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《2011年5月27日》
当たり前の生活環境の保障、共同養殖施設への補助を
県議会・災害対策特別委員会で質疑に立つ


 5月27日、県議会・災害対策特別委員会が開催され質疑に立ちました。
 斉藤県議は、震災から二ヶ月半が経過した中で、温かい食事が一日一回以上出るところが78%にとどまっていると指摘。最大限栄養のある食事が提供されているか確認し、栄養調査も実施すべきと強調しました。また入浴についても、週一回程度しか入れない人が25%もいる実態を示し、限界を超えて避難生活している方々に当たり前の生活環境を保障することを最優先に対応するよう求めました。保健福祉企画室の高橋勝重企画課長は、「調理ボランティアの確保・支援等を行い改善に努めており、摂取栄養量の調査も今後集計される。入浴については給排水等の事情もあるが、市町村の担当者と協議し改善に努めていきたい」と答えました。
 斉藤県議は、「共同の養殖施設整備への補助がない」など、この間の漁協との懇談で出された切実な要望を紹介。国の二次補正が遅れるなら県が先行して予算化するなど漁民の意欲に応える対応をすべきと強く求めました。水産技術センターの煙山彰副所長は、「共同養殖施設については満足な補助になっていない。しっかり国に要望しつつ県としてどういったことができるか検討している」と回答しました。

 質疑の大要については、「議会報告」をご覧ください。


《2011年5月26日》
田老、宮古、重茂、三陸やまだ、船越各漁協を訪問懇談
養殖施設・ふ化場などへの助成措置を早く


 5月26日、朝7時過ぎ、盛岡を出発し宮古市へ向かいました。9時過ぎに田中尚、落合久三、崎尾誠宮古市議団と合流し田老漁協に向かいました。田老漁協は万里の長城といわれた高さ10メートル、長さ2400メートルの防潮堤のそばにあります。昭和8年の津波以後につくられたという堤防は、破壊されずに残されていますが、1960年のチリ地震津波以後につくられた海に面した堤防は破壊されています。津波は堤防を乗り越えて平場の田老の町を飲み込みました。田老漁協の事務所・建物は3階建ての鉄筋コンクリートの建物で、1階は津波の被害を受けましたが、2・3階は使用されていました。建物がよく持ちこたえたと感じさせられました。
 小林昭栄田老漁協組合長に党中央委員会の義援金を渡し、被災状況と国・県への要望を聞きました。被害状況は、動力船1トン以上が84隻、1トン未満が820隻、合計12億円余、養殖施設621台、9億円余、養殖ワカメや昆布などの生産物被害が7億円余で組合員の被害額は39億円余、漁協の被害額が32億円余など総計75億円余に及ぶとのこと。アワビ、ウニ、海藻など今後収穫できない天然生産物被害が15億円余に及ぶことも。
 小林組合長は、「真崎わかめ」復活へ養殖漁業の共同化から取り組むとし、漁協として600台あった養殖施設を当面300台確保し、7月にはワカメの種を取り、養殖施設の整備を始める必要があるが、国の1次補正では共同利用の養殖施設への補助が示されていない。9月からの秋サケの定置網漁業に向けて定置網の修理作業が始まっている。2ヶ統あるが2隻で1ヶ統の定置網漁に取り組むとのこと。船と定置の確保、ふ化場の整備も必要だが補助は機械のみで建物への補助がなく、県に緊急に要望を出したいと訴えました。さらに、海のがれきの撤去、40〜50p沈下した漁港の改修、加工センターの整備、二重債務問題の解消などの課題が提起されました。
 
国会で水産業の復旧・復興を訴え―大井県漁連会長
ワカメ、アワビ、秋サケの再建へ、時期を逸することなく対策を

 
 宮古漁協では大井誠治組合長に義援金を渡し懇談しました。大井組合長・県漁連会長は、前日国会の災害特別委員会で参考人として発言してきたとその内容を詳しく紹介されました。とくに水産業は時折おりの仕事があり、国の対策が遅く待っていられない。@ワカメ、アワビ、秋サケなどのつくり育てる漁業の再建が復興の第一歩になる。そのための漁場の回復、種苗の生産施設やサケふ化場・共同養殖施設の新設への時期を逸することない対策、A漁業、流通・加工業の一体的な復旧、B漁港等の整備、C漁業者の生活支援、C漁協を核とした地域の振興、Eそのためにも第二次補正の速やかな成立を求めたと話されました。また、マイナスからのスタートではなくせめてゼロからのスタートなるよう国の対策を強く求めてきたと述べました。また、漁業がだめになれば市町村も倒産しかねない問題だと強調しました。
 漁業の再建に向けて震災後1カ月で宮古魚市場を開いたが、水産加工施設が復旧しておらず、水揚げされたスケソウダラはいつもの3分の1以下の価格だったとのこと。養殖の再建には3〜4年かかるが、それまで漁民の生活をどうするか。産業を動かすことが雇用につながると話しました。また、栽培漁業センターの復旧、ふ化場の復旧を求めました。大井会長は、宮城県知事が提案している漁港の集約化と企業の参入を認める復興特区について、宮城県漁連も全員一致で反対しているが、漁民を殺す方法だと述べました。三陸沿岸漁業の再建へ固く握手してきました。
 昼食は宮古地区委員会で、朝、魚菜市場で買ってきたという活きのいい刺身と野菜いためのおいしい炊き出しの食事をいただきました。
 
漁協で船を購入し漁業の再建を
何をするにしても早く、若者を引き留める

 
 午後、日本の東端になる重茂半島に向かい、重茂漁協の伊藤隆一組合長に義援金を渡し、漁業再建の取り組みを聞きました。伊藤組合長は、全体で100億超える被害額となる。「まごまごしていると若い人から出ていく。どうして若者を引き留めるのかを考えた」「漁民は船に乗って海に出てこそ元気が出る。漁協として船を購入し、重茂の漁業を再建しようと呼びかけた」と語りました。「何をするにしても早くなければだめ、人心が離れないうちにすること」と強調、ワカメや昆布など「今やらないと1年だめになる」と述べました。この間船の確保に取り組み、修理して使える分を含めて200隻近くまで確保したとのこと。それでも3世帯で1隻の共同作業となり、ボイル、塩蔵など手分けして取り組むとのこと。養殖施設の整備については、国が事前着工も認めてもらえるようにしてほしいと要望。定置は大型が4つ、小型が1つあったが、20隻あった定置網用の船も10隻は使えそう、やりくりすれば間に合うと述べました。漁港の復旧も強く求められました。漁民は緊急雇用事業でがれきの撤去に取り組んでいました。日当は1日8000円で3ヶ月間だが、さらに延長してほしいと要望されました。

養殖施設への補助を、秋サケに間に合うように漁港の整備を
国の二次補正を待っていられない、県で対応を

 
 山田町に向かい、仮事務所となっている三陸やまだ漁協を訪問しました。生駒利治組合長に義援金を届け、国・県への要望を聞きました。生駒組合長は、漁港の集約化ではやっていけない。漁場のがれき撤去と海岸清掃に雇用事業で取り組んでいるが、2〜3年はカキ・ホタテの収入がなくなるので生活支援の雇用事業の継続を求めました。また、共同の養殖施設に対する補助制度がない。独自に整備した場合の事前着工も厳しいようだと新たな補助の実現と事前着工が認められるよう求めました。魚市場は約70p沈下しており、秋サケに間に合うよう漁港が整備されることを強調しました。漁協の事務所の再建でも県の補助がはっきりしていないと述べました。最後に、生駒組合長は、事務所の職員に共産党から義援金をいただいたと紹介しました。
 船越漁協を訪問し、港謙副組合長に義援金を渡し懇談しました。港副組合長は、160隻の船を注文している。ワカメは今から採苗など準備が必要で国の二次補正を待っていられない状況だ。養殖施設への補助がなく事前着工も認められないことは問題だと述べました。残存価格に9割補助という激甚災害法では対策にならないとも指摘。奥尻の場合は、補助率が高く、漁港も2年で整備され、漁船も組合所有にして3分の1負担のうち町がその3分の2を負担したと述べ、奥尻並みの支援を求めました。
 最後に、山田町を訪問し、沼崎喜一町長に義援金を渡し復旧復興の取り組み状況を聞きました。23日現在で死亡571人、行方不明296人、避難者は29カ所で2502人、在宅避難者が1166人で合計3668人とのこと。応急仮設住宅は今月末までに1410戸着工となり、遅くとも7月中旬には入居できる見通しだと述べました。
 県立山田病院については、仮設診療所は医師4名体制で再開すると医療局から説明を受けたと述べました。


《2011年5月23日》
紙とも子参議院議員らと大船渡市、陸前高田市の農協・漁協を訪問
義援金を渡すとともに第二次提言を紹介

 
 5月23日、紙智子参院議員らとともに、大船渡市や陸前高田市の農協、漁協などに義援金と先日発表した東日本大震災と原発災害にあたっての党の提言を届け、組合長らと懇談しました。
 大船渡市農協では菅生新一組合長らが、農業用水路が破損し、地盤沈下により排水もままならない状況で除塩作業ができないことを説明。津波に襲われていなくても、地震でキノコを栽培する木が台から落ちて壊れたり、停電で温度管理ができずに農作物の生産がうまくいかなかったりしていることを説明し、支援を求めました。
 越喜来漁協の及川繁高筆頭理事は、海中のがれき撤去で置き場が満杯になっている現状の改善を訴えました。吉浜漁協の庄司尚男組合長は「ワカメの養殖施設を漁協で共同経営しているが、復旧の補助は個人にしか出ない」と国の養殖施設の補償制度の問題点を批判しました。
 紙氏とともに、三浦正明、滝田松男、田中英二の各大船渡市議、藤倉泰治、大坪涼子の両陸前高田市議らも同行。紙氏は「提言では町の復興計画は地元住民、農業や漁業は現場の人が中心につくっていくことを求めています」と第2次提言を紹介しました。
 綾里漁協の佐々木靖男組合長は「養殖ワカメを来年から採れるようにしたいが、逆算すれば11月に種付けしないとできない。そのためには、2次補正予算を待っていられない。事前着工しても補助が認められるようにしてほしい」と求めました。
 大船渡民商では養殖業者らが「津波で重油が大量に流された。カキの養殖をしているが、ちゃんとできるかが問題。海底の油の撤去が先でその後、水質の調査が必要」と語りました


《2011年5月20日》
JA県中央会長澤会長、JA新いわて田沼組合長に義援金届け懇談
農家の二重負債の解消、牧草の放射性セシウム対策求める


 5月20日、東日本大震災救援募金の第二次配分で、被害を受けた県内の農協、漁協にも全国の募金を届けることになり、菅原則勝県委員長、西山剛県常任委員とともにJA県中央会を訪問し、お見舞いを申し上げるとともに、長澤壽一五連会長に党中央委員会の義援金(300万円)を渡し、被災状況や国等への要望などについて懇談しました。これには門脇功副会長、朝倉栄常務理事が同席しました。
 長澤会長は、農協の職員も11名死亡、2名が行方不明となっている、沿岸のJAの施設もJA大船渡については、本所施設のライフラインも復旧していないなど壊滅的な被害を受けたと述べました。農業関係の被害は推計で798億円余に及んでおり、全国の農協からも被災地・被災者への物的・人的支援活動が行われていることを紹介しました。今後の対策では、11項目の要望をすでに提出しているが、二重債務問題の解消が必要と強調しました。また、5月13日に明らかになった牧草の放射性セシウムの基準値を超える検出問題について、機敏な放射能測定と賠償などの対応を求めました。
 菅原県委員長と斉藤県議からは、志位委員長などの県内被災状況調査でも「マイナスからではなくせめてゼロからのスタートにしてほしい」と二重債務問題の解決が共通して出されたこと。志位委員長がその後、菅首相に対する第二次提言で債務の凍結・免除の提言を行っていること。岩手県の達増知事も2重債務問題の解消を政府に提言していることを紹介し、本格的な復興のためには政府の第二次補正予算を早急に示すことが求められていると述べました。
 午後には、JA新いわてを訪問し、田沼征彦代表理事組合長に義援金(100万円)を届けるとともに、懇談しました。田沼組合長は、600ヘクタールの水田が塩害被害を受けた。水田はがれきの山となっており、水田も家も流され避難生活をしながらがれきの撤去に取り組んでいる状況だと述べました。職員も1名死亡、40名が自宅を全壊、半壊等の被害にあっている。直ちに農家から46トンのコメを集め被災地に届け、炊き出しの支援を行ったと述べました。
 滝沢村の県畜産研究所の牧草から基準値を超える放射性セシウムが検出された問題で、午前中に県から11市町村の測定ではどこも基準値以下だったとの報告があったと述べました。国への要望では、JA施設の復旧、二重ローンの解消問題などが出されました。


《2011年5月17日》
二次被害を出さず、希望する仮設住宅に入居できるように
東日本大震災の救援・復興で第三次の申し入れ行う


 5月17日、県委員会は達増知事に対して第三次の申し入れを行いました。これは志位委員長を団長とする日本共産党調査団の内容を踏まえて行ったものです。菅原則勝県委員長と斉藤県議、瀬川貞清書記長、高田一郎県議候補が参加し、宮舘壽喜副知事が対応しました。
 申し入れでは、NHKの東北3県の聞き取り調査で災害関連死が524人となっていることを指摘。津波で助かった被災者の二次被害を絶対に出さない緊急対策を求めました。避難者の生活環境の改善、被災者カルテによる実態の把握と支援、希望する地域の仮設住宅への入居などを求めました。

二重債務の解消の提言、漁業等の再建
住民合意による復興を

 
 町づくりと復興の問題では、被災者の生活再建を最大の目的に、住民合意で市町村が県・国と連携して取り組むことを原則にすること。二重債務の解消のため「地域経済復興機構(仮称)」を立ち上げ、借金の凍結・債務の減免、長期無担保の新規融資を行うこと。漁業・農業・中小・商工業の再出発のための基盤の回復、被災者の生活補償と雇用の確保などを求めました。
 福島原発事故問題では、県内の牧草地から基準を超える放射性セシウムが検出されたことから、すべての市町村での放射線の測定と公表を求めるとともに、新たな安全基準による原発の総点検と危険・老朽化した原発の廃止を求めました。原発の廃止を決断し、原発ゼロへのプログラムを策定するよう国に求めるよう求めました。
 こうした課題を進めるためにも、国の一次補正の具体化や緊急課題については、6月定例県議会を待つことなく臨時県議会を開催すること。本格的な復興のための国の第二次秕政予算の実現を早期に行うよう求めました。
 宮舘副知事は、「多岐にわたる要望をいただいた」「概ね県として取り組んでいる。被災者の生活再建、市町村主体の町づくりを進めていく」「国の第二次補正に向けて県の要望・提言をまとめている」と答えました。

 申し入れ全文は、「政策と活動」をご覧ください。


《2011年5月12日》
震災後初めて全県議員交流会を開催
東日本大震災の救援・復興の取り組みなど交流

 
 日本共産党岩手県委員会は5月12日に、震災後初めての全県議員交流会を開催しました。午前中、菅原県委員長と斉藤信県議から6日、7日の2日間にわたり志位和夫委員長、市田忠義書記局長をはじめとした調査団の被災地訪問・懇談が重要な成果をおさめ確信にすべきこと、被災状況、救援復興の現状と今後の課題、地方選挙のとりくみについて報告しました。
 討論では、まず自ら被災した議員の方々から発言。陸前高田市の大坪涼子議員は自宅が流出、親戚に数人の犠牲者がでています。避難した米崎小学校で自治会をつくろうとなり実質的な責任者として活動。1ヶ月を過ぎた頃、ストレスもたまりトラブルが起こったときには集まってもらって「(被災)直後のことを思いだそうよ」話し合いました。犠牲となった及川一郎市議と交わした最後の言葉をのべ声を詰まらせました。宮古市の田中尚市議(地区委員長)は、支援担当の盛岡地区から食料品、衣類などとともに軽トラックも支援物資としていただき、日刊紙配達網再建に大きな助けとなったと感謝。震災前に山田町で看護師の木村洋子さんが町議選に立候補を決意し、看護師仲間の女性が「私も頑張らなければ」と支部長をかってでていたが、支部長は津波から患者さんを避難させていて犠牲となってしまったと言葉を途切れさせながら報告しました。釜石市の菊地孝市議、坂本良子市議は避難所、在宅避難者をこまめに訪ね要望を聞き、支援物資を継続的に届け地域の方と信頼を深めていることを報告しました。
 発言したすべての被災した議員が避難所で、仮設住宅で自治会長や責任者として奮闘し、日本共産党員・議員ならではの力を発揮している姿が明らかになりました。


《2011年5月6〜7日》
志位委員長・市田書記局長らが岩手県の被災状況を調査
6日には上野副知事と懇談、義援金の第二次分渡す


 5月6〜7日、日本共産党の志位和夫委員長、市田忠義書記局長、穀田恵二国対委員長、小池晃政策委員長が岩手県の被災状況の調査で岩手県入りしました。この調査には菅原則勝県委員長と私も同行しました。
 6日の午後5時、県庁を訪問し、上野善晴副知事と懇談しました。
 志位委員長は、冒頭、全国から寄せられた義援金の第二次分(1千万円)を渡し、「岩手県が復興の基本方針で掲げている二つの理念は重要な内容」と述べ、「被災の現状と国・政府に対する要望を率直に伺わせていただきたい」と挨拶。
 
避難所の生活環境の改善、行政機能強化と医療の人的支援
仮設から恒久的住宅へ、産業振興とまちづくりへの支援を

 

 上野副知事は、義援金について「県民のために使わせていただきます」と感謝を述べ、県内の死者が5月4日現在4335人、行方不明者3305人にのぼり、避難者は356カ所に37710人、移在宅避難者が22149人となっている。仮設住宅の建設が進んでいるが2カ月半から3カ月は避難生活が続くことから、食べ物、トイレ、パーテーションの確保など一部では不十分なところもあり、避難所の生活環境の改善に取り組み、二次被害を防ぐ対策に取り組んでいると述べました。避難者のメンタル面を含めた健康管理も必要になっている。医師・看護師・保健師などの人的支援とともに被害が大きい市町村には行政機能の人的支援も求められていると述べました。
 また、今後の復興の問題については、仮設住宅から恒久的住宅の建設への手厚い支援と水産業や地場産業の振興問題では、壊滅的な被害を受けており、これまでの債務についての取り扱いなど思い切った対策が必要と強調。水産業については、将来の希望が持てる抜本的な支援を求めました。町づくりについては、津波防災専門委員会で科学的な検討を行っているが、ハードだけでは防ぎきれず、ハードとソフトの両面で検討し、地元のコンセンサスを得て家屋や集落の配置を検討していくことが必要と述べました。国道45号線が海岸沿いにあることから、三陸縦貫道については、「防災ロード」の役割がありまだ計画の2割程度しか整備されておらず、早期の整備を求めました。三陸鉄道については、100億円を超える被害で、自力での復旧は困難であり、通勤通学の生活路線としてできるだけ早く普及できるようお願いしたいと述べました。
 志位委員長は、水産業の振興について、漁船購入への補助が3分の2で漁協の負担が重く、養殖施設についても激甚災害対応では残価の9割となっており購入価格の9割となるよう国の2次補正で抜本的に拡充されるよう取り組むと述べました。住宅の再建については、被災者生活再建支援法の300万円を引き上げるよう菅首相との首脳会談でも提起したこと。中小企業などの既往債務については、上野副知事の「延期や何らかの措置、金融機関が処理できる仕組みの検討が必要」という発言に、農漁業、中小企業、商工業などへの公的支援の実現に奮闘すると述べました。
 最後に、「達増知事が、政府の復興構想委員会で復興税に反対の意思を表明したことについて心強く思っている」と述べました。
 
一関市の青年ボランティアセンターを激励
 
 上野副知事との懇談後、調査団は一関市に移動し、一関市の日本共産党両盤地区委員会に設置された全国青年ボランティアセンターを訪問し、青年の皆さんを激励しました。青年ボランティアセンターではこれまで500人を超える青年が全国から陸前高田市内での浜の掃除や小学校の花壇つくりなどのボランティア活動に参加し、地域住民から大変感謝されています。この日も約60人がセンターに泊まり込んでいました。志位委員長、市田書記局長、穀田国対委員長、小池政策委員長がそれぞれ青年たちを激励しました。
 
陸前高田市の被災状況を視察
中里前市長を訪問、戸羽市長と懇談

 
 朝7時30分、一関市内の宿所を出発し陸前高田市に向かいました。この日から高橋千鶴子衆議院議員・東北現地対策本部長も合流。9時前に中里長門前市長宅に到着し懇談しました。中里前市長は、「2月に戸羽太新市長に引き継いだ直後に大震災にあい、二千人を超える死者・行方不明者を出す被害を受けたが、8年間市民の力つくってきた市政です。市民の力で復旧・再生させたい」と語りました。志位委員長は、「陸前高田市政が大震災に当たっても、市民が主人公の立場を貫いて、住民の信頼を強めている」「党市議団も震災で及川一郎市議をなくすという不幸の中で、藤倉泰治、大坪涼子の両市議が被災者支援に頑張っている、民主市政を発展させるために一緒に力を尽くしましょう」と話しました。
 藤倉・大坪両市議の案内で陸前高田市内の被災状況を視察。3階まで津波を受けた市役所、高田松原が消えほとんどの家屋が流された市内中心部、破壊された脇ノ沢漁港の状況を見ました。
 
復興のモデルになる町づくりを
二重ローン、商店街への補助を

 
 9時50分、戸羽太市長を訪問しプレハブの会議室で懇談しました。冒頭、志位委員長がお見舞いを申し上げ、第二次分の義援金を渡しました。戸羽市長は、身元が判明した死者が1054人、行方不明者が742人、確認調査中が452人に及ぶと述べ、「一人でも家族に帰してあげたい」と述べました。
 戸羽市長は、当面の課題として、雇用の場の確保、新しい町をゼロからつくるための専門家の支援・アドバイスを上げるとともに、陸前高田の町づくりは復興モデルになるべき地で、日本の力を示すことになると強調しました。そのためにも、被害を受けた土地を一時的に国に買い上げてもらいたい、あとで個人や行政に買い戻すことを検討してもらいたいと述べました。また、緊急の課題として、区画整理事業(17ヘクタール)で新築したばかりの住宅が多く被害を受けた。3月10日に新築したばかりの家が被害にあったケースもある。1日3400万円の家賃になった。商店街も頑張っているが何の支援策もない。「被災者には気持ちの支えが必要。そのために国の支援を」と述べ、二重ローンにならないような抜本的な支援策を求めました。漁業については、漁船、漁具漁港、海のがれき撤去などへの全面的な支援を特別立法で実施してほしい強調しました。
 
国道45号線とJR大船渡線の復旧で
新しい町づくりを

 
 戸羽市長は、新しい町づくりについて、国道45号線は海岸線にあり現状での復旧は難しい。JR大船渡線も含め防潮堤の役割を持つ形で復旧できるならその奥の平場の活用も可能になるのではないかと述べました。
 住宅の再建については、高齢化率が高く、住宅ローンを抱えており公営住宅が必要。みんなが入れるような市営住宅をつくっていく必要があると述べました。
 志位委員長は、「ローンに対する減免制度、自営業者への休業補償的な制度はぜひ必要」と答えました。
 
商工会、農業委員会、漁業者などから要望聞く
東部農協センター前広場で青空懇談会

 

 市内の東部農協センターの広場で、被災者から実態と要望を聞く青空懇談会を開きました。商工会会長、農業委員会会長、漁協副組合長さんなど70人の方々が参加しました。
 陸前高田商工会の阿部勝也会長は、自らも被災し避難生活をしているが約700の会員事業所のうち、8割の560事業所が被災し、約2割に当たる138人の事業主が死亡したが、65%の会員が事業の継続を希望している。社屋、家屋、車もなくなって、仮設店舗で再建をめざしているが場所が見つからない。国の復興計画を早く示して支援策を打ち出してほしいと述べました。
 市農業委員会の石川満雄会長は、600fの水田のうち400fが被災した。家屋も農業機械も流出した。「マイナスからの出発ではなく、せめてゼロから出発できる支援」を求めました。具体的には農業機械の確保、がれきの撤去、塩害対策など国の手厚い支援なしにはできないと強調しました。また、TPPについても食料の重要性から慎重に検討をしてほしいと求めました。
 カキ養殖漁業者の佐々木養一さんは、「船も岸壁も壊れ、国に早い対応をしてもらわないと三陸の漁業は終わってしまう」「小さい船でもいいから提供してほしい。海に出ないと機材の改修もできない。海に出ないと心がなえていく」「福島原発事故での海洋汚染は許せない」と述べました。高田民主商工会会長の佐藤吉郎さんも、「岸壁を直してほしい、抱えている負債については棒引きしてほしい。藤井総理補佐官にも直訴し『考えよう』との回答を得てきた」と発言しました。
 志位委員長は、「皆さんが大変つらい思いをしながら、新しい町をつくろうと頑張っていることが胸に染みました」と述べ、「大災害で自力では再建が不可能だ。再建の基盤の回復は国の責任だ。必要なことは新しい法律を作ってでもやる必要がある」「負債問題では、せめてゼロからのスタートとすることは最小限の要求だ」と答えました。また、原発問題では、「海に流すことは国際法違反で絶対に許せない。原発から撤退する計画を立てて取り組むことが必要」と述べました。また、復興の財源問題についても「大企業への2兆円の減税をやめるべき、10年間で20兆円になる。244兆円の大企業の内部留保を活用して復興国債の財源を確保すべき」と述べました。
 最後に、「市民の声」の菅野代表が挨拶しました。
 
地場企業の被災4割、従業員は4000人
野田釜石市長―せめてゼロからのスタートを

 
 陸前高田の懇談会の後、三陸縦貫道で釜石市に向かいました。車中で弁当を食べ移動。わずか15分程度で三陸町越喜来の道の駅に到着。午後1時前に釜石市駅前のシープラザに設置してある釜石市災害対策本部につきました。さっそく野田武則市長を訪問し、志位委員長がお見舞いとともに義援金を渡しました。野田市長から被災状況を詳しく説明を受け、9項目にわたる国への要望を受けました。とくに、地場企業の4割が被災し、その従業員は4000人に及び、二重負債が問題となっている。せめてゼロからのスタートとなるよう国の支援を強く要望されました。町づくりについては、人口減少と高齢化の中で、公営住宅とともに高齢者のための施設が求められている。被災した市民が住み続けられる対策が必要と話しました。また、地域ごとに状況が違い、地域にあった町づくりが求められていると述べました。
 志位委員長は、野田市長が沿岸市町村のまとめ役として、地元第一、被災者第一の立場で奮闘されていることに敬意を表し、被災者と被災企業が再出発できる基盤をつくることは国の責任だと指摘。住宅の個人保障を抜本的に拡充させるとともに、漁業・農業・商工業への公的支援制度もつくらせるなどして、「ゼロ・プラス・アルファ」の対策が必要と話しました。
 
釜石の避難所訪問
住んでいた地域を離れたくない

 

 旧釜石商業高校の避難所を訪問し、避難生活をされている方と避難所を運営している市地域包括支援センターの相談員から話を聞きました。68歳の女性は「仮設住宅がいま建設中で、早く地元の近くの仮設に入りたい」「お墓もあるし、住んでいた地域をはなれたくないという人が多い」と話しました。支援センターの相談員は、「今は顔なじみ同士で、大変なこともお互いさまという感じで暮らしているが、仮設に入ってからの方が心配です」と話しました。
 
大井県漁連会長と懇談、義援金を渡す
船の9割流出、国の支援で水産業の復興を

 

 三陸縦貫道を通り、大槌町の被害状況を見て宮古市に向かいました。午後4時、宮古漁協を訪問し、大井誠治県漁連会長と懇談しました。志位委員長が義援金を渡すとともに9項目の要望書を受け取りました。
 大井県漁連会長は、9項目の要望事項を丁寧に説明するとともに、「マイナスからのスタートではなく、ゼロからのスタートにできるよう国の支援をお願いしたい」と強調しました。県内の漁船は9割が流出し、県漁連が窓口になって船の確保に取り組み、公平に各漁協に配分するとともに共同で操業できるように考えていること。船確保の国の支援は3分の2で漁協の負担が重いこと。24漁協のうち14漁協の事務所も壊滅しており、特別の支援が必要と述べました。国の全面的な支援で海の中のガレキの探索と撤去を行うこと、また、宮古市と久慈市で魚市場を再開したことを述べました。
 志位委員長は、国の責任でせめてゼロからのスタートができるように求めていく。小型船の確保も3分の2から10分の10をめざし、養殖施設への補助も実費の9割補助になるよう新たな立法措置が必要と述べました。
 大井会長は、最後に、冷蔵庫などの民間企業にも国の支援が行われるようにすること、国の栽培漁業センター、県の栽培協会の復旧を求め、「今日の話し合いは、言いたいことが十分に言えて大変良かった」と述べました。
 
事業者の二重債務への支援、三鉄の復旧を
山本宮古市長と懇談

 

 午後5時からは宮古市役所を訪問し、山本正徳市長に義援金を渡すとともに懇談しました。山本市長は、水産加工業者や商店など事業者の二重債務問題について、国が買い上げるなどの対策でゼロからのスタートになるよう具体的な対策と支援を求めました。被災者の生活支援では、仮設住宅(3000戸の計画に2000戸の希望)をできるだけ早く建設すること。がれきの処理は、仮置き場が満杯で出口が見えない。三陸鉄道の早期復旧と支援を求めました。
 志位委員長は、「ゼロからのスタートはどこも共通の要求となっている。復興ができるまでの基盤整備は国の責任で行うべき」と述べました。
 一関市を出発してから、陸前高田市、釜石市、宮古市と周り盛岡市へ300キロ以上走ってきました。調査団はさらに一関市に移動し、8日は宮城県、9日は福島県の調査に入りました。


《2011年5月3日》
被災地でこそ問われる憲法・生存権
憲法記念日で街頭宣伝


 5月3日、正午過ぎから盛岡駅前で憲法記念日にあたっての街頭宣伝を行いました。高橋和夫盛岡市議の司会で、斉藤県議が訴えました。
 憲法施行64周年の記念日で、東日本大震災・巨大津波と福島原発事故という戦後最悪の大災害のもとで、被災者の命と健康、暮らしを守る「生存権」の保障が問われていること。大震災から助かった命を絶対に犠牲にしない緊急対策、人並みの生活の保障すること。住宅と仕事の確保という切実な要求にこたえる取り組み、地域住民主体の復興と増税ではなく、ムダ遣いをやめ、大企業の内部留保を活用した復興財源の確保を訴えました。
 原発問題では、原発の技術が未完成で危険をはらんだものであること、世界有数の地震国・津波国に集中立地している異常、「安全神話」にしがみつき安全対策を講じてこなかった三つの問題点を指摘し、原発の総点検と原発からの撤退を決断し、エネルギー政策を根本的に転換するよう訴えました。

 街頭演説大要は「政策と活動」をご覧ください。


《2011年5月3日》
被災地にこそ憲法・生存権を生かせ
憲法記念日のつどい開かれる


 5月3日、盛岡市のプラザおでってで「憲法記念日のつどい」が開かれました。つどいでは稲正樹国際基督教大学教授が「日本国憲法と生存権」のテーマで講演。憲法25条が具体化されなかったのは、25条を実現する政治をつくることができなかったからであると指摘。東日本大震災による被災地でこそ憲法25条の生存権の保障が問われていると強調しました。参加者からの発言では、川久保病院の小野寺けい子医師が、川久保病院にも被災地から百数十人の患者が来ている。大船渡市赤崎地区で医療支援に取り組んでいるが、開業医も9割方復帰しており、引き継げる状況になっている。被災地では自殺者も出ており、衣食住の確保が求められていると発言。釜石市出身の佐々木良博弁護士は、29日から2日まで釜石市・大槌町に行ってきた。友人・知人が十数人死亡・行方不明になっていると述べ、被災地で生存権を守るためには被害の状況にふさわしく国の支援・税金の投入が求められている。被災した中小企業や二重ローンを抱える住民は自力では立ち上がれない。また、国民も負担する覚悟が求められていると述べ、共生の理念が問われていると強調しました。
 つどいでは、歌声サークル「ひろば」の皆さんによる大震災の復興を願う歌「負けない みんなで 一歩ずつ」(高野修・作詞作曲)が披露されました。


《2011年5月2日》
大震災による農業被害の緊急対策を求める
県農民連が県に申し入れ


 5月2日、岩手県農民連(久保田彰孝会長)は岩手県知事に対して「災害復旧と営農継続のための緊急対策を求める要請」を行いました。東大野潤一県農林水産部長らが対応し、斉藤信県議が同席しました。
 要請では、@地震による農地の崩落や水路・農業施設の損壊などの復旧への助成、A震災後の停電、集荷の停滞、市場の休業による畜産・野菜の被害を保障すること、B水稲の生産目標数量配分を見直し、緊急に作付けを増やす対策を講じることなど5項目です。
 参加者からは、「搾乳した生乳を半月も廃棄した」「農地被害の測量・設計は自己負担になる」などの実態が訴えられました。東大野農林水産部長は、「農地被害の測量・設計の助成比率が低いので国に改善を要望している」「廃棄した生乳への保障はないが、死亡したブロイラーや養豚、肉牛への死体処理費用への補助はある」「沿岸部で浸水した農地については除塩の施設と技術開発を進め、作付けできない分は内陸部で生産数量を引き受けるようにしている」と答えました。