《2012年3月28日》
長野県議団とともに災害廃棄物の処理状況を現地調査
宮古市の仮設焼却場、破砕・選別状況を調査
3月28日、日本共産党長野県議団(石坂千穂、小林伸陽、高村京子、和田明子、両角友成、藤岡義英)とともに、岩手県の災害廃棄物の処理状況の現地調査に宮古市を訪問しました。
朝8時に盛岡駅前のホテルを出発し、宮古市へ。区界トンネルを超えると真冬を思わせる雪化粧と雪道。今年の寒さを感じさせる風景です。
災害廃棄物435万トン、2014年3月までに処理めざし
183万トンの焼却処理のうち57万トンを広域で処理の計画
10時30分に宮古市小山田の市清掃工場の奥にある仮設焼却炉に到着。県災害廃棄物対策課長の松本実氏から岩手県の災害廃棄物処理計画の内容と処理の現況について説明を受けました。災害廃棄物は一般廃棄物として市町村の仕事となっていますが、宮古市など9市町村から県が委託されています。県内の災害廃棄物は約435万トン、うちコンクリートがらや堆積物(170万t)、金属くず(73万t)は復興資材として活用し、焼却が必要な量は約183万tです。2014年3月までに処理するためには、県内処理できるのが126万tで、約57万tを広域処理せざるを得ないのが実態です。当初500自治体が広域処理の受け入れを表明していましたが、放射能汚染の不安から広域処理が進んでいないのが状況です。3月27日現在、災害廃棄物の処理量は43.6万tで、進捗率は10%にとどまっています。県内廃棄物の放射能汚染状況はほとんど不検出のNDで、検出が現地での推計値でも30〜40ベクレル/kg程度です。東京都の廃棄物処理の状況では、岩手県から運ばれた災害廃棄物よりも東京の廃棄物の方が放射線量が高かったとのことです。
仮設焼却炉を委託されている潟^クマの小宮永三所長から、仮設焼却炉の概要について説明を受けました。委託契約33億円で、昨年9月に建設工事を開始、今年の3月から焼却を開始しているとのこと。日量95t(47.5t×2炉)、25カ月契約で2014年3月までに処理する計画です。ヤードには木くず等が600tほど積み込まれていました。放射性セシウムの処理は燃焼した後噴射水で200℃以下に冷却することによって、気化したセシウムを粉塵に付着させバグフィルターで処理できるとのこと。仮設焼却炉とはいえ、設備は本格的なもの。2年で使い捨てにするにはもったいない施設です。
藤原埠頭・赤前地区の破砕・選別施設を視察
東京都は独自に放射線測定を実施
その後、藤原埠頭に設置されている宮古地区災害廃棄物破砕・選別施設を視察。鹿島建設JVが委託されています。現場の担当者から破砕・選別の状況を聞きました。運び込まれた災害廃棄物・がれきを、まず人海戦術で危険物等を取り除き、破砕・選別で焼却処理する事業所の要望に対応する大きさに破砕・選別します。ここでも金属や石等を取り除く選別は人力です。250人が雇用されているとのことです。処理されたものを見ると土砂が多いように見受けられました。放射線量の測定も行っていますが0.05マイクロシーベルト程度でほとんど問題がない状況とのこと。
お昼は、宮古駅前の蛇の目さんで昼食を取りました。宮古の郷土料理を楽しめるようにお願いしたら、新鮮なお刺身定食でした。
午後には、赤前地区に設置されている同じ鹿島JVの破砕・選別施設を訪問。ここから東京都に災害廃棄物が運ばれています。危険物を取り除いた廃棄物が運ばれていますが、東京都の方でさらに選別・焼却処理されているとのこと。東京都では、運搬前の廃棄物の放射線量を測定するとともに、コンテナに積み込む時の放射線量の測定、積み込んでからのコンテナの外部の放射線量の測定と3段階で測定を実施し、東京都のホームページに公表しているとのこと。これまで異常は全くなかったとのことです。ちなみにコンテナの周りの空間放射線量は平均0.06マイクロシーベルトとのことでした。これだけ徹底して測定していれば不安も解消できると実感させられました。
災害廃棄物処理の実態を知っていただければ、広域処理も進むのではないかというのが調査した実感です。
《2012年3月24日》
2012年2月県議会を終えて―
震災復興に4651億円、被災者・被災地の実態からみて不十分
被災者の生活と生業守る抜本的で機敏な対策を求める
はじめに
大震災津波からの復興のあり方と来年度の予算を審議する2月定例県議会が2月16日から3月21日まで開催されました。日本共産党県議団は、一般質問、予算特別委員会、常任委員会のあらゆる機会に質問に立ち、大震災津波からの復興と県民要求実現に全力で取り組みました。
2012年度岩手県予算は、震災復興対応分の4651億円を含め1兆1183億円の戦後最大規模の予算となりました。震災対応分の中には住宅の新築・購入に100万円の県独自の補助を行う事業など積極的な施策もありますが、被災者の深刻な実態と被災地の復興の遅れからみて不十分なものであり、見直し改善を求めるべき課題もあることから一般会計予算と県立病院等会計予算には反対の態度を取りました。
2月県議会には各団体・県民から沢山の請願が提出され、日本共産党県議団も紹介議員となりました。国政の焦点となっている「消費税の増税に反対する請願」は、民主党、自民党、地域政党岩手の反対で不採択となり、「子ども・子育て新システムに反対する請願」は民主党、自民党、公明党の反対で不採択とされました。
1、 被災者の深刻な状況と復興の取り組みの遅れ―対応が不十分な県予算
3.11大震災津波から1年余が経過しましたが、被災者の状況は深刻です。6月から12月までの震災関連の自殺者が17人、仮設住宅での孤独死が5人、震災関連死が160人に及んでいます。狭くて寒い仮設住宅の水道管の凍結が707件となりました。しかし達増県政は、切実な仮設住宅の風呂への追い炊き機能の設置などの要求に背を向けました。義援金を理由に生活保護を打ち切られた世帯が197世帯に及んでいます。被災地での新規要介護認定者は前年比で1107人、34.8%も急増しています。被災者の医療費、介護保険料・利用料の減免が食事代、居住費の一部負担はあるものの9月末まで延長されましたが、さらなる延長・継続を強く求めました。
延長されていた雇用保険も1月から4月までに1213人が打ち切られます。すでに打ち切られた162人が未就職となっています。求職者の約9割が被災地で働きたいと希望していますが、被災した事業者の再建は63.5%にとどまり、1266事業所が廃業・休業となっています。仮設店舗の設置も329件の申請に事業開始決定が194件、完成が124件。二重ローン解消の取り組みも相談件数が240社、債権の買い取りが2件にとどまっています。県の復興実施計画の3カ年の計画では債権買い取りがわずか50件とされており、抜本的な見直しを求めました。
漁業・水産業の再建の取り組みでは、6800隻の漁船確保の予算がすでに組まれ5392隻の交付決定がなされたものの、2月末では3327隻の確保にとどまっています。来年度の予算ではわずか215隻の確保にとどまっています。県の復興実施計画では3カ年で6152隻の確保目標となっており、被災した13000隻余の8割以上の確保目標に見直すべきと求めました。水産加工事業所の再建も被災事業所138のうち64事業所(46%)にとどまっています。
こうした遅れの根底には、国の取り組みがあまりにも遅く、その規模も小さいうえに、しばりが多すぎるという問題があります。
2、 住宅確保に100万円の補助など被災者の要望にこたえた施策の前進も
4651億円の震災関連の予算は、基本的に復興に必要なものです。とくに、被災した住宅の新築・購入に100万円の補助(市町村に3分の2補助)やバリアフリー・県産材活用に県独自に最大130万円の補助が盛り込まれたことは重要です。災害公営住宅整備事業費として今年度分の750戸に続いて1000戸分、228億円予算化されました。仮設住宅の集会所等にかかる共益費(光熱費等)を県が負担する支援事業費に1億5400万円が盛り込まれました。災害公営住宅建設には1戸あたり約2000万円かかります。住宅の再建にさらなる助成が必要です。また、民間住宅の借り上げなどみなし仮設住宅の入居期間(2年間)の延長措置を求めました。
被災地の低所得者に「被災地福祉灯油助成事業」(5000円を約1万世帯に補助、2分の1を市町村に補助、総額2659万円)が、県議会での請願採択を受け不十分ながら実現しました。
全壊・流出した事業所の再建に300万円、工場や宿泊業の再建に2000万円の補助(20億円)も盛り込まれました。事業費の4分の3を補助するグループ補助は150億円の予算が計上されています。雇用対策では、被災者を雇用した場合3年間で225万円補助する事業復興型雇用創出事業費補助(113億円余)が活用できます。
3、 被災した県立病院の再建が地域医療再生計画に位置付けられたものの来年度予算に盛り込まれず
被災した高田・大槌・山田の県立病院の再建整備が地域医療計画に位置付けられ、地域医療再生臨時交付金として75億円余が交付決定され基金として積み立てされたものの、来年度の予算には盛り込まれませんでした。これから設計に着手しても3年以上はかかります。すでに高田病院は用地の確保にめどが立っており、大槌、山田についても関係自治体と連携を取って用地確保に直ちに取り組み、再建整備に着手すべきです。県立大東病院の再建整備については病床の必要性を認め、来年度前半に機能・規模について明らかにするとしています。
被災した民間医療機関の再建では、医療施設の移転・新築への補助(6億4700万円)が新たに盛り込まれました。被災した診療所等の修繕・機能回復(6億1000万円)にも引き続き取り組みます。
4、 県立高田高校の新築整備2014年度までに、いわての学び希望基金は被災した高校生の教科書代・修学旅行費用まで拡充
県立高田高校の新築整備は2014年度までに実施することが示されたことは重要です。いわての学び希望基金は計画を超えて寄せられ、給付制の奨学金とともに、来年度は被災した高校生の教科書・制服・修学旅行費用、文化・スポーツ大会への参加費用などに拡充されます。
放射線対策として、学校給食の食品検査、県立学校施設の汚染された土壌等の除染対策も取り組まれます。
しかし、被災地で生徒減少を理由に小中学校の統廃合計画も出されています。子どもの教育にとって、地域の将来にとって、あくまで住民合意を貫いて進めるべきです。小中一貫校の取り組みはどさくさまぎれに進めるべき課題ではありません。
5、 徹底した住民の協議と合意を貫き、コミュニティの維持を基本にまちづくりを
被災市町村の復興計画に基づいて、防災集団移転促進事業(67地区)、土地区画整理事業(24地区)、漁業集落防災機能強化事業(24地区)など100を超える地域で計画されています。大事なことは徹底した住民の協議と合意を貫き、コミュニティの維持を基本に貫くことです。専門家の派遣と協議の場を保障することを強く求めました。
また、防潮堤の高さや水門、湾口防波堤についても、県が一方的に押し付けるのではなく、地域住民の協議と合意を貫く進めるべきです。安全の確保は津波災害だけでなく、総合的に検討すべきです。漁業・観光など海との共生の見地も必要です。
国と県は、大震災を理由に「復興道路」(残事業費9403億円)を最優先課題に、三陸沿岸道路、東北縦貫道釜石秋田線、宮古盛岡横断道路の高規格道路、地域高規格道路の整備を進めています。復興にあたっては、何よりも「被災者の生活と生業の再建」を優先に、事業の優先順位を決め、人材と財源を投入して進めるべきです。
6、 復旧の方針が定まらないJR大船渡線・山田線、県議会が意見書採択し議会中に要請
三陸鉄道の復旧は2014年4月全線開通めざし取り組まれています。しかし、JR大船渡線・山田線についてはJR東日本が復旧の方針を示さず、BRT(高速輸送バスシステム)を非公式に提起するなど消極的な姿勢に終始しています。国の態度もあいまいなことから、県議会は3月2日の本会議で国への意見書を採択し、3月8日、議長・副議長が緊急に国とJR東日本に要請行動を行いました。
7、 東京電力福島原発事故による放射能汚染の被害拡大、原発ゼロ・自然エネルギーの本格的な活用を
干しシイタケから基準を超える放射線量が測定され、出荷自粛と回収が行われる事態となりました。原木・ほだ木の確保も遅れ、生産が大幅に縮小される事態です。肉牛の出荷調整で1100頭が現在も滞留しています。風評被害もあって価格も3〜4割も下落しています。食品の安全基準が4月から改定されることから、県内13市町村の公共牧場など1万haの除染が求められています。
一方で東京電力の対応は、すでに請求されている47億9千万円の損害賠償に対して19億2452万円の概算払い(12月2日)をしただけです。損害に対する全面賠償を毎月行わせることが最低限必要です。
県のこれまでの対応は後手後手となり、来年度の県の放射線対策関連事業は、農林水産部の26億5千万円余を柱とした総額27億4380万円の極めて不十分なものです。
福島原発事故の教訓は、原発ゼロをめざしてこそ、自然エネルギーの本格的活用の道が切り開かれると提起しました。
8、 進まないガレキ(災害廃棄物)処理と広域処理の問題
大震災津波による災害廃棄物の総量は435万トン、92%が仮置き場に撤去されたものの、処理量は43万6866トン、10%にとどまっています。県内内陸部での処理は11市町村・清掃センターで日量160トンの処理の見込み、広域処理(約57万トン)では東京都、山形県など8都府県・市の受け入れが決まっており、さらに広がり始めています。県議会として他県・他県議会に要請行動を行うことを決めました。
9、 福祉と防災の県政をめぐる対決点と課題
1) 子どもの医療費助成を小学校卒業まで拡充することは切実で緊急課題です。県内では18市町村がすでに小学校・中学校卒業まで拡充しており、来年度は遠野市や大槌町、葛巻町で中学校卒業まで、陸前高田市と北上市で小学校3年生までなど拡充されます。福島県では18歳まで、秋田県でも小学校卒業まで取り組もうとしており、背を向ける県の姿勢は問題です。
2) 高すぎる国保税、滞納者からの保険証の取り上げの中止を求める。2月1日現在、資格証明書515世帯、短期保険証11449世帯(うち未交付1798世帯)
3) 介護保険料が県平均4851円(前期3990円、21.5%増)に大幅に引き上げられます。特養ホーム待機者は6183人(早期入所が必要1253人)となっていますが、3月までの整備が941床、来年度整備が108床にとどまります。訪問介護が45分に短縮されることも問題。
4) 来年度から中学校1年生で35人学級が全面実施となることは一歩前進ですが、来年度は被災地での震災加配227(小中194人、高校33人)にとどまりました。テストづけで競争の教育を進める「目標達成型の学校経営」の見直しを強く求めました。
5) 津付ダム建設事業は検討見直しとなりましたが、簗川ダム建設事業は建設に固執、来年度は本体工事分7000万円を含む7億円余の事業費が7億6520万円盛り込まれたことは問題です。当面凍結し、財源と人材を震災復興に回すべきと主張しました。
10、 消費税増税反対の請願に、民主、自民、地域政党いわてが背を向ける
1) 消費税増税に反対する請願が2団体から提出されましたが、民主、自民、地域政党いわての反対で不採択となりました。達増知事は反対を明言しなかったものの、「「被災地である岩手県としては、消費税により被災者の負担増加を招かないか、消費の減退により日本経済へのマイナスの影響を与えないか、引いては被災地の復興の妨げとならないかといった点を十分に考慮すべきと考えている」と答弁しました。
2) TPP交渉参加問題については、達増知事は「現時点で、TPP交渉への参加には反対である」と改めて明言しました。
3) 「子ども・子育て新システムの導入に反対する請願」は、民主、自民、公明党の反対で不採択とされました。
4) 「被災事業所の再建及び被災者の再就職促進支援策を求める請願」は採択され意見書が採択されました。「原発からの撤退、再稼働中止求める請願」、「放射能汚染対策を求める請願」「最低賃金の引き上げ求める請願」等は継続審査となりました。
以上
日本共産党県議団団長 斉藤信
《2012年3月18日》
北上市議選始まる。定数4人減・2人はみ出しの激戦
鈴木健二郎・安徳すみ子候補を応援
3月18日、北上市議選が告示され、日本共産党から鈴木健二郎、安徳すみ子両候補が立候補しました。定数が前回から4人削減され、26人の定数に28人が立候補する少数激戦です。鈴木健二郎・安徳すみ子両候補の第一声に駆け付け応援演説を行いました。
今回の市議選は、東日本大震災の救援復興の取り組みの中で、政治のあり方・政党のあり方が問われていること。消費税大増税への市民の審判が問われる選挙であることを強調。この間、日本共産党市議団が、市民の願いに答え、子どもの医療費を小学校3年生まで拡充させるとともに、住宅リフォーム助成を実現し、雇用問題でも関東自動車や富士通の正社員化と離職者の再就職を保障させる取り組みを行ってきたことを紹介。固定資産税を7年間で32億円も増税する一方で、工業団地の造成に23億円の税金を投入するゆがみ、高すぎる国保税で7世帯に1世帯が滞納している一方で、8億円(1世帯当たり6万3千円)も基金をため込んでいる市政のゆがみを指摘。ゆがみを正してこそ市民の暮らしを守ることができると日本共産党市議団のかけがえのない値打ちを強調しました。
《2012年3月17日》
奥州市で「県内各政党所属政治家との意見交換会」開かれる
NPO法人いわて未来政策・政経研究会が主催
3月17日、奥州市胆沢区南都田公民館で「県内政党所属政治家との意見交換会」が開かれ、私も出席してきました。NPO法人いわて未来政策・政経研究会(会長・相原正明氏)が主催したものです。民主党・関根敏伸県議、自民党・熊谷泉県議、社民党・伊澤昌弘元県議、地域政党いわて・飯澤匡県議が参加しました。
各政党から5分程度地域政策について述べた後で、@放射能汚染対策、ATPP交渉問題、B教育問題、C国政に向けた発信のテーマで、主催者側から問題提起を受け意見交換しました。放射能汚染問題では、奥州市が国の重点地域に設定されているものの、公共施設の除染は市が対応し、それ以外は住民自身が除染することになっていると厳しい指摘がありました。私は、放射能汚染の測定と除染は東京電力と国の責任で行うべきものと述べました。TPP問題では、10町歩の水田と11頭の繁殖牛に取り組んでいる農家から、「アメリカは食料問題を戦略的課題に取り組んでいる。千田県政の時代には岩手を食料基地にする提起があったが、今は見えない」との問題提起がされました。私は、TPP交渉が秘密交渉となっているが、政府の発表でも「すべての品目を対象に関税撤廃に取り組む」と述べていることを紹介し、県が試算したように県内でも農業生産の約6割、1469億円の生産減少となり、岩手の農業と地域経済の死活にかかわる問題だと述べました。
教育の課題では、ひきこもり・不登校対策、学力向上対策が話題となりました。私は、ひきこもり・不登校問題では、すべての子どもに学習権が保障される対策を講じること。学力の問題では、学力最下層が増加し、落ちこぼれの子どもが増加していること。勉強嫌いが増えていることが日本の独自の問題であり、その根本に、国連子どもの権利委員会が日本政府に繰り返し勧告している「高度に競争的な教育制度」があること。子どもの成長と発達を保障するという教育の目的に即して、受験のための競争の教育からだれもが分かる喜びを培える教育への転換が必要と指摘し、少人数学級の実現、教師の大幅な増員が必要と述べました。
最後に、民主党政権の公約違反の政治が国民の間に閉そく感と政治への信頼を大きく損なっていると述べ、日本と岩手の死活にかかわる問題として、消費税の大増税、TPP交渉への参加をなんとしても阻止すべきと話しました。
《2012年3月15日》
漁船確保は年度末までに3400〜3500隻程度―さらなる対策を
予算特別委員会で農林水産部に対する質疑に立つ
3月15日の予算特別委員会で斉藤県議は農林水産部に対する質疑に立ち、漁船の確保状況について質しました。
漁業調整課の石田課長は、「今年度は6800隻程度の予算措置だが、3月末までに3400〜3500隻程度を確保する見通し。予算を繰り越し不足分の早急な確保に努めたい」と述べました。斉藤県議は、6800隻予算措置をしながら復興計画では3年で6100隻の確保としている矛盾を指摘。また、「養殖施設は8割を回復する目標となっているのに対して、被災した漁船が13000隻におよぶ中で目標が半数にとどまっていることは重大」と述べ、さらなる対策を求めました。東大野潤一農林水産部長は「復興計画の数値の取り扱いは各部局と協議したい。漁船の数は各漁協が必要とする数をもとに予算措置しており、必要とするものを満たすように予算確保に努めていきたい」と答えました。
斉藤県議は、漁港の再建、整備状況についても質問。漁港漁村課の大村益男総括課長は「全漁港で荷揚げや漁船の係留が一定程度可能。潮位の高低にかかわらず荷揚げ作業が可能な漁港数は3割まで復旧しており、24年度末には5割まで引き上げることを目標に復旧に努めたい」と述べました。
農林水産部に対する質疑の大要については「議会報告」をご覧ください。
《2012年3月12日》
被災県立病院の再建―用地確保の協議早く
予算特別委員会で医療局に対する質疑に立つ
3月12日の予算特別委員会で斉藤県議は医療局に対する質疑に立ち、被災した県立病院の早期再建のために、用地確保について関係自治体との協議を早急に行うよう改めて提起しました。
昨年12月の一日平均患者数でみると、県立高田病院、山田病院では被災前の同時期の一日平均患者数を上回っています。また2月1日から入院患者の受け入れを再開した高田病院の入院患者数は、2月の延べ患者数で656人、一日平均23人となっています。
斉藤県議は、仮設住宅で暮らす高齢者が健康状態を悪化させ、沿岸市町村で要介護認定者が1100人(34.8%)も増加している実態を示し、医療局が積極的に地元自治体と協議し早く方向を示すことが被災地を励ますと強調。また用地確保の目途がついている高田病院については直ちに再建にとりかかるべきと求めました。遠藤達雄医療局長は「二次医療圏の話し合いの中でさまざまな意見も踏まえながら検討していきたい」と答えました。
また斉藤県議は、民間移管が破たんし4月から県立の診療センターへ移行することになった花泉地域診療センターについて、「虚偽だらけの事業計画の医療法人に任せ地域住民を混乱させた責任は重大」と厳しく指摘。県立の診療センターとして再開するにあたり、きちんと地域住民への説明会を開催すべきと求めました。経営管理課の大槻英毅総括課長は「説明会は開催したいと考えており、一関市と具体的な日程等を調整している」と述べました。
医療局に対する質疑の大要については「議会報告」をご覧ください。
《2012年3月12日》
予算特別委員会で保健福祉部に対する質疑に立つ
義援金を理由とした生活保護廃止の実態、子どもの医療費助成拡充などを質す
3月12日の予算特別委員会で斉藤県議は保健福祉部に対する質疑に立ち、義援金を理由にして生活保護が廃止されている問題を取り上げました。
1月31日現在で生活保護が廃止された197世帯のうち、義援金等の収入から自立更生に当たる額を差し引きその超える額を収入として認定され廃止された世帯は184世帯に及んでいます。斉藤県議は、「一般の国民・県民は、義援金や災害弔慰金、生活再建支援金を収入に認定しない。生活保護世帯だけ収入に認定するのは差別的取り扱いだ」と厳しく指摘。また自立更生に充てられる額が少ない人で10万円程度しか認められていない実態も明らかになり、斉藤県議は「憲法25条の精神にも反するものであり国に改善を求めるべき」と迫りました。小田島智弥保健福祉部長は「自立更生に充てられる費用以外は収入として認定するという国の取り扱いに従い、必要な金額については自立更生に充てられる。現段階で国に要望することは考えていない」と述べるにとどまりました。
また斉藤県議は、子どもの医療費助成の拡充について、陸前高田市や大槌町など津波で甚大な被害を受けた自治体でも来年度拡充することを紹介し、岩手県としても子ども医療費助成取り組みを支援するよう求めました。小田島保健福祉部長は「財源の確保が難しいが、市町村や全国の動向を把握していきたい」と答えました。
保健福祉部に対する質疑の大要については「議会報告」をご覧ください。
《2012年3月11日》
東日本大震災津波岩手県・陸前高田市合同追悼式に参列
戸羽市長と懇談
東日本大震災津波から一年を迎えた3月11日、穀田恵二衆議院議員・国対委員長とともに東日本大震災岩手県・陸前高田市合同追悼式に参列しました。午後2時30分から行われた追悼式には3500人が参列。地震の発生した午後2時46分に1分間の黙とうを捧げました。達増拓也知事、戸羽太市長らが式辞を述べました。
遺族を代表して、高田高を1日に卒業した菊地将大君が「あっという間の1年でした。私たちの大切なものを多く失いました。家族や友人、町の風景典。明るい未来をつくっていくために、忘れることなくその人たちの分まで精いっぱい生きていくことを誓います」と述べました。
ユネスコ親善大使のイヴリー・ギトリスさんが被災した高田松原の松で製作したバイオリンで鎮魂の思いを込めて演奏、多くの方々が献花台に花を手向けました。
式典に先立ち、穀田衆議院議員・党陸前高田市議団とともに会場前で戸羽市長と懇談しました。戸羽市長は、「仮設住宅の設置が終わったあと、国の補正予算を期待していましたが、国会の政局で復興が遅れた」と批判。津波で壊れたJRの再建問題や復興交付金の書類作成による被災自治体の負担の問題などについて話しました。JRの再建問題で戸羽市長は、「JRは何の相談もなく、いきなりBRTという案を出してきた。JR側に説明を求めたら、暫定だというので、何年後かに鉄道の再建を約束するよう求めたら『それは約束できない』と言われた。鉄道は町づくりの根幹。鉄路の再建を望んでいる地元住民のことを考えていない」と訴えました。穀田氏は「国会での衆院国土交通委員会で、国とJRが協力して責任もって鉄道の復活をするよう求めていきたい」と述べました。
午前中には、藤倉泰治市議の案内で、震災から1年を経過した陸前高田市内をまわり、がれき置き場となっている気仙町内、1m38cmも地盤沈下した長部漁港などを視察しました。
《2012年3月7日》
予算特別委員会で復興局に対する質疑に立つ
仮設住宅の環境整備、住宅再建へのさらなる支援を
3月7日の予算特別委員会で斉藤県議は復興局に対する質疑に立ち、仮設住宅における環境整備等の問題について質しました。
斉藤県議は、水道管の凍結件数と対策について質問。生活再建課の鈴木浩之総括課長は、「水抜きを行ったにも関わらず凍結した件数は3月5日現在で707件。床下周りをシートで囲う追加工事や配管状況の再点検を行い完了している」と答えました。
また斉藤県議は、45%の仮設住宅団地で集会所・談話室の整備がされていない問題を指摘。被災者のコミュニティを確保する重要な砦であり、空き室の活用も含めて整備するよう求めました。鈴木総括課長は、「集会所の設置基準はおおむね50戸以上の団地だが、入退去を管理している市町村に対し空き室の集会所への活用を促している」と述べました。
斉藤県議は、被災者の住宅再建に対し100万円補助する制度を示したことを評価し、対象件数の見込みについて質問。鈴木総括課長は「来年度からの5年間で最大9500戸を見込み、来年度は2割分を予算措置している」と答弁。斉藤県議は、持ち家の再建にはさらなる自己資金が必要と強調し、さらなる支援策を講じるよう求めました。
復興局に対する質疑の大要については「議会報告」をご覧ください。
《2012年3月6日》
高田一郎県議が予算特別委員会で知事に対する総括質疑に立つ
みなし仮設住宅の入居期間延長、介護保険の実態等について質す
3月6日の県議会・予算特別委員会で高田一郎県議は総括質疑に立ちました。
高田県議は、民間賃貸住宅などの借上げによるみなし仮設住宅の入居期間が2年で終了する問題について、被災者から不安の声が上がっていることを示し、県の対応について質しました。達増拓也知事は「国に対し延長を要望し『必要があれば期間の延長を検討する』旨の回答をいただいている。引き続き強く要望していきたい」と答えました。高田県議は、応急仮設住宅の撤去費用も含めた1戸当たりの建設費が約600万円で、民間賃貸住宅の家賃の8年分に相当すると強調。高台移転等にも時間を要し2年で退去となることは大きな問題があると具体的に政府に迫るべきと訴えました。
また高田県議は、第5期の介護保険料引き上げの状況について質問。千葉茂樹副知事は「県平均月額で4851円、5000円を超える見込みの自治体は7自治体となっている」と答えました。高田県議は、震災により沿岸市町村で要介護者が増えているのではないかと指摘。千葉副知事は、「沿岸市町村の同期間の新規認定者数は4286人で、前年同期比で1107人34.8%増となっている」と述べ、被災後の環境の変化に伴う外出機会の減少などにより生活不活発病の高齢者が増加する傾向にある実態を明らかにしました。さらに高田県議は、第5期計画で早期入所が必要な方々がすべて入所できない実態も指摘し、安心して利用できる制度になるよう最大限努力するよう求めました。達増知事は「財政力の厳しい地域には辛い制度だと思っており、国に対しさらに制度の見直しを求めていきたい」と答えました。
さらに高田県議は、被災市町村において国保の運営に大きな支障をきたしている問題を指摘。国の財政支援は9月までであり10月以降の財政支援はないという重大な通達となっていると述べ、被災自治体と連携しながら国に財政支援を求めるよう訴えました。達増知事は「市町村の国保財政が安定的に運営できるように、国に対して財政支援の継続を要望していきたい」と答弁しました。
高田県議の総括質疑の大要は「議会報告」をご覧ください。
《2012年3月2日》
「被災鉄路の鉄路での早期復旧を求める意見書」を県議会で全会一致で採択
3月2日の県議会本会議で、「被災鉄路の鉄路での早期復旧を求める意見書」を全会一致で採択しました。
意見書では、「大震災で沿岸鉄道路線が壊滅的な被害を受け、三陸鉄道については鉄路での復旧再開を目指しているが、JR大船渡線や山田線はいまだ復旧の道筋がつかない中で、JR東日本幹部からバス専用線(BRT)による再開に言及がなされるなど、鉄路の放棄ともとられかねない状況となっている」と指摘。また、「少子高齢化の進む被災地では、住民の交通手段、沿岸地域の観光振興などの観点から必要不可欠な路線である」とし、鉄路の復旧再開は被災地の復興に向けたまちづくりにおいてきわめて重要な社会基盤として欠かすことはできないと主張しています。
こうした状況にかんがみ、国に対して、被災鉄路を鉄路として早期復旧再開が図られるよう、必要な助言・指導等の措置を講じるとともに、各種制度の創設・拡充を含めた環境の整備に努めるよう求めています。
《2012年3月1日》
JR大船渡線、山田線は鉄路で早期復旧を
東日本大震災救援・復興県民会議が要望書
3月1日、東日本大震災救援・復興県民会議(東幹夫代表世話人)は佐々木博県議会議長にたいし、被災した三陸地域をつなぐ鉄道の堅持と早期復旧を求める要望書を提出しました。斉藤県議が同席しました。
被災地の産業と生活に欠かせないJR大船渡線、山田線の復旧の目途がいまだに立っていないもと、JR東日本の社長は、バス高速輸送システム(BRT)の導入による仮復旧を検討し、地元との協議を進めると発言しています。
鈴木露通事務局長らは、JR東日本にたいして、「BRTへの転換」発言を撤回させ、断念させるように達増知事とともに県議会が申し入れてほしいと要望しました。また政府にたいし、@大船渡線、山田線の早期復旧をはかるA被害が少なかった地域から早期に整備を行って運行の再開をめざし、鉄道復旧までの間の代替交通の確保をするB鉄道復旧のかさあげやルート変更に伴う新たな負担については地元負担とならない支援策を早急に講じる―ことを求める意見書を提出してほしいと要請しました。
佐々木議長は、「三陸鉄道が復旧されるのに(三陸地域の)鉄道が結ばれないのは大変なことだ。JR東日本だけでなく政府からの支援も必要なので要請する」と答えました。
《2012年3月1日》
商工文教委員会で雇用、中小企業対策などについて質す
被災者の雇用、被災事業者の再建に全力を
3月1日の県議会・商工文教委員会で斉藤県議は質疑に立ち、被災地での雇用創出、中小企業対策等について質しました。
斉藤県議は、被災者を新たに雇用した場合人件費を向こう3年間にわたり最大で225万円を助成する事業復興型雇用創出事業について、「2月6日から開始したが申請件数が2件にとどまっている。年度内から使える効果的な事業であり、積極的な活用が図られるよう取り組みを強めるべき」と指摘しました。津軽石昭彦雇用対策課長は、「対象事業者にダイレクトメールを送ったり沿岸地域で説明会を開催している。3月以降新採用したい、地域学卒者等を雇いたいという相談があり、徐々に伸びていくのではないか」と答えました。
また斉藤県議は、二重ローン対策についても、「相談件数も少なく買取件数も少ない」と指摘。相談されればいろんな形で業者が助かると述べ、相談体制も含め抜本的に使える制度に改善を図るべきと求めました。齋藤淳夫商工労働観光部長は、「利用実績等しっかり検証し使われるように改善していきたい」と述べました。
さらに斉藤県議は、NECなど電器関連の大企業が大規模なリストラ計画を示していることを紹介し、岩手県内の関連企業の状況について質しました。企業立地推進課の保和衛総括課長は、「今のところ県内でそういった動きはない」と答えました。
商工文教委員会での質疑の大要については、「議会報告」をご覧ください。