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《2018年2月27日》
2月定例県議会で一般質問に立つ
東日本大震災津波からの復興の課題、子どもの医療費の現物給付化拡充など質す


 2月27日、2月県議会本会議で、一問一答方式で一般質問に立ち、まもなく7年を迎える東日本大震災津波からの復興の課題などを取り上げました。
 仮設店舗で再建した県内の商業者725店舗のうち、2017年末段階で本設へ移行できたのは277店舗にとどまります。国は仮設店舗の撤去費用への助成期限を19年3月末としていますが、被災地の市町村は退去期限を同年7月や9月と見込んでいます。
 私は「本設移行の前に撤去させられたら、再建どころではない状況になる。撤去費用の助成期限を、せめて復興期間の20年度末まで延長するように国へ求めるべきだ」と強調しました。
 県が「市町村の意向を調査する」と答えてきた小学生までの医療費助成の現物給付化については、18年度からでも実施してほしいと要求。達増知事は、「今後、市町村と県で協議の場をつくり、来年度には具体的に方針を示したい」と明言しました。
 また憲法9条改憲について、「国民が望んでおらず、海外で戦争できる国をめざすもので許されない」と主張し、知事の認識について質問。達増知事は「過去の反省と国連憲章もうたう平和の誓いを国民的に共有することなく、9条を変更するのは憲法の改悪であり、そのように多くの国民も感じている」と答えました。

 一般質問の大要は「議会報告」をご覧下さい。


《2018年2月20〜21日》
大震災津波から7年―小池晃書記局長が被災地の現状を調査

 2月20日、日本共産党の小池晃書記局長・参院議員、紙智子・岩渕友両参院議員は、東日本大震災津波から7年を迎えるのを前に岩手県に入りました。

達増拓也知事、戸羽太陸前高田市長から復興の現状と課題を聞く

 県庁で達増拓也知事と懇談。小池氏は、復興は国政の最重要課題でありながら、国が被災地への責任を放棄するもとで、県が被災者医療費・介護保険利用料免除や災害公営住宅家賃減免などを続けていることに敬意を表明。達増知事が、憲法13条の幸福追求権に基づく復興を掲げていることについて、党も全く同じ立場だと述べました。
 達増知事は、県立病院再建、湾岸整備などの前進面はあるものの、住まい、生業(なりわい)再建、心のケアなど復興は長期にわたると指摘。人口減少について「国の施策によって都市部への人口集中が進んでいる。地方が元気になるようにしてほしい」と話し、小池氏が「アベノミクスの弊害ですね」と応じると、笑いが起こりました。
 市街地が津波で壊滅的打撃をうけ、約1800人の死者・不明者が出た陸前高田市の戸羽太市長と懇談。戸羽氏は、政府が復興期間を2020年度までとしていることについて、事業者の再建などが21年度にならざるをえない事態もあるとして、国税・地方税の減免、財源確保継続などを求める要望書を小池氏らに託しました。戸羽市長は「市の宅地造成は20年度に間に合っても、宅地引き渡しが21年度に入ってしまうところが出る。事業者の再建はそれからで国の支援策が切られてはやっていけない。被災地をひとくくりで見ず、個々の実情を見てほしい」と述べました。
 小池氏は「大震災被害は期限を切って解決する問題ではない。既存の制度枠にあてはめるのでなく、被災者に最後まで責任を持った施策を他の野党とも共同し国に求めていく」と述べました。
 公共交通の確保、柔軟性をもった復興事業のあり方をめぐっても、意見交換しました。
 調査団は、中心市街地の状況や今泉地区の土地区画整理事業・防災集団移転促進事業の状況も視察しました。

3月1日オープンの新県立高田病院を訪問、田畑院長と懇談

 大震災で津波が4階の天井付近まで達し、病院機能停止したものの、避難先で仮診療施設として被災者の医療を支えてきた岩手県立高田病院が高台で新築して3月1日、診療を始めます。大震災で被災した3県立病院が全て再開したことになります。
 小池氏らは、急ピッチで診療開始準備が進む同病院を訪ね、田畑潔病院長らと懇談しました。
 被災地は震災前から人口減少と医師・看護師不足に悩まされていました。田畑氏は、国が診療報酬で在宅医療に誘導をすすめるなか、大震災でコミュニティーが壊され、地域の医療・介護力が落ちていることを指摘。コミュニティー再建と地域医療を同時に進めることが、孤独死を出さないためにも必要だと述べました。
 小池氏は「未曽有の震災被災地での医療は大変な苦労。診療報酬の引き上げなどを国に迫っていく」と力を込めました。田畑氏と小池氏は同じ高校、大学の出身。小池氏が「同級生が被災地でこのような役割を果たしていることを誇りに思う」というと、田畑氏は「テレビで見てますよ」とエールを交換しました。

脇の沢地区の方々と懇談―切実な要望次々

 陸前高田市の災害公営住宅・脇の沢団地での懇談会では、住民代表の女性(70)が涙ながらに「生活が大変です。共産党の国会議員さん、頑張ってください。私たちも頑張ります」と、消費税を上げないこと、年金をへらさないこと、被災者生活再建支援金増額を求める要望書を小池氏らに手渡しました。
 岩渕氏は「国は被災者に寄り添うというが、やっていることは逆だ。本当に被災者に寄り添う政治にしよう」と述べました。
 小池氏は「7年たって土地のかさ上げなど進んだ面もありますが、暮らしは大変な実態がある。消費税を上げて年金を下げるなんて江戸時代の悪代官だってやらない。安倍首相は医療・介護の負担を増やそうとしているがみんなの力で止めよう。頑張りましょう」と力を込めました。

大槌町、釜石市の復興状況を調査

 21日は、死者・行方不明者約1300人が出た岩手県大槌町の平野公三町長や釜石市の野田武則市長と懇談しました。
 大槌町役場で平野町長は、深刻な人口減少の中、町中心部の土地区画整理事業地での住宅建設に100万円の補助を出し、中心部に家を建て町民に戻ってきてもらうため独自に支援を始めたことを紹介。「少しでも戻りたい気持ちがある人に、インセンティブ(やる気を起こさせるような刺激)のある施策を打っていかないと」と語りました。また「生業回復が重要な時期にきているが、町の基幹産業である漁業がダメでは生き残れない」と述べました。
 町は、全壊して新しく家を建てれば230万円の住宅支援事業補助金を支給。平野町長は、被災者が安心して住宅再建に臨むために国に支援金増額などを要望したのに対し、小池氏は、党として国の被災者生活再建支援金(現行は最大300万円)を当面500万円に拡充するよう求め続けていることや、来年度予算の組み替え動議を検討していることにふれ、「国に強く求めて頑張りたい」と応じました。
 釜石市でも野田市長が、市独自に補助金130万円を給付するなど住宅再建を後押ししているほか、若者の定住促進のために市が雇用促進住宅を購入し、低額の家賃で貸し出すなどの事業を開始したことについて説明。提供戸数を増やしたいのに「(財源不足で)打ち出せない」との声に、小池氏は「大事な取り組みだと思います」と話し、国が財政支援の期限を切ることのないよう引き続き被災地復興を最優先に責任を果たすよう国に訴えていく必要性をのべました。
 鵜住居地区では、市の職員からまちづくりの状況などについて説明を受け、ラグビーワールドカップ2019の開催が迫る中、鵜住居復興スタジアムの状況も視察しました。


《2018年2月15日》
TPP11の影響試算を―いわて食・農ネットが要請

 2月15日、いわて食・農ネットは、TPP11や日欧EPA(経済連携協定)などの交渉が国民不在で進められるなか、達増拓也知事に対し、食の安全と地域農業を守る取り組みを要請しました。
 荻原武雄会長らが参加し、日本共産党県議団(3人)が同席。紺野由夫農林水産部長が応対しました。
 荻原氏は、農林水産業への大きな影響が懸念されるTPP11と日欧EPAについて、宮城県は影響額試算を公表(1月19日)したと指摘。岩手県としても、▽これらの協定から食の安全と地域農業を守る取り組みを行う▽協定による農業をはじめとした産業への影響を独自に試算し、公表する―ことを要求しました。
 参加者からも、「安全な県産の農産物が安い輸入品に負け、店頭から消えてしまうのは困る」(いわて生協)、「いまでもコメ生産の担い手がいない。所得も低い。TPPは絶対阻止しないと」(岩手県農民連)、「TPPが地域経済に与える影響は深刻であり、労働者にとっても大問題だ」(いわて労連)との声が出されました。
 紺野部長は「影響額の独自試算は検討している。わかった時点で早急にその結果を示したい」と答えました。


《2018年2月15日》
35人学級を小学5年生に拡充、31年度には小6まで拡充視野

 2月15日、2月定例県議会が開会しました。
 本会議での教育長演述で、高橋教育長は、県内の小中学校で実施している少人数(35人)学級の対象を、2018年度から小学5年まで拡大する方針を明らかにしました。
 県の少人数学級は、県民の世論と運動の盛り上がりで、06年度から小学1年を皮切りにスタート。対象を段階的に拡大し、現在は小学1〜4年と中学校全学年で行っています。
 県教委は、19年度から小学6年まで拡大することも視野に入れ、小中学校全学年での実施を見込んでいます。
 日本共産党県議団は、35人学級の導入と拡大を県議会で繰り返し要求してきました。18年度県予算に関する申し入れ(昨年12月)では、「児童一人ひとりに寄り添った教育を進めるためにも、35人学級を小学校全学年に拡充してほしい」と達増拓也知事に求めていました。


《2018年2月13日》
高校生の就職問題について調査―就業支援員と盛岡工業校長と懇談

 2月13日、高田県議とともに高校生の就職問題について調査をしました。最初に盛岡広域振興局で活動している就業支援員から就職支援の取り組みの状況を聞きました。
 盛岡管内の県内企業の求人は700を超え、前年比で100社以上増えているとのこと。世代交代を背景に事務職の求人も増えているとのこと。昨年あたりから採用が難しくなっている背景もあります。県立平舘高校では、八幡平市長の熱心な取り組みもあって、今年度の就職希望者は全員管内の就職が決まったとのこと。八幡平エリアの企業が多いことと、インターンシップ等での取り組みの効果が表れていると話されました。盛岡工業や盛岡商業などのいわゆる伝統のある専門高校は、大手企業からの求人が多く、県外就職が多くなっているとのこと。県内就職率を高めるための課題としては、頑張っている県内企業の紹介・インターンシップを進め、県内企業との連携を強化すること。福利厚生の向上、特に年間100日以上の休日の確保と職場の雰囲気、首都圏の大手企業に負けない寮や若者住宅などの整備が必要と話されました。頑張っている就業支援員の時給が1100円は低すぎると感じました。

盛岡工業の就職対策と県内就職の課題

 盛岡工業高校を訪問し、阿部徹校長から就職状況について説明を受けました。今年創立120周年を迎える伝統校です。先輩、中央大手企業との付き合いが強いと話されました。今年の求人は1500件で一部上場企業などの求人が多く、県外企業が約9割を占めるとのこと。今年の就職内定状況は、就職希望者179人中県外が113人、63.1%となっています。昨年の54%を大きく上回っています。県内就職率を高めるための課題については、2学年全生徒の県内企業のインターンシップ(3日間)の取り組み、2学年の保護者を対象とした県中小企業家同友会を講師とする進路学習会(17人が参加)、建設業協会盛岡支部との懇談会、高校生ものづくりコンテスト、ものづくりネットワークによる企業見学会の取り組みなどが紹介されました。関係業界、機関との企画の段階からの協議・連携が必要と指摘されました。また、地元企業定着のためには工業高校の学科を減らしては逆行する。盛岡工業定時制についても来年度の応募者が増加しており唯一の専門高校として定時制の存在意義があるのではないかと話されました。

現代のいじめの特徴と対策について聞く

 午後には雫石小学校を訪問し、齋藤卓也校長からいじめ問題の対策、子どもの貧困問題について聞きました。齋藤校長は私の息子の小学校の担任でお世話になった経緯がります。最近「いじめからわが子を守る具体策」の親書を出しており、話を聞きたいと思っていた先生です。親書を出した経緯について、大津市立中学校のいじめ自殺事件について衝撃を受け、保護者向けに子どもを守る具体策を訴えたかったと話されました。いじめを根絶することは難しいが、早期発見すれば教材になる。いじめについては、何よりも担任、さらには校長と連携を取り解決することが重要と指摘。それでもらちが明かないときは休ませること。現代のいじめの特徴として、@発見が難しい、A罪悪感が極めて薄いいじめをする子ども、B悲惨な結果を生む場合が多いこと―を指摘。その背景を聞きました。いじめはグループで繰り返し行われることが多く、いじめられる子どもを追い詰め、罪悪感がないだけに悲惨な結果になりやすいと話されました。
 子どもの貧困問題について、ひとり親家庭の場合、ヘトヘトになるまで働いてもやっと暮らせる状況で、子どもをほっとかざるを得ない状況があること。夕食が遅くなって食べれないことやお風呂に入れないなどの状況も。また、多額の借金を抱えているケースも多いと話されました。こうした場合は、雫石町の福祉課、民生委員、保育園関係者や児童相談所とケース会議を開いて対応を検討しているとのことでした。
 教師の多忙化解消については、「子どものために」を大前提に、やるべき仕事を精選し減らすこと。教員の増員が必要と指摘。雫石町では、再来年度からタイムカードの設置に取り組む予定とのことでした。

被災地の商店街の振興―復興特需減少の中で取り組みの強化を

 午後3時半に岩手県商工会連合会を訪ね、熊谷専務らと懇談しました。被災地での商店街等の復興の取り組みについて、復興特需が減って売り上げが減少していること。今後さらに復興にかかわる作業員が減少することからさらに厳しくなる。交流人口も減少していると話されました。
 今後の課題では、「三陸チャレンジ推進事業」が効果を上げており、被災地での創業や新規事業が進んでいる。軌道に乗るまで今後さらなる継続が必要と話されました。また、テナント入居者の再建のための独自の補助、運転資金への支援。水産加工業等の人手不足の解消の課題も提起されました。仮設店舗の本設展開では、来年度中に仮設店舗が解体される予定となっており、今年7月、9月までに退去が求められている状況で、行き場のない事業者が出かねず、きめ細かな対策が必要とも話されました。
 中小企業振興条例、中小企業振興計画に基づく取り組みについては、指標が既存のものが多く概ね達成となっているが、創業支援、事業継承などの切実な課題があると指摘。商工会としては、経営革新の取り組み、持続化補助金(50〜100万円)・ものづくり商業サービス補助金(上限1000万円)などの段階的な支援を強化しているとのことでした。インバウンド対策、三陸復興博の具体化、県内就職率の向上の課題も指摘されました。


《2018年2月12日》
市民+野党の共闘発展へ大きな党を―岩手県党会議開催 
達増知事、関根自由党県連幹事長、小西社民党県連合代表があいさつ


 2月12日、日本共産党岩手県委員会は、紫波町で第27回党大会・第2回県党会議を開きました。
 菅原則勝委員長が、「岩手県党の総合計画(案)」を提案。当面の政治目標として▽参院選は比例で10万票(得票率15%以上)を獲得し、選挙区で市民と野党の共闘で勝利をめざす▽知事選は市民と野党の共闘を前進させてたたかい、県議選は現有3議席を絶対確保し、5議席に挑戦する――と述べました。
 また、菅原氏は、安倍9条改憲阻止、大震災津波と台風10号災害からの復興、沖縄の選挙勝利への連帯などに取り組むと強調。党勢拡大の毎月前進と党建設の法則的方針を必ず実践しようと提起しました。計画案は全会一致で採択されました。
 2年連続で来賓として出席した達増拓也知事は「復興をはじめ、今後の県政発展に向けた、みなさんのご活躍を期待します」とあいさつしました。
 自由党県連の関根敏伸幹事長は「国民の多くは安倍政権による改憲に反対だ。憲法は国民が権力者をしばるものだ」と改憲阻止を表明。社民党県連合の小西和子代表は「市民と野党の共闘を最後まで追求した共産党に対して、心から敬意を表したい」と語りました。
 共産党の高橋千鶴子衆院議員は、国会での野党共闘の新たな動きを報告しました。


《2018年2月7日》
全県地方議員研修会ひらく
市民と野党の共闘前進、党建設の死活的意義、住民要求実現の取り組みなど交流


 2月7日、盛岡市内で全県地方議員研修会を開催し、38人の地方議員が参加しました。
 はじめに菅原則勝県委員長が、「市民と野党の共闘の前進と党の歴史的役割に確信もち、政治目標正面に党建設の死活的意義をとらえて奮闘を」と題して報告。安倍暴走政治を許さないたたかいと結んで強く大きな党づくりへ地方議員が先頭に打って出ようと訴えました。
 私は、7年を迎える東日本大震災津波からの復興をはじめとした住民要求実現の取り組みと2月地方議会の課題について報告。来年度県予算案で被災者の見守り支援の予算が新規で計上されたこと、災害公営住宅の収入超過世帯に対する家賃軽減制度が被災3県で初めて示されたことなどを紹介しました。
 討論では11人が発言。藤野秋男一関市議は、「小池晃書記局長に何でも聞いてみよう」のDVDを使い、59歳と31歳の親子を党に迎えた経験を紹介。林ア竟次郎岩泉町議は、この間台風10号被災者の医療費免除を継続させてきたと話し、町長選で党が自主的支援した候補が無投票で当選したと報告しました。庄子春治盛岡市議は、安倍改憲ノー3000万署名の地域の会を結成し、9の付く日に行動を行っていると紹介。伊藤正信岩手町議は、沖縄県名護市長選にボランティア支援に入ったことを報告しました。


《2018年2月6日》
被災者支援を拡充する2018年度県予算案
県営災害公営住宅の「収入超過者」の家賃減免へ

 2月15日から3月20日まで、2月定例県議会が開かれます。
 5日に示された2018年度県予算案では、東日本大震災津波からの復興を最大の課題に、被災者の「命綱」となっている被災者医療費・介護保険利用等免除の継続(4.35億円)、被災者の心のケア・子どもの心のケア事業費(7.86億円)の拡充、中長期的な被災者の見守り等の支援体制の充実を図る被災見守り者支援事業費(新規、950万円)などが計上されています。いわての学び希望基金奨学金給付事業等は対象が大学院生に拡充するとともに給付金・一時金も増額されます。台風10号災害の復旧には河川改修事業等172億円が措置されています。
 県民の暮らしにかかわる課題では、子どもの貧困実態調査や子ども支援のネットワーク化の支援の新規事業(3960万円)、教職員の多忙化解消へ部活動指導員配置事業、学校事務補助非常勤職員配置事業等が新たに盛り込まれました。

 災害公営住宅で暮らす「収入超過者」の家賃が入居4年目から高額になる問題で県は、新たな対策を4月から実施すると発表しました。入居者間の公平性を確保するために家賃の上限を設け、割増分を減免できるようにします。こうした家賃減免は被災3県では初めてです。
 県営災害公営住宅には、被災者は収入額に関係なく入居できます。しかし、入居後3年がたつと、収入基準を超える被災者には住宅建設費を基に算定した家賃が適用され、金額が引き上がる仕組みになっています。
 県は今回、最も早い時期に大規模住宅として整備した釜石市の平田アパートの近くの同種の家賃(3DKの場合は月7万7400円)を、県営災害公営住宅の家賃上限額に設定。収入超過者に適用される割増家賃との差額を減免します。
 日本共産党県議団は昨年の12月県議会で、「収入超過者は働き盛り世代であり、復興の担い手だ。災害公営住宅に継続して入居できるように、県は家賃の軽減措置を」と求めていました。


《2018年2月2日》
陸前高田市の復興状況と課題、水産業の状況について調査

 2月2日、高田一郎県議、陸前高田市議団とともに陸前高田市の復興状況の調査を行いました。

75%の被災者が住宅再建、区画整理事業は32年度まで、応援職員が必要

 午前中は、阿部勝建設部長、熊谷正文復興局長から復興の取り組み状況について聞きました。
 応急仮設住宅入居者は12月末現在530戸・1320人、みなし仮設住宅30戸・91人、合計560戸・1411人となっています。4月からは特定延長となり区画整理事業などの遅れなど特別の事情に限られますが、約400世帯弱が特定延長となる見込み。区画整理事業は約半分が平成32年度までかかるとのこと。被災世帯の再建状況(住宅確保)は、防災集団移転事業333戸、がけ地近接等移転事業108戸、区画整理事業131戸、自力再建1018戸、災害公営住宅703戸、市外再建(賃貸含む)416戸で合計2709世帯・75.2%です。区画整理事業の遅れが被災者の再建の課題になっています。とくに今泉地区の区画整理事業では、土地利用計画があるのが3割、そのうち住宅再建が3分の1とのこと。市では、区画整理事業の土地利用についてマッチングの取り組みを進めるとしています。
 今後の課題としては、防集事業で買い上げた土地の集約化とその利用計画についての国の支援が要望されました。また平成29年度の当初予算は767億円で、震災前の平成22年度の113億円余の約6.8倍となっています。来年度も区画整理事業費は増加するとのこと。100人の応援職員、59人の臨時職員、78人の嘱託職員、市独自の任期付き職員46人、正職員254人の合計537人となっています。引き続き応援職員の派遣が必要と話されました。復興期間は10年間となっていますが、今後の見通しも示してほしいと話しました。

被災者支援―心のケアの取り組みが重要課題

 中心市街地に再建された“味彩”で昼食をとり、午後からは、菅野利尚民生部長から被災者支援の取り組みについて聞きました。
 被災者支援総合交付金事業を活用して様々な取り組みを行っているが、平成32年度までの交付金事業となるのかが不安だ。被災者のメンタル問題、生きがい喪失など「こころのケア」が切実な課題となっている。介護保険事業では、介護報酬の削減で事業者が赤字となりサービス縮小傾向も出ている。孤立している高齢者の支援、地域での見守り、居場所づくりの取り組みも必要と話されました。
 下和野・中田の二つの災害公営住宅に設置している市民交流プラザの取り組みは、交流と相談の取り組みで1日20〜30人が利用するなど効果を上げているとのこと。県内最大規模の県営栃ヶ沢災害公営住宅への市民交流プラザの設置については、県から話があれば検討できると話されました。高齢者の生きがい対策として災害公営住宅ごとに“はまらっせん農園”などの取り組みが広がっているとのこと。U・Iターンなどの若者が応急仮設住宅を目的外で使用していることについて、仮設住宅の集約化・解体が進む中で災害公営住宅の空き室の利用も検討することが必要ではないかと話されました。

中心市街地のまちづくりの状況、秋には「まちびらき」のイベントも

 その後、村上幸司企画部長から、中心市街地のまちづくりの状況について聞きました。中心市街地には、昨年4月大型商業施設アバッセなどが開業し、これまでに13店舗が開業、平成30年度にはさらに30店舗が開業の見込みとのことです。約120店舗の計画・見込みです。秋には南幹線道路も完成し、「まちびらき」も予定されています。公共施設は、市博物館、市民文化会館が平成31年度開館、新市庁舎も平成32年度完成の予定です。
 仮設店舗の状況は、12月末現在133か所、284事業者(ピーク時317事業者)で、平成30年度までの事業となっており、30年9月までの入居期間として、本設展開や払い下げ等の対応を求めているとのことですが、区画整理事業等の遅れもあり、せめて復興期間の平成32年度まで事業の延長ができないものかとのことでした。
 復興祈念公園内の震災遺構については、県営の公園内にある震災遺構で、県から残してほしいといわれたものであり、県が管理運営に当たってほしいとのことでした。

サケの不漁と価格高騰、人手不足で水産加工業は大変

 午後3時からは、「株式会社かわむら」を訪問し、菅野敏明専務から水産加工の状況と課題について聞きました。
 菅野専務は、サケの雌の県内の6〜7割を購入し、イクラの生産に取り組んでいるが、生産減少と価格高騰で大変だ。不足分は輸入で補っているとのこと。最大の問題は人手不足。現在150〜160人の従業員だが、後50人は欲しい。オーダーがあっても対応できない状況だとのこと。外国人実習生は年間15人、3年間で最大45人を中国・ミャンマーから確保しているとのこと。ワカメも価格が高く、浜も人手不足でワカメの芯取りができない状況とのこと。ホタテは海外の需要増で価格が上がっているとのことです。職員には、欧米の漁業・水産業の調査にも行かせているとのこと。日本の漁業・水産業も変わっていかなければならないのではないかと話していました。