《2016年2月28日》
東日本大震災津波から5年―「しんぶん赤旗」インタビュー
東日本大震災津波5年にあたって、「しんぶん赤旗」のインタビューにこたえました。
復興が二極化、生業で苦闘
岩手県の被災者は今も応急仮設住宅に1万7000人、みなし仮設住宅を含めると2万2000人おり、ピーク時の約50%が仮設暮らしから抜け出せない状況です。一方で、約1万4000人が住居を確保したことになり、被災者の二極化が進んでいます。
支援も情報も
在宅被災者の生活は深刻です。簡易的な補修で住みつづけている人や、親類のお宅に身を寄せている人など県で約1万5000人いるとされていますが、実態が十分把握できず、支援も情報も届いていない。被災者は一人ひとり状況が違い、それに応じた支援を強めていくことが必要です。
県北と県南でも復興状況に差があります。県北は公営住宅もほぼできており、自立再建も進んでいます。しかし大槌町や山田町や陸前高田市など県南では、半分以上の人たちが仮設に取り残されているという、地域的な二極化が起きています。
災害公営住宅は今年度末までに計画の58%(3334戸)が整備される予定で、来年度までには約88%が整備されます。
一方で、土地のかさ上げによる中心部の区画整理事業は遅れています。宅地造成が遅れているため、自立再建の進捗は6割弱。4割以上の人が、家を建てたくても建てられない状況です。商店街の人たちも店を再建できない。ここに復興事業の最も大きな遅れがあります。待ちきれずに、バス路線もない不便な土地に無理に家を建てる人もいます。
販路も漁獲も
生業(なりわい)の再生も重要です。岩手県は基幹産業である水産加工業にグループ補助を優先してあて、8割程度は再建できました。しかし再建まで1年経過していたので、販路が断たれてしまいました。
もうひとつの問題は魚が獲れないことです。この1年、サケもサンマも漁獲量が半分に落ち、価格が高騰しています。再建して新しく導入した水産加工の機械も、例えば釜石市では6割程度しか稼働していません。
従業員不足も深刻です。販路も原材料も人も確保できない三重苦に直面しています。
生業再生のもう一つの焦点は商店街の再生です。被災地では仮設店舗が大きな役割を果たし、多くの商店が再建できました。しかし5年たち本設展開の時期になってきたのに、土地がまだ造成されていない。さらに借金問題もあります。
テナントで被災した事業者は大家が再建にのりださなくては再建できません。設備以外はグループ補助金の対象にもならない。大家への支援やテナント業者への家賃補助などが必要です。釜石市や陸前高田市などの自治体では具体的な支援の動きがでていますが、国も県もしっかり対応すべきです。
復興は被災者の生活再建と生業の再生の両面で正念場を迎えています。被災者の孤立やテナント業者の再建など、新しい課題にも機敏に対応できる復興の取り組みが求められています。
(2月28日付・しんぶん赤旗掲載)
《2016年2月21日》
戦争法廃止を求める県民の集いが開かれ、420人が参加
2月21日、岩手県公会堂で、戦争法廃止を求める県民の集いが開かれ、420人が参加しました。主催は、戦争法の廃止を求める全国2000万人統一署名運動を推進する岩手の会です。
憲法改悪反対県共同センターの佐々木良博代表は、5野党合意で安倍政権の暴走を止める条件がつくられたと指摘。国政に声を上げ続けるために、署名をさらに進めようと呼びかけました。
生活の党の主浜了参院議員があいさつ。わたしも激励のあいさつを行いました。5野党合意の内容―@安保法制の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を共通の目標とする。A安倍政権の打倒をめざす。B国政選挙で現与党及びその補完勢力を少数に追い込む。C国会における対応や国政選挙などあらゆる場面でできる限りの協力を行う―を紹介すると、拍手が起きました。民主党、社民党からも連帯のメッセージが寄せられました。
集いでは、4月末までに▽岩手の署名目標10万人をやり切る▽19日に県内いっせい宣伝に取り組む▽4月23日に署名集約報告集会を開く―ことなどを確認しました。
講演で伊藤真弁護士は、戦争法廃止に向けて署名、選挙、裁判など「自立した市民として主体的に行動を」と訴えました。集い後、参加者らは市内をアピール行進しました。
つどいでのあいさつの大要は「政策と活動」をご覧ください。
《2016年2月19日》
大船渡市の復興の現状と課題、県立大船渡病院を調査
大船渡商工会議所で商店街、まちづくりの状況を聞く
2月19日、大船渡市の復興の現状と課題の調査を行いました。
大船渡諸侯会議所では、新沼邦夫常務理事と小原勝午経営指導部次長から商店街やまちづくりの現状について聞きました。大船渡市では「まちなか再生計画」が2月9日に復興庁に認定され、出店者・市・商工会議所・地元金融機関などが出資して設立したまちづくり会社が補助金(津波・原子力被災地域雇用創造型創出企業立地補助金)を活用して、二つの共同店舗型商業施設(30店舗入居予定)を計約13億円で整備。29年3月のオープンをめざします。同計画区域にはおおふなと夢商店街も入ります。新沼常務は、「商店街の道筋はできてきたが、人口減で買い物をしてくれる人も減ってしまう。復興土木需要も長くは続かず、5年後10年後を見据えた取り組み、交流人口をいかに拡大していくかが重要」と話されました。また仮設店舗で営業している方々については、他の地域と比べて本設の希望が多いのではないかと述べました。
轆轤石仮設住宅団地を訪問、6月には集約
轆轤(ろくろ)石仮設住宅団地を訪問し、集会室で被災者の方や支援員さんなどからお話を聞きました。50戸の同団地は現在20戸入居しており、6月には集約されるとのこと。すでに公営住宅に入居している方は、「幸い同じ階には知っている方が住んでいる」とのことでしたが、やはり「ドアが重い」と話されました。重い扉が心理的にも影響を与え、孤立化につながっているとの声も出されました。またURの建物は、間取りが30〜40年前のものと変わっておらず、1DKや2DKといったリビングがない造りのものがほとんどだといったことも紹介されました。支援員については、50数名いる支援員が仮設団地と公営住宅に分かれて支援にあたるとのこと。公営住宅に入居後の独居老人の見守りや、公営住宅入居後のコミュニケーションづくりのあり方―仮設のときとは違った地域とのつながりや自治会との連携といった工夫が必要、本当に手を差し伸べるのは、被災者かどうかに関わらず社会的に弱い立場にある人だ―との声が出されました。
水産加工会社ワンレイを訪問し現状について聞く
大船渡湾冷凍水産加工業協同組合(ワンレイ)を訪問し現状について聞きました。
先日行われた水産加工コンクールにおいては、4品目が入賞し、農林水産大臣賞や知事賞を大船渡市の水産加工商品が受けたと紹介され、新商品開発に積極的に取り組んでいる印象を受けました。施設復旧については8〜9割になったが、経営の面では必ずしも戻っていないと話され、工場を拡張しても人手がいなければどうしようもなく、地元の高校生に募集をかけてもなかなか集まらないとのことでした。また水産資源の絶対数が不足していることにも触れ、魚市場に南の方の魚をどう取り込むかも課題だと話されました。JR大船渡線の鉄路復旧問題についても話されました。
県立大船渡病院で現状と課題について聞く
県医労大船渡支部、伊藤院長らと懇談
県立大船渡病院を訪問し、県医労大船渡支部の方々から労働実態などについて聞きました。昨年7人の看護師が中途退職した同病院、基幹病院としての役割を果たしていますが、気仙沼市から市内を断られた患者も受け入れているとのことです。「超勤は当たり前で、日勤の人が8時9時に終わる、準夜勤の人と重なることもある。超勤をなかなか書きづらく、家庭での余裕もなくなっている」などの実態が出されました。隣の県立高田病院から期間限定で応援にも来てもらっているとのこと。7対1看護体制がとれなくなり現在は10対1ですが、10対1もぎりぎりの状況だと話されました。
伊藤達朗院長、大浦俊美事務局次長、荒木八重子看護師長から病院の状況について聞きました。同病院では、震災の年に麻酔科の先生が撤退し不在、毎日医大からタクシーで応援に来ていただいており、タクシー代は年間7000万円にも上るとのこと。伊藤院長は、本線沿いや大都市集中の医師の地域偏在をなくし医師不足を解消しないといけないと話されました。また救命救急センターには常勤がおらず、本院から駆けつけているとのことでした。同病院は、県立病院で初めて地域包括ケア病棟(36床)の運用を26年12月から開始しており、在宅復帰に対する支援を行いながら退院後に安心して生活を送ってもらう取り組みを行っており病床利用率は75.9%、在宅復帰率は85%となっています。さらに病床を拡大したいとのことでした。行政への要望としては、築20年が経過し3.11大地震も経験した病院の大規模改修計画の実行、救急搬送における時間短縮のための高規格道路の整備などを挙げました。また、気仙地域の病院・医科歯科診療所・薬局・介護施設をネットワークで結び患者さんの情報を共有する「未来かなえネット」の取り組みについても紹介されました。
《2016年2月18日》
新規の正社員求人比率は県内最低
北上地区の雇用状況を調査
2月17日、鈴木健二郎、安徳すみ子両北上市議とともに岩手労働局北上公共職業安定所を訪問し、佐藤昭彦所長から北上管内の雇用状況について説明を受けました。
北上管内の有効求人倍率は1.74倍(12月)と、県内では大船渡に次いで高いものの、新規求人数に占める正社員求人比率は27.0%と県内最低となっています。また、職種により求人数にばらつきがあり、有期求人・派遣求人が多く求職者からは「求人がない」との声も多いとのこと。求人社(事業者)からは、「求人を出しても人が来ない」の声が出ている状況です。離転職を繰り返している求職者が多く、在職者の求職者が約4割を占めています。また求職者の6割が正規職を求めています。
東芝の粉飾決算事件に関わって地元の岩手東芝(現在約1700人)の大分工場との統合再編計画が出ており、四日市工場に出向している約900人が戻ってこれない状況も出ています。正社員の採用拡大、東芝の新工場の誘致など北上市議団は雇用対策の強化を求めていくことにしています。
《2016年2月16日》
県議団で宮古市、大槌町を訪問し復興の現状と課題を調査
2月16日、県議団で宮古市と大槌町の復興状況調査を行いました。
佐藤産業振興部長から生業再生の状況について聞く
復興土木特需終了後の地域経済を支える仕組みを
宮古市議団とともに、宮古市の佐藤日出海産業振興部長から生業再生の現状と課題について説明を受けました。佐藤部長は、昨年度の魚市場の水揚数量が震災前の状況に戻り、金額は震災前の22年度を上回るなど「全体的には順調に復活しているととらえている」と述べ、被災した40の水産加工業者のうち35者で事業再開、グループ補助金で253件(再開事業者の36.8%)、二重ローンの債務整理件数は二つの機構合わせて69件となっている状況などを説明しました。養殖漁業について、漁業者が25%減少しており、既存漁業者の規模拡大、後継者・新規参入者の漁協による育成の対策(市単独の新規就漁者支援・10万円)に取り組んでいると述べるとともに、水産加工業については、販路の消滅や風評被害の対策として、新商品の開発や低コスト化、高付加価値化など海外市場を含む販路拡大の対策が重要と指摘しました。さらに、復興土木特需終了後の地域経済を支える仕組みが重要と強調。宮古市の産業の柱―水産、観光、ものづくり、木材のほか、もう1つ柱になるものがほしいと話しました。
被災者の生活再建状況などについて調査
宮古市役所では、市民生活部生活課の藤村司被災者支援室長・佐藤裕子課長から被災者の住宅再建状況や在宅被災者の状況などについて聞きました。
宮古市では4582世帯が被災(半壊以上)し、約3500世帯が住宅再建済みで、全壊・大規模半壊のうち加算支援金ベースで新築・購入世帯が942、補修世帯が793、半壊世帯のうち補修復旧世帯が470などとなっています。補修世帯の実態としては、応急修理の場合も多く、十分再建済みではない実態についても紹介されました。みなし仮設に住んでいる方々は、みなし制度が終わってもこのまま住み続けたいという意向の人も多いとのことです。
被災者の問い合わせのほとんどが、支援制度の組み合わせなど住宅再建に関する相談だとのこと。宮古市では住まいの再建サポートブックを作成し配布したり、月一回相談会を開催(平均17〜18組が相談に訪れる)するなどの取り組みを行っているとのことでした。
また、党市議団の奮闘で、仮設住宅からの引越しの際に、上限で5万円の引っ越し代補助が実現したことも紹介されました。
宮古市の老舗水産加工会社・小が理商店を訪問
被災し震災の年の5月中に再開した老舗の水産加工会社「小が理商店」を訪問。 イカ・カレイ・さばの一夜干しや、塩ウニ、イクラなど多種にわたる商品を展開しており、ネット注文も行っています。古くからのお客さんや、一度買っていただいた方がリピーターになってくれるとのことです。
「被災したが、遠方のお客さんなどからの励ましで再開を決意した」と述べ、「関西方面の風評被害が深刻で販路拡大が難しい。とにかく水産資源の確保は切実。どんどん魚市場に船が入ってきてほしい」などと話されました。
大槌病院の仮設診療所を訪問、病院再開に向けた取り組みを聞く
県立大槌病院の仮設診療所を訪問し、坂下伸夫院長、伊藤仁事務局長と懇談。50床の一般病床を備え、大槌町小鎚の寺野地区に5月に開院予定の病院再開に向けた取り組みを聞きました。坂下院長は「高齢者が地域で安心して暮らせる病院にしたい。常勤医(内科4人、外科1人)の高齢化もあり、次の常勤医の確保も視野に入れなければいけない。当直体制は医大や釜石病院から月半分ぐらいはお願いしなければならない。土日のどちらかには入らなければいけない」など話されました。また、地元から5人の看護補助者の募集をしているが、まだ1人程度にとどまっていること、三陸縦貫自動車道がつながれば釜石病院まで20分程度で行けるようになることから早期の整備、町内全域から病院にアクセスできるようなバスの運行についても要望されました。
大水大槌町副町長と復興の現状と課題について懇談
大槌町役場では、大水敏弘副町長と懇談しました。大水副町長は、用地取得に時間がかかったが、ハードの整備の目途はついてきた。防潮堤の整備が平成31年度であり、あとはどれだけ戻ってきて家を建ててくれるかだ。高齢者にやさしく、安全安心なまちづくりにしたい」と話しました。公営住宅入居後の孤立化など仮設住宅から移動した人のコミュニティの問題を指摘し、中心部に近い末広町災害公営住宅では、グループ入居を行うなどの取り組みを紹介されました。水産加工業者は震災前から4社増え22社になるとのことですが、地元での雇用確保が課題と述べる一方、地元で働きたいという高校生も増えており、いかに結び付けるかが重要と話しました。
国の特定被災地域公共交通調査事業で運営してきた町民バスについては、再建される大槌病院も含め、きちんと町内を結んで運行されるようにしたいと述べました。
《2016年2月10日》
防災集団移転促進事業の住宅宅地の無償貸与措置
東松島市の具体例を市町村に情報提供し援助を
2月10日、日本共産党岩手県議団は、蓮見有敏県土整備部長にたいし、防災集団移転促進事業の住宅宅地の無償貸与措置の情報提供と対応を求める申し入れを行いました。青柳天道路都市担当技監らが応対しました。
宮城県東松島市では、防災集団移転促進事業の住宅宅地の貸与について、定期借地権を52年以内とするとともに、貸付料の減額規定を設け、全部を減額する場合は30年以内とすることにしています。わたしは「土地を売ったお金を建築費に回すことができ、被災者の住宅再建にとって大きな支援となる。他の市町村にも広がろうとしている」と強調。県内の防災集団移転促進事業についても住宅宅地の無償貸与は可能であり、東松島市の具体例を各市町村にも情報提供し、具体化へ向けて援助を強化するよう申し入れました。
青柳技監は「各市町村の判断になるかと思うが、こういう制度があるということは関係市町村にしっかり情報提供したい」と答えました。
申し入れの全文は「政策と活動」をご覧ください。
《2016年2月10日》
新たな県立高校再編計画(案)に関する申し入れ
地域・住民の納得と合意を踏まえたものに
2月10日、日本共産党岩手県議団は、八重樫勝県教育委員長・高橋嘉行県教育長にたいし、県教育委員会が昨年12月25日に示した、新たな県立高等学校再編計画(案)に関する申し入れを行いました。高橋教育長・木村久高校改革課長が応対しました。
申し入れでは、統合計画が出された3つの高校について、地域自治体と地域住民の合意と理解を前提に進め、十分な議論と検討を行うことA学級減の計画については生徒へのアナウンス効果が大きく、学級規模を維持する地域の取り組みを尊重した計画とすることB地域に必要な1学年1学級規模の高校は、画一的な基準で統廃合しないこと。1学級規模でも教育の質を確保するために、進学にも就職にも対応できる体制を確保すること。35人学級の実現も検討すること―などを求めました。わたしは「統合計画が示された地域からは少なくない懸念の声が出されており、地域・住民の納得と合意を踏まえたものにすべき。具体的な意見・要望に対して十分議論と合意形成を図ってほしい」と強調しました。
高橋教育長は、「申し入れも踏まえ、できる限り広い意見を聞いた上で県民の意向を十分踏まえた計画案にしたい。小規模校でも進学・就職に対応できるよう教育の充実を図りたい」と答えました。
申し入れの全文は「政策と活動」をご覧ください。
《2016年2月10日》
DIOジャパン問題集中審議で知事に対する質疑に立つ
達増知事―「会計検査院の指摘を真摯に受け止める」
2月10日、県議会東日本大震災津波復興特別委員会で、達増知事出席のもと、灰IOジャパンによる緊急雇用創出事業の問題に関する集中審議が行われ質疑に立ちました。
DIOジャパンによるコールセンターの破たんについて、企業誘致の失敗・破たんであること、緊急雇用創出事業―国民の税金を食い物にして労働者を解雇・雇止めにして破たんした問題だったと強調。事業主体である市町とともに、知事・県も深く関わった問題と指摘し、どう責任を受け止めているか質しました。達増知事は「企業誘致にあたり被災地復興を掲げて進出する一方、立地市町および県民に多大な被害を及ぼしきわめて遺憾。一方で会計検査院からは、市町から提出された実績報告書等の内容の調査・確認、市町への指導監督が十分でなかったと指摘されており、十分に真摯に受け止めるものだ」と述べました。
不正の中心は、物件価格を超える過大なリース料であることを改めて指摘し、「返還額は4378万円だが、不正の実態は4億9000万円にのぼる」と強調。「第一義的に事業主体である市町の責任は重いものがあり、同時に県の責任も免れない」と述べ、過大額が返還から免除されるとともに、破たんした地域での雇用確保に特別の対策がとられていることにも触れました。
質疑の大要については「議会報告」をご覧ください。
《2016年2月9日》
2月定例県議会へ向け県政要望を聞く会開く
2月9日、県議団は2月定例県議会(2月18日〜3月24日)に向け、県政への要望を聞く会をひらき、労働組合・民主団体から13人が参加しました。
冒頭に私から、12月定例県議会の成果や2月定例県議会の課題と県民運動について報告。「戦争法廃止、安倍政権の暴走を許さないたたかいが県議会でも問われている」と強調し、丸5年を迎える東日本大震災津波からの復興の現状と課題については、被災地・被災者が二極化している問題を提起し、被災者一人一人に寄り添った取り組みが改めて重要になっていると述べました。
懇談では、「住宅再建を決めかねている人へのきめ細かな対応が必要ではないか」「最低賃金引き上げの請願を提出したい」(いわて労連)、「災害公営住宅に入居しても新たなコミュニティを構築するのは大変。5年は支援員が必要だ」(生健会)、「高すぎる国保税の引き下げを求める運動を強めたい」(社保協)、「被災した公立保育園でまだ再建されていないところがあり、保育士の確保も大きな課題になっている」(自治労連)、「新潟など県独自にTPP影響試算をしているところがあり、岩手県としても行ってほしい」(農協労組)―などの声が出されました。
《2016年2月2〜3日》
丸5年を迎える被災地の復興状況を調査
小池副委員長、県議団が陸前高田市・釜石市の首長、商工会、被災者と懇談
2月2日から3日、小池晃副委員長・参議院議員、寺沢中央政策委員会副責任者、岡部(穀田議員)秘書、大槻(小池議員)秘書の調査団と斉藤、高田、千田の3人の県議団が、丸5年を迎える被災地の復興状況の現状と課題について調査しました。
今年7月から中心市街地で大型商業施設の建設始まる
テナント事業者への支援を、グループ補助も柔軟に対応を
宮城県の調査に続いて岩手入りした調査団と2日午後4時に陸前高田市役所仮庁舎で合流し、陸前高田商工会を訪問。伊東孝会長ら役員の方々と「中心市街地のまちづくりと商店街に再生の課題」について懇談しました。
伊東会長は、「まちなか再生計画」が国の認定を受け、かさ上げされている中心市街地に今年7月から大型商業施設の建設が始まる。来年春ごろにはオープンできる。図書館などの公共施設も整備される。中心市街地に再建を希望している120程度の事業者1カ所に集中してコンパクトなまちづくりをめざし、市と商工会、事業者が学習会と議論を重ねてきたと述べました。商工会のまちづくり企画委員を務めている菅野修氏は、被災したテナント事業者の再建が問題となっている。テナント事業者にはグループ補助もなく、大家さんも再建の意思がなく再建の見通しが立っていない。テナントに入る場合も家賃が高く再建できない状況だと述べ、再建への具体的な支援策が必要と話されました。中井力事務局長は、グループ補助の4分の3補助はありがたいが、前払い(概算払い)のハードルが高く、事業者は結局全額借金しなければならなくなる。通常の事態ではないので柔軟な対応が必要。消費税が10%増税となることも打撃だと述べました。
災害公営住宅の自治会長も務めている中井さんは、仮設住宅の被災者が公営住宅に入居するのに家財道具などの準備にお金がかかり入居できない実態があると述べました。この公営住宅は189戸中126戸しか入居しておらず、「電気代など共益費も高くなっている。被災者の雑損控除も5年で終了することから家賃は10倍近くになることも大変だ。高齢者・1人暮らし高齢者が多くいるが、入居者の状況が把握できず、見守りができない状況だ」と話されました。
夜には、キャピタルホテル1000で自治体労働者と懇談しました。住宅再建の建築単価は坪70万円を超えており、家を建てられるのか被災者の不安が大きくなっている。災害公営住宅のコミュニティ確立の問題は、経験したことがない問題であり、公的支援体制が必要と話されました。学校や図書館などの再建に当たって、文科省の建設単価がべらぼうに安く、補助率も3分の1で地元自治体負担が大きいなどの声が寄せられました。
脇ノ沢高台団地の住宅建設進む
被災者が協議会を作り土地を確保しまちづくり進める
3日の朝、8時にホテルを出発し、大坪涼子市議も住宅再建を進めている米崎町脇ノ沢地区の高台団地を訪問しました。30戸の高台団地は、被災した地域に隣接する高台で、被災者が協議会を作り、自ら地権者と交渉して土地を確保。住民主体の防災集団移転事業を進めてきたところです。今、思い思いの住宅再建の真っ最中で復興が進んでいることを実感させられるところでした。
集合住宅のドアが重い、医療費免除をさらに継続してほしい
上中島災害公営住宅集会室で釜石・大槌の被災者と懇談
陸前高田市から三陸縦貫道で釜石市へ向かいました。吉浜道路も先日開通し、1時間余で釜石市に到着。上中島災害公営住宅の集会所で釜石市・大槌町の被災者の皆さんと懇談しました。公営住宅に入居して9カ月となる高齢者は、雨漏りやエアコンの穴が通っていない、隣の音がよく聞こえるなど手抜き工事が多いと指摘。ドアが重く開けられない、閉まりは早く追いかけられるようだ。医療費の免除措置は大変助かっており、今後も継続してほしいと述べられました。また、高齢者・1人暮らしが多く何かあったときが心配。緊急通報装置のようなものが欲しいとの声も寄せられました。仮設住宅で大人3人の生活をしている方は、最初は2部屋の仮設だったがやっと3部屋の仮設に移動できた。家族が釜石に帰ってきても泊まるところはなく、空いている仮設を利用できるようにしてほしいと発言。大槌町の被災者は、県立大槌病院が4月に再建オープンされるが、夜間救急にも対応できるようにしてほしい。自立再建し、去年4月に自治会も立ち上げたが、コミュニティの確立は大変な課題だ。ごみの集積場所の増設や草刈りなどの取組で頑張っているなど切実な声がたくさん寄せられました。
小池副委員長は、医療費の免除は切実な課題であり、国の責任で行われるべきもの。オスプレイ1機100億円も無駄遣いしており、その気になればできる。安倍政権による社会保障費の削減は、毎年2200億円削減した小泉内閣以上の削減であり、消費税をさらに増税しようとしており、被災者の医療とくらしを守るためにも政治の転換が必要と話されました。
応援職員の派遣、復興道路の早期整備、水産加工の人材確保を
野田釜石市長から要望受ける。テナント事業者への支援策を検討
午後1時半に釜石市役所を訪問し、野田武則釜石市長と懇談。被災地復興のための職員派遣、外国人技能実習生の受け入れの拡充、復興道路の早期整備について要望を受けました。野田市長は、復興事業は着実に進展しているが被災者の多くはまだ仮設暮らしとなっている。復興事業は平成28・29年度が山場であり、引き続き応援職員の派遣が図られるよう求めました。水産加工事業者は再建したものの、職員が確保できず、稼働率は60%にとどまっている。外国人技能実習生の受け入れについては、特区制度で50人以下の場合3人から6人に拡充されたが、対象事業者は1社だけとなっており、拡充を求めました。三陸沿岸道路、釜石秋田線の復興支援道路は平成30年度までに整備される計画となっていますが、確実に進められるよう財政措置を要望しました。三陸沿岸道路は整備されれば仙台まで2時間、宮古までは30分となり、物流や企業誘致、通勤にも大きな改善が図られると強調しました。また、被災したテナント事業者の再建について、テナント建設への補助、多難とに入居する事業者への家賃補助など具体的な支援策を検討していると述べました。大きな被害受けた鵜住居地区は、区画整理事業でかさ上げ工事が行われ、学校も高台に再建するが、戻って再建する人はまだ少ないと話されました。
復興の5年の検証が必要、今後の災害を想定し必要な制度を
戸羽陸前高田市長と懇談
釜石市から一関市に移動し、千葉県成田市の成田山新勝寺の豆まき行事から帰省途中の戸羽太市長と一関市のホテルで懇談しました。成田山新勝寺は、気仙スギの間伐材を活用し、お札を作成して陸前高田市を支援(年間800万円、8年間)しています。このお礼を兼ねて戸羽市長は成田山新勝寺の豆まきに参加し、その帰省途中の懇談となりました。
戸羽市長は、今年・来年で中心市街地での商店街に再建が始まるが、テナント事業者の再建で必要な支援策がなく、市として独自支援策を検討している。国の制度は一律で、制度の隙間を埋めるような対策が必要と述べました。問題は区画整理事業で、かさ上げ工事で土地を造成しても、どれだけ住宅が再建されるかわからない。防集、漁集、区画整理事業という従来の手法だけではなく、大災害に適応した新しい手法が必要ではないかと話されました。また、今後の大災害に備えて、この間の5年間をどう総括・検証するかが問われている。多くの犠牲者をなぜ出したか。公務員・消防団の犠牲者の問題。かたくなに今の法律を変えなかった問題、復興交付金など復興事業の財源と活用の仕方について指摘しました。また、仮設店舗について本設展開の条件がまだなく延長が必要と述べました。防潮堤の後背地の活用について、防集事業による被災宅地を買い上げているが、バラバラであり必要な活用ができず、長部地区では陸上養殖施設の計画もあり、集積できる特別の措置が必要と話されました。
小池副委員長は、国政・県政で必要な調査を行いながら、寄せられた要望の実現に全力で取り組むとともに、しっかりした復興事業の検証も求めていくと述べました。
充実した復興状況調査となりました。引き続き調査と研究を進め、県議会でも取り上げていきます。