2014年1月15日 商工文教委員会
被災事業者への支援、雇用確保に関する質疑大要
・事業所の再開状況について
【斉藤委員】
復興の1つの重要な柱である商工業の再生問題について。商工会議所・商工会の事業所再開状況ということで、4341事業所の会員が被災し、3179事業所・73.2%が営業継続・再開ということだった。
2年10ヶ月が経過したが、この推移で見るとどういうことになるのか。休業・転出・廃業もこの間の推移を示していただきたい。
【経営支援課総括課長】
24年11月時点では、再開が72.2%で、本年の6月1日・9月1日とも73.4%であったので、やや再開している事業所が減っている。これは一旦再開した事業者が、いろいろな事情で廃業されたり、統合したりという事情があるようである。
休業・廃業は、24年11月時点で休業は6.5%、転出と廃業で17.6%である。
【斉藤委員】
73%ぐらいのところでほぼ落ち着いていると。復興局の調査だと、営業再開が約52%で一部再開が20%ちょっとということなので、営業再開の中にも基本的に再開したところと部分的にしか再開していないところも含めての73%だと思う。
そして休業・廃業というのはだいたい収まってきたのかと思うが、この中には仮設店舗で営業再開というのがあると思う。先ほどの説明でも、353カ所で仮設店舗等が整備されたと。これは1700区画を超えると思うが、仮設店舗が部分再開ということになるのか。仮設店舗での再開はどのような評価になるか。
【経営支援課総括課長】
仮設店舗での再開についてもこの「再開」に含まれていると考えている。評価ということだが、本設までの間の再開ということでやられているものと思っている。
【斉藤委員】
被災地をまわっている専門家の調査が4冊ぐらいの本になっているが、仮設店舗の本設への以降の可能性が5割程度ではないのかと。いわば仮設店舗で終わってしまうという企業が少なくないのではないかという指摘がある。仮設店舗で再開したというのが岩手県的特徴であり、1700区画というのは福島・宮城を合わせた以上の数である。そこでの営業を継続することが大変な課題で、さらにそこから本設と。そこまでどうやって営業を継続しさらに本設への展開を支援できるかというのが、岩手県の商工業の再生にとってはきわめて重要な課題だと思っているが、仮設店舗の営業状況、これに対する支援、本設への支援の見通しはどうなっているか。
【経営支援課総括課長】
仮設店舗の計画に向けた状況だが、県としては、魅力アップのためにそれぞれのお店づくりを専門家コンサルとの派遣事業だったり、仮設商店街の機能アップ―例えば、スロープだとか看板設置など小規模な追加工事に対する補助も実施している。こうした支援を通じて、仮設でもしっかりやっていただく面を支援している。
本設に向けては、まちづくりの土地ができないとなかなか実際には移行できないので、移行できる際には、グループ補助金等を活用し、再建支援できるようにそういった制度を用意できるようにしていきたい。
・二重債務の解消について
【斉藤委員】
産業復興相談センターに関わる債権買取件数は91件、東日本大震災事業所再生支援機構の債権買取が84件で1月に91件ぐらいまでいったようだが、いずれにせよ170〜180件である。
岩手県の第一期計画が3月末までだが、二重債務支援件数の目標は625件だった。それに照らしてもきわめて低い到達にとどまっている。相談件数も少ない。これはなぜか。どのように打開するのか。
【経営支援課総括課長】
事業者の資金繰りの支援で債権買取もあるが、長期返済猶予や新規融資であったり、こういったものを活用してやっていただいているので、必ずしも買取件数だけではないということが1つ。それから、本格復興という状況でもないので、資金需要が今のところ当初の想定よりも落ち着いているという面もあろうかと思う。また、再開の支援に関しては、グループ補助金や水産庁の補助金など、融資面だけではなく具体的な補助もあり、そういったものは事業者の方はいろいろ活用して再開されているということで、二重債務の買取件数は当初の想定よりは低くなっている。
【斉藤委員】
当初の数より低いというが、3分の1もいっていない。当初、二重債務の解消では、もっと幅広く救済することを考えたが、それが3分の1以下にとどまっているということをシビアに見て改善を図らないといけない。これから本格復興に入ればまた二重債務が発生するので、今現在困っている業者が多いと思うので、毎月何件か決定されかなり頑張ってはいると思うが、当初の1期計画から見たら大幅に少ないということをリアルに見て、目標通りいかなかったら商工業の再生ができないというぐらいの気持ちでこの問題に取り組む必要があるのではないか。相談件数、債権買取件数が目標に比して3分の1以下にとどまっている問題をどのように分析して打開しようとしているか。
【経営支援課総括課長】
当初の想定より低いのはその通りである。相談センターでは仮設施設を一戸一戸訪問したり、我々もいろいろ努力している。目的とすると、事業者の再建を総合的に支援するということだと思うので、この再建買取もきちんと対応したいし、グループ補助金なども使い、いろいろな施策をあわせて事業所の再建支援をしていきたい。
【斉藤委員】
来年の予算の説明で、来年度も予算化をされたということだった。これは中小企業再生支援協議会事業、これは前年度補正で31億円、本予算で35億5千万円ということで、前年度並みの予算化だと。取り組みが来年度は停滞することがないと。
再生支援機構はいつまで取り組まれると期日は決まっているか。
【経営支援課総括課長】
再生支援機構についても、来年度も今年度と同様に事業が行われると承知している。
【斉藤委員】
ずっとということではなく年度単位で、そこが事業者にしてみると、来年いっぱいで見通しが立たない事業者が多い。まちづくりの事業の関係で。商店街の形成というのは2年後3年後なので。それは今の復興の推移から見て、単年度主義的な対応ではいけないということもきちんと政府にも示していただきたい。
・グループ補助金について
【斉藤委員】
平成25年度の認定が7グループ34社ということで、残念ながら激減した。激減した理由・状況はどうなっているか。
予算説明で年末にいただいた資料では、補正で204億円、本予算で220億円という説明をいただいた。合わせると、実質420億円という規模の事業になるのか。
【経営支援課総括課長】
件数が減っている理由は、これまでの間に相当の事業者の方が再建されていると。それと、まちづくりが進まないことにより再開に至らない方も相当いるということで申請件数も減っているものと認識している。
国の予算については、補正で204億円、来年度予算案として221億円ということで、これを使い、来年度分もですし、これから繰越等の手続きも必要なので、そういったものの財源に充てられるものと考えている。
【斉藤委員】
グループ補助の申請が今年度は大幅に減った。予算も少なかったが、それどころでなく減ったというのは残念だった。25年度は減ったもののたしか90億円あった。しかし現段階で12億円、最後の申請もこれから認定になると思うが、残念ながらこれは復興が遅れているという裏返しだと思うが、それだけに、この事業もまた来年再来年と継続されないと、少なくとも本設にも使えるような、いま一番本設で使いたい制度はこの制度である。補正を含めて424億円余の予算が計上されることは歓迎したい。これは東北3県限定になるのか。岩手県はだいたいこのうちのどのぐらいの配分になるか。
【経営支援課総括課長】
対象は3県だけだと認識している。配分がいくらかは分かりかねる。
【斉藤委員】
おそらく今までの実績を見ればだいたい比率が分かると思うが、おそらく今年並かそれ以上の事業費にはなるのではないか。これを積極的に活用できるように。
今年は、商業者のグループも別枠で予算化し対象にしたが、これは結果的にはほとんど申請がなかったと。商業者の再建が遅れているのだと思う。その辺が大変心配である。
実は陸前高田市では、区画整理事業で中心市街地を先行的に整備すると。商工会は100事業所を対象に、市が大型商業施設をつくって賃貸するとか、ショッピングセンターを誘致するとか、住宅兼店舗とかそういうさまざまなパターンで商業を集積しようという計画を示して意向調査もしている。来年度予算でこういう取り組みにも補助が出るようになったと思うが、そうした商業者の新たな出店・貸店舗・商業施設への支援策はどうなっているか。
【経営支援課総括課長】
通常のグループ補助金は被災事業者の事業再建だが、新しい補助制度として、商業機能をつくらなければならないということで、域外の事業者の方も含めた整備事業についても補助対象になるというような新しい制度が国でつくられている。詳細についてはこれから制度設計が行われるものと思われる。
【斉藤委員】
この概要を見ると、自治体による施設整備も対象と書いており、被災中小企業分の補助率は4分の3ということなので、グループ補助に相当するこういうものは積極的に活用できるようにぜひ内容を把握してやっていただきたい。
仮設商店街などは、やはり商店街が集積したメリットを生かして、本設展開も一緒になってそういう商業施設に移転したいという希望も大変強いものがあるので、そうしたときにもこういう制度が使えるようによく調査・研究して対応していただきたい。
・国際海洋研究拠点の構築について
【斉藤委員】
国際海洋研究拠点の構築というところで、平成26年2月末が申請書の提出期限だと。あと1ヶ月ちょっとであり、かなり煮詰まっていないとできないのではないかと思うが、漁業者との合意形成、申請する上での計画の熟度、対象地域はどうなっているか。
【科学ものづくり振興課総括課長】
国でいま公募をかけており、締め切りが2月末になっている。これについて、外部有識者を含めた形の検討委員会を3回開いている。4回目の検討委員会が20日に予定されており、申請書の素案を示したい。
さまざまな関係者がおり、調整等を進めている。
【斉藤委員】
期日が迫っているが、魅力ある事業だと思うが、ぜひ関係団体との丁寧な合意をしっかりやってほしい。
改善による生産性の取り組みというところだが、平成24年度が7社、25年度は15社に指導がされているが、実際指導により経営がどう改善されて、それが雇用確保に結びついているのかどうか。
【産業経済交流課総括課長】
当部で把握している改善通りの効果については、3点あると考えており、直接的な部分として、個別の事業を通ってライン、生産性の効率があがってきているという部分がある。
人材の育成という面で、改善の活動を通して、それぞれに取り組んでいる社員が自ら創意工夫されるという風な意識の改革などが進み、そういった意味での人材育成での効果があると考えている。
こういった生産性の向上、人材育成の効果等を通じて、結果として経営体質の強化が図られていくものと考えている。
【斉藤委員】
水産加工業もこの対象になってやっていると思うが、一番悩んでいるのは人材確保である。ここで改善に取り組んで、生産性の向上や人材の育成、経営の改善ということであれば、雇用に結びついているのかと。そういうことが見えればいいが、水産加工全体は人材確保に苦しんでいるので。具体的な成果に結びついているのか。
【産業経済交流課総括課長】
こういった具体的な加工ライン、個別の1つ1つの生産性の向上の積み上げにより、なかなか思うように被災前に比べ人が集まらないといった企業において、現状の中でより少ない人数で同じような業務をやらなければならないとか、そういう中で効率性なりを上げていくことにより事業を継続させていくことができるといったような効果は出ているのではないかと思う。
【斉藤委員】
質問した趣旨を踏まえてやっていただきたい。
県庁も一度改善を行った。トヨタ方式の改善を行政改革でやった。ムダを省く点ではいいことあったかもしれないが続かなかった。本当に生かせるものは生かすが、トヨタ方式は自動車の生産方式で、大企業だからもつという側面もあるので、そして水産加工というのは再建の途上にあり、人材確保に本当に困っているので、そこに結び付くような改善にぜひ実らせていただきたい。
・雇用確保について
【斉藤委員】
緊急雇用事業で、24210人と累計でなっているが、基本的には6ヶ月雇用で累積している。年間の実数で見ると、3500人程度である。うち沿岸被災地で雇用されているのが昨年1500人ぐらいだったと思うが、この実態について。来年は基金事業は4割減らすと。これは被災地も減るのか。被災地は基本的に雇用を守るのか。
がれき処理の雇用が1300人いた。確実にこれはなくなる。だから緊急雇用で1500人、がれきで1300人という被災地、その他に町で独自に臨時雇用も数十人規模でそれぞれやっている。
やはり被災地の復興・再建には、被災地優先で取り組むべきだと思うが、現状と来年度の雇用確保の取り組みについてお聞きしたい。
【雇用対策労働室長】
緊急雇用の24210人の内訳だが、23年度は11308人、24年度は9079人、25年度は11月末で3823人となっている。3823人の55%が沿岸市町村となっている。
来年度の見通しだが、要求ベースになるが、1700人ほどと思っている。額としては40億円ぐらいを確保し、ご質問では、緊急雇用の分が減るということと、がれき処理の部分で、今の人員の状況は、かつてないほどの求人数で、現在29000人ほど、求職者数が27000人ぐらいなので、人材不足で困っている状況もある。人材不足に対応しながらということと、事業復興型ということで長期の安定の図っていくということで来年度人材確保の問題と安定的な雇用という形で緊急雇用を調整しながらやっていきたい。
【斉藤委員】
たしかに1.08倍と求人倍率は史上最高である。ただ、これはミスマッチである。求人が多いからその気になったら就職できるかといったらできないのが実態である。
労働局の資料でも、資格や経験が求められる、それらを有する求職者が少ないとか、交代制勤務・資金面などで求人・求職双方のニーズが合わないなどの問題があり単純ではない。
また正規の求人が少ない。半分もない。実際に就職している人たちの正規の比率は3分の1である。そういう意味でいくと、被災地で一家の生計を支える仕事が決して多くないというのも実態なので、そういうことで復興という特殊事情でミスマッチも生まれている。
被災地の緊急雇用は減らすのか、維持するのか、その見通しはどうか。
【雇用対策労働室長】
来年度考えていかなければならないのは、きめ細かな対策ということ、正規雇用の拡大で安定的な雇用を考えていかなければならないと。
緊急雇用の来年度の沿岸については、額は減っているということだと思うが、市町村との調整が必要になっているので、まだ予算が決まっていないので、調整するという形で進めていく。