への支援
 大きな4番目は、大きな打撃を受けている事業者に対する十分な補償と支援ですけれども、地域企業経営支援金は国会でも評価されて紹介されておりました。ぜひ業種を拡大すると。あと売り上げ減少が3ヶ月で30%というのは、これは以外と厳しくて、ボーダーラインの方々が対象にならないという切実な声も出ていますので、そうした形で拡充すべきではないかと。
 あとは、これも国の通知があるんですけれども、第三者認証制度ですね、この導入を岩手でも図っていただきたいと。盛岡の飲食店も、よく聞きますと、やはり感染対策をしっかりしていないというんですよ。マスクもしていなかったとか、アクリル板なんかも不十分だったと。実際はそうなっているので、やはり県がしっかり認証して、ここは安全なところですよと。私は時短営業なんかよりしっかりした感染対策の方が効果あると思いますし、山梨は東京の隣でそんなに感染出ていないんですね。そういうこともぜひ具体化していただきたい。
 あとは「いわて旅応援プロジェクト」、ホテル関係者から聞きました。「ゴールデンウィークは県内の旅行者で大変助かった」と。満室近いところも出ていたという話も聞きましたので、県や市町村の支援とセットで、かなりこれはカバーできたのではないかと。感染状況を見ながらですけれども、6月以降の継続を検討していただきたい。
 あとは国に対して、第4波ですから、持続化給付金、家賃支援金の再給付、雇用調整助成金の特例措置の延長、この特例措置は5月で終わりなんですよ。あとは減らしていくんですよ。そういう状況じゃないと思います。
5.東京オリンピック・パラリンピックの中止
 そして最後に、県委員長も触れましたが、東京オリンピック・パラリンピック。私たちは3つの点で開催できる条件がないと。ワクチン接種が間に合わないと。もう1つは、世界的なパンデミックで、フェアな大会が開けないと。3つ目には、医療従事者をオリンピックに現場から引き離すなんてことは現実的にはできないと。そういう意味できっぱりと、二階幹事長も「必要な時は中止を決断しなきゃだめだ」という話もしていますので、そういう時期じゃないのかと。
 こことの関わりで、県内の聖火リレー、ホストタウンの関係ですね、これは見直すべきだと。実はホストタウンも、選手を迎えたら毎日検査しなきゃだめなんですよ。関係者を含めて。それは事実上無理な話なんですね。すでにこれから行うところは、公道での聖火リレー無しです、九州は全部。そういう風になっているので。
 やはり今新型コロナ感染の抑止に全力を集中する時期で、錦織選手も「死者を出すような大会をやってはならない」という話もしていましたが、やはり選手を苦しめてはならないと思うんですね。首相が本当は決断しなくちゃならないんじゃと思っておりましたので。

 そういう点で少しまとまった対策で、いま思い切った対策を講じるときではないかということで今日は参りましたので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

【達増知事】
 全国的な感染急拡大の下で新型コロナ対策の抜本的強化を求める申し入れということで、日本共産党岩手県委員会、そしてまた県議団、このようにまとめていただいたこと、やはりいま全国的に感染者数がどんどん増え、過去最多過去最多とどんどん増えていますし、また変異株が広がって、それもあって過去を凌ぐような感染拡大があちこちに出ているということ、非常に大事な時期にこのような申し入れをいただいたと思います。
 岩手県においても、ご指摘の通り、高齢者施設でのクラスターもあり、5月7日には直近1週間10万人当たり12.0人と過去最高となったところであります。その後、若干減ってはいるんですけれども、減り続けるという傾向にはなっていなくて、9、10ぐらいのところ、横ばいという風になっていまして、やはり岩手にも変異株が一定の割合で入ってきているということで、増えやすく減りにくいというような構造になってきているのかなということで、今日は保健福祉部長から変異株のことを報告・発表し、あわせて今まで以上に基本的な感染対策を徹底することを県民の皆さんにも呼びかけたところであります。
 高齢者施設含め、社会福祉施設等クラスター発生に対し、PCR検査の徹底や強化、拡大方向にしているところでありますけれども、やはりPCR検査は非常に大事でありますので、今後も効果的なPCR検査していかなければならないということで取り組んでいきたいと思います。
 また、新型コロナワクチン接種が始まり、医療従事者さらに高齢者と進む中で、やはり基本的に早く初めて早く終わらせる、1人でも多く早め早めに接種していただくことがやはり基本だと思いますので、そこは岩手として、県も医師会や医療関係団体、そして市町村と連携をしながら、特に市町村が医療関係の人材不足でありますとかさまざま困っているところ、弱いところ等ありますので、県がしっかりそこをサポートしていきたいと思います。
 そして、長期化するにともない、また感染者が増えるにともない、飲食店はじめ事業者のみなさんの困窮もより深刻化していきますので、先ほど臨時議会のお話もありましたが、いま準備中ではありますけれども、その方向で事業者のみなさんの困窮に対する対策を講じていくようしっかり準備をしていきたいと思います。
 申し入れそれぞれ大事な項目であり、またそのようにしていかなければというところもたくさんありますので、これをもとに、参考にしながら県の方も対応していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。