2014年3月7日 予算特別委員会
総務部に対する質疑(大要)
・消費税増税の影響と県税について
【斉藤委員】
消費税8%増税による県民の負担はどうなるか。
法人県民税が8億9200万円余の減額、自動車取得税が10億8000万円減額となっているが、減少する理由は何か。
地方消費税の引き上げ分24億9500万円は、社会福祉に8億4500万円、社会保険に14億4400万円、保健衛生に2億600万円配分されるとしているが、これは純増となるのか。その結果一般財源の支出が減るということはないのか。
【税務課総括課長】
平成24年度の地方消費税の実績額から推計した、国・地方合わせた消費税額のうちの家計負担分を、平成26年2月1日現在の岩手県の世帯数で割ると、1世帯あたり年間約6万3000円の負担増と見込まれる。
平成26年度当初で法人県民税が減るということだが、これは平成25年度の収入見込みの当初の額が過大だったということで、当時経済動向等を見ながら、見込みを立てるときにはいろんな増要素やリスクを勘案しながらやるが、いずれ過大であり、その比較により下がるということである。ちなみに平成25年度の決算見込み額を出しているが、それとの比較では2.4%伸びている数値になっている。
自動車取得税については、消費税率引き上げにともない実施される自動車取得税率の引き下げというものがあり、これによる減ということで、43.7%下がるということである。消費税率引き上げにより自動車取得税の影響はあるが、駆け込みとその反動減があるわけだが、平成25年度は駆け込み需要による増分が約4000万円と見ており、平成26年度の部分では、自動車取得税の税率引き下げ分、反動減だが、実は税率が引き下がっており、この減の方は3000万円と見ての減である。
【財政課総括課長】
社会福祉関係8億4500万円については、障害者自立支援医療費、児童保護措置費、少子化対策では保育対策等促進事業費、地域子育て活動推進事業費等充てられる。
社会保険の14億4400万円は、医療では国保事業安定化推進費、後期高齢者医療費給付費負担金等である。
介護の関係では、介護保険給付費等負担金等に充てられている。
保健衛生は、医療関係では、救急医療対策費あるいは看護職員確保対策費、医師確保対策費、母子保健対策費に充てている。
なお、純増となっているものではない。
【斉藤委員】
消費税の家計負担分は1世帯あたり63000円ということだった。岩手県全体で総額いくらになるか。実は消費税というのは、導入以来増税額は236兆円、法人税の減税が208兆円、これは財務大臣がそのように答えている。増税したがほとんどが法人税減税で、まともな増収にならなかった。現実になっていない。この消費税の増税はまったく大義がないのではないか。
財政課長の答弁で「純増とならない」と。それは一般財源の支出が減るということか。
【財政課総括課長】
例えば社会福祉関係だが、少子化で保育対策等促進事業費が3億円ほど県で事業があるが、事業が増えているというところに充てている。
【税務課総括課長】
全体で324億1000万円ほどである。
・地域の元気臨時交付金について
【斉藤委員】
108億6300万円余が交付されるが、県の医療・福祉・教育などに積極的に使われるべきだと思うが、どういう活用状況か。主なもの、全体の配分額も簡潔に示していただきたい。
【財政課総括課長】
26年度当初予算においては、52億9000万円活用している。
主な活用先は、医療関係には16億1900万円余で、医療機器整備15億2000万円、いわてリハビリテーションセンターの機器整備等に9900万円ほど入れている。
福祉関係では、8300万円弱ということで、療育センターの整備の財源に3800万円ほど充てている。
教育関係では、4億2300万円余ということで、施設整備費として、花巻清風支援学校特別教育等の整備だとか、特別支援学校のトイレ改修などにも活用させていただいている。
その他31億6400万円余は、いわて花巻空港ターミナルビル機能向上事業ということで10億9500万円、交通安全施設整備事業ということで11億円等となっている。
108億6300万円ほど交付されているが、25年度にも36億円弱の充当をしており、これまでに88億円余が充当されている。
今後、活用可能額については、19億7700万円余となっており、これらは広く県民に還元されるような施設整備に充てたいと考えている。
・防災対策について
【斉藤委員】
釜石市や陸前高田市、大槌町など犠牲者が多かった地域で、それぞれの事情・目的が違うが、検証作業・検証報告書案などが出されている。やっと被災地もそういう検証に取り組むことができたということだが、県の防災対策に生かすべきと考えるが、どういう過大や教訓が提起されているか。
広域防災拠点整備事業について、全体の計画と来年度の整備事業の中身について示していただきたい。
地域防災力強化プロジェクト事業の成果と今後の取り組みはどうなっているか。
【総合防災室長】
市町村における検証作業についてだが、沿岸の市町村では今検証作業途中であったり、パブコメをやったりというところもある。結果がまとまったところもあるが未公表のところもある。そうしたところを今情報収集しており、被災市町村の対応作業では、事前の対応から災害発生後の対応まで、多岐にわたる項目を設定してアンケートなどを実施していると聞いている。今後、被災市町村における報告書が示された段階で、県として防災対策に反映すべき事項を精査し、県の地域防災計画等の見直しに取り組んでいきたい。
広域防災拠点について。この素案では、県内で発生するすべての災害に対応できるよう、全県拠点としての広域支援拠点を盛岡・花巻エリアに、警察・消防・自衛隊等の支援部隊が集結する広報支援拠点を二戸・葛巻・北上等の4つのエリアに配置する案を提示したところである。現在この内容についてパブコメを実施し、年度末にかけて8計画を策定しようとしている。来年度の事業内容については、衛星携帯電話を2台配備したいと考えている。また、米・水・毛布・簡易トイレ等、それらの備蓄を進めたいと考えている。
地域防災力強化プロジェクト事業の成果については、今年度県教委と連携し、防災教育教材を作成したほか、防災サポーター制度を活用し35名の防災サポーターを登録し、研修会に9回派遣している。そういったことで住民の防災意識の高揚、自主防災組織の育成に成果があったと考えている。また、昨年度から実践的な訓練としている総合防災訓練については、今年度初めて久慈市を中心とした複数市町村で広域的な訓練を実施し、1万人が参加した。こうした取り組みにより、自主防災組織の組織率が上昇するなど、一定の成果があったところだが、一方で県民の防災意識というものが時間の経過とともに低下するという傾向もあるので、引き続き取り組みを進めていく必要があると考えている。こうしたことから、来年度は、自主防災組織の育成や訓練の実施などさらに強化して取り組んでいきたい。
・原発放射能汚染対策について
【斉藤委員】
損害賠償請求の取り組みは直近でどうなっているか。
県・市町村・一部事務組合は、ADR(原子力損害賠償紛争解決センター)に訴えを起こしたが、その後取り組みはどうなっているか。
来年度の予算にもあるが、放射性物質除去低減技術実証事業費880万円は、今年度もやられているが、これまでどういう実績があって成果があったのか。
【放射線影響対策課長】
原発事故にかかる損害については、一義的に東電が責任を負い、被害の発生に即した損害賠償を行うべきものとして、これまで市町村や関係団体と密接に連携して対応してきた。賠償については一定の進展が認められるが、風評被害など十分な賠償が実現していない点もあり、今後とも積極的に支援していきたい。
自治体損害についてだが、東電は原則として政府指示などに基づいた費用などのみを賠償対象としているので、賠償金の支払いの一部にとどまっている。合意にいたっていない24年度までの損害について26年1月23日にADRに和解仲介の申し立てをした。
損害賠償の実績だが、県が今まで支払い実績として1月末現在で、27億2500万円余となっている。市町村・広域連合それぞれ動いているが、市町村が1780万円、広域連合が100万円余となっており、まだ市町村や広域連合などについてはなかなか進んでいない。
ADRの申し立ての状況だが、1月23日に県は6億3200万円余について、これ以上直接交渉だけでは具体的な進展は困難との判断に至り、24の市町村と協調して申し立てを実施した。年度内にさらに11団体が申し立てを行う予定であり、今後県と35市町村などの一体的な審議が行われる見込みとなっている。
県としては、これまで県および市町村が自主的に取り組んできた放射線影響対策についても、県民の安全安心などを確保するために、必要かつ合理的なものとして賠償すべきものであるということを主張していきたい。
放射性物質除去低減技術実証事業費だが、当該事業は、市町村の課題に対応して、具体的な技術の収集・試験に取り組んできた。現在市町村で大きな問題になっているのは、放射性物質に汚染された廃棄物の除去である。今年度については、道路側溝汚泥などについて重点的に取り組んできたところだが、現在の動きとして、県南の汚染重点調査地域において、実際ご努力により道路側溝汚泥を引き上げる段階になっている。その際に、試験研究機関に持ち込んで測定していたのでは非効率的ということで、現地での簡易的な測定方法によりセシウム濃度を推定する方法を開発した。また、一時置き場に減容化して持ち込むことにより延命化を図り効果的に保管ができ、セシウムを含んだ汚泥の減容化、セシウムをそこにとどめたまま水を絞り出すことのできる土のうの実証もして、この2つの技術については、実際にいま両市で活用を検討をしていただいている。来年度以降としては、今年度、原木しいたけのほだ場の環境改善に取り組もうという動きがあるので、その落葉層の除去の技術も収集している。
【斉藤委員】
JAや森林組合・漁協等の請求額が298億円、それにたいし支払い額は239億円で80.2%と。
・旧盛岡短期大学跡地の問題について
【斉藤委員】
庁内での利用希望調査の結果と活用案はどうなっているか。
地域住民の要望、盛岡市の対応はどうなっているか。
今後の県の検討と対応についてどうなっているか。
【管理課長】
昨年1月に県による公共的な利用について、庁内の利用希望調査を行った結果、総務部・保健福祉部・教育委員会から利用希望が出されたが、その活用案の中身については、各部局における事務レベルの構想段階の内容であり、今後内部検討に時間を要する状況にある。
地域住民からの要望等について。昨年6月に旧盛短跡地利用促進期成同盟会から盛岡市にたいし、「旧盛短跡地は城南地区の防災、地域活動の拠点として活用できる最適地であることから、市が敷地を確保して地域活動の拠点施設を整備してほしい」という要望があり、現在市において、市として何ができるか引き続き検討していく状況と聞いている。
今後においては、県や盛岡市による公共的な利用について、庁内関係部局との協議、そして期成同盟会から要望を受けた盛岡市と引き続き情報交換を行い、市の検討状況等も踏まえ、跡地の利用方針について検討していく。
【斉藤委員】
旧盛短跡地は、中心部に残された貴重な土地である。地元からも大変強い要望があり、私だけではなく地元に3人の県議がいるので、ぜひ慎重な検討をしていただきたい。
・県職員の賃金引き下げについて
【斉藤委員】
55歳昇給停止による賃金引き下げが今回提案されている。1人当たりではどのぐらいの減収になるか。総額ではどのぐらいか。
この間の賃金引き下げ総額と地域経済の波及効果についても示していただきたい。
県職員の賃金は1人当たりでこの10年余にどれだけ減額されているか。
復興事業で大変予算も事業も増えているが、この5年間県職員1人当たりの超過勤務手当は増えているのかどうか、その推移を簡潔に示していただきたい。
大震災津波の復興に献身的に取り組んでいる県職員にたいし、賃下げは復興に逆行する。待遇改善こそ必要である。これは岩手県に任期付きで派遣されている人たちの待遇も含めてきちんと対応すべきだと思うがいかがか。
【人事課総括課長】
昇給制度の見直しにともなう1人当たりの影響額だが、55歳ということで、総括課長級の職員をモデルに良好な成績で勤務した場合の昇給と、なかった場合として試算すると、給料月額で1600円、期末勤勉手当を含めた年間の合計で26年においては26000円程度と見込んでいる。同様のモデルで、退職までの5年間で試算すると、退職手当を含め76万円程度の減と試算される。
平成15年以降における給与改定および給与の減額措置による各年度の減少額について、単純に累計させた場合、この間で約224億円と試算される。この金額をもとに地域経済にたいする波及効果として、産業連関表を用いて試算すると、この間の累計で352億円程度になるものと見込まれる。平成15年度の年収額と今年度の7月からの給与減額を反映した年収額について、当時の40歳の主査級の職員と現在の40歳の主査級の職員をモデルに比較すると、約69万円の差があるものである。
超過勤務手当について。平成20年度から24年度の過去5年間の超過勤務手当額については、各年度の決算額で申し上げると、平成20年度10億5700万円、21年度9億6800万円、22年度13億2800万円であり、22年度の最後の1ヶ月のところが大震災があったところである。23年度は15億3500万円、24年度は13億2300万円となっている。今年度については、2月補正原形予算額で14億5800万円となっている。震災以降若干の増になっている。
職員の待遇改善だが、特にも沿岸部に勤務する職員にあっては、内陸部での勤務と異なり、住環境も含めさまざまな負担があるものと認識している。仮設公舎の新築や職員互助会を活用した職員公舎への備品の整備をこれまで行ってきた。また、単身赴任にともなう経済的負担の軽減の観点から、人事委員会規則の改正をお願いし、単身赴任手当の加算額の改善も措置させていただいている。加えて、職員が心身ともに健康であることが何よりも大事なので、発災以来、メンタルヘルス対策に力を入れているところであり、地方公務員災害補償基金の事業を活用し、臨床心理士によるカウンセリング事業、メンタルヘルスセミナーの拡充など、特に今年については拡充して取り組んだ。引き続き職員の負担軽減、勤務意欲の確保に向け、さまざまな視点から取り組みを進めていきたい。
【斉藤委員】
55歳の昇給停止で、5年間で76万円減収すると。総括課長級は調整手当も減額になっている。本当に復興のさなかで減額に減額を重ねていると。こういう賃下げの悪循環というのは見直すべきではないか。
この10年間の県職員の平均的な給与の減額を聞いた。69万円と。15年以上賃下げが続いているので、さかのぼればもっと減収していると思う。本当にこういう賃下げの悪循環に歯止めをかけておかないと、地域経済の波及効果も10年間で352億円だと。そういうことは今見直すべきである。
超過勤務手当は1人当たりでも確実に増えているのではないか。
【人事課総括課長】
今年度については、2月補正原形予算額を用いて1人当たりの超過勤務を試算すると、だいたい42万9000円となるところであり、24年度は決算数値だが40万5000円ということで上がっている。