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《2013年6月28日》
旧盛岡短大跡地を地域住民のために活用を
地域住民が県に陳情


 6月28日、「旧盛岡短期大学跡地を地域の住民のために活用していただきたい」という陳情を、地域住民の代表である旧盛岡短期大学跡地利用促進期成同盟会(会長:下田啓太郎)が県知事あての陳情を行いました。小田島智弥県総務部長が対応しました。私と、福井誠司、軽石義則県議が同席しました。
 下田会長は、城南地域は人口1万1000人を超え増加している。旧盛短跡地は地域で唯一残された土地で、文教地区にふさわしく地域住民の活動センターとして活用できるようにお願いしたいと要請。小田島総務部長は、「旧盛短跡地は文教地区として非常にいい場所だ。県としては売却の方向だが、まず、盛岡市の公共的利用をお聞きしたい」と述べました。
 先立つ谷藤盛岡市長への陳情では、「医大の移転後の跡地と旧盛短跡地については、常に意識している」との対応だったと話されました。
 私は、旧盛短跡地は、地域にとってはなくてはならない土地であること。盛岡市の通う計画については時間がかかることから、県としても地域の要望を踏まえて対応すべきこと。とくに、山王児童・老人福祉センターは地域住民に積極的に活用されており、老朽化・狭隘化の解消が課題となっていることを強調しました。


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《2013年6月27日》
参院選立候補予定者に政策を聞く会開かれる
吉田(民主)、平野(無所属)両氏が消費税増税を主張、自民党は欠席


 6月27日、参議院選挙立候補予定者に政策を聞く会が盛岡市のおでってホールで開かれました。これは、くらしを考えるネットワークいわてといわて食・農・地域を守る県民運動ネットワークが主催したものです。菊池幸夫(共産)、吉田晴美(民主)、関根敏伸(生活)、平野達男(無所属)、高橋敬子(幸福実現)の5氏が出席。自民党の田中氏は欠席しました。
 消費税増税については、民主党の吉田氏は、「増税に賛成」「社会保障のために使われるよう見極める」「導入時期は慎重に」と発言。無所属の平野氏も、「国の財政は税収より国債の方が多く、人口減少を考えれば、消費税しかない」「景気の状況を見てタイミングを見ること。逆累進制への対応が必要」と発言しました。共産党の菊地氏は、「国民の所得が減少している中での増税は暮らしと経済を破壊する。復興に逆行する。税収も逆に減少する」と三つの理由を述べ消費税増税の中止を主張しました。また、「国民の所得を増やす政策、大企業・大資産家への減税をやめて税収を増やすことができる」と発言しました。生活の党の関根氏、幸福実現党の高橋氏も増税に反対を主張しました。自民党の田中氏は、アンケートに「消費税増税に賛成」と答えています。
 
TPPに民主党、平野氏も反対?
幸福実現党はTPP推進・原発推進を主張

 

 TPP問題では、民主党政権のもとでTPP交渉参加が打ち出されたにもかかわらず、民主党の吉田氏は、「あくまでも反対」と発言。反省がありません。TPP推進を打ち出した時の民主党の大臣だった平野氏は、「TPP参加は最終的には国会で決めること」と述べ、「岩手県の立場で考える」と微妙な発言でした。共産党の菊地氏は、「岩手県の試算でもコメが5割、乳牛は壊滅、1400億円余の生産額の減少による地域経済への影響があり、許されない」「非関税障壁の撤廃では、食品の安全基準、農薬、遺伝子組み換え食品などがアメリカ並みに変えられ、国民皆保険制度もゆがめられかねない」「アメリカとの事前交渉では、自動車、保険、牛肉などアメリカの要求を丸飲みしておりTPP交渉への参加を撤回すべき」と主張しました。生活の党の関根氏もTPP反対を主張しました。自民党の田中氏は、アンケートに「未記入」「今後のTPP交渉によって判断すべき」と逃げとごまかしの回答。幸福実現党の高橋氏は、「TPPにはメリットがある。消費者の選択の幅が広がる」「TPPは中国包囲網の意味があり」賛成と発言。原発についても「避難している中で死んだ人はいるが、放射能で死んだ人はいない」と暴言。「原発の基準は厳しすぎる。原発を怖がらず、再稼働を進めるべき」と発言しました。会場からはどよめきが起こりました。
 
民主党と平野氏は「原発の再稼働」に賛成
平野氏は自衛隊の保持を明記・集団的自衛権行使を回答

 
 原発は、討論のテーマになりませんでしたが、民主党の吉田氏と平野氏は、「再稼働しながら期限を設けて廃炉にする」と回答。自民党の田中氏は、「未記入」「エネルギーミックスの議論の中で原子力政策について討論すべき」と無責任な回答となっていました。
 憲法9条、96条の改正問題についてのアンケートには、平野氏は、「自衛隊の保持を明記するべき」「集団的自衛権については、憲法の解釈を変更して、後方支援に限って、行使できるようにするべき」と回答しています。自民党の田中氏は、「未記入」で逃げとごまかしに終始。参加しなかった理由が透けて見えるようでした。


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《2013年6月25日》
県立高田病院の充実を求め市民の会が要請
再建される病院は被災前と同等以上の規模に


 6月25日、県立高田病院を守り発展させる市民の会(熊谷光人会長)は達増拓也知事、佐々木信医療局長にたいし、県立高田病院の充実を求める要請書を提出しました。斉藤県議、無所属の佐々木茂光県議が同席し、佐々木医療局長、八重樫幸治次長らが応対しました。
 要請書では、震災前は県立高田病院が地域医療の中核を担い、医療と福祉の連携や訪問診療、医師体制の拡充の取り組みなどを紹介しつつ、大震災で2人の開業医が亡くなり、4つの診療所が廃業する中で、県立高田病院の充実は不可欠と強調。ところが1月に開催された住民意見交換会では、震災前を下回る50床程度の病院再建案が医療局から示され、縮小ではなく一層の拡充こそ必要と訴え、@県立高田病院の医師体制について充実を図ることA再建する県立高田病院の機能および規模は、被災前と同等以上とすること―を求めました。
 参加者からは、「現在の仮設診療所でも二次救急に対応するなど頑張っている。本格的な再建で規模・機能が縮小されるのでは意味がない」、「地域の要望に応えた病院にしてほしい。説明会の場をまた設けてほしい」などの声が出されました。
 佐々木医療局長は、「要請は承知した。充実した体制に越したことはないが、現実的にそうした状況は楽観できない。今後の地域に求められる医療をどう構築していくか考えなければならない」と答えました。


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《2013年6月18日》
中小企業憲章制定3周年のつどい開かれる
岩手でも中小企業振興条例の制定を


 6月18日、「中小企業憲章制定3周年のつどい」が盛岡市内のホテルで開催されました。これは、盛岡商工会議所、中小企業団体中央会、岩手県中小企業家同友会が主催したもので、自民、民主、公明、希望・未来フォーラムの各県議とともに私も参加しました。
 田村満岩手同友会代表理事が主催者あいさつし、「長年の取り組みの中で3年前に中小企業憲章が閣議決定されたが、東日本大震災の復興では何も役に立たなかった」と述べました。経済産業省の利根川事業環境部企画課長補佐が、「中小企業憲章と岩手の復興」と題して記念講演しました。利根川氏は、これまでの国の中小企業政策の経過を説明し、中小企業憲章が閣議決定された内容を説明しました。また、東日本大震災から中小企業がどう復興しているか、国の施策とその状況を詳しく話しました。
 慶応義塾大学の植田浩史経済学部教授が、「陸前高田市全事業所調査から見える中小企業の役割」について報告しました。上田教授は、市内294社からのアンケート結果を詳しく紹介し、37年以上前から創業している地域に根付いた企業が約4割を占め、被災した事業所の57.4%が場所を移動し、45.2%が仮設での再開となっていると指摘しました。売上・利益率が減少した企業は半数近く。「事業は継承したいが後継者が決まっていない」が23.1%、「未定・わからない」が34.7%となっていると報告。中小企業が、社会の主役として地域社会と住民生活に貢献し、伝統技能や文化の継承に重要な機能を果たしているという中小企業憲章の提起は陸前高田市でも問われていると述べました。
 北海道中小企業家同友会代表理事の守和彦氏が「中小企業振興基本条例と企業・地域づくり運動」のテーマで北海道の取り組みを報告しました。守氏は2003年に初めてEUの中小企業憲章を知り、日本でも中小企業憲章が必要と取り組み2010年に中小企業憲章が閣議決定された。北海道では全ての道と179市町村で制定しようと運動に取り組み15市町で制定されていると述べました。その取り組みと合わせて9年連続で同友会の会員が増加していると、旭川市や釧路市での条例制定の取り組みを詳しく紹介しました。この運動は会社が元気になり、地域経済を掘り起こす運動だと強調しました。
 参加した県議会議員も感想・意見を求められ、私は、岩手県でも中小企業振興条例が制定できるよう経済界と皆さんと意見交換しながら取り組みたいと述べるとともに、中小企業憲章は東日本大震災の復興の中でこそ問われていると指摘。全ての希望する企業が対象となるグループ補助金の拡充、二重ローン解消もまだ120件の債権買い取りにとどまっており、活用できる制度にすること。1700の仮設店舗・工場の営業継続と本設への抜本的な支援が必要であり、中小企業の再建が復興の要をなす課題となっていると発言しました。


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《2013年6月16日》
憲法「改正」と06教育基本法がつくりだすもの
大内裕和中京大教授が講演


 6月16日、憲法に基づく教育を進める岩手の会、岩教祖、県高教組主催の憲法講演会が開かれました。大内裕和中京大学国際教養学部教授が、「憲法『改正』と06教育基本法がつくりだすもの」と題して講演しました。
 大内氏は、第二次安倍政権について、河野洋平氏や海外の論評を紹介し、「保守ではなく過激なナショナリストの内閣」だと指摘。国会では憲法改正派が3分の2以上を占めたが、今日の岩手日報に報道された全国世論調査では、憲法9条改正に反対が54%、96条改正には51%が反対していると述べました。自民党の「日本国憲法改正草案」の内容を具体的に紹介し、天皇の元首化、国旗、国歌の明記、国防軍の設置、基本的人権の制約など改憲どころか壊憲の内容となっていると述べました。
 また、この間の2006年の教育基本法改悪以来の経過を述べ、橋下大阪維新の会が「君が代」条例や府教育行政基本条例、職員基本条例などの強行で、教育改悪の先兵の役割を果たしてきたと指摘しました。

若年層の貧困化、奨学金滞納876億円
共通の課題として運動を

 
 大内氏は、運動の課題として、若年層の貧困化、学生の奨学金の滞納が33万人、876億円にも及び、非正規雇用とも相まって貧困の連鎖が広がっていると述べました。現在、学生の約半数が奨学金を借りており、その7割以上が有利子で、卒業後返済に追われる事態となっている。月10万円の奨学金を借りた場合、480万円の奨学金で卒業時には646万円の借金を抱えることになる。日本学生支援機構には1日、3000件の返済できないとの相談が寄せられている事態だと述べました。これは家族、親の貧困化にも結びついていると指摘。愛知県では昨年9月に「愛知県、学費と奨学金を考える会」がつくられ、今年3月31日には、「奨学金問題対策全国会議」が結成されたと述べました。アメリカでは学生の貧困化が、軍隊に入る大きな要因となっている。日本でもそうならないように、国防軍がつくられない前に給付制の奨学金の実現が必要と強調しました。


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《2013年6月15日》
さよなら原発 岩手県集会に400人
原発はやっぱり割にあわない―大島堅一氏が講演


 6月15日、さよなら原発・岩手県集会が教育会館大ホールで開かれ約400人が参加しました。大島堅一立命館大学教授が、「原発はやっぱり割にあわない」のテーマで講演しました。
 大島氏は、政府のコスト等検証委員会のメンバーとなり発電コストを調べたが、これまでこうした調査がなく、政府にコスト意識がなかったと指摘。調査報告によれば、原発は決して安くはないことが明らかになった。さらに、発電コストには発電に要するコストと、放射性廃棄物処分費用、廃炉費用、再処理費用などのバックエンドコストがあり、事故費用などの社会的費用を含めると原発のコストは高くなると指摘しました。また、これまでの電力関連の予算の7割が原発関連で占められており、原発立地自治体への電源3法交付金という迷惑料の制度は日本だけの異常なものと述べ、その後、台湾・韓国が真似をしていると述べました。事故コストについて、政府は5兆円と試算していますが、市で2政府による資本注入が1兆円、東電は事故収束にさらに5兆円必要になると述べており、事故のコストと安全対策を合わせると20兆円以上になるのではないかと述べました。
 福島原発事故は、最悪のケースではなかったと述べ、ベントができなければ、敷地境界線で数Sv/時、4号機崩壊なら170km圏内で強制移住、250km圏内で人に移住(保安院資料)となっていたと指摘しました。福島原発事故によって、世界最大規模の電力会社、東京電力すら経営破たん状態にあり、他の中小の電力会社では、事故の収束すらできないと述べました。日本の安全規制は30年前の技術水準だった(斑目春樹)と指摘し、原発のリスクについて、「絶対安全な原発は存在しない」「原発稼働ということは、原発のリスク、コストを社会が受け入れるということ」と述べ、原発のあり方を考えようと訴えました。

シイタケ農家、酪農家、養殖漁民が訴え
再生産と風評被害を保障する賠償を

 
 一関市のシイタケ農家の佐藤敏夫さんは、放射能汚染により生産ができなくなった。東電を呼んで交渉し現場確認までさせたが、「産直施設以外への売り上げを記録した伝票がないのでその分は払えない」と大幅な減額補償となった。農家には責任がなく、再生産できる保障を求めていくと発言。一戸町奥中山の酪農家は、牧草地が汚染され除染作業が行われているが、廃用牛の出荷ができない、子牛や廃用牛の価格が下落、さらに100ベクレル以下については代替飼料も農家持ちで、40頭飼っている農家では924万円の請求がきていると述べました。東電と15回交渉し、一戸町にも独自の支援を要求して頑張っていると発言。田老漁協の畠山昌彦さんは、大震災津波で自ら家も船も車も流された、100人いた養殖漁家は3割減少した。特産品の真崎わかめも風評被害で売り上げが伸びないと話しました。
 その後、「原発ゼロを求める県民アピール」を採択し、大通りからカワトクデパートまでアピール行進を行いました。


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《2013年6月15日》
遠野市の後方支援活動と基礎自治体のあり方
岩手地域総研で本田遠野市長が講演


 6月15日、岩手地域総合研究所2013年通常総会に先立って、本田敏秋遠野市長が「遠野市の沿岸後方支援―『縁』が結ぶ復興への絆」と題して記念講演しました。
 本田市長は、大震災から2周年を迎えた大槌町での追悼式で遺族が「今日は思いっきり泣く」と話した言葉、山田町の仮設住宅での「仮設から葬式は出したくない」という被災者の言葉を紹介し、被災者の状況と心の痛みに心寄せて復興支援に取り組むことが重要と指摘。遠野モデルとも言われている遠野市の後方支援活動については、全国の基礎自治体からの支援、ボランティア支援があってこその取り組みと述べ、昨日も銚子市民が13区自治会に駆けつけるなど交流が続いていると話しました。一方で、政府の取り組みにスピード感がなく被災地との温度差がありすぎると指摘しました。自治体のあり方に触れて、全国的な平成の合併について「理念のある合併ではなかった」と述べ、遠野市と宮守村の合併は対等合併として取り組んだことを強調。県立遠野病院の医師確保についても市独自に担当者を配置し、病院長と一緒に医師確保に出向き、住宅確保や子どもの教育などについてサポートし、この間2人の若い医師を確保、遠野市に家を建てていると話しました。
 沿岸被災地への後方支援活動については、半径50キロメートルの範囲内に宮古市、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市があり、安定した花こう岩帯の地質にも恵まれた地理的背景があったこと。藩政時代の遠野南部氏12500石の城下町として沿岸と内陸の拠点の役割を果たしてきたことを南部三閉一揆にもふれて話されました。

後方支援拠点構想打ち出し、2度の訓練が生かされる
 
 遠野氏は、宮城県沖地震が30年以内に99%の確率で発生すると指摘される状況の下で、後方支援活動の拠点としての役割を果たそうと後方支援構想をまとめ、国・県にも訴え、2度にわたる訓練も行われてきました。このことが、東日本大震災でも官民一体となって迅速に後方候補支援活動を展開することができたと話しました。
 次の予定の関係で最後まで話を聞けなかったことは残念でしたが、本田遠野市長の思いが伝わった講演でした。


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《2013年6月13日》
大槌町の復興の現状と課題について調査
県議会東日本大震災津波復興特別委員会


 6月13日、県議会東日本大震災津波復興特別委員会が大槌町を訪問し、碇川豊町長らから復興の現状と課題等について説明を受け、意見交換しました。
 9時40分、県議会を出発し、12時10分大槌町の復興食堂に到着し海鮮丼の昼食を取りました。県立盛岡商業高校のPTAも研修で来ていました。
 午後1時、城山公園の高台から大槌町内の被災状況と復興の取り組みについて碇川町長から説明を受けた後、中央公民館の大会議室で復旧・復興の状況と課題について詳しく説明を受けました。
 碇川町長は、大震災津波で1281人が犠牲となり、行方不明者が433人に及んでいる。2106戸の仮設住宅に4300人が避難生活を送っていると述べるとともに、若者の雇用確保、人口の流出、地価の高騰、防集事業など土地確保の課題などについて指摘。一方で町方地区の区画整理事業が6月29日に先行工事に着手となると述べました。まちづくりについて、大槌川と小槌川沿いに新たな集落や公営住宅、病院、学校等が整備されることから、これを結ぶ「(仮称)三枚堂大ヶ口地区横断道路」(トンネル工事、町の試算では700メートル20億円)が必要と強調しました。
 復興に向けた課題では、
1、安全・安心の確保について―@「仮称三枚堂大ヶ口地区横断道路」の整備、A県道吉里吉里釜石線にかかる歩道の整備、B県立大槌病院の早期再建、C防潮堤の早期整備、D復興事業にかかる職員の確保
2、暮らしの再建―@住宅再建にかかる用地の確保、A被災した土地の買い上げにかかる相続登記事務、BJR山田線の早期復旧
3、地域経済の再興―@漁港の整備、A雇用の創出、B「グループ補助金」及び「中小企業被災資産復旧費補助金」の延長、主要地方道大槌小国線土坂トンネルの早期着工
等について要望を受けました。
 意見交換では、仮称三枚堂大ヶ口地区横断道路については、県の小野寺徳雄復興技監が、復興庁が復興交付金事業としては難しいとしており、他の方法の検討が必要と国の動向について説明。私は、被災者の住宅再建の意向調査の状況と町の支援策、公営住宅の整備状況について聞きました。昨年1月の意向調査では、公営住宅の希望は980戸で、それに基づいて公営住宅を建設することにしていること。年末年始の意向調査では、公営住宅の希望が35%、不明が20%となっている。すでに公募している公営住宅の応募状況では、大ヶ口(70戸)が1.8倍(129申し込み)となった一方で屋敷前(21戸)に17件、吉里吉里(34戸)に29件の申し込みにとどまっていることについて、屋敷前は浸水地域で1階が駐車場になっていること、吉里吉里は集合住宅になっていることがあったのではないかとの説明がありました。大槌町はすでに町独自に住宅再建に150万円の補助を行っていますが、今後大槌町で住宅建設をする場合にも補助を検討していきたいと述べました。
 人口流出問題では、震災前の15299人からすでに3000人が減少しているが、漁業・水産加工業を基幹産業として再建し、雇用を確保するとともに、東京大学大気海洋研究所などとの連携と、観光などで交流人口を増やすとともに起業支援で対応していくと述べました。
 職員の確保では、現在231人で、うち町職員は128人、任期付職員や派遣職員が110人で、21人が不足の状況になっている。さらなる支援を要望されました。碇川町長は国家公務員の給与削減に対応した給与削減問題について、町職員の8割方が被災者で、復興事業に献身的に取り組んでおり、給与削減は実施しないと述べました。まったく同感です。ちなみに地方交付税削減額は約4000万円とのこと。国の被災地に背を向けたやり方に怒りを覚えます。参加した町議会議員の方々からも要望を受けました。
 その後、大ヶ口公営住宅の建設現場、福幸きらり商店街、がれき破砕・選別等処理施設、大槌漁港・防潮堤建設予定地を見て、再建した水産加工会社の伊藤商店を訪問しました。
 
グループ補助等を活用しいち早く再建
二重ローン、労働力不足が課題

 

 伊藤治郎常務、伊藤三郎部長から説明を受けました。伊藤商店は津波で本社と7つの工場・冷凍冷蔵庫、新食品工場の全てが全壊する被害を受けたものの、いち早く再建を決意し、第1次グループ補助の採択を受けるとともに、大槌町水産業共同利用施設復興整備事業の採択も受けて工場の再建に取り組んでいます。現在は得意分野の一次加工、冷凍分野、海藻分野に特化して、売り上げは震災前の7割程度まで回復しているとのことです。
 今後の課題については、二重ローンの問題―震災前の新工場建設の借金が残っており、現在は復興相談センターに相談し、利助で対応してもらっているが、二重ローン解消の債権買い取りには至っていないと述べました。高度化資金等の返済も5年後から始まれば大変な状況。また、ハローワークに求人を出しても労働者が集まらない。昨年からベトナムからの実習生3人を確保したが、宿泊施設がなく釜石から通勤している状況と述べました。誘致企業の問題では、地元商店街、地元企業の存続を考えたうえで、誘致を進めてほしいとの意見も寄せられました。


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《2013年6月11日》
東日本大震災津波から2年3カ月―月命日にあたって街頭宣伝
いのちと暮らし最優先の復興に全力


 6月11日で、3.11東日本大震災津波から2年3ヶ月が経ちました。
 日本共産党岩手県委員会は盛岡駅前で、菊池ゆきお予定候補を先頭に、月命日にあたっての街頭宣伝を行いました。
 マイクを握った菊池予定候補、菅原県委員長、斉藤県議は、2年3ヶ月経過しても仮設住宅から出た人はわずか4.8%の現状をはじめ県内の被災者の切実な思いを紹介しながら、被災者のいのちと暮らし、生業最優先の復興が重要と訴えました。復興予算の流用を許さず、@国の責任で医療費・介護保険利用料の免除措置の復活・継続を、A住宅再建に国の支援金を500万円に、Bグループ補助の拡充、本設への支援をすべての事業者を対象に、CJR山田線・大船渡線の早期復旧を、D放射能汚染―徹底した除染と賠償の実現を の日本共産党の復興ビジョンを紹介。さらに、復興に逆行する消費税増税、TPPは許されないと訴え、参院選での日本共産党の躍進を訴えました。


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《2013年6月11日》
漁船漁業の復興へ、漁民組合が県に要望書提出

 6月11日、岩手県漁民組合(組合長・蔵徳平)は達増拓也岩手県知事に対し漁船漁業の復興を求める要望書を提出し、五日市周三水産振興課総括課長らと意見交換しました。私と高田一郎県議が同席しました。
 要望では、@底引き網漁、巻き網漁の沿岸での操業禁止と二艘引きをやめさせるよう国に働きかけること。漁具の海洋投棄の実態を調査し公表すること。Aサケ資源の公平配分と回帰率の向上をはかり、漁民にサケ刺し網漁ができるようにすること。B春マス漁、アカイカ漁、大目流し網漁、イサダ漁はじめ、流れものも漁獲できるよう規制を見直し、所得向上と後継者の育成をはかること。Cアワビ解禁時期を見直し、所得向上につなげることの4項目。
 五日市総括課長は、1)底びき網・巻き網漁の規制については大臣許可の時期に県として要望を国に提出していると回答。巻き網のロープが投棄されている指摘については不法投棄に当たり、海上保安庁の管轄となると述べました。2)サケの刺し網漁については、7000tの漁獲しかない中で難しい、4年後のための卵を取るのも大変な状況で、来年はもっと少なくなると述べました。3)春マス漁はサケと同じで取れないことになっている。流し網漁は?区の支持であり、変えるとなると海区の中での合意が必要となると述べました。4)アワビ漁については、漁協の判断で取れることになっており、県北3漁協、田老・重茂の5漁協で実施しており、800〜900万個放流し、毎年3割が死んでおり、見直した方がよいと思っていると述べました。
 意見交換では、巻き網のロープの投棄が行われている実態は船の到着地で調べればわかること。サケについては9月から取れるものが宮城に行っている。定置を上げれば卵の確保ができるのではとの声が出されました。釜石の漁民が漁船を確保したにもかかわらず、イサダ漁の許可が出ていない問題を指摘。五日市総括課長は、直ちに対応したいと答えました。燃油の高騰問題では、国の対策にさらに県が上乗せするよう追加して要望しました。


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《2013年6月10日》
全国のがん対策の条例とその取り組みについて学ぶ
県議会がん対策に関する条例検討会


 6月10日、「(仮称)がん対策に関する条例」第2回検討会が開かれました。今回は、全国24都道府県ですでに制定されている「がん対策条例」の内容、特徴を学ぼうと、日本医療政策機構がん政策センター長の埴岡健一氏を講師に招いて講演を聞きました。
 埴岡氏は、妻が白血病で36歳でなくなるというがん患者家族で、それ以来がん対策に取り組み、「がん対策基本法」の制定を提唱(2005年)、2007年〜2011年には国・がん対策推進協議会委員を務めるとともに、奈良県、沖縄県のがん対策推進協議会委員等を務めて来られた方です。毎年「がん政策に関する全国サミット」を開催しています。
 
岩手県の現状―がん死亡率が高く
がん死亡改善率が全国ワースト

 

 埴岡氏は、全国のがん対策の現状について説明し、岩手県の現状について、がん死亡率は全国平均を上回り、がん死亡改善率は全国ワーストになっていると指摘。がん薬物療法専門医数、がん性疼痛看護認定看護師数も全国平均を大幅に下回っていると述べました。また、岩手県の第1期県計画の評価スコアは全国第39位、がん計画アクションプランの格付けも「やや不十分」と評価されていると指摘。岩手県のがん対策の現状について認識を新たにさせられました。がん対策の現状の認識と分析が必要と痛感させられました。

がん対策条例の制定―24都道府県、8市区町
進む対策、条例も進化

 
 全国で制定されているがん対策条例について、埴岡氏は、2006年に島根県で制定されたのが全国初で、画期的な意義を持ったが、その後の全国の条例では記述が具体的になり、進化を遂げていると指摘しました。高知県(2007年)では「相談窓口の設置」、愛媛県(2010年)では「患者の負担軽減に関する施策」、徳島県(2010年)では、「女性特有のがん対策の促進」、岐阜県(2010年)では、「受動喫煙の防止、セカンドオピニオンの推進」、鳥取県(2010年)では、「がん対策財源の確保、患者が不利益を被らない社会づくり」などが明記されていると述べました。
 条例制定の効果として、「計画や予算の根拠」「行政の積極性の引き出し」「条例―予算増加―行政の活性化―患者・現場のニーズに応じた施策の推進―地域医療サービスの向上―地域の課題の解決という好循環」があると述べました。
 がん政策の具体的な課題として、主体である医療関係者の責務を明記すること。質の高い緩和ケアをすべての患者さんに届けること。地域の実情に合った切れ目の内面的医療体制の構築。がんに関する相談体制と情報提供。がん患者の就労を含めた社会的な問題。がん教育・普及啓発。がんの予防(タバコ対策)について具体的に指摘し、関係機関の役割分担が明記されることが重要と述べました。
 埴岡氏は、最後に、住民・患者をはじめ、地域のステークホルダー(関係者)を巻き込み、条例制定のプロセスをがん対策の普及啓発ともすることを強調しました。
 その後の検討会では、今後も、岩手県のがん体躯の現状と県の「がん対策推進計画」の内容、県内がん対策に関わる専門家等から意見聴取し、がん対策条例の制定に向け検討を進めていくことを確認しました。


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《2013年6月9日》
被災者の声を復興に―小田野田村長と被災者が熱く討論
久慈市で岩手県母親大会開かれ1100人が参加


 6月9日、第59回岩手県母親大会が久慈市で開かれ県内各地から1100人が参加しました。北上市や釜石市からは前日からツアーが組まれ、被災地やあまちゃん訪問の取り組みも行われました。
 わたしは午前中に開かれた「被災者の声を復興に!―交流し、力を合わせよう」の分科会に参加しました。
 野田村の小田祐士村長が助言者として野田村の被災と復興の現状を報告しました。野田村では最大18mの津波が来襲、遡上高は37.8メートルに及び、防潮堤が破壊され3分の1の住家が被害を受けました。死者は37人(うち村内死亡者28人)で行方不明者の捜索に全力を上げ3月中には行方不明者全員を確認したことが、その後の取り組みを進める契機になったと述べました。流出した保育所でも全員が避難して助かったことを述べ、「逃げることが第一」と強調しました。避難所では奥さん方が役割を発揮し、お年寄りの知恵が生かされた。米田地区ではみんなが助け合って布団やコメなどを持ちより頑張ったと紹介。今後の復興の取り組みでは、防潮堤を第一の堤防に、国道45号線を第2の堤防、さらに盛土で第3の堤防を整備する計画を述べ、村の災害公営住宅は全て木造戸建てで整備すると述べました。また、復興を進める上で「マニュアルが使えない」「既存の法律で対応できない」ことを強調し、「できないではなく、進めるためにどうするか」が大事と述べました。
 宮古の被災者は、「家のない虚しさ、喪失感に襲われている」と述べるとともに、高台移転の取り組みも土地所有者が不明で進まず、他地区に家を再建する人も出ていると述べ、一刻も早く住宅建設を進めてほしいと発言。釜石の被災者は、36世帯の仮設住宅で生活しているが、高齢者が多く、「早く脱出して、まともな家に住みたい」「しかしお金がない、借りられない」と発言。病気になったときに助けてくれる医療費・介護保険などの免除措置の継続が自立するまで必要と強調しました。山田町の女性は、「仮設住宅では自宅の再建が一番の関心事」「漁民は、小さくても1戸建てに住みたい」「大工に頼んでも2年先の状況」と発言しました。大槌の被災者は、「野田村の災害公営住宅を見てきたが、木造長屋(2戸建て)で素晴らしい」「大槌町では40人の役場職員が犠牲になり、全国から応援職員が来て頑張っている」「50坪の土地確保に100人以上のハンコが必要など、従来のやり方ではなく、特別法が必要」と強調しました。紫波町からの参加者は、被災者を訪問しているが、仮設住宅で隣同士のトラブルが増えている。住宅の見通し、生活の見通しが見えないことが背景にあるのでは。ストレスで血圧の高い被災者が多い。最近お風呂で亡くなった被災者もおり、緊急通報システムの整備・点検が必要と発言しました。
 私も参加者の質問に答え、仮設住宅では4.8%しか自立できてないこと。仮設住宅は県が整備し、管理は市町村が行い、解体費用も含め全額災害救助費から支出されるが、仮設店舗などは1年後には市町村に無償譲渡され、解体費用が市町村に押し付けられるなどの問題があると述べました。
 最後に小田村長が、「被災者は傷をなめ合って生きている」「空元気で頑張っている」と述べるとともに、「自宅の家で葬式を出したい」願いも強い。「できないではなく、やるためにどうするか」が大事と被災者の立場に立った復興への決意を述べました。
 午前中の分科会は、教育、原発・放射能問題、平和と憲法、三鉄に乗って復興応援、琥珀博物館見学など8分科会で熱心な討論が行われました。
 午後からは全体会が開かれ、県立久慈高校のマンドリンクラブの演奏でオープニング、山本万喜雄愛媛大学名誉教授が、「ともに子どもを育てる喜び」のテーマで記念講演を行いました。


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《2013年6月8日》
TPPでどうなる―私たちの食料・くらし・医療
城東地区9条の会で学習講演会開く


 6月8日、ホテルサンノウの会議室で6・8憲法学習会―「TPPでどうなる―私たちの食料・くらし・医療」が城東地区9条の会主催、河南9条の会・中津川9条を守る会の協賛で開かれ、地域の方々36人が参加しました。
 城東地区9条の会運営委員を務める地元の横山英信岩手大学人文社会学部教授が講演。横山教授は、安倍政権が投機とバブルをあおり、株高と物価の上昇をめざすアベノミクスが破たんしつつある。被害が拡大する前にストップさせる必要があると強調しました。TPP参加をめぐるこの間の経過について、自民党は総選挙前では「国益を損ない、農林漁業を崩壊に導いてまでも、TPP交渉に参加する必要は絶対にありません」(農業新聞への意見広告)と公約していたと指摘。TPP参加は明確な公約違反だと述べました。TPPは日米共同声明でも「すべての物品が交渉の対象とされること」「2011年11月にTPP首脳によって表明された「TPPの輪郭」において示された包括的で高い水準の協定を達成すること」が明記されており、冷害なき市場開放が原則であること。聖域を守る余地がないことを強調しました。4月12日の日米事前協議の合意では、アメリカの要求を丸のみさせられたこと。国益どころか「日本を売り飛ばす」ものとなっていると述べました。
 農林水産業への影響では、日本の全関税品目は9018あるが、良くて1%(90)が認められる程度、米韓FTAでは0.1%で例外はコメだけだったと指摘。日本の場合、米だけで58品目、小麦・大麦で109品目の関税項目があると述べ「聖域」を守れる保証は全くないと述べました。地域経済への打撃も大きいと指摘。残留農薬・食品添加物・遺伝子組み換え作物など非関税障壁の撤廃で食品の安全が脅かされ、自然環境への影響が懸念されると述べました。医療の分野では、混合診療の拡大、株式会社による病院経営などで国民皆保険制度が脅かされることを指摘しました。
 最後に、TPP参加への不安が広がり、マスコミの一部にも変化がみられる。TPPの影響が広範囲に及ぶことから、反対運動も広範囲に組織できると強調。「一部の大企業のもうけのために、大多数の国民の利益を犠牲にしていいのか」というTPPの本質を広げていこうと強調しました。
 参加者からは、「TPPは何一つよいことがないのになぜ進めようとしているのか」「TPPが通ると憲法も通るような気がする」「若い人が参加してくれたことが印象深い」の感想が寄せられました。


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《2013年6月4日》
大船渡市吉浜地区、釜石市のスマートコミュニティ構想を調査
県議会再生可能エネルギー調査特別委員会


 6月4日、県議会再生可能エネルギー調査特別委員会の県内調査で大船渡市、釜石市に行ってきました。
 三陸鉄道吉浜駅に併設されている大船渡市吉浜地区拠点センターでは、公共施設への県補助金を活用して、蓄電池付太陽光発電設備を整備しています。太陽光発電設備は、駐車場の屋根に44枚のパネルを設置、10.56kwの出力。蓄電池は、リチウムイオン蓄電池システムで、蓄電池容量は22kw(11kw×2)エネルギーマネジメントシステムを導入し、気象情報を踏まえた発電・蓄電を行い、その情報がリアルタイムで表示されるシステムです。大船渡市では、気仙地域広域環境未来都市構想の初の事業として実施しています。事業費は2997万円余、うち県補助金2386万円余、市財源611万円余(エネルギーマネジメントシステム分)となっています。実際の発電量は7〜8kwで、蓄電池容量は21kwとフル蓄電の状況でした。年間の消費電力料金60万円の15〜20%の削減で、災害時は3日間程度の利用が可能とのこと。環境問題への意識啓発・教育的な施設と感じました。三陸鉄道が4月から吉浜まで開通していますので、観光と交流の役割が期待されます。
 吉浜地区は、昭和の津波で地域全体が高台移転を行い、今回の津波でも流出世帯はわずか5世帯にとどまったことも教訓的です。
 大船渡市では綾里地区に第2号の設備と五葉牧野にメガソーラーの計画があるとのことでした。

釜石市のスマートコミュニティ構想
復興住宅・まちの再開発に導入の計画

 
 午後から釜石市を訪問し、渡部秀幸産業振興部長、平松福壽復興推進本部リーディング事業推進室長からスマートコミュニティ構想について説明を受けました。
 釜石市では、東日本大震災で電気・エネルギーが途絶した教訓を踏まえて、エネルギー供給の自立と安定、食料とエネルギーの備蓄、合わせて住み続けたい魅力あるまちづくりをめざし、スマートコミュニティ構想に取り組んでいるとしています。具体的なプロジェクトとしては、復興公営住宅への省エネとエネルギー自立化と見える化の導入(6月中には方向性を示す予定)、大町地区の再開発等の住まい地区・片岸地区のまちづくりへの導入を計画していますが、具体的にはまだ未定です。復興交付金の対象とならないことから財源問題もあるとのこと。釜石市には新日鉄住金の火力発電所と和山ウインドファームによる風力発電で県内の3分の1にあたる発電を行っています。
 
釜石火力発電所で林地残材を活用
緑のシステム創造事業を調査

 
 新日鉄住金(株)釜石製鉄所を訪問し、釜石火力発電所で林地残材を活用している緑のシステム創造事業について釜石製鉄所能勢大伸総務部長、千田裕総務部工程業務室長、釜石市菊池行夫農林課長から説明を受けました。
 釜石火力発電所では、平成22年度に林地残材チップ化して石炭とともに混焼する混焼試験を実施、23年度から混焼を行っています。当初の計画では混焼率2%、年間5000トンのバイオマス使用量でしたが、実際には混焼率1.1%で3950〜3350tの使用量となっています。石炭(微粉炭)との相性がまだよくないとのこと、コストも高く、補助金、固定価格買い取り制度で何とかやっているとのこと。
 その後、釜石製鉄所内にある間伐材のチップ化施設、チップの乾燥保管施設を視察しました。広い工場施設を活用したものでした。この取り組みは、森林面積が90%を占める釜石市の林業にとっては極めて重要な取り組みです。森林組合では、高性能林業機械をリースし、列状間伐で間伐材の資源化を実施しています。間伐材適期が9369haに及び、用間伐材分4756haとなっており、間伐の取り組みを始め計画的な森林整備を進めることは釜石市だけでなく、県内全体でも重要な課題です。
 釜石製鉄所の構内には、平成元年(1989年)に高炉が休止・廃炉となりましたが、第一高炉の火がともされていました。現在直営の従業員は232人とのことです。