2024年6月13日
大船渡労働基準監督署からの是正勧告と指導を踏まえ、早期に実態調査を行うとともに、超過勤務手当の不払い分の支給を実施することを求める申し入れでのやりとり(大要)
【斉藤議員】
今回の申し入れでは、大船渡労働基準監督署の「是正勧告」と「指導」ということで、「是正勧告」では、「労働時間が8時間を超えているにもかかわらず、少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えていない」と。
「指導」では、「看護師について出退勤記録及び差し戻し記録を確認したところ、残業時間が適切に申告されていないおそれがあることから、過去11カ月(令和5年4月1日)に遡って、出退勤記録や電子カルテログ記録等による労働時間記録を確認するほか、当該労働時間記録を示したうえで、各労働者から事実関係について聞き取りを行うなどの実態調査を行い、その結果について、令和6年5月10日までに報告すること」と。
そして「指導」の中身としては、「実態調査の結果、差額の割増賃金の支払いが必要な場合は、追加で当該差額を支払うとともに、当該支払い状況についても併せて報告すること」、「実態調査の結果、労働時間が適正に把握されていない状況が認められる場合は、同種事案の再発防止のため、具体的な対策について検討の上、検討した結果とその実施状況について、令和6年5月10日までに報告すること」と。これが「是正勧告」と「指導」の中身です。
5月10日から1ヶ月以上が経過をしていて、私も聞きましたが、まだ報告はされていないと。
重要なことは、「是正勧告」と「指導」を受けたことが当該組合や職員に正しく伝えられていない。あと、それを受けてどう対応しているかも伝えられていない。だから、当局が本当に改善する気があるのかという状況がありましたので、この間3回の議会で取り上げてきた経過を踏まえて、今日はそういう状況を明らかにしていただきたいと。
今日は具体的には5項目。
@5月10日までにどういう報告がなされたか。
A「是正勧告と指導」で実態調査の内容は具体的に示されています。いつまでに実態調査を完了するのか、今後の具体的な計画を示していただきたい。
B「是正勧告と指導」の内容を県医労大船渡病院支部、並びに看護師・職員等に、やはりこういう是正勧告と指導を受けている、これに誠実に対応しているということをしっかり周知すべきだと。改めて大船渡労基署にも電話しましたが、「そういう状況なんですか」ということで、労基署もびっくりしていました。職員に伝わっていないと。
C実態調査の結果、早期の超過勤務の不払い分の支給を行うとともに、再発防止策を明らかにすること。これは指導でも求められていることです。
D大船渡病院における看護師等の超過勤務の申請を認めない異常な事態が発生し、改善できなかった原因と責任を明らかにすること。もうすでに結果的には、総看護師長が3月末で退職をされていると。病院からいなくなったというのは改善の一つの手立てなんだけれども、ただ退職しただけで済むのかと。おそらくこれからそれなりの不払いの支給ということになるでしょう。遠野病院のときには、88人中87人に1440万円の不払い分の支給があったと。今度規模が全然違うので、その数倍の規模になるのではないかと思うけれども、そういうことを含めて現時点での対応、医療局長はしっかり把握されていると思うので、明らかにしていただきたいと思います。
【医療局長】
まずもってこういう場を設定いただきありがとうございます。わざわざ来ていただいたということは、ご心配をおかけしているということであろうかと思っております。
労基署から是正勧告と指導を受けたことについては、医療局としても真摯に対応すべくいろいろと調整をさせていただいているところであります。
5項目ほどご要望をいただいているところでございます。
実態調査と結果ということにつきましては、労基署といろいろと指導書なり是正勧告をいただいてから調整をかなりさせていただいております。そういう中で、5月10日という期限をいただきましたけれども、5月10日の段階ではかなりいろいろ調査をしなければならないとか、調査の仕方をどうすべきかというのもありますから、進め方等を相談させていただいて、それを報告しましょうということで、労基署さんの方からご了解をいただいて、5月10日時点では調査の進め方などを報告するということにしたところでありました。ですので、今まさにそれを踏まえて労基署といろいろやりとりをしておりまして、早々に対応を出す予定ではあります。ですので、その調整状況等につきましては労基さんとやりとりしているので、当事者同士でのやりとり、職員とのやりとりは当面必要になろうかと思うんですけれども、当事者間以外での情報提供は少し差し控えるようにと言われているような状況でございますので、そこはご理解をいただければと思います。組合さんとは当然お話しますので、そこから先生方の方には伝わる形にはなろうかと思いますが、組合ともお話をせずに先に当事者同士以外にはということはご控えいただければということでございましたので、現時点ではそのようにご理解いただければと思います。
今後の具体的な計画でございますが、労基署からいろいろご相談をさせていただいて、調査方針をまさに詰めているところでございます。ですので早々に、できれば来週内にそういう形で方向性を示したいと考えているところでございました。ですので、ちょうどそのタイミングで先生方にいらっしゃっていただいたという状況でございます。
進捗状況を看護師や職員に明らかにしてほしいということで、当然職員の方で「対応が遅い」ということでご心配なされている方もあろうかというのは心苦しく思っているところであります。今までも、改善につきましては、さまざま対策を講じて、病院としても医療局としても職員にはお示ししたところでございまして、ただ指導内容等について、指導待ちかというのだけを示してもそれはどうなのかということもありますので、その対応も含めて今詰めており、そこを一緒に示していきたい思っていましたので、そこにつきましては病院支部ですとか看護師さんに今後随時情報提供して、職員のご協力を賜りたいと考えているところであります。
不支給分というか申請後にかかる支給を行うということと、再発防止策を明らかにするということでございますが、いずれ調査を踏まえて申請漏れがあったというような形につきましては、勤務実態、超過勤務の中身をしっかり確認しまして、追給が必要であれば当然対応を適切にしていくということで考えておりますし、再発防止策については、これまでも再三通知なり対応してきたところでございますが、改めて超過勤務の申請ですとか働きやすい職場環境づくりについて取り組みを進めていることを再確認しながら、引き続き職員の一層の理解と共感が得られるように、医療局としても病院としても進めていければと考えているところであります。
また、改善ができなかった原因等につきましては、ご指摘をいただいた後再三再四対応についてはいろいろとしていたところでございますので、いずれ原則、超過勤務につきましては、時間外に行った業務に対する手当は当然適切に支払うべきというのはその通りの認識でございますので、いずれ事前命令や事後確認の手続きの原則というのはその通りでございますが、必要な超勤はしっかり認めるということですので、事後報告につきましても確認の上進めていきたいと考えているところでございます。
【斉藤議員】
議会の答弁でも、労基署の指導でも、出退勤記録や電子カルテログ記録というのは把握しているわけです。調査しなくても整理すればすぐ出るものです。議会でもあなた方は「出退勤の時間は把握しています」、「申請された分は払っています」という答弁に終始をした。しかし超過勤務の申請を認めないというのがどういう形でやられたかというと、事前命令そのものが認められなかったのです。だから申請がそもそもできない。私の議事録読んでもらえれば分かりますが、「申請を出せばつきまとわれる」と。「なんで超過勤務が必要なの」と。ところが、打刻してから仕事をすれば何も言われないと。そういう事態が残念ながら大船渡病院には年度末まであって、私が予算委員会で取り上げたとき、10月に一度再申請させて60人に支払いましたが、10月11月12月1月と超過勤務の申請は増えるどころか減っているんです。事態は全然改善されなかった。本当にそういう意味で異常な事態で、私は院長とも何度か話しましたが、院長はきちんと「超過勤務を申請してください」と通知を出しているんです。ところが看護科だけはそうならなかった。そこに私は大変な異常さを感じて、一般質問でも医療局審査でも取り上げた。残念ながら医療局長の答弁は、最後まで総看護師長をかばう答弁だったのが本当に残念だけれども、ある意味中身はパワハラなんですよ。怖くて申請できない。だから300人の看護師のうち、10月の追加申請で、これは看護科じゃなくて事務局を通じたもので、これも異常なことですが、それでも60人しか申請しなかった。聞きましたが、「怖くて申請できない」という状況があの時点でもあった。それはずっと変わらなかったと。
労基署の指摘ははっきりしていて、「看護師について、出退勤記録及び差し戻し記録を確認したところ、残業時間が適切に申告されてない恐れがある」と。だから11ヶ月に遡って調査しなさいと。私も情報提供したけれども、労基署自身の判断での指摘なのだから、私はそういう意味でいけば、2ヶ月半経ってこれへの対応が見えないと。
組合や看護師さんにも改めて聞きましたけれども、一つは、やはり是正勧告と指導が出たこと自体は何も隠さなくてもいいことだと思うんです。どういうものが労基署から出たか。このことは、実は数日間メールには出たのです。だから私も教えてもらいました。あとは消されてしまった。だから多くの人たちが見ているわけではない。そしてそれに対して、病院が誠実に対応しているという姿勢が残念ながら見えないのです。この期に及んで、こういう重大な勧告と指導が出て、病院は誠実に対応しているというメッセージが必要なのではないか。
最近聞いたら、出退勤記録が病院の入り口に設置されたと聞きました。これは一歩前進で、院長が私と会ったときにそのことは言っておりました。そうしないと改善できないと。4月以降超過勤務の申請が断られるということはなくなったということも聞きました。ただ、まだ去年のトラウマがあって、超過勤務の申請をすることは自分の能力がないからだというような、そのように受け止めている看護師さんも少なくないと。だから一年間改善されないでずっときてしまったという、それが4月になって突然看護師さんの状況も変わるということになっていない。そういう点で、当局と職員が共同して働きやすい職場にしていくという点でも、病院が誠実に対応するというメッセージが必要なのではないかということで、調査方針は来週中にという話でした。調査方針が2ヶ月半もかかることではないと思うんですが、あとは客観的な記録はしっかりあるので、それを整理して、最終的には一人一人の職員と個別に面接をして最終確認をするということで、だいたい労基署からあったときには、不明なものは働いたということになるんですよね。お互い証明できないものは。遠野病院のときもそうだったと思いますけれども。
いずれにしてもそういう形で、ぜひ体制も一部変わっているし、この調査によって病院と職員の信頼と協力の関係が構築されるように、ぜひ目に見えるようにメッセージを発信してやっていただきたい。
是正勧告と指導に対して、こう対応していますという、病院が何もメッセージを出していないというのは分かっていますか。
【医療局長】
そこは、超過勤務の是正については、病院なり事務局長なりが、都度都度会議なりいろんなところでメッセージといいますか周知をしているのは聞いています。
是正勧告につきましては、対応を労基さんとしっかり詰めない中で、対応が二転三転するというのは不信感につながるでしょうから、ある程度労基署が認めた方向性を示した方がいいという意向でそういう形になっているんだと思います。
ただ一方で、超過勤務の是正については都度都度言っておりますので、そこについての対応が重要なのかなと。やはり職場環境の改善というものには。そこはしっかりやってもらっていると認識しております。
【斉藤議員】
分かりました。
そういうことでぜひ、これは昨年度の問題なので、私はできれば9月に決算議会もありますから、それまでには決着をつけて決算議会を迎えるという風にしていただきたい。