2014年1月15日 商工文教委員会
公契約条例、水産加工業、震災遺構に関する質疑大要


・公契約条例の制定について

【斉藤委員】
 県として、この間関係団体からのさまざまな意見聴取を行ってきたと思うが、その状況と今後の進め方、見通しはどうか。あと1年ぐらいで条例制定にこぎつけるという取り組みをしないと、県議会の請願採択の趣旨は薄れてしまうと思う。

【労働課長】
 庁内に設置した諮問会議において、県内主要関係団体を個別に訪問し、労働団体だと連合・労連、建設労働組合連合会、消費者側としては経営者協会や建設業協会、労働局にもお話をうかがってきた。
 総じて申し上げると、労働団体の方々からは、早期制定について強い要望をいただき、その必要性についてもご意見をいただいた。事業主側の団体においては、公契約条例の制定そのものについての情報をまだ十分もっていないようだった。お話をうかがってくると、労働者の賃金の確保にとどまらず、当該業界の人材不足にどう対応していくかというような問題がどんどん広がっていく話になり、総合的な視点で県の発注する工事の契約のあり方がどうあるべきか、条例制定も含めてもっと検討が必要かと思っている。
 今後の取り組みだが、関係団体のヒアリングが一巡したわけだが、特に建設業関係を二巡目三巡目という形でもう少し突っ込んだお話を聞かないといけないと思っており、そういう風に関係団体からいろいろ意見を聞いたり、当方からも全国の状況も含めて情報提供するなりして認識を高めるような取り組みをしながら、公契約条例制定についてさらに検討を進めていきたい。


・水産加工業の労働力確保について

【斉藤委員】
 県の復興本部会議で、「復興を加速化させる上での懸案事項」ということで問題提起されている課題である。
 水産加工業の労働力確保ということでいろいろ努力されていることは聞いているが、さまざまな就職面接会や、釜石の雇用促進住宅の活用とか、就職相談などやられているが、例えば水産加工がどこまで売り上げ、取引額を回復しているのか。労働力確保できない課題は何なのか。それをどう打開していくのか。

【産業経済交流課総括課長】
 県復興局が行った被災事業所の復興状況調査では、8月1日時点で、売り上げが被災前と同程度または上回っていると回答した事業所は13社14.1%であり、前回の調査と比べると約3ポイント増になっているが、まだまだ厳しい状況にあると思っている。
【雇用対策労働室長】
 柱立てとして、地域内での労働力の掘り起こしが必ず必要だと考えており、緊急雇用の方などマッチングを継続して進めている。また、水産加工業のイメージアップも図っていかなければならないということもあり、その前提として賃金が低いということもあるので、改善の取り組みも必要である。
 また、地域外からの労働力の確保ということで、住居の確保については、釜石市で進めていることについてはご承知の通りである。また東京などにおいてUターンフェアにおいて、復興を担う人材確保などに努めているが、なかなか目に見えた形で表れていないが、来年度の緊急雇用なども含めつつ、総合的にマッチング、水産加工業の良いところを紹介しながら丁寧に対応していきたい。


・震災遺構の保存について

【斉藤委員】
 これは復興局が直接の所管だと思うが、震災遺構というのは、復興のシンボルであり観光のシンボルにもなる。それを示しているのが陸前高田の一本松である。一本松を保存する上では喧々諤々の議論があった。被災者が困っているときに1億数千万円かかるというので。しかし、高田の場合には基本的には寄付を募ってやったと。実際に一本松の保存というのは、特殊な保存のやり方だったが、まさに復興のシンボルであり観光のシンボル、復興支援のシンボルになっている。
 経済効果はかなり大きいものがあるのではないかと思うが、宮古の田老の話を聞くと、被災者の間にいろんな思いがある。簡単に皆が賛成ということではない。原爆ドームでさえ保存が決まったのは10年後20年後だった。直後というのは保存するという議論さえできなかった。それに似たような状況が被災地にはあるのではないか。しかし、本当に津波の怖さ、実態を後世に繋ぐという意味では、大変大きい意味を持っていると思うし、中長期的な被災者の気持ちにも配慮した検討を進め、そして今復興ツアーもやっているが、観光の資源にもなり得る問題について、商工労働観光部サイドでも積極的に被災者の気持ちを踏まえながら、関係部局と連携して取り組んでいく必要があるのではないか。

【観光課総括課長】
 遺構については、被災者の心の問題というものがあるので、なかなかそこに踏み込むわけにはいかないわけだが、被災者の理解を得て、そういう中で震災遺構が残るというのであれば、県としても観光という部分でもしっかり、津波を後世に伝えるという意味も含め、観光面でも活用していくことは重要だろうと考えている。