2021年5月21日
高校再編後期計画(最終案)の
慎重な検討と見直しを求める申し入れでのやりとり(大要)
【斉藤議員】
忙しい中で時間をとっていただいてありがとうございました。
今日は高校再編後期計画最終案について、党県議団として慎重な検討と見直しを求める申し入れを行いたいと思います。
各地域からのさまざまな要望、県議会での議論を踏まえて、県教委が4月5月に地域の説明会を開催したと。これは私評価をしたいと思います。私たち県議団も4会場すべて参加をして、直接意見も聞きました。大変重要な意見が出されたという風に受け止めております。
県議会でもかなりの議論がありましたので、そうした県議会の議論、地区や行政、住民からのさまざまな要望を踏まえて、私は本当に慎重な検討を今すべきだと。
話によれば、来週24日に臨時の教育委員会議を開いて、策定するのではないかという話もうかがいましたので、大変私は危機感を持って。そういうことになれば、あの説明会は何だったのかと。アリバイづくりにしかならないんじゃないかという声も出るのではないかと思います。
それで、この間の行政、地域の要望、議会での論戦を整理して、それぞれの統合計画案について、具体的な要望を申し上げますので、ぜひ教育委員各位に検討していただきたい。
1.福岡工業高校と一戸高校の統合について
新年度の入学者の実績を踏まえて統合計画は見直し、県北唯一の工業高校として、福岡工業高校の単独存続を図るべきだと。
福岡工業高校の生徒が、昨年度は資格取得で特別表彰をはじめ多数の生徒がジュニアマイスターの顕彰を受けると。この実績は全国トップクラスと言われているんですね。経産大臣賞を受賞した生徒も出ました。そういうことも含めて、新年度に57人の入学者を迎えたと。こうした努力と実績を正しく評価して、福岡工業高校の学科減は見直し、県北唯一の工業高校として単独で維持すべきだと。2学科を私は十分維持できる状況が生まれてきているのではないかと。生徒の努力を正しく評価すべきだと。
2つ目は、県北振興は県政の重要課題であり、達増知事の公約でもあります。県北振興と人材育成の立場からも、県北唯一の工業高校として2学科を維持し存続をさせるべきだと。これは説明会でも、市の教育長、二戸市の副市長もこういう発言をされたと受け止めております。
3つ目は、総合学科制の一戸高校と学科減による福岡工業高校との統合は、工業高校としての専門教育と資格取得の取り組みに困難をもたらすものであり、見直すべきだと。総合学科制と工業高校の専門教育とは質が違うんですね。ましてや2学科だった工業科が1学科になったら、今までのような資格取得は難しいのではないかと。私は説明会の当日に福岡工業高校も訪問して、校長先生からもお聞きしました。そういう意味で、今度の入学者は一戸高校より福岡工業高校の方が多いので、その点でもこの統合計画は現状に合わないものになっているのではないか。
4つ目は、福岡工業高校の新校舎は、26億6千万円かけて県産木材を活用した最新鋭の設備が整備された校舎です。私もびっくりしました。県産杉材なんですね。そして24時間空調管理されて、黒板も投影ができるような黒板で、本当に最新鋭の。校舎ができた途端に福岡工業高校がなくなるというのは、あまりにもちぐはぐ。校舎整備のときの大規模事業評価のときには、統合計画は対象でないということで整備計画が認められているんですよ。そういうことも含めて。そして校舎制による統合というのがきわめて中途半端で曖昧です。A案B案と出ているけれども、私はどちらも合理性がないと。実は先日、文教委員会で宮古商工・宮古水産に行ってきました。宮古商工の校舎制も見て聞いてまいりました。実質はそれぞれなんですよ。新型コロナということもあるけれども、それぞれで授業されていると。クラブ活動でバスを出して交流していると。クラブ活動は統合しなくてもそういう交流はできるので、私はこの校舎制の検証というのは必要で、お金だけかかってあまり合理性がないと。負担も大きいという声もありますので。特に一戸と福岡工業は新校舎の活用を含めて、きわめて曖昧なものです。
そして5つ目は、地域説明会で私も大変驚きましたが、トップバッターは二戸市の教育長でした。2番目は二戸市の副市長が行政を代表して、福岡工業高校の実績を紹介して、県北振興の立場から福岡工業高校の単独存続を求めると。そして二戸の市会議員や同窓会やさまざまな方々、11名が発言をしましたけれども、一戸の方1人は計画には賛成だと。もう1人は賛成でも反対でもないと。あとはほとんどが福岡工業高校の単独存続を求めるという中身だったと受け止めております。行政をあげて単独存続を求めている時に、そういう地域・地方の声を無視して統合を決めるべきではないと。あくまでも地方自治体との協力・共同の関係をしっかり県教委としても構築すべきではないか。
統合計画たくさんありますけれども、私は福岡工業高校と一戸高校が一番矛盾が深いのではないか、というか見直すべきではないかと感じております。
2.盛岡南高校と不来方高校の統合計画について
これについては、課題と問題点を検証して、統合計画を見直すことが必要だと。
やはり共通してこの間ずっと出されているのは、人口・世帯・生徒数が増加している盛岡盛南地区・矢巾地区、この2つの高校の統合というのは、地域の生徒の進路選択に大きな影響を与えると。いわば一番生徒が今後も増加する、そういう見込みのあるところで、なぜ一定の規模の高校をなくしてしまうのかと。これがこの計画では私は一番の矛盾だと思っています。
そして2つ目には、盛岡南高校も不来方高校も特色ある高校として、盛岡ブロック内外から進学者が多く、スポーツではライバルとして切磋琢磨していると。こうした良さをさらに発揮させるべきだと。いま文科省・中教審で出されている高校改革の方向とというのは、普通科の改革なんですよね。特色のある高校を目指すというのが文科省の新たな方向なんですよ。そういうことを含めたら、こういう単なる進学校ではない、特色のある高校の良さこそ生かすべきじゃないかと。ライバルがなくなったら高校のスポーツ界にとってもマイナスに作用するのではないかと受け止めております。
あとは、盛岡周辺校の高校存続というのは大変重要な課題です。私たちもそう受け止めている。ただ、盛岡南と不来方の統合によって解決される単純なものではないと。また、盛岡一曲集中の解決となる具体的な根拠も示されていないと。私率直に言うけどね、私学に流れるという可能性の方が大きいと思います。私学は、この盛岡中心部は公立高校と同じ数あるんですよ。だから公立高校1つなくなったら、その分が盛岡周辺に留まるんじゃなくて私学に流れるという、そういうことにしかならないんじゃないかと。そういうことも含めて、盛岡一曲集中をどう解決するかというのは、統合だけではなく、やはり深い検討が必要なんだと思います。県内で地域に必要な高校を1学級でも存続を図る―このことは大変重要であり、この点では私今度の計画を評価していますが、一方で、7学級8学級こういう学校もつくると。これは当初の基本方向から逸脱したものなんですね。だからちょっとブレが大きすぎるんですよ。1学級の高校を残すけれども、7学級8学級の大規模校もつくる、残すという、このブレが大きすぎるんじゃないかと。計画の整合性がないんじゃないか。
そして、盛岡市は4度にわたって、市長・教育長連名の要望書を出しています。慎重に検討してほしいと。地域の声を踏まえてほしいと。異例のことですよ。4度にわたってというのは。そして盛岡市議会は全会一致で白紙撤回の意見書を出していますけれども、やはりこうした行政・市議会の要望書・意見書を誠実に受け止めるべきだという風に思います。
3.一関工業高校と水沢工業高校の統合について
このブロックを越えた統合計画については、地域の疑問と不安に丁寧に答えることが必要だと。この2会場については、単に反対というんじゃなくて、やはり統合のあり方について疑問と不安があるというのが特徴だと受け止めております。
その課題と不安は何かというと、ブロックを越えた統合計画で、どこに整備されるのかと。そのことによって生徒の通学の便、進路選択に対する影響、このことが一番の問題だと思います。だから、ブロックを越えた統合、位置も含めて考え方をもっと提起しないと、一関は一関に、奥州は奥州にと、こういう風になってますから、そこらを決めた上であとは第三者にというだけじゃなく、もうちょっとこの統合のあり方については踏み込んだ考え方を示すべきではないのか。
2つ目の課題は、地域の企業との連携と人材育成の方向を具体的に示すこと。特に一関なんかは、やはり企業との連携が今強まりつつあって、大きくなって統合してそういうことがさらに前進するのかというよりは、不安を感じている方が大きいんですね。今までのような企業との連携が弱まるんじゃないかという。私は、そこをきちんと地元企業との連携や人材育成の点で、統合がどういうメリットがあるのかということを示さないとだめなのではないかと。
そして、ブロックを越えた統合というのは、これは計画でも5年以内じゃなくて、5年以降も含めて統合という計画ですから、その点では慌てることなく、その必要性を丁寧に説明して大方の理解を得る努力をすることが必要ではないか。
4.宮古商工と宮古水産高校について
同一校地内での集約ということで、実はこれは私は議会では取り上げてなかったんだけれど、文教委員会で宮古商工・宮古水産に行ってきました。
改めて、最終案では、同一校地内で宮古水産も整備すると。しかしね、商業・工業を一体的に整備するのか、これもちょっと曖昧です。さらに宮古水産も同じところに整備するというのは、私は物理的に困難ではないかと。今の宮古商業の敷地というのは狭いんですね。そして土砂崩壊の危険地域になっていてですね。そうするとかなりの規模の用地を新たに確保しなくちゃならない。不便なところに高校が整備されるということになるんじゃないか。このことについて、真剣に検討した経過が見られないんですよ。
私宮古水産に行ってきましたけど、宮古水産は120年の歴史を持って、宮古商業と近隣のところにできている。なにもここは連携は可能なので、無理して同一校地内という整備は必要ないんじゃないかと。校長さんに聞きましたけれど、全然今度の計画について相談を受けていませんと。私たちも分かりませんという話だったので、ちょっともう少し丁寧な検討が必要なのではないか。
あとは、宮古商工の校舎制が今度の計画で解消されるのかどうか。
あとは、宮古水産高校はもう現在地での改築・整備が一番現実的ではないかと。このように感じてまいりました。やはり実習棟を持っているんですよね。工業ももちろん実習棟を持っていますから、2つの専門高校が実習棟を持っていて、それを1つというのは物理的に難しいし、統合しないのになぜ無理してそこまでという、そういう感じはしました。
5.統合計画のないブロックについて
生徒減少を踏まえた学級減について検討すべきだと。
統合については、10年後20年後こんなに生徒減りますと言うんですよ。では統合計画のないブロックはどうなんですかと。同じように減るんですよ。ところがそういうブロックは学級減の計画1つもないんです、この5年間で。私は片手落ちなんじゃないかと。生徒減少が大変だから統合と言いながら、計画のないところは全く手つかずという。そういう点では私は合理性がないのではないか。
各ブロック全体の整合性のある高校再編計画とすべきではないのかと。学級減を含めた計画も検討すべきではないかと。
教育は100年の大計とも言われますから、ここまで丁寧に地域の声、関係者の声を聞いてきて、いま最終段階にあるんですけれども、やはり最終段階で拙速にならず、しっかりどこから見てもよく考えられた、大方が理解できる計画だと、こういう風になるように、月曜日に決めましたということにならないように、ぜひ慎重な見直し含めた検討をお願いしたいということが今日の趣旨です。
【教育長】
ありがとうございます。計画全体の内容について申し入れをいただきました。
昨年度末ということで、3月末の決定は見送ったところでありまして、また、地域の要望等にも応える形でですね、この4月5月に説明会を追加で開催させていただきました。そこでもさまざま多くの意見も出されました。各地域での出されました意見、質問に答えた内容等について、先の17日の教育委員会議の後の協議の場でも、教育委員の皆さん方にその開催状況について丁寧に報告をさせていただきました。その上で、臨時会の開催についても協議をし、各委員さんからも日程等、都合等を確認した上で、24日に臨時会を開催するということで話がまとまったところでございます。その際には、本日のこの申し入れにつきましてもご報告をさせていただくことといたします。
そして、今回の申し入れの内容につきましては、項目も多岐にわたってございます。いろいろと私どもも、県民の理解を深めるために追加での説明会の開催ということでさせていただきましたし、開催したことによって理解も深まったところもあったと思います。例えば、一関地区についてもですね、内容についても賛同いただけるということ、また、今後の進め方についても、丁寧に進めていただきたいというお話もいただいてございます。
また、それぞれの地域での開催の際にも、細かい内容についてもご意見等いただいてございます。今回の申し入れと合わせてですね、各地区で出された意見等、これらも踏まえまして、委員と協議を進めてまいりたいと考えてございます。
また、今回の議論の中で、特にあまり出てこなかった宮古地区について若干触れさせていただきますけれど、現地を見ていただいたということでございますが、私どもも現地に何度も出向いて、そして校長先生方ともですね、しっかり意見交換実はしてございます。今回は、宮古市、それから向こうで組織をつくってご提案もいただいてですね、ぜひ一体的な整備ということもご提案いただきまして、また宮古市では、宮古市以外から宮古水産高校に入学している生徒に対する支援措置も新たに設けられたということでですね、地元の理解と協力、支援も一層強まっていると。
そして実際、商業校舎と工業校舎の校舎制ですね、これも一体整備することによって解消も図られますし、また春の高校野球では宮古商工がめざましい活躍をしているというようなこともあって、子どもたち一生懸命頑張っているということを目の当たりにしております。実際に狭く感じるんですが、そこはいろいろ技術の担当の職員も含めまして、現地でですね、グラウンド内に整備することによって、あとは旧校舎を解体してとかですね、しかも崖地の方は危険ですので、そちらをグラウンドにするとかですね、具体的な内容等についても検討を深めておりまして、ただ、まだ成案として決定しているものではないということもありましてですね、校長先生方と、それはもう決定事項のような形でいろいろお話できなかった部分はあるかと思います。そこはいろいろと詳細については詰めながら、今後は具体的な整備の方向性等についても、成案として決定された場合にはですね、しっかり学校と、それから地域の方々、同窓会、関係者の方々としっかりそこは丁寧な議論を行っていきたいと考えてございます。
これはあくまでも今回の臨時会の中で、各委員さん方と協議をしながら今後の対応等についてもしっかり議論していきたいと思っておりましたので、どうぞご理解の方をよろしくお願いしたいと思います。
【斉藤議員】
冒頭言ったように、福岡工業高校と一戸高校の統合が、私は皆さんの想定を覆して、57人の入学者、これは宮古商工の工業2学科より多いんですよ。一戸よりも多いと。素晴らしい実績をあげているという、私はこのことはしっかり評価しないと、やはり地域の理解も関係者の理解も得られないと思うので、そのことは特に検討していただきたい。そういう状況もあれば、今までは延期したり統合を見直したりしてきているので、県教委は。そういう努力と実績、私は2年3年推移を見ないとだめな状況になっているという風に思います。
その点で、この間の地域の要望と議会の論戦を整理して、このように申し入れましたので、よろしくどうぞ。