2014年3月5日 2月定例県議会・本会議
農地中間管理事業等促進基金条例についての高田一郎県議の反対討論
議案第127号農地中間管理事業等促進基金条例について反対討論を行います。
議案第127号は、農用地の利用及び高度化の促進を目的として行われる農地中間管理事業を促進するために促進基金を設置する条例であります。
反対する第1の理由は、TPPに対応する農政改革の第一歩となるからです。
昨年6月に閣議決定した『日本再興戦略』は、『今後10年間で、全農地の8割を担い手に集約し、コメ生産コストを全国平均16000円から4割削減し、法人経営体数を2010年度比で約4倍の5万法人とすること』を目標としました。農業構造の改革と生産コストの削減を強力に推進する手段として農地中間管理機構が位置づけられました。まさにTPP参加を前提としていることは明らかです。
第2の理由は、優良農地において大企業が主体の生産法人への農地集中を進めるとともに、耕作放棄地の解消ではなく荒廃を促進しかねない問題をはらんでいるからです。
県は30年まで農地の6割を担い手に集中し、35年までに大幅に上回る農地の集約する計画を策定しようとしています。農地の貸出先について「市町村が農業委員会の意見を聞き『農地利用配分化計画』を策定する」としていますが、法が求めているところは、農地の貸出先については地域の農業者と農外からの参入企業などで公正な扱い、つまり「公募」となっています。担い手への集積といっても自民党農政が進める『新たなコメ政策』により米価の価格暴落や直接支払い交付金が廃止になり、一番経営が困難になっているのが大規模農家です。どれだけ地域の担い手に農地が進むか疑問です。
機構への貸し出しは「有効に活用されるかどうかの判断」であり、借り手がいなければ「集積協力金」も支給されません。耕作放棄地解消に役立つのか疑問であります。しかも、『農業者が離農しても、農地を貸し付けても、相当の間期間を経過しても、貸付を行う見込みのない場合は解除できる』ことになっています。離農した農業者に農地を返却され機械を手放した離農者は途方にくれる事態にもなります。
第3の理由は、農地の番人として、戦後から現在まで重要な役割を果たしてきている農業委員会を形骸化させようとしています。
農業委員会は、効率的な農地利用について、農業者を代表して公正に審査する行政委員会です。この間も農地利用集積の中心的な役割を果たしてきました。民間同士の農地移動は農地法第4条による委員会の関与がありますが、今回の機構は、公的団体だからとして「農地利用配分化計画」を作り認可・公告するとしています。農業委員会の関与が位置づけられていますが、「意見徴収を基本にする」としています。
農地中間管理機構は、農地・農業・農村にもうけを最優先する企業論理を持ち込み、話し合いで水路や畦畔を維持してきた農村の崩壊を広げ、食糧の安定供給や農業の維持発展、多面的機能の発揮を後退させるものです。
以上が反対する理由であります。ご清聴ありがとうございました。