<<バックナンバーへ              


《2011年12月26日》
福祉と防災の新たな県政実現へ―被災者の生活守る緊急対策を
達増知事に2012年度予算に関する申し入れ


 12月26日、日本共産党岩手県委員会は達増知事にたいして来年度の岩手県予算に関する申し入れを行いました。斉藤県議と高田一郎県議、菅原則勝県委員長が参加しました。
 申し入れでは、東日本大震災津波復興の取り組みについて、すべての被災者の生活と生業を支援し、地域社会と地域経済の全体を再建する復興を強調しています。
 被災者の生活支援については、被災した中小業者や漁業者・農業者を含めて被災者に歳末見舞金・義援金の支給を行うこと、暖房器具や給湯設備をみなし仮設住宅や自宅避難者にも配備することなどを要望。
 中小業者への支援については、グループ補助事業を申請しているすべての事業者が対象になるよう増額補正することなどを求めました。
 漁業・水産業の再建では、漁協を核とした漁業・養殖業の構築と流通加工体制の構築や漁船の確保に全力をあげること強調。
 住宅再建については、被災者生活再建支援法の拡充を国に求めるとともに県独自に助成措置を講じることなどを求めました。
 また、原発災害から命と暮らしを守る対策として、子どもが近づくすべての場所などで徹底した放射線量の測定・除染を行うことなどを要望しました。
 さらに、被災した県立病院の再建を早期に進め、民間医療機関の再建・改修に対する助成を速やかに実施すること、高すぎる国保税の引き下げや特養ホームの待機者解消で県民のいのちとくらしを守る医療・福祉・介護の改善・充実を求めました。
 達増知事は、「被災者支援、復旧復興に奔走いただいていることに感謝する。重要な申し入れをいただいた。しっかり勉強し復興をより良いものにしていきたい」と述べました。

 来年度予算に関する申し入れの全文は「政策と活動」をご覧ください。


《2011年12月20日》
陸前高田市で「本年で語ろう県議会」開く
復興のあり方について熱い発言続く


 12月20日、午後6時30分から8時30分過ぎまで、陸前高田市の仮庁舎会議室で「本年で語ろう県議会」が開かれ、私も出席しました。各県議から9月・12月県議会について所感を述べ、会場いっぱいの参加者から発言、質問が活発に出されました。特に出されたのは「防潮堤の高さの問題」です。「12.5mの防潮堤は低すぎるのではないか」「今回の津波を考えたらもっと高い防潮堤が必要」「住民への復興計画の説明が1回だけで、もっと議論が必要だったのではないか」などの発言がたくさん出されました。また、「これまでの防潮堤が砂の上に鉄筋もなく、パイプの打ち込みもなくただ乗せられていたのではないか」との指摘もありました。集団移転や住宅再建への支援では、被災した土地の買い上げを被災前の価格で行ってほしいこと。住宅の再建への支援をさらに検討してほしいとの要望も出されました。また、漁民からは、船をつなぐ場所がない。1日も早く漁港の復旧をやってほしいと訴えられました。
 私は、参加者の質問に答え、防潮堤の高さの問題について、集団移転や土地のかさ上げなど地域の町づくりと一体の問題であり、本来地域住民の協議と合意で決めていくものではないか。大船渡の湾港防波堤は第1波で破壊されたとの県警ヘリの映像を紹介し、徹底した検証を行って湾口防のあり方を検討すべきではないか。被災者の生活再建・生業の再生を最優先に復興の取り組みを進めるべきではないかと述べました。


《2011年12月19〜20日》
紙智子参議院議員と漁業・水産業調査で山田町、宮古市を訪問・懇談
船も漁具もない、仮設住宅も足りない


 12月19日、紙智子参議院議員、有坂哲夫党農漁民局次長とともに、斉藤県議と高田一郎県議で、漁業・水産業の復興状況の調査で山田町、宮古市を訪問し、漁民や漁協、山田町長、宮古市副市長、水産加工会社の方々から実情と課題、要望などについて聞きました。
 朝7時30分に盛岡市を出発し、10時に山田町の県立山田病院仮設診療所で宮古市議団と合流。10時30分から山田漁民組合の皆さんと懇談しました。佐々木安教組合長は、「国の予算がついても、ホタテの水揚げまでの3年間収入がない。高齢化した漁民は撤退してしまう」「あの津波で死んでしまった方が良かった」の声まで出ている。「船、漁具、資材確保への支援が必要」と訴えました。他の漁民からは、「命がけで守った船に支援がない。エンジンが故障していて9ヶ月も船が使えない」「船も漁具もなく、よその船に乗り子で乗っている。この苦しみを分かってほしい」と話されました。
 12時30分から山田町役場で沼崎喜一町長と懇談しました。沼崎町長は、「1940戸の仮設住宅を建設したが、満杯状態。内陸部の避難者から帰ってきたいとの要望があり、15世帯が待機状況となっている。県に50戸の仮設住宅の増設を要求している」「産業振興の課題では、980隻が被害を受け600隻確保の計画となっているが100隻も届いていない。艤装もなしの状態。一日も早く船がいきわたるようにお願いしたい」「地盤沈下で冷蔵庫、製氷工場、加工場などの再建がこれからとなっている。船越・山田の魚市場は2年で完成させたい」「今年の秋サケ漁は昨年比で15%と激減している」「がんばる養殖業支援事業について、漁協・漁民と協議したい。町として緊急雇用事業で人員の配置も考えている」「漁協の収入がなく、職員の雇用確保対策の継続をお願いしたい」「中小基盤機構の仮設店舗も進んでいない。もっとスピーディーにやれないのか」など切実な要望が訴えられました。

重茂半島から1人も抜けないように
船の確保・漁業の再建に取り組む

 

 お昼の食事の時間もなく、店を流されても頑張っている三五十さんのボリュームのある弁当を車中で食べ、重茂漁協に向かいました。重茂に通じる県道は地盤沈下し、災害時は津波で破壊され不通になった道路です。午後2時から重茂漁協の伊藤隆一組合長と懇談しました。伊藤組合長は県漁連の会議で不在の予定でしたが、会議をキャンセルして対応してくれました。伊藤組合長は、「50億円を超える復旧事業となるが、頼める設計事務所がない。このままでは工事契約ができず年度末に繰り越しができないのではないか」と特別の対応を求めました。「国や県は平時の対応ではなく、1000年に一度の大災害に対応するようスピード感と臨機応変に対応してもらいたい」と述べました。また「津波で船や漁具、漁港や施設もすべて流されたが、重茂半島から一人たりとも抜けていかないように、特に若い衆が漁業で頑張れるように、船も養殖施設もすべて漁協が借金してでも確保すると、4月9日の組合員全体協議会で訴えて頑張ってきた」「被災後、若い衆を全国に飛ばし中古船の確保に取り組み、814隻のうち14隻しか残らなかったが、被災した船の修理を含め4分の1まで確保した」と話しました。重茂漁協では、5月の天然ワカメ漁では70隻の船で、1隻に5~6人が漁に出て、7月のウニ漁では1隻に2~3人で漁を行い、11~12月のアワビ漁では2人に1隻の漁となったとのこと。「アワビの種苗施設の再建に20億円かかるが、重茂の将来を決める事業だ」「沖合に流されているウニ、ナマコを持ってくる事業ができないものか。県単事業でやってほしい」「災害時でも使える重茂半島の道路の新設・整備」「浸水した住宅の土地を市で買い上げ、漁協の共同利用施設に活用できるようにしてほしい」「原発事故による放射能汚染が心配だ。原発は見直すべき」と要望を含めて話されました。
 午後4時から宮古市役所で山口公正副市長と懇談しました。山口副市長は、水産で215億円、漁港で127億円の被害、154億円の復旧復興事業を予算化したが、17億円の市の負担も大きい。2600隻の被害となった船の確保では、330隻が納入され、中古船・修理の480隻と合わせて810隻の確保となっている。宮古漁協が250隻、重茂300隻、田老260隻。4月11日にいち早く再開した宮古魚市場は、11月の実績は前年比で水揚げ、金額とも約70%とのこと。漁業・水産業一体の復旧が必要と強調しました。国の3次補正への対応については、年度末までの入札執行は無理と述べ、特別の対応を求めました。
 
水産加工事業者と懇談
 
 「4分の3グループ補助の第3次申請で内示をいただいたが、正式の決定がなければ金融機関の融資が受けられない」「解雇した従業員の半分を再雇用したが、早く全員の雇用を確保したい」「半年分の在庫、約1億円分が流され、借金だけが残った。金利も払えない状況だ」など深刻な実態が訴えられました。
 
東大野農林水産部長から水産業復興の取り組み状況を聞く
大井誠治県漁連会長と懇談

 
 12月20日には、午前9時から東大野県農林水産部長らから、県内の被害状況と復旧復興のと陸の状況を聞きました。船の確保は年内に3000隻まで確保の見通し、108漁港については災害査定が86%で、年内には終わる見込みとのこと。がんばる養殖漁業支援事業については、事業申請のひな型を作成し取り組みを速めたいと述べました。来年3~4月にはスタートできるのではないかとのことです。
 県漁連を訪ね大井誠治県漁連会長と懇談しました。大井会長は、「現地調査など熱心な共産党に感激しています」とこの間の日本共産党の取り組みに敬意を表しました。国の第3次補正で導入される「がんばる養殖復興支援事業」について「できるだけ簡素な手続きにしてほしい」と要望。漁業と水産業一体の取り組みが重要と強調しました。




《2011年12月17日》
津波史研究家の山下文男氏の葬場祭に参列
「津波てんでんこ」を全国に広げる


 12月17日、津波史研究家の山下文男氏の葬場祭が大船渡市盛町の花祭苑で行われ、参列してきました。山下文男さんは大船渡市三陸町の出身で、1933年の昭和三陸大津波を体験し、1896年の明治三陸地震津波の体験を聞きながら育ったことから、日本共産党中央委員会で文化部長や出版局長などの仕事に従事しながら津波史の研究をライフワークとして取り組んできました。「津波てんでんこ」は明治や昭和の津波で家族が全滅する被害にあったことから、1人1人がてんでんに避難すべきと訴えた言葉です。3月11日の東日本大震災津波の際には、県立高田病院の4階病室で遭遇し、津波史研究家として津波を見届けたいとカーテンにしがみついて九死に一生を得た体験も持ちます。綾里の高台につくった自宅も被害にあいました。山下さんでさえ、今回の自らの体験に「津波を過小評価していた」と述べていたことが印象に残ります。600年から1000年に1度と言われる大震災津波の教訓を今後の防災とまちづくりに生かすべき時に、かけがえのない人材を失ったことは本当に残念です。また、山下さんのこれまでの業績を深く学び大震災の復旧復興と被災地の町づくりに生かさなければと決意を新たにしました。葬場祭には、山下さんの幅広い活動を反映して、志位和夫中央委員会幹部会委員長、不破哲三さんご夫妻、津波歴史研究会、東北大学津波工学研究室、歌手の上条恒彦、松本清張記念館、各出版社などから花輪や弔電が寄せられていました。
 
復興の姿見えない陸前高田、大船渡
県立高田病院仮設診療所の入院病床の建築状況を見る


 朝8時に盛岡を出発しましたが、住田町の荷沢峠までは凍結の雪道、事故車両にも何カ所かで遭遇しました。午前中に陸前高田市に到着し被災した市街地を見ましたが、集められたがれきの山が所々に積まれていて、廃墟の町の姿に変わりがありません。藤倉泰治陸前高田市議と懇談し、市の復興計画案や市議会の状況を聞きました。県立高田病院の仮設診療所で入院病床の建設が行われていることから、状況を見てきました。来年1月末までの工期で仮設診療所の裏側に建設されていて、道路を隔てた反対側には駐車場の整備も行われていました。
 夕方には大船渡市の気仙地区委員会で大船渡市議団と震災ボランティア担当者と懇談。「仮設住宅は寒くて大変」という声がどこでも出ているとのことでした。18日には3カ所で無料青空市を開催し、27日は100回記念の青空市を行う予定とのことでした。


《2011年12月15日》
被災業者の支援強化を
岩商連が知事に要請


 12月15日、岩手県商工団体連合会は達増知事にたいし、被災業者への支援施策の改善と年末融資に関する要請を行いました。斉藤県議と高田一郎県議が同席しました。
 要請では、@県が創設した「中小企業被災資産修繕費補助」「被災工場再建支援事業費補助」を、被害が甚大だった内陸部も対象に含めるように改めるA県内に住所があって納税している事業者には、県外に出店している店舗の修繕を行う場合でも「中小企業災害復旧資金」の設備資金枠で融資を受けられるように制度を改善するB年末に向けて融資実行や借り換え、返済猶予に積極的に応じる―ことなど7項目を求めました。
 参加者からも、「宮城県気仙沼市にあるテナントを津波に流された。岩手県外の店舗という理由で金利の高い融資しか受けられなくて困っている」(一関市)などの声が出されました。
 県側は、中小企業災害復旧資金の改善について、「前向きに検討する」と回答しました。
 中小企業等のグループに対する復旧・復興への4分の3補助については、来年度も継続するように国に要望していると答えました。


《2011年12月14日》
2011年12月県議会を終えて―
東日本大震災の復興で新たな施策、花泉診療所問題の疑惑深まる


はじめに

 12月定例県議会が11月30日から12月13日まで開催されました。東日本大震災の復興関連など1326億円余の大幅な補正予算が提案されました。この中には一部損壊・半壊の住宅改修に対する独自の補助事業や被災者の再雇用に対する225万円の補助制度、210億円の市町村交付金など、これまで日本共産党が要求してきた事業も盛り込まれました。
 また、常勤医師不在で有床診療所の運営ができなくなった花泉診療所問題について、決算特別委員会の審議が2度行われるとともに、「(公募前に)知事から電話があった」との医療法人理事で社会福祉法人理事長の発言で最終日の本会議では緊急質問も行われました。県と医療法人との癒着の疑惑は深まりました。また、大震災津波からの復旧・復興に献身的に取り組んできた県職員に対する0.37%の賃金引き下げの給与改定が日本共産党議員団のみの反対で可決されました。

1、 一部損壊・半壊の住宅改修・宅地被害改修に独自の補助、被災者の再雇用に225万円の補助など被災者の生活再建に新たな前進

 1326億円余の補正予算の主な内容は、東日本大震災津波復興基金積立金500億円、緊急雇用創出臨時特例基金積立金500億円、障害者自立支援事業積立金14億円です。基金の具体的な事業化は市町村交付金210億円など251億円であり、早急な具体化を求めました。その中でも生活再建住宅支援事業費補助(6億2800万円、今年度分))は、被災者生活再建支援方の対象とならない一部損壊・半壊の住宅改修に最大170万円(5400件見込み)を、宅地被害復旧に最大200万円(1000件見込み)を遡及して補助するものです。事業主体となる市町村での年内での予算化・具体化を強く求めました。災害公営住宅(750戸)の用地取得費、工事請負費8億1884万円が盛り込まれました。県産材と地元業者の活用を求めました。
 事業復興型雇用創出事業(15億円)は、3年間で実人員5000人、350億円の事業見込みで、事業者が新しく機械や工場を再建し、従業員を雇用した場合、再雇用を含めて3年間で1人当たり225万円補助するものです。しかし、この事業はすでに再建して再雇用している事業者には遡及しないことが問題です。国への制度改善の要求とともに、県独自にも遡及して適用するように求めました。
 210億円の市町村交付金については、年内に交付決定を行うと言明しました。
 国の第3次補正予算の具体化は先取りした211億円のほかに580億円にとどまっており、2月県議会まちにならずに早急な予算化を求めました。

2、 被災地の薬局再建に650万円の補助、総額2億6000万円、民間医療機関への補助のすみやかな実施求める

 被災地の薬局の再建に、上限650万円の補助を行う被災地薬局機能確保事業が2億6000万円盛り込まれました。全壊、大規模半壊、半壊の51県が対象ですでに33件が再建されていますが、遡及して実施されます。民間医療期間の施設・設備修繕費補助事業は早く具体化されたにもかかわらず実行されていません。内陸の医療機関を含め速やかに補助金交付がなされるよう求めました。「地域医療再生基金をできる限り活用して対応していきたい」と答弁がありました。

3、 被災者の実態把握と在宅被災者への支援強化を求める。復興計画は地域住民の協議と合意を貫いて進めることを強調

 被災者の実態は、仮設住宅入居者が31412人、民間住宅などみなし仮設入居者11678人、在宅の被災者16569人、内陸の親類宅で暮らしている被災者2960、県外に移った被災者1621人となっています。この間、孤独死も発生し、震災関連の自殺者12人となっており被災者一人一人に寄り添った対応の強化を求めました。また、在宅被災者の実態把握と支援の今日が課題となっています。また、みなし仮設入居者や1人暮らし高齢者の情報を市町村、自治会と共有するよう求めました。市町村の復興計画が策定されつつありますが、地域住民の協議と合意で復興計画が策定・具体化されるよう求めました。被災地の通院・通学バスの対応の改善を求めました。

4、 子ども・被災者の心のケアの取り組み強化へ、いわての学び希望基金636人が対象

 県内の震災孤児は93人となっていますが、ほとんどが親類等の里親に養育されています。「子どもの心のケアセンター」に続いて「県心のケアセンター」「4カ所の地域心のケアセンター」が設置されます。いわて学び希望基金は、目標の20億円を突破し、年内に震災孤児・遺児に対して年内に支給されます。未就学児童は84人、教育委員会関係で552人を見込んでいます。

5、 農林水産業―漁船確保は年内に3000隻、漁民の減収対策など求める

 農林水産業の課題については、高田県議が農林水産常任委員会で取り上げました。漁船の確保状況は2000隻を確保し年内に3000隻まで確保したいとの答弁がありました(予算措置は6800隻)。漁港の復旧では、県管理は現在災害査定中で魚市場のあるところ優先で進めている。市町村管理分はこれから査定の予定となっています。漁民の減収対策と生活補償の対策を求めました。

6、 花泉診療所問題で集中審議、緊急質問―県と医療法人白光との癒着の疑惑深まる

 昨年4月に県立花泉診療センターは民間医療法人白光に民間移管されましたが、常勤に不在で有床診療所の運営ができなくなっている問題で、決算特別委員会が2度開催されました。医療法人白光の理事で社会福祉法人七星会理事長の橋本尭夫氏が、理事会の席上で「(公募前に)知事から電話があった」と発言したことを受けて、最終本会議では、緊急質問が行われました。審査を通じて、医師確保の見通しがないずさんな事業計画を容認してきた背景には、「先に医療法人白光ありき」の県知事・医療局と医療法人との癒着の疑惑が一層深まりました。県と医療局の責任で有床診療所を維持し、特養ホーム入所者の生活を守るよう強く求めました。しかし、2010年度県立病院等事業会計決算は民主党と無所属3人の賛成で可決され、花泉診療所問題の調査特別委員会の設置を求める発議案も民主党会派と無所属の3人の反対で否決となりました。無所属の3人が疑惑の解明にふたをし、民主党会派に追随したことは厳しく問われるべきです。

7、 大震災津波の復旧復興に献身的に取り組む県職員に賃下げを強行、日本共産党だけが反対貫く。13年間連続で1人当たり118万円の減収

 県人事委員会の勧告に基づいて、平均0.37%、1人当たり2万2千円の賃金引き下げ、総額6億2千万円となる給与改定議案が、日本共産党のみの反対で強行されました。県警察、教員、県立病院職員、県職員は東日本大震災の復旧復興で、文字通り献身的な取り組みを行っています。こうした県職員に賃金引き下げで対応することは許されないことです。人員増と待遇の改善こそ必要と強調しました。超過勤務手当の全面的な支給を強く求めました。
 また、県人事委員会が民間事業所の調査も行わず、人事院勧告に追随して賃金の引き下げを勧告したことも問題です。県職員の賃金は、13年連続で引き下げられ、1人当たり平均で118万円の減収となっています。その総額は年間254億円で、地域経済へのマイナス効果は398億円に及びます。

8、 積極的な県地球温暖化対策実行計画に質疑、県立美術館・県営屋内温水プールの指定管理の指定に反対

 県議会に報告された「岩手県地球温暖化対策実行計画(素案)」について、1990年比で2020年までに温室効果ガス排出量を30%削減する目標を評価するとともに、これまでの取り組みの問題点と課題、再生可能エネルギーの活用が進んでいない問題を質しました。また、県立美術館の指定管理者については、再委託のために委託料が高く成っていること。乳除者数が減少しており委託のあり方を再検討すべきと指摘。県営屋内温水プールは雫石体協から岩手ビルサービス株グループに変わりましたが、常勤1人、パート9人、臨時2人と雇用状況が悪化し、サービスの低下が考えられることから反対しました。

9、 「子どもたちを放射線被ばくから守る」「子どもたちの学校給食の安全を求める」「障害者総合福祉法の制定」「私学助成の拡充」求める請願を採択

 12月県議会には、各界・団体から多数の請願が提出され、日本共産党県議団も紹介議員となりました。上記の請願とともに「歯科訪問診療」の要件緩和を求める請願、「士別の父子家庭支援に関する」請願も採択されました。一方、「原発からの撤退・再稼働中止及び自然エネルギーの本格的な導入を求める」請願は再び継続審査、「子ども・子育て新システムの導入に反対し、現行保育制度の拡充を求める」請願は継続審査となりました。

2011年12月14日 日本共産党岩手県議団団長 斉藤信


《2011年12月13日》
2010年度県立病院等事業会計決算および一般会計決算に対する反対討論に立つ

 12月13日、県議会最終本会議で斉藤県議は、2010年度県立病院等事業会計決算および一般会計決算に対する反対討論に立ちました。
 斉藤県議は、民間移管された花泉診療所について、有床診療所の運営がわずか1年余で破たんした背景には県と医療法人との癒着があり、根拠のない事業計画追認してきたことにあると厳しく指摘。「県医療局が責任を持って地域住民への約束である有床診療所を運営すべき」と主張しました。
 また、被災した県立病院の早期再建に取り組むとともに、仮設診療所の改善にも取り組むよう求めました。
 斉藤県議は、県内の国保税が課税所得92万1千円に対し15万4千円で高すぎて払えない実態、中小企業対策が決算額の5%にとどまっている実態などを示し、県民に冷たい県政となっていると指摘。被災者の生活再建と生業の再生を最大の課題に位置付け、中小企業の再建と雇用の確保、住宅の確保、県立病院など地域医療の再建に、従来の枠にとらわれず、必要な対策をスピード感を持って進めるよう強く求めました。
 2010年度県立病院等事業会計決算は、日本共産党、自民党、地域政党いわて、社民党、公明党が反対しましたが、民主党と無所属の県議が賛成し賛成多数で採択。一般会計決算は、日本共産党と自民党の県議1人が反対し賛成多数で採択されました。

 反対討論の全文については、「議会報告」をご覧ください。


《2011年12月13日》
花泉診療所民間移管問題で緊急質問に立つ
医療法人理事長が「知事から電話があった」と発言


 12月13日の県議会最終本会議で、花泉診療所の民間移管問題に関する緊急質問が行われ、斉藤県議が質疑に立ちました。緊急質問は、12日に、花泉診療所に併設する特養ホームを運営する社会福祉法人の理事会で、花泉診療所を運営する医療法人白光の橋本尭夫理事長が「民間移管公募前に知事から電話があった」などと発言した問題を受けて行われました。
 斉藤県議は、「民間移管公募前に知事が橋本氏に電話したことがあるか」と議会で度々指摘してきましたが、達増知事は事実を否定。電話をした当事者の発言について斉藤県議は、「事実だとすれば知事の答弁は虚偽のもので重大だ」と厳しく指摘。事実の真偽を質すとともに、「事実でないのなら発言の撤回を求めるなどの対応をすべき」と迫りました。達増知事は、「電話で話したなどということはない。橋本氏の発言については当該法人とのやりとりの中で対応されていけばいいと考えている」と述べるにとどまりました。斉藤県議は、「橋本氏の発言は、理事会という公式の場での発言であり、疑惑は徹底して追及・解明されなければならない」と主張しました。
 最終本会議では、日本共産党、自民党、地域政党いわて、社民党、公明党の各会派が花泉診療所の民間移管問題に関する調査特別委員会の設置を提案しましたが、民主党と無所属の議員が反対し、賛成少数で否決されました。

 緊急質問の大要については、「議会報告」をご覧ください。


《2011年12月12日》
県が責任をもって有床で運営し医療法人と県の癒着疑惑の徹底解明を
県議会決算特別委員会で質疑に立つ


 12月12日、県議会決算特別委員会を再開し、花泉地域診療所の民間移管問題での集中審議を行いました。県は、来年3月で診療所の運営から撤退の意向を示している医療法人白光との契約を更新せず、来年度当初から県営の無床診療所として運営する方針を示しました。
 質疑に立った斉藤県議は、信頼のおけない医療法人に任せた結果、実質わずか1年で有床診療所の運営が破たんした県の責任について、「事業計画の医師確保というもっとも重要な点で虚偽の報告を何度も行い、それをチェックせず地域住民をごまかしてきた」と厳しく指摘。さらに、民間移管を公募する以前から同法人が民間移管に名乗りをあげ、公募期間がわずか25日間で選定された問題を示し、「知事が医療法人会長宛に電話したことはなかったか。最初から医療法人白光ありきで民間移管が進められたのではないか」と迫りました。達増知事は、「民営化の議論は以前からあり、プロセスを歪めるような接触等はない」と答えました。
 斉藤県議は、地域住民に対する約束は有床診療所であり、民間移管で破たんしても、県が責任をもって有床で運営すべきである」と求めました。遠藤達雄医療局長は、「危機的な医師不足の中で限られた医療資源という状況に変わりはなく、一旦医療局による無床診療所の方向で進めたい」と述べるにとどまりました。
 また高田一郎県議は、併設する特養ホームの運営について、「何の責任もない方々に不利益を与えてはならず県の責任においてしっかり対応すべき」と指摘。遠藤医療局長は、「入所者の方々にご迷惑をかけないような形で方策を考えていきたい」と答えました。
 2010年度県立病院等事業会計決算は、日本共産党県議団、自民党、地域政党いわて、社民党が反対しましたが、民主党と無所属の県議が賛成し24対22で賛成多数で採択。一般会計決算は、日本共産党県議団と自民党の県議1人が反対し43対3の賛成多数で採択されました。

 質疑の大要については、「議会報告」をご覧ください。


《2011年12月9日》
商工文教委員会で質疑に立つ
被災地における雇用対策、中小企業対策等について質す


 12月9日の商工文教委員会で斉藤県議は質疑に立ち、被災地での雇用創出、中小企業対策について取り上げました。
 斉藤県議は、被災者を新たに雇用した場合人件費を向こう3年間にわたり最大で225万円を目安に助成する事業復興型雇用創出事業について、「重要な事業だが、国の補正の遅れを理由にすでに再建した企業に対して遡及適用されないのは問題」と指摘。宮古市の場合被災企業の6割が再建している実態も示し、復興基金を活用するなど県独自にでも遡及適用させ同様の支援をすべきと求めました。齋藤淳夫商工労働観光部長は、「国に対して制度の改善を要望している」と答えました。
 また、被災地の中小企業等が一体となって行う施設・設備の復旧、整備にたいし最大4分の3を助成するグループ補助金について斉藤県議は、「大幅な補正がされたが、それでも3次公募で申請した46グループ387社のうち約半数が対象にならない」と述べ、来年度予算待ちにならず、年内に再建を希望するすべての事業者に対し必要な手立てをとるべきと主張しました。齋藤商工労働観光部長は、「企業の個別の事情をよく聞き何が一番いい方法か対応していきたい」と答えました。

 商工文教委員会での質疑の大要については、「議会報告」をご覧ください。


《2011年12月6日》
私学助成をすすめる岩手の会が57247筆の署名とともに請願

 12月6日、私学助成をすすめる岩手の会(新妻二男会長)は佐々木博議長にたいし、57247筆の署名とともに、私学助成を拡充させ、教育格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求める請願を行いました。高田一郎県議はじめ、民主党、地域政党いわて、社民党の各県議が紹介議員になりました。
 請願では、@私立学校(幼稚園。小・中学校、高校、専修学校、特別支援学校)に対する運営費補助を増額するA東日本大震災で被災した世帯の生徒を含む、すべての子どもたちが安心して私立学校に学べるように、授業料減免補助と入学金減免補助を拡充するB国に、高校以下にたいする経常費助成増額と過疎特別助成の継続など国の私学助成制度を充実するように、意見書を提出する―など7項目を求めています。
 参加者からも、「3人の子のうち2人を私学(幼稚園・高校)に入れているが、生活が大変だ」(一関市の母親)、「経済的な理由で部活を辞めざるを得ない生徒もいる」(盛岡市の教員)などの訴えがありました。
 佐々木議長は、「常任委員会でしっかり議論されると思う」と答えました。


《2011年12月6日》
子ども・子育て新システムの導入に反対し現行保育制度の拡充を
岩手県保育連絡会が請願書を提出


 12月6日、岩手県保育連絡会(新妻二男会長)は、佐々木博県議会議長にたいし、子ども・子育て新システムの導入に反対し現行保育制度の拡充を求める請願書を提出しました。日本共産党・地域政党いわて・社民党・無所属の県議が紹介議員となり、高田一郎県議が同席しました。
 請願項目は、@国および市町村の公的保育責任を後退させる「子ども・子育て新システム」に基づく保育制度改革ではなく、すべての子どもの健やかな育ちを保障するために、児童福祉法2条、24条に基づく現行保育制度を堅持・拡充することA国の責任において認可保育所の整備を行い待機児童の解消を図ること。地方自治体にたいし必要な支援と財政措置を行うこと―など6項目で、国に対して意見書を提出するよう求めています。
 わかば保育園の佐藤秀子園長は、「東日本大震災津波で沿岸市町村の保育所も20カ所が全壊・浸水などの被害を受けたが、自治体による公的保育の実施責任で復旧・復興が進められほとんどが再開している。すべての子どもに質の高い保育を保障するための公的保育制度の拡充こそ必要」と述べました。
 佐々木議長は、「被災地の保育は大変な状況にある。しっかり議論していきたい」と答えました。


《2011年12月6日》
県歯科医師会が社会保険診療「歯科訪問診療」に係る算定要件の緩和を求める請願

 12月6日、岩手県歯科医師会(箱崎守男会長)は佐々木博議長にたいし、社会保険診療「歯科訪問診療」に係る算定要件の緩和を求める請願を提出しました。日本共産党の斉藤信県議などが紹介議員となりました。
 請願では、「現時点の歯科においては、歯科訪問診療の算定要件『常時寝たきりの状態』の文言のため、患者からの要請があって訪問診療をしたとしても、ほとんどの場合算定要件を満たしておらず歯科訪問診療科を算定できないのが現状にあり、このままでは被災地域の歯科医院による歯科訪問診療の停滞が危惧される」と指摘。被災地域の歯科訪問診療の推進のため、「診療報酬改定や復興特区における特別措置等により、社会保険診療における歯科訪問診療の算定要件を医科同様の『患者の求めに応じた、通院困難な者に対するもの』に要件を早急に緩和する」よう国にたいし意見書を提出するよう求めています。


《2011年12月6日》
岩手県身体障害者福祉協会など8団体が障害者総合福祉法(仮称)の制定について請願

 12月6日、岩手県身体障害者福祉協会(田村幸八会長)、きょうされん岩手支部(佐々木直人支部長)など8団体は佐々木博県議会議長にたいし、障害者総合福祉法(仮称)の制定についての請願を行いました。日本共産党の斉藤信県議など県議会全会派の議員が紹介議員となりました。
 請願では、「国および国会に対して『障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言』を最大限尊重し、反映された『障害者総合福祉法』(仮称)の制定を求める意見書を提出すること」を求めています。
 佐々木議長は、「しっかり国に意見書を提出したい」と答えました。



《2011年12月3日》
原発被災地の復興について―桜井勝延南相馬市長が報告
岩手農民大学第25回シンポジウムで


 12月3日、岩手大学農学部総合教育研究棟講義室で、岩手農民大学第25回「コメと日本民族の未来を見つめるシンポジウム」が開かれ、南相馬市長の桜井勝延氏が、「原発被災地の復興について」報告しました。桜井市長は岩手大学農学部卒業で、地元に帰って26年間酪農家として農業に従事、南相馬市議を経て2010年1月の市長選挙で激戦を制して市長になったとのこと。南相馬市の被災状況は、11月18日現在死亡636人、行方不明10人、人口71494人でしたが、市外避難者が27952人、所在不明者が1595人、小中学校の在籍生徒は6021人(4月6日)から2683人となり、区域外就学が県内987人、県外が2127人となっています。商工会議所等の会員数は1908で、再開は約1120で59%となっています。東京電力福島原発事故による情報、避難指示が南相馬市には伝わらなかったと述べました。3月12日には、第1号機で15時36分に水素爆発があり、18時25分、政府は第一原発から半径20q圏内に避難指示を出しましたが、市長がそれを知ったのはテレビの報道だったとのこと。14日11時01分には第3号機が水素爆発し、南相馬市で活動していた自衛隊員が「100q以上は逃げろ」と南相馬市から退避した事態もあったとのこと。
 桜井市長は、東京電力福島原発事故によって放射能に汚染され、住民が避難を強いられ、住専作業はホールボディカウンターなどを強いられているが、本来、東京電力が行うべきことではないか。東京電力の姿が見えないと厳しく東京電力の責任を指摘しました。それどころか分厚い請求書を送りつけ、30キロメートル圏内の避難者には仮払いもしていないと述べました。

高すぎる食品の基準は見直しされるべき
脱原発を宣言し原発交付金を受け取らず

 会場の参加者からの質問に答えて、食品の安全については、国が基準を持っておらず、1キログラムあたり500ベクレルとしているが、コメも牛肉も同じ基準と言うことはない。この基準は下げられるだろうと指摘。脱原発を最初に宣言した市長として5000万円の原発交付金を受け取らないことを決めたと述べました。「原発がなければエネルギーを確保できないのか」と問いかけ、自然エネルギーになぜ補助金を使わないのかと指摘。「どうしたら生き続けられるのかを考えるべきで、発想を変えなければならない」と強調しました。
 放射能汚染の状況について、一時は放射線量が下がったが、そこから下がらない状況となっていること。除染については、今、研究段階で、試行錯誤しながら取り組んでいると述べました。「変えるのは自分たちしかいない」と強調し、現場感覚で国にも対応してほしいと強調しました。
 相馬農協労組書記長の渡辺勝義氏が、「全村避難、人も牛も消えていく飯舘村」の現地報告を行いました。渡辺氏は自らも被災し仮設住宅で暮らしている、妻の両親は津波で犠牲となったが放射能汚染のために探しに行けなかったと述べ、飯舘村には人も牛もいない、草ぼうぼうとなっていると怒りを込めて報告。11戸の酪農家は何回も話し合い廃業を決め、牛は殺処分することにしたこと。酪農家は「ごめんね」といって牛を送り出したと述べました。いつ帰れるか目標が持てないこと。ストレスがたまり、怒り心頭に達している。子どものいる若い人は3人に2人はかえらない状況となっていると述べました。飯舘村の除染計画では、住宅は2年、農地は5年、山林は30年かけて除染する計画となっているとのこと。2年で帰村の計画を立てています。
 会場の参加者からは、一関の8割の牧草が給与自粛となったこと。3番草(8月から10月収穫)も1500ベクレルの放射線が検出されていると発言。南相馬市から盛岡市に避難している方も発言しました。