2014年3月4日 商工文教委員会
商工労働観光部に対する質疑(大要)


・緊急雇用創出事業について

【斉藤委員】
 10億9800万円の減額だが、減額幅が大きいのではないか。せっかくの事業で、これだけ減額補正になった理由は何か。

【雇用対策課長】
 補正前が74億1100万円余で、今回10億9800万円余減額し、補正後63億円に補正しようとするものである。
 具体的には個々の減額の要因は、分析までしていなかったが、これまでの経緯等を見ると、雇用予定人数の大きい市町村等で、実際の雇用実績がそこまで及ばなかったケースや、年度開始後の事業計画の見直しの中で緊急雇用創出事業の形での事業実施を見合わせたケース等もあろうかと思う。どこかの市町村に特別に集中してということではなく、県内全域に散らばっての集計の結果である。

【斉藤委員】
 74億円の予算で10億円余の減額なので、この比率は高すぎると思う。まだまだ必要性のある事業なので。
 事業復興型雇用創出事業費補助が、6億5800万円増額補正されている。実は、被災地の現場からは、もう予算を超えてしまったので、受付を中止しているという話だった。そういう状況だったのか。そして今回の増額補正により、申請したが受け付けられなかった方々は今年度中に対象になるのか。どのぐらいの対象人員になるのか。

【雇用対策課長】
 増額補正したのは、今年度の受付の経緯を説明すると、当初12月末まで申請を受け付ける予定としていた。しかしながら、予算が全体規模で助成可能数に達したことから、10月11日段階で、「間もなく予算が満額になるので受付を停止します」という予告をし、その上で10月24日に予告を再度行い、最終的に10月29日受付をもって今年度の申請受付を終了した。
 この企業については、3カ年で助成するという制度なので、国から交付を受けた交付金を全体額により全体としての交付可能数があり、これは13800人である。加えて、毎年度の支出があるので、平成25年度の予算に計上した分で、今年度支出可能な額がある。そういったことで、まず10月の受付締め切りは、3カ年の総額として全体規模に達したことから受付を終了し、その受付結果で、今年度支払いに必要な額を精査した結果、今回補正でお願いしている6億5千万円余が不足しているという見込みになったことから補正をお願いしている。
 ですから、基金の中には、来年度以降交付する分がまだあるので、そういった全体の調整の中で、今年度支払い分として6億5800万円余を増額した。
 今回、補正でお願いする分の人数は、最終的には人数に大きな変動はなかったが、初年度の支払い所要額、助成対象者の雇用期間に見合いで今年度の支払額が決定するが、今年度の支払い所要額としてはこれぐらい必要だと。人数的には当初の予定とほぼ同じということである。

【斉藤委員】
 そうすると、結局10月29日で終了した分、その事業費補助が不足したので6億5800万円補正したと。申請したかったが10月29日で終了したので申請できなかったという方々が多い。あなた方がよく頑張ったという側面と、被災地ではぜひ使いたいと。特に水産加工の場合は、この事業復興型で若い人を確保したいという声がある。国が補正を決めたのだから、来年度にまわさないで3月からでも2月補正で組んでやるべきではないか。これはそういう継続事業なのだから。なぜそうしなかったのか。

【雇用対策課長】
 今回国からの補正を受け、積立金を計上している。それをもって今年度歳出分として計上も可能ではあるが、今後の受付から始まっても、事務処理の期間を考えると、今年度分に追加することは非常に難しい。それと、この事業は3年間分の在籍にたいして助成するとご説明したが、これはスタート時点が決まっているわけではなく、申請の時点から将来に向けて3年間ということで、今回国から追加交付を受けた分については、来年度、今回申請できなかった方々も含め、来年度の申請で受付していきたいと考えている。

【斉藤委員】
 釜石のイオンセンターがこの制度を使うというので事業費を超えたという話もあるが、その真意を確かめたい。
 そして緊急雇用創出事業臨時特例基金積立金79億円、この中には来年度の事業復興型も入っているのか。来年度の事業復興型の予算について、高田一郎県議の議案に対する質疑では、3400人分という話もあったが、改めて正確にお聞きしたい。

【雇用対策課長】
 イオンの採用した従業員についての助成金の申請だが、これまで私が書類を見た限りではまだ把握していないので、あるいは来年度の申請であがってくるかと思う。
 事業復興型の予算だが、今回の積立金に含まれる事業復興型雇用創出事業に関する積立分は65億8000万円である。見合いの追加可能人数は3500人と見込んでいる。来年度の歳出予算額は121億6000万円を予算としてお願いしている。

【斉藤委員】
 65億8000万円で3500人分、総額が121億6000万円と。これは今までの分も含めると121億円、新規分が65億8000万円と受け止めていいか。
 緊急雇用創出事業特例基金積立金の79億円の中に、山田町のNPO問題の返還金が含まれているという話だった。歳入では返還金と記載していて、歳出のところにはそれが明記されないというのはどういうことか。返還金は返還金で分けた方がいいのではないか。

【雇用対策課長】
 121億6000万円の内訳だが、今年度までに認定した分の助成にかかる分が63億8000万円、来年度新たに認定する分の26年度支出分が57億8000万円、計121億6000万円ということで、今回追加交付を受ける65億8000万円は、3年間の雇用であるので、65億8000万円のうち来年度歳出で使う予定分は57億8000万円となっている。
 返還金と積立金の関係だが、ここは予算事業の立て方のルールということでこういう形になっているが、返還を受けるものについては、今回の山田の件もそうだが、あとは全くの過誤により返還を受けるものも含め、諸収入の返還金というところで受ける。歳出については、あくまでも基金への積み戻しということになるので、一括積立金ということで計上している。

【斉藤委員】
 そうであれば、内訳の中に返還金が入っているというぐらいのことは書いていてもよかったと思う。


・建設労働者の状況について

【斉藤委員】
 認定職業訓練費が1241万円減になっている。特に、建設労働者・大工職人、いま建設関係の求人に対応しきれなくなっている。これは10年20年の間に公共事業が減額し、建設労働者が激減したという背景があるが、岩手県の建設労働者の推移、労賃はどうなっているのか。それにたいする建設労働者の養成の取り組みはどうなっているか。

【労働課長】
 建設業に従事する労働者数の推移だが、就業構造基本調査に基づくと、役員を除く雇用者数では、平成19年52300人だったのが平成24年には49800人と減っている。
 労賃は、直接建設労働者の方々の労賃そのものではないが、労賃を反映しているであろうということで、設計労務単価で見ると、平成19年時点で16061円、平成26年の最新のところでは20000円を超える額になっている。復興需要なども反映されている。
 建設労働者の人材確保対策だが、県土整備部でもさまざまな取り組みをしているが、当部の所管のところで申し上げると、かつて建設業に従事したことのある方で離職されている方、あるいは類似の重機の操作等をやったことがあるような方で現在仕事に就かれていない方に、建設業に今一度目を向けていただいて就業していただきたいということで、離職者向けの訓練というものをやっている。24年度は9コースを開設し64名の方々を建設業界に送り込んでいる。今年度も来年度も同規模の訓練を行いたい。
 それから、県内の各地域に、工務店などを会員とする職業訓練協会というのがあるが、そこで長期課程ということで、大工の養成などを行っている。そこで建築関連の長期訓練というのをやっており、今年度で申し上げると、20課開設されており、126人の方々が仕事をされながら訓練を積まれている。
 中期的な視点に立っての取り組みとしては、産業技術短大や二戸の専門校で建築課を開設しており、そちらでの養成も行っており、就職率は100%となっている。

【斉藤委員】
 建設労働者の確保・養成というのは、いま切実な課題になっているということだけではなく、やはり県民の生活のライフラインを確保すると。いわば50代以上が半分を超えている。10年経ったらリタイアせざるを得ないという状況になっている。いま養成しないと、今まで激減したのがさらに激減してしまう。恒常的な住宅の建設や県産材の活用など、いま本当に大変な時期になっていると思う。
 二戸の高等技術専門学校の建築課は、岩手日報でも大きく報道され、技能五輪にも出場したり、就職率100%と努力している。全体として、建築課というのが少なくなっている。建設労働者の待遇が悪いために、新しい職業として魅力がなかった。しかし復興事業でやっと労賃が20000円台になってきた。それでも20年前に比べまだ低いが、近づいてきた。もっと設計労務単価は上げていかなくてはならないと思うが、こういう時期にきちんと建設労働者の確保に取り組むべきではないか。二戸の高等技術専門学校が高等学校を訪問して、こういう課がありますよと紹介しているが、苦労している。
 今の状況、緊急性をよく見て、機会を生かして、県内での建設労働者の確保に真剣に取り組むべきではないか。

【商工労働観光部長】
 建設労働者の養成・確保については、本格復興に向けてますます需要が増大するものと考えており、ご指摘の通り喫緊の課題ということで、県の訓練施設等はもちろん、民間の職業訓練協会等さまざまな業界とも連携しながら人材をきちんと養成し、復興に資するための手立てをしっかり取り組んでいきたい。


・中小企業被災資産復旧事業費補助について

【斉藤委員】
 7億9800万円余の減額になった。残念なことだが、本設展開するにしても用地が確保できない、まちづくりが進んでいないと。これが一番大きな要因だと思うが、今年度の実績見込み、まちづくりの遅れが要因だとすれば、単年度ごとの延長ではなく、住宅再建の補助も平成30年度まで延長するとしたが、そういう形でこれから需要が出てくるという見込みがはっきりしているので、この事業を必要があるまで継続するということを示すべきではないか。

【経営支援課総括課長】
 この補助金は、県と市町村が被災した事業者の復旧に2分の1を補助するという制度である。今年度は85事業者に2億9000万円補助をしている。
 継続については、復旧が遅れているので、市町村とも連携しそういう措置ができるように検討していきたい。

【斉藤委員】
 来年度予算も出しているのだからそういう答弁ではいけない。来年度はこういう規模でやると、来年度だけにとどまらずやると。被災事業者があなたの答弁を聞いて元気になるように答弁してほしい。

【経営支援課総括課長】
 来年度については、市町村とも調整して必要な予算を措置している。長期的な課題でもあると考えているので、市町村ともよく連携して検討していきたい。

【斉藤委員】
 あなた方の答弁というのは被災地は注目しているので。それで元気になる。そういうことを受け止めてしっかり答えていただきたい。


・グループ補助金について

【斉藤委員】
 1193者、審査中が52者、うち450者が未完了、108者が再交付、265者が自己繰越、80者が繰越との見通しが示された。この再交付で、もう2年前3年前だと資材や労賃など基準単価が変わってしまっている。だいたい今発注している公共事業は4割高である。労賃も38%ぐらいに上がっている。第一次第二次に決定された方々は、経費は4割減、4分の3補助が2分の1いくかどうかというところまできている。この再交付というのは、本当にもう一度出し直して、今の必要な経費で再交付申請させられるようにすべきだと。でなければ、まったく新しい形でグループ補助を申請した方がいい。だから手続き的に再交付が早いわけなので、ぜひ対応できるようにしてほしい。
 本会議では、そのために高度化資金も活用してもらっているとのことだったが、高度化資金の申請・活用状況を示していただきたい。

【経営支援課総括課長】
 グループ補助金にかかる経費動向については、そのような問題が生じていることは国にも伝えており、経産省においても、国の関係省庁と相談しながら検討するということなので、そういった検討を期待したい。また岩手の現状をよく経産省にも伝え検討を進めていただくように働きかけたい。
 グループ補助金の自己負担分に対する特別な融資だが、資金を実際に交付した事業者が134者で84億円余となっている。

【斉藤委員】
 グループ補助金が73億2800万円の繰越となっている。これは、経済対策でさらに来年度予算で約200億円、そうすると来年度は総額でどういう規模になるのか。

【経営支援課総括課長】
 来年度は、67億円ほどを見込んでいる。これまでの利用額などを基に見込んだもの。