2014年1月17日 復興特別委員会
住宅再建支援の期限延長等に関する質疑大要


・被災者のいのちと健康を守る課題について

【斉藤委員】
 震災から2年10ヶ月余が経過して、被災者のいのちと暮らしが大変脅かされていると思う。そういう点では、本格的な復興期間といっても、被災者のいのちと健康を守る課題は引き続き緊急課題だと思う。
 おそらく12月末で、仮設住宅で生活している方々の世帯数と数も出ていると思うが、9割前後、人数も85%にとどまっているのではないか。これに対するいのちと健康を守る緊急対策は第二期計画ではどのように盛り込まれているか。

【復興局長】
 被災地域で今なお34000人の方々が仮設住宅での暮らしを余儀なくされている。そういう中で3年目の冬を迎えており、それについてはじくじたるものがある、できるだけ早期の住宅再建を進めていくということや、長期化している仮設住宅の生活を踏まえた被災者の健康の維持管理の支援についてもさまざま取り組みをしていくと。
 現在、第二期実施計画の中においては、暮らしの再建に向け、被災者が安心して豊かに暮らせる生活環境を実現するということを方向性として、具体的には、持ち家による住宅再建支援、災害公営住宅の早期整備による住環境の再建、あるいは被災した医療施設・市社会福祉施設の再建による被災者の心身の健康の維持・増進、仮設住宅での生活の長期化にともなうさまざまな不安、災害公営住宅への転居にともなう環境変化による被災者の方々のさまざまな負担に対応するためのケア対策など、今まで以上にさまざまな積極的な取り組みを行っていく必要があるものと考えている。


・コミュニティの維持、構築について

【斉藤委員】
 来年度末で災害公営住宅は目標の約4割と。現時点の見通しで。そうすると、来年度再来年度が仮設住宅から災害公営住宅に大きく移動する時期になる。仮設のコミュニティにしても、新しく造られる災害公営住宅―これも50戸や100戸規模になると1つのコミュニティなので、こうしたコミュニティを維持し新しくつくっていく課題が大事な課題になってくる。
 2期実施計画を見ると、生活支援相談員は570人配置するとなっているが、これは3カ年の計画だと、単純計算で年190人引き続き配置すると見ていいのか。
 復興住宅のサポート事業というのがあり、これは新しい公営住宅のコミュニティをつくる事業という形だが、そういう取り組みの具体的な中身方向を示していただきたい。

【生活再建課総括課長】
 相談員は3カ年の延べ数で570人である。
【保健福祉企画室企画課長】
 26年度以降も仮設住宅と同じようにサポートができるような形で継続していきたい。

【斉藤委員】
 被災者生活再建支援の支援相談員は引き続き3年間そういう規模で配置していくと。
 新しい災害公営住宅についてもそういう形できちんとコミュニティを新しくつくり、守っていくと。


・住宅再建、改修について

【斉藤委員】
 住宅再建はもっとも切実な課題だが、2期計画では、新たに県の住宅再建支援金の3年間の計画は3939件と。1期計画のときは全体の目標が9518件だった、その数だけ自立再建に支援すると。自立再建の目標といってもいい。この2期計画の数の根拠は何か。目標の何%まで行く予定か。
 住宅再建支援事業の期日の延長を12月議会では検討したと。この計画だと平成30年まではやるとなっている。これはとりあえずは30年度までは延長と受け止めていいか。
 被災者生活支援制度の対象にならない住宅の改修について、これは平成28年度までということで、これもそこまでは延長すると。
 基本的には新築も改修も期限を変えずにやるべきだと思うが、そういう風に受け止めていいのか。
 住宅リフォーム、県産材活用について、これが平成28年までである。これは新築とセットなので、少なくとも30年まで統一してやるべきではないか。

【復興局長】
 本県独自の被災者住宅再建支援事業の実施期間については、現在市町村の意向や土地区画整理事業との面的整備の進捗状況を踏まえ、当面復興計画の最終年度である30年度までの延長について具体的な調整を行うこととし、計画に盛り込んだ。
【生活再建課総括課長】
 いわゆる100万円補助の対象世帯数については、当初の目標通り9518世帯を見込んだ中で、30年度まで延長になるということで、26年度から28年度まで残りの世帯数を5等分したうちの3年分ということで3939世帯となる。
【建築住宅課総括課長】
 生活再建住宅支援事業のうちの補修事業の実施期間について、28年度までとなっているが、それを30年度までにというご意見だが、現段階では、家が壊れて長く放っておくということはないだろうということで、当初から新築よりは短めに設定していた。今回の2期計画の策定にあたっては、ご指摘のような意見もあったので、現在関係部局と他の事業と同じ期間にできるかどうかを検討・調整を始めている。バリアフリー、県産材も同様である。

【斉藤委員】
 当初の事業期間は、そういう形で延長という方向で2期計画は出されているというのは一歩前進ということで評価したい。
 災害公営住宅については、先ほど遅れている要因が示されたが、これが遅れると仮設から移動できないことになるので。それから、完成しても1割弱空き室が出ていると。被災者の希望に沿った公営住宅、場所にしても中身にしても工夫して、造れば良いということではないので、被災者の方々が終の棲家として定着できるようなものに、知恵を出してやっていただきたい。
 災害公営住宅の場合、用地確保は59.5%ということだった。これは県分・市町村分合わせた数字か。

【建築住宅課総括課長】
 県分と市町村分合計の値である。
 県分が71.9%、市町村整備分が48.5%。市町村の数値が低いのは、面整備の中で災害公営住宅を整備する戸数が多いため取得に至っていないと考えている。

【斉藤委員】
 高台移転地に公営住宅をつくる計画なので、それにしても県で7割、市町村で5割弱なので、災害公営住宅の問題については最優先して課題を打開するようにしていただきたい。


・まちづくり事業について

【斉藤委員】
 まちづくりの事業に関わって、実施計画で3つの復興加速化に向けた共通課題への対応というので明記された。重要な課題だと思うが、それぞれ来年度の見通しはどうか。
 そして、事業用地の円滑かつ迅速な確保、特例制度を出した。日本共産党は、これは新しい災害のルールをつくる上で緊急の課題という位置づけもして党大会の報告でも紹介したが、被災者生活再建支援法は超党派で議員立法でやった。今回の場合も、政府は消極的なので、本当に超党派での議員立法での提案を真剣に考える必要があるのではないか。

【復興局長】
 昨年11月21日に、特例制度の創設を求める要望を国に対して行った。国においては、復興を進める上で事業用地の円滑かつ迅速な取得は非常に重要な課題だということについては改めて認識をいただいたものと考えている。
 しかしながら復興大臣からは、憲法上の懸念を示され、今後個別具体の事例に基づき、用地確保の円滑かつ迅速化に向けた議論を継続していくと述べられた。ただ我々としては、新たな制度の創設はぜひお願いしたいと考えており、今後の取り組みとしては、宮城県や福島県との共同での要望を行うこと、あるいは被災3県にたいして非常に全国の各県で、自分たちの自治体が将来起きた場合のことを考えつつ、そういうところでも本県の要望の趣旨等も示しながら、制度創設についてはぜひお願いしていきたい。ぜひ県議会の皆さまのご尽力もお願いしたい。


・JR山田線・大船渡線の復旧について

【斉藤委員】
 三陸鉄道がいよいよ今年の4月に全線復旧すると。しかし未だにJRが復旧を明言していない。まさに復興の障害になっていると思う。各市町村は新しい駅を中心にまちづくりを考えて、区画整理事業に取り組んでいる。その時に1つの中心になる駅の位置が定まらないことは一刻の猶予もならない課題になっているのではないか。本当にむしろ旗立ててでもJRや政府に行かなければならないぐらいの課題ではないか。取組状況、協議の状況、今後の見通しはどうなっているか。

【交通課長】
 山田線については、JRから3つの課題が示された。1つは津波時の安全確保、2つにまちづくりとの整合性、3つに係り増し分―JRが事業者として線路を敷き直す土台となる部分の係り増しの財源確保ということだった。それらについては、残された課題はあるものの、おおむね目途はつきつつあるという認識である。これはJRでも同じような認識をもっていただいていると考えている。一方で、津波被害により沿線地域の人口減少に加え、JRとすれば山田線について係り増し分としての140億円になる数字が示されており、それを投じて整備した場合の利用者がどのぐらい見込めるのかということ。また将来的に鉄道としての持続可能性といったあたりの懸念から復旧の判断を保留にしている。JRの方からは、3つの課題を示された後に、地元としての利用促進の取り組みを考えよというお話があったので、5月に利用促進検討会議を立ち上げ、利用者の確保に向け地元としてどのようなことができるのかという検討を急いでいる。いまJR側から利用促進について投げられている状況なので、促進策の取りまとめを急ぎ、それをJRに投げ返すと。そこにより地元の熱意だとか取組内容をJRに訴え鉄道復旧を迫っていきたい。
 大船渡線については、昨年9月に復興調整会議が開かれたところである。その中で、JRから提案があったのは、大船渡線のルートを山側にしたいと。理由としては、現行ルートだと津波が再来した場合に被災しかねないということで、そこに不安があるということで山側にしたいと。これについては、被災から2年半が経った段階でそういう話があるのはいかがなものかということだとか、山側に変更したいというのは案の1つとして考えたいという提案ではあったものの、具体的にどこを通すのか、事業費はどのぐらいか、それを誰がやるのか、具体な説明がなかった。これについて話を進めていくためには、きちんとした説明をいただくことが必要であり、県としても復興調整会議の仕切り役である東北運輸局に対して、早期に復興調整会議を開いていただくようにということをお願いしている。間もなく被災から3年を迎えるので、遅くとも年度内に開いていただいてJRからのきちんとした説明をいただきたいと考えている。