《2017年7月22日》
「もうやめさせよう!安倍暴走政治―市民連合の中野晃一さんを迎えて」
講演会に350人、野党4党があいさつ・メッセージ
7月22日、盛岡市の盛岡劇場で、市民連合の中野晃一さん(上智大学教授)を迎えての講演会が開かれ、雨の中、県内各地から350人が参加しました。
呼びかけ人を代表して、加藤善正県生協連顧問が、「安倍政権を辞めさせ、悪法を廃止させるためにも、野党がしっかりスクラムを組んで選挙をやっていただきたい。私たち市民の運動も正念場に差し掛かっている」とあいさつしました。佐々木順一自由党県連幹事長、共産党県副委員長の私、小西和子社民党県連合代表が連帯のあいさつを行い、黄川田徹民進党県連代表からメッセージが寄せられました。
中野晃一さんは、都議選での自民党の大敗、世論調査での支持率急落で安倍政権はがけっぷちに立たされているが、必死の抵抗をしている。安倍一強体制といわれるが、総選挙での全体得票率は小泉政権の時の25%を除けば、森政権以来16〜18%にとどまっており、小選挙区制と野党分断、低投票率によって獲得している議席だと指摘。公明党については、東京では都民ファースト、大阪では維新と連携するなど権力にすり寄っている政党だと指摘しました。「右傾化する日本の政治」(2015年、岩波新書)では、打開の展望として@リベラル左派との連合、A新自由主義との決別、B小選挙区制の廃止―を提起したが、市民のたたかいによって昨年の参議院選挙では野党共闘が実現した。2014年12月に、総がかり行動実行委員会が3つの勢力が一緒になってつくられたことが市民レベルの共闘の力となったと話しました。市民のたたかいによって野党と市民の共闘を実現させようと訴えました。
《2017年7月20〜21日》
御所野縄文博物館、八戸ポータルミュージアム・ブックセンター
県立種市高校、野田村の涼海の丘ワイナリーを視察
7月20〜21日、県議会商工文教委員会の調査で、一戸町の御所野縄文博物館、八戸市のポータルミュージアム・ブックセンター、県立種市高校、野田村の涼海の丘ワイナリーを調査してきました。
8時50分に県議会前を出発し、世界遺産登録推薦決定を前にした一戸町の御所野遺跡縄文博物館を訪問しました。高田和則館長から説明を行けました。博物館につながる「きききのつり橋」前には大きなクリの木があり、御所野遺跡の時代は住居の材としても食料としてもクリの木が活用されていたとのこと。御所野遺跡は縄文時代中期後半(4000〜4500年前)のむらのあとで、76000平方メートルの台地のほぼ全面に800棟以上の竪穴式建築物が見つかったものです。バッハゾーンを含めてほぼ全域が保存されていることも貴重です。土屋根式住居の存在が初めて発見されたことが全国に注目されることになりましたが、博物館の中には、燃やされた土屋根式住居跡が見られるように保存されていました。矢じりなどの石器や土器、鼻曲がり土面など展示品も豊富で、プロジェッションマッピングの映像で紹介する縄文ワールドも見ごたえがありました。
午後には、八戸市に移動し、中心市街地にある地域観光交流施設「八戸ポータルミュージアム」(愛称はっち)を訪問し、安原清友館長から説明を受けました。この施設は中心市街地に新たな魅力を生み出すために計画・整備されたものです。鉄筋コンクリート造り5階建て、免震構造でガラス張りのような施設です。東日本大震災の1か月前にオープンしましたが、物が落ちることもなかったとのこと。用地費7億8千万円余、調査設計費2億7千万円余、工事費30億7900万円余で、総事業費約40億円。@会場づくり―きがるなたちより、街の憩いの場所、A貸館事業、B自主事業の三つの柱で取り組まれていますが、貸館事業の利用が多いとのこと。年間約100万人近くが利用しているとのこと。管理運営費は一般財源から2億5千万円が支出されています。
その後、話題となっている市営の八戸ブックセンターを視察しました。市長の公約で、「本野町八戸」をめざす取り組みです。中心市街地に設置されています。家賃が月100万円超、本の注文・販売の委託費が1000万円、正職員が2人、嘱託職員が2人の体制で、乳幼児と保護者を対象とした「ブックスタート事業」小学生対象に2000円のクーポンを配布する「マイブック推進事業」に続く3つ目の事業となっています。文化事業とみるべきなのか。市長が変わった場合どうなるのか。市民の声は十分反映されたのか―疑問も感じました。
21日には、洋野町にある県立種市高校を訪問し、海洋開発課の取り組み、小中高大の連携の海洋教育、海洋リテラシー研究会の取り組みについて説明を受けました。
小中高大連携の海洋教育については、東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センター、八戸工業大学と連携協定を結び、津波防災教育の推進、地域の小中高大連携、本科希望者の開拓に取り組んでいることが説明されました。津波防災教育につては、町内外で出前教育に取り組んでいることが紹介されました。海洋リテラシー研究会(SOLT)の取り組みでは、普通科の2・3年生(11人)が毎週火曜日と木曜日の2回活動、海洋教育に係る英語の絵本の翻訳、「南部もぐり」の英訳、種市保育園での読み聞かせ、海の記憶の伝承プロジェクトによる映画作成などに取り組んでいるとのこと。こうした活動に大変感動させられました。しかし、今年度の入学制が定員80人に対して33人にとどまっていることが気になり質問しました。八戸・久慈市等への進学が少なくなく、町内の中学生からの進学が23%にとどまっている。50%程度に引き上げたいと副町長から答えられました。全国唯一の海洋開発科の生徒確保に、洋野町では学生寮を整備しています。管理運営は町が責任を持つとのことでしたが、高校の協力も必要とのことでした。
午後には、野田村の涼海の丘ワイナリーを視察しました。地元産のヤマブドウを使ったオリジナルワインの生産に取り組んでいます。熱処理せず、手作業でのワイン造りで、マリンローズパークの旧坑道を活用して保存・熟成しているとのこと。旧坑道は気温が10〜13度程度で湿度も高くワイン造りに適しているとのことでした。
《2017年7月9日》
教職員の超過勤務・多忙化解消を考えるシンポジウム
寺脇研氏が講演、月115時間の超勤―現場の教員等が発言
7月9日、「教職員の超過勤務多忙化解消を考えるシンポジウム」が盛岡市市民文化ホールで開かれ、私も参加してきました。これは、連合岩手、平和環境岩手センター、岩手友愛会、岩教組、高教組が主催し、岩手労働局、岩手県、県教育委員会など多くの市町村と教育委員会が後援したものです。
教員の働き方改革と子どもの学び方改革は一体
寺脇研氏(京都造形芸術大学教授、元文部科学省大臣官房審議官)が「これからの時代における教職員の働き方」のテーマで基調講演しました。寺脇氏は、先月、教職員の働き方について、中教審に諮問されたことを述べ、教職員の働き方が大きな問題となっていると指摘。「教員の働き方改革と子どもの学び方改革」は一体の問題だと強調。1992年から始まり、2002年に完全実施となった学校五日制の取り組みの経過を紹介。その後全国一斉学力テストが実施され、子どもの学習時間の調査が行われているが、その内容は、予習、復習、宿題となっており、学校での学びに限定されている。家庭や地域での学びを含めて学びの改革が必要と述べました。森友学園・加計学園問題を取り上げ、日本の教育行政がゆがめられていると述べました。
40歳の教員が過労死、教員の労働管理を
報告で、工藤祥子さん(神奈川過労死等を考える家族の会代表)は、10年前に教員の夫(当時40歳)を過労死で亡くした経験を踏まえて話されました。工藤さんは、夫が大規模校に転勤してから、サッカー部の顧問を担当し、月100時間を超える長時間勤務の中で突然倒れて亡くなった。公務災害申請をしたが1年半後に不認定とされ、公務災害認定まで5年かかったこと。教員の労働管理がなされていないことが問題だ。自分で労働管理を行うことも大事と話し、神奈川過労死等を考える家族の会を立ち上げたと報告しました。
月112時間の超勤、部活動だけでなく業務の見直しを
シンポジウムでは、福岡中学校教員の佐藤さん、盛岡北高校教員の村上さん、東北電力労働組合委員長の鈴木さん、県PTA連合会会長の五十嵐さん、元中学校校長の佐々木さんが発言しました。
佐藤さんは、6月の超過勤務が112時間だった。一人当たりの業務量が多く、休日出勤や持ち帰りで仕事せざるを得ない。わかりやすい授業や子どもと向き合ったりする時間がないと訴えました。村上さんは、高校生は朝8時から午後6時まで、11時間学校で活動している。当然教師も11時間以上拘束される。240人の生徒の3冊の問題集のチェックを二人の国語教師で行っており、不要な業務を洗い出したが「不要なものはない」ということになった。鈴木さんは、東北電力の職場では、月20時間を超える超過勤務については特別協定を結んでいる。仕事の持ち帰りは情報漏洩の点から禁止されていると述べ、教員の労働管理が必要と話されました。五十嵐さんは、中学校3年生の子どもがようやく部活動から解放されたと述べるとともに、お世話になった教員に体調を崩される先生が多いと話されました。佐々木さんは、今年3月の好調を退職した経験から、教員は授業準備の時間もなく遅くまで仕事をせざるを得ない状況だ。部活動だけでなく、業務の見直しが必要と話されました。
文科省の調査で、小学校教員の3割、中学校教員の6割が月80時間超の過労死ラインを超える長時間労働となっていることが示され、教員の異常な超過勤務・多忙化の解消は緊急で切実な課題となっています。
《2017年7月8日》
教育条件・学ぶ環境を考えるシンポ開かれる
奨学金で645万円もの借金が、学校の教材費も減額
7月8日、盛岡市の河南公民館で、「教育条件と学ぶ環境を考える」シンポジウムが開催され、私も参加してきました。このシンポは、憲法に基づく教育を進める岩手の会が主催したものです。武田晃二会代表が基調発言を行い、学校の事務職員、生活と健康守る会、私立高校教員、盛岡大学の学生が発言しました。
3月まで学校事務職員として「学校輝きプロジェクトチーム」代表を務めている木村悟さんは、自治体によって学校予算に違いがあり、保護者負担も違っている。盛岡市では国体がらみで2015年度は5%削減、16年度は8%も削減された。教材費は45%弱となっている。保護者負担は小学校で年間2〜3万円、中学校で6〜9万円(給食費・修学旅行除き)となっていると述べました。
生活と健康を守る会の川口義治さんは、滝沢市の場合の生活保護基準は、30代女性、小学生2人で1ヶ月生活扶助178,010円、住宅扶助37,000円、計215,010円、年間では約258万円となるが、生活保護基準以下の人が少なくなく、必要な支援を受けられていない。所得の有無にかかわらず、保育、医療、教育の無償化が必要と述べました。
私立高校教員の内村武光さんは、私立高校13校のうち7校が入学生が定員に満たない状況にあり、経営が厳しい状況にあること。生徒一人当たりの運営費補助は、私立で34万6315円、公立の場合は120万円となっており、私学助成の増額が必要と述べました。
盛岡大学の学生は、入学金が26万円、授業料が70万円、施設整備費が25万円で総額121万(初年度納入金)となっている。月10万円の奨学金を借りているが、4年間で645万の借金となる。卒業後、月2万6900円を20年間払い続けなければならないが見通しが持てないと述べました。
会場参加者からは、日本の奨学金は奨学金に値しない利子付きで教育ローンそのものではないか。国公立大学授業料が40年間で50倍になったが、消費物価指数は8倍にとどまっており、大学授業料の値上げは異常だとの発言がありました。
武田代表は、安倍政権の下で防衛費が増額される一方で、教育予算が減らされている異常を指摘。教育条件の改善のためにも、教育政策の転換のためにも政治の転換が必要と述べられました。
《2017年7月7日》
歴史的な「「核兵器禁止条約」を採択
日本の政党で唯一日本共産党が参加し被爆国の声を届ける
7月7日、人類史上初めて核兵器を違法化する核兵器禁止条約が、ニューヨークの国連本部で開かれていた「交渉会議」で、122カ国の圧倒的多数の賛成で採択されました。オランダが反対、シンガポールが棄権しました。採択が決まった瞬間、議場は総立ちの拍手から歓声、そして抱擁へと変わり、エレン・ホワイト議長、各国政府代表、市民社会代表は数分間続いた歓喜の渦の中で新たな歴史の幕開けを祝福しあいました。
採決に際し、ホワイト議長は全会一致での採択を提案しましたが、米国の「核の傘」の下にある国で唯一会議に参加してきたオランダが投票での採決を提案。投票結果は、禁止条約交渉開始と早期締結を要請した昨年12月の総会決議の113カ国の賛成を上回り、国連加盟国の約3分の2にあたる国が賛成票を投じました。
市民社会の代表として発言したカナダ在住の被爆者サーロー節子さん(85)は、「この瞬間がくるとは思っていなかった。心と知力を尽くしてくれたことに感謝したい。核兵器廃絶に近づく壮大な成果で、この日を70年間待ち続け、喜びに満ちている。核兵器の終わりの始まりだ。核兵器は道義に反してきただけでなく、今では違法となった。世界の指導者はこの条約に署名すべきだ」と強調しました。
会議終了後も、多くの政府代表や市民社会代表が会場内外に残り交歓が続きました。日本共産党の志位和夫委員長もその輪のなかに入りともに喜びを分かち合いました。
志位氏は、議長席でホワイト議長と固く握手を交わし、喜びを共にしました。条約実現に大きな役割を果たしてきたオーストリアのハイノッチ軍縮大使や、バチカン(ローマ法王庁)の代表とも言葉を交わし、核兵器廃絶というこれからの大きな課題を確認し合いました。
一方、会議に不参加の日本政府は採択後、別所浩郎国連大使が国連内で会見を開き、「署名することはない」と条約へ背を向けました。
【写真】上段:核兵器禁止条約の採択が決まった歓喜の中で握手を交わす被爆者のサーロー節子さん(中央)と藤森俊希さん(しんぶん赤旗より)
下段:握手するホワイト議長(左)と志位委員長(しんぶん赤旗より)
《2017年7月7日》
県議会最終本会議―被災者の医療費・介護利用料等の免除継続を求める請願・意見書、
「森友学園」「加計学園」疑惑の真相究明と国民への説明責任を求める請願・意見書を採択
7月7日、県議会最終本会議が開かれ、県保険医協会や県社保協・復興県民会議が提出した被災者の医療費・介護保険利用料等の免除措置を求める請願と意見書が採択されました。
岩手県保険医協会は、大震災津波被災者の医療費窓口負担アンケート(4〜6月実施)結果を発表、2262人から回答を得ました。来年1月から自己負担が発生した場合の対応では「通院回数を減らす」が40・0%、「通院できない」が18・0%、「わからない」が7・2%で、計65・2%に達しました。意見欄(1057件記述)には「震災後に妻がうつ病を患い、大量の薬を飲んでいる」「免除のおかげでがんの手術ができた。子どもがいるので、もう少し生きたい」「免除打ち切りなら、がん以外の治療を減らすか、停止する」「被災の後、糖尿病になり、長引く仮設暮らしで精神的にも限界だ」などの声が寄せられています。一方、2012年2月に免除が打ち切られた社保の被災者で「これまで通り通院した」との回答は44・1%にとどまりました。
また、「森友学園」への国有地売却や「加計学園」の獣医学部新設に関する真相究明と、国民に対する説明責任を果たすことを求める請願・意見書を賛成多数で採択しました。自民党と、いわて県民クラブの一部が反対しました。同趣旨の意見書可決は、都道府県レベルで全国2番目です。意見書は、森友疑惑で「国民に対し、十分な説明が行われたとは言い難い」と述べ、加計疑惑でも「国民に疑念を抱かせる内部文書の存在が確認された」と指摘しています。国は「国民の疑惑を払拭するため、国会の閉会中審査や臨時国会を開会して」、森友・加計疑惑の真相を究明し、国民に十分な説明責任を果たすべきだと強調しています。意見書は、いわて労連など10団体が提出していた請願の採択をうけたものです。
「共謀罪法」の強行採決に抗議し廃止を求める請願は、会派を代表し高田一郎県議が請願に対する討論を行い賛同を訴えましたが、自民党・公明党・県民クラブの5人・創成いわての4人・無所属の2人が反対し、不採択となってしまいました。
《2017年7月5日》
岩手県の若年者雇用動向調査―高校生の72.3%が「地元志向」
県内就職率向上に向けた積極的な取り組みを求める
7月5日、県議会商工文教委員会で、岩手県の若年者雇用動向調査結果を受け、県内就職率向上に向けた抜本的な取り組みを求めました。
調査結果では、岩手県出身者の県内就職希望が69.2%、高校生では72.3%と地元志向が高くなっている一方で、「県内に本社を持つ企業を1社も知らない」37.3%、「1〜2社しか知らない」27.6%と驚愕すべき結果となっていると指摘。2017年3月卒の高校生の県内就職率は66.3%となっており、「2020年までに66.5%」としている県の目標は低すぎて真剣な取り組みにならないのではないかと述べ、せめて10ポイントは引き上げるなど積極的な目標を持って取り組むべきだと提起しました。菊池哲商工労働観光部長は「岩手の若者たちの思いや志向が把握されたので、その思いが遂げられるようしっかり就職支援に取り組んでいきたい」と答えました。
また、国が廃止を決めている雇用促進住宅が6月に民間会社に248億円余で売却されたことに関し、入居者の家賃や入居条件がどうなるか質しました。鎌田徳幸労働課長は、「契約の売却条件では、@入居者がいる物件は10年間は転売できないA入居者の賃料など賃貸条件は10年間は変更できないことになっている」と答えました。
商工文教委員会での質疑の大要は「議会報告」をご覧ください。