2024年2月9日
県立みたけ支援学校高等部へのスクールバス運行の実施を求める要請
佐藤教育長の回答
(大要)


【佐藤教育長】
 本日は、みたけ支援学校のスクールバス運行を高等部にということでのご要望ということで頂戴いたしまして、まずもって日頃からですね、さまざまな障がいを抱えながら学習等に取り組んでいるということで、一緒にさまざま支え日常生活を送られているということに対して本当に敬意を表します。我々も支援学校設置者として、支援学校の教育自体がより良いものになるように、常日頃真剣に努力を重ねてきております。
 そういった中で、5月22日に、この件につきましては要請もいただきましたし、その際にもお伝えした通り、例年のPTAの要望などにも入れておられるということで、書面でいただいているもの、それから正式には対面してご要望いただいたのが5月22日が初めてなわけで、その際、我々も「一生懸命検討してまいります」というお答えもいたしました。
 その後ですね、支援学校に今日斉藤先生行かれたという話ですが、学校はもちろんですが、学校から県教委に話をしてという話もいただきましたが、実態は一緒になって相当程度検討してきております。さまざまな方法で実際のところはここまで検討してきておりましたが、大変申し訳なんですけれども、現時点でその目途が立っておりません。実際はさまざまな課題、クリアすべき課題があって、事例ができていないというのはその通りでありまして、ただその際の要望にもありました通り、来年すぐ高等部にというお子さん、自力での通学が困難という話も頂戴しましたので、そこも一緒に学校と検討する中で、タクシー利用でという方向で現時点では一定の結論を導いてきたということでございます。
 さらに本日、さらなる要請を頂戴いたしました。我々不断の、こういうことをいただいたことも踏まえまして、さらに検討をしていかなければならないなという風には考えてございます。ただ我々としても何とか実現できないかということで考えてきていると。策を、案を、何個か検討してやってきているというのも実態でございまして、皆様の思いというのは重々届いておりますので、最大の努力は我々もしていきたいとは思っていますが、なかなかどの案も一長一短あって簡単にはできないというのが現状であります。
 スクールバスは15校で、バスが出ているのが半分しか実はない中で、小中も今後ないという学校が半分という状況もあります。
 なんとか我々も、小中出させていただいている、さらに高等部までもっていけないかということは真剣に中で協議しているんですが、繰り返しになるんですけれども、現時点で良いお話ができないような状況だということは率直にお話しなければならない状況です。
 今後の見解については、こういう緊急的に調査されたということでありまして、今後どのような段取りで検討を進めていくかということについては、真剣に中で議論したいと思います。そういう状況にあるということをまずご理解賜ればと思います。

【保護者】
 策や案を検討してくださっているということで、ただちょっと上手くいかないことが多いという話だったんですけれども、具体的にどういったことが検討を阻んでいる理由なのか、その内容を教えていただきたいと思います。

【教育長】
 コースを延長するということで、いま自校バスですが、あるいは新規に委託するなど、さまざま考えられます。それから時程の関係とか、対応する人の関係とか、案によってはお金の問題とか、さまざまな越えるべき課題があって、「はい、4月からこういう風にします」というのがなかなかご提示できないということで、多くの方に自家用で送迎させていただいているという状況、斉藤先生からお話があった通りではありますが、そういった中で、何を最優先すべきかと、4月から通えないお子さんがいるので、そこを何とかしなければということで、そこはこうしましょうということで、進めることはできるんですけれども、じゃあバスもう1台なんとか…というところまでは答えが出せていない状況ということになります。

【保護者】
 ということは、来年度の分は今このように解決案を出して解決していただいたということは分かるんですけれども、引き続き私たちの要望としては、そちらの方にまだ投げてある状態で、さらに検討はしていただいている段階ということでよろしいですか。

【教育長】
 検討は引き続き進めていきます。これで最終結論という話にはならないです。今回さらにご要望いただきましたので、いま申し上げたような課題が横たわっていて、それらの解決に向けて努力、知恵は絞るということはしていきます。大きなくくりで、3つの案で検討してきたのが実際のところです。

【保護者】
 今までも何回かこのような要望は、形としてはあげられなかったんですけれども、そのような時にも考えてはくださっているんですが今までも何も変わらずずっと同じように「検討します」ということで、今まで多分そのままきているんですよね。そして要望として出したけれども、やはりそれは変わらないということですか。

【教育長】
 いま申し上げた通りで、我々は最善の努力は続けます。ただ、いつまでにこういう結論を出すという話が、いまこの場で差し上げる状況にはないということでご理解いただきたいと思います。

【保護者】
 良い方向に考えていただいているけれども、何も前進しないということは、私たちも一緒に何か考える場をほしいというか、良い方向に考えるというのが限界があるんじゃないかなと思ったんですけれども、そしたらその限界がある状態だと、解決することを私たちは期待していいものなのかというところも疑問でして…。

【教育長】
 我々としても、目途が立っていない状況下で「バスが走りますから乗られますか」というのを、設置者として安易にご紹介するのは、我々とすれば無責任かなというのが正直あって、そういう意味では、いま目途が立っていて進んでいるという段階で「何人乗られますか」というんだったらいいんですが、なかなかそういった意味で調査ができていないじゃないかというご指摘はあるかもしれないんですが、そういうこともあり今回このように確認をいただいたと。
 我々は我々なりに、教育相談の中でうかがって、毎年2月に最終確認ということで、翌年度あがる保護者の方々にお話をうかがうということは今年度も対応していきますが、そういうことで、5月22日に改めてこういう形でご要望を直接いただいたということで、従前とはまた違って、さらにしっかりと具体の案を練って検討してきたということは申し上げられます。そこは、学校まかせとか県教委だけでやってきたわけではなくて、一緒に考えてきていますので、今日こういった形で「やります」と言えないことはきわめて心苦しいのではありますが、本当に我々としても最善の努力をしてきていますということは申し上げられます。

【保護者】
 具体的な案が出るまでは、調査は行わないんですか。バスを運行できますという準備ができるまでは、アンケートはとらないんですか。

【教育長】
 今後どう進めていくかということについては、今回このように書面をいただきましたので、また内部でよく考えていきたいと思うんですが、案を持っていないで「どうですか」とアンケートをとるのは、我々として責任あるアンケートになるのかなと…。

【保護者】
 逆に私たちが「通学どうしますか」と学校から聞かれたときに、そもそもスクールバスがない状態だというのが頭にある状態で言われたら、「だって無いじゃん」と言うしかなくて、送るしかないんだったら「送ります」と答えると思うんですよ。しかも支援学校に行っていないお母さんたち、例えば地域の普通の中学校なんかに通っているお母さんたち、本当は支援学校に行くべきなんじゃないかというお子さんがいたとして、「なぜ支援学校にしなかったの?」と聞いたら、「だってバスないもの。遅れないもの」とおっしゃるお母さんがいるんですよ。それが選択肢を狭めているんじゃないかなと私はとても感じていたので、私たちは選ぶ道がない状態の中で、どうしますかと聞かれても、バスを希望していても言えませんよね。それはそういう状況下にあって、私たちは選べる地点にいないというところで、そういう質問をされているというのも分かっていただきたいと思います。

【教育長】
 2月の相談の中でのお話の伺い方というのもあると思うんですね。たしかにおっしゃる通り、現状無い中で、それが前提になってはいるんですけれども、そういった中でよくお話を聞くというのは大事なんだろうというのは、いまのお話で理解いたしました。

【斉藤議員】
 私疑問に思うのは、5月22日の段階で高等部にスクールバスを求めているのは、あの時点でも複数いたんですよ。そういうお願いをしたんですよ。だから、本当ならその時点でどのぐらいの希望者がいるか実態調査をすべきだったんです。それを踏まえて、希望者の実態を踏まえて考えないと実現性がないんですよ。最終的にあなた方は、たった1人をタクシーでという、この根拠がないと思うんですよ。なぜたった1人なのかと。それはバスをやらないからそういう発想になるわけで、やはりバスを求めているわけだから、正確にどれだけ高等部で、今年22人で多いんですよ。来年度も同じぐらいの数だろうと校長さん言っていました。いま増えていると。これからその要望がどんどん多くなるんですよ。だからどれだけの人がスクールバスを求めているのかという正確な要望を聞いて検討しなかったら、検討に中身が入らないじゃないですか。
 もう1つは、決断ですよ。「スクールバスをやります」となったら、手立てが出てくるんです。利用する人が分からない中で検討しているから、全然腹の据わらないことになるんだと思いますよ。他の支援学校は少なくとも7校はやっているんだから。どういう形でやっているかを調べれば、いろんな手法があるんじゃないでしょうか。委託にしたって自校にしたって。だから高等部も、要望があるならスクールバスをやると、そこの決断をやった上でどうするか考えたら、答えは出てくると思いますよ。
 いまスクールバスをやるという腹が決まらないで、アンケートはとれないでしょう。だからそれは手遅れなんですよ。アンケート調査を先にとるべきだった。ただ、現段階で部分的な調査でもこれだけの要望が出たんだから、これは最後のチャンスですよ。真剣にあなた方はこれに対応すると。決断して対応するということですよ。方法はいくらでもあります。決断した上で方法を考えないと。

【教育長】
 お1人のタクシーありきでは全然なくて、先ほど申し上げた3案というのは、バスを走らせるためにはどうしたらいいかということを考えたと。それはもちろん走らせる以上は、一定程度乗っていただく前提で案を検討はしました。調査はしていないだろうと言われればその通りなんですが、我々はそこを真剣に、繰り返しになりますが、走らせるとしたらどういう方法で実現できるかということは考えてきたということは申し上げられます。我々としてやはり環境を良くするというのは、設置者の役割でもあるというのはその通りだと思いますので、今日もいただいた要望も踏まえ、学校ともまた相談しながら、どうしたら実現できるかしっかり考えていきたいと思っています。
 言葉で「こうします」と申し上げられればいいんでしょうけれども、少しそういうところにはまだないというのが、繰り返しで恐縮ですが。

【三田村市議】
 教育長が最善の努力をされてきたとおっしゃっていて、まったくその通りだと思うんですが、ただ、スクールバスの実施は最低限実施しなければいけないことだと思っているんです。
 盛岡市民の福祉を守る立場で一言申し述べさせていただければ、先ほどいろんな難しい課題に直面されていろいろ検討を重ねたけれども、いろいろなハードルがあって、それも事実でしょうが、ただ、保護者には何らの瑕疵もない問題、保護者が負うべき責任ではないと思うんです。結局、自立であるとかいろんなハードルというものが、保護者への負担の押し付けの自立であるとか、最大限努力しているという言葉に置き換えられているのではないかと不安の思いを感じました。
 タクシーの通学を検討されているという今日のお話でしたけれども、私も子どもの親として、いろんな特性があるお子さん、タクシーに1人乗せられるのか、途中でいろんなトラブルがあったり問題が起きたときにどう対応するのか、何かあったらどうするのか、それこそ大問題じゃないかということですとか、あるいは1人で乗せられないときに、お母さん方が同乗していく負担をどう考えるのか。いまジェンダー平等の観点からいっても問題ではないのかと思いますので、ぜひ、不断の努力とおっしゃいましたが、4月からやるためにはどうすればいいのかという視点でお考えいただければ。どうぞよろしくお願いいたします。

【斉藤議員】
 実態は6割が保護者の送迎ですから、そして今まで小中でスクールバスを使ってきた。これから無くなるというので、フルタイムで働けなくなる父母だっていますよ。そこのことを考えて、やはり先延ばししないで、決断したら道はすぐ出てきます。そうしないと実態調査もできない。希望者の調査なんてできないですよ。やはり「やります」ということでアンケートもやって、希望に応えると。
 一番考えなくちゃならないのは「誰ひとり取り残さない」ということです。これはスローガンではなくて実践の課題なんだから。

【保護者】
 去年教育相談を受けたのが11月だったんですけれども、その時点のお話で、もうそのときに「通学はバスが出ません」と言われたんですよね。分かってはいたんですけれども、そう言われたときに、私たちの声は届いていなかったのかなと思ったんです。だけど、タクシーでということは後から出てきて、先月受験して今月の頭には合格ということだったんですけれども、その時点でも私が一緒に乗ってタクシーで送迎してくださいということにほぼほぼなってしまっていて、やはりどうしても子どものことを考えていないなと実際思ってしまって、子どもがバスがこんなに好きなのにと言っているのに、伝わっていなかったのかなと去年のその時点で思ってしまったんですよ。考えてくださったのは本当にありがたんですけれども、ちょっとそれが悔しかったです、はっきりいって。

【保護者】
 5月の最初の要請から今日2月なんですけれども、前回は夫がこちらに出席させていただいたんですけれども、ちょっと疑問に思ったこととして、私たちは5月の要請から1月の「1名タクシーで」という話をうかがうまで、バス運行という方向できちんと進んでいると信じて疑っていなかったようなところがあるんですね。それがここにきて、青天の霹靂じゃないですけれども、なぜそうなったのかなということを考えたときに、いろんなことが不透明で私たちの目には何も見えてこなかったということがとてもあるんじゃないかなと。いろんなことを検討してご尽力いただいたことは感謝いたしますけれども、それが私たちの目にはまったく見えてきませんでした。何をどのようなことを考えて、いまどのような状況にあってということが、もう少し私たちの目に見えていれば、こんなギリギリのところでの要請にはならなかったんじゃないかと。私たち今回いろんな方の声を聞いたりしてやってきましたけれども、もっと私たちの目に見えるような仕組み、いまどういう段階で、どういう検討をしていますというのが私たちの目に見えるように定期的に分かると、とても安心して見ていられるので。どうなっているのか分からないのが一番不安なんです、子どももそうですけれども。今後検討していく中でそういう過程をきちんと見せていただきたいということをお願いいたします。

【教育長】
 お伝えの仕方、配慮を欠いたような形でお伝えしてしまったということで、申し訳ないと思っております。我々の一方的な都合とかスケジュールとかだけではなく、しっかりとその辺のご回答、状況の説明といったところ、今後しっかり対応していかなければならないと率直に思っているところです。

【保護者】
 私たちは立場が弱い側で、皆さんに助けていただいて本当に感謝しているので、敵対ではなくて、私たちを助けてくださるとても大事にしたい機関だなともちろん思っていますし、だからこそ、もしこういうことがネックだというのであれば、私たちに分かるように言ってくだされば私たちも一緒に考えたいと思っているので、本当に私たちを助けてくださっている大事な力のある方達だと思っているので、いつも助けてくださいとお願いするのもとても心苦しいんですけれど、私たちが頼るのがこちらしかなくて、どうか一緒にたたかってほしいと言いますか、良い方向にみんなで進んでいけるように、私たちも頑張りたいので、一緒に前進して行けたらと思いますので、どうかお力を貸してください。お願いします。

【保護者】
 バディウォーク盛岡というダウン症の啓発イベントが毎年10月頃に行われて、昨年は肴町のアーケードで行われたチャリティーウォークんですけれども、「バディ」というのは仲間という意味なんですね。私たちは敵ではなくて、一緒に良い方向に進んでいける仲間であってほしいと、教育委員会の皆様にも、教育長様にもそのように思っていますので、ぜひ私たちのバディとなって一緒に良い方向に進んでいくように検討いただければと思います。よろしくお願いします。

【斉藤議員】
 最後に、「どうしたら実現できるか検討する」と先ほど教育長は言明しましたので、これは確認をして。私はあきらめていないので。決断したらできるんだと思うんですよ。財源はいろいろありますよ。最後は予備費だってあるんだから。必要だとなれば教育委員会の外にだってあるんだから。もちろん教育委員会の中で措置することも可能だろうけど、いずれ切実な実態と要望、これはまともな要望なので、これにはしっかり応えると。達増県政はそういうことで去年信任されたわけだから、期待は大きいので、教育委員会は違ったとならないように、最後までどうしたら実現できるか検討していただきたい。政治は「決断」なので。