2014年3月12日 予算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)
・迷惑防止条例の改正問題について
【斉藤委員】
改正案の中身に、「禁止する卑猥な行為に、着衣で覆われている他人の下着等を撮影する目的で、当該下着等を撮影できる位置に写真機等を差し出す行為を加える」と。この「目的で」ということになると、誰がこれを判断するのか。未遂行為も対象になる。権力の乱用に触るのではないか。
こういう迷惑防止条例の改正は全国でどのぐらいやられているか。
【生活安全部長】
盗撮画像が確認できなかったために検挙できなかった事案は、平成25年中5件発生している。
規制状況については、写真機等の差出行為そのものについて、すでに青森・新潟・岩手を除く44都道府県で取り締まり対象としている。あわせて、つきまとい行為等ストーカー規制法にならって、整理類型化している県は28都道府県となっている。
【斉藤委員】
撮影する目的で撮影できる位置に写真機等を差し出す行為を加えると。これは現行犯ということか。例えば一般人の通告もそういうことになるのか。誰の判断になるのか。
【参事官兼生活安全企画課長】
撮影する目的の立証方法だが、その行為をした周りにいた者、客観的な目撃の状況、あるいは防犯カメラの状況、本人の自供といったものを総合的に判断して、盗撮目的について立証するということである。
【斉藤委員】
青森・新潟・岩手3県を除いて、目的・未遂行為まで対象にしているということか。
【参事官・生活安全企画課長】
未遂というよりは、差し出す行為自体が、女性に対して脅威を感じさせる行為、そのもの自体を禁止するということである。
【斉藤委員】
実際に行った犯罪行為ならともかく、「目的」ということなので、それを誰が判断するかと。そうすると権力の乱用につながるのではないか。
・震災対応にかかる交通安全施設、警察施設の整備について
【斉藤委員】
来年度予算で震災対応分として、交通安全施設整備費7770万円余が予算化されているが、どこに何機整備されるのか。
被災した警察施設の復旧状況について、来年度5億2320万円の予算が計上されているが、どこの何を復旧する中身か。
【交通部長】
信号機の新設整備として、一関市の復興支援道路である国道342号の花泉バイパスに2ヶ所を予定している。また信号機の移設整備として、道路管理者が実施する復興支援道路の工事にともない一関市・葛巻町にそれぞれ1ヶ所、被災地の道路かさ上げ工事にともない釜石市の11ヶ所、計13ヶ所を予定している。
【警務部長】
平成26年度の被災警察施設の災害復旧費として5億2323万円余を計上しているが、宮古警察署および同待機宿舎の設計費や地盤改良のための工事請負費などとして3億531万円余を計上したほか、大船渡警察署綾里駐在所等5ヶ所の交番・駐在所の再建事業費として1億9146万円余、および一関警察署等4施設の修繕費として2645万円余を計上している。
・警察本部職員の超過勤務時間と超過勤務手当の支給状況について
【斉藤委員】
13年度の見込みはどうなっているか。1人当たりではどうなっているか。支給率どうなっているか。この5年間の推移ではどのように改善されているか。
【警務部長】
超過勤務の状況は、今年度4月から12月までの状況で、この間における超過勤務時間数が46万1089時間、支給時間が35万210時間である。これを職員一人当たり月平均に単純に換算すると、超過勤務時間数が約22.9時間、支給時間数が約17.5時間で、超過勤務時間数に占める支給時間数の割合は約76%となる。
今年度末までの見込みについては、年度途中であることから予測することは難しいものと考えられるが、今年度の超過勤務手当予算については、2月補正を含めて総額12億6977万円余を計上している。
過去5年間の推移については、超過勤務時間数および支給時間数については、職員1人当たりの月平均に換算した数字で、超過勤務時間数は平成20年度は約28.3時間、21年度は約27.6時間、22年度は約33.8時間、23年度は約35.5時間、24年度は約25.8時間となっている。支給時間数は、平成20年度は約16.5時間、21年度は約16.2時間、22年度は約19.8時間、23年度は約25.6時間、24年度は約19.6時間となっている。
【斉藤委員】
76%の支給ということで、これは全額支給して当たり前である。不払い分、不払いということは社会的犯罪行為であり、そういう認識はあるか。
【警察本部長】
超過勤務については、職員の健康保持と職場環境改善の観点から、まずは縮減することが必要と認識しており、縮減に向けたさまざまな取り組みを推進しているところであり、徐々に改善が図られていると認識している。
今後においても、事務の合理化・効率化を推進し縮減に向けた取り組みを継続するとともに、勤務実態の把握に努め、対処する必要がある事案がある場合には所要の措置を講じるなど対処していきたい。
・捜査報償費について
【斉藤委員】
この5年間の予算の推移、決算額の推移はどうなっているか。
【警務部長】
決算額では、平成22年度は1712万円余、23年度は1499万円、24年度は1234万円余、25年度は執行過程にあり確定でないので申し上げられない。
【斉藤委員】
1700万円から1200万円に減っている。必要のない捜査報償費だったという実態だと思う。ところが、来年度の予算が1714万円。実態として1200万円まで減っているのに、なぜそれを超えるような捜査報償費が計上されるのか。裏金の原資ではないか。実績から見てかい離があるのではないか。
【警務部長】
当初予算の計上額については、基本的に前年度実績と各所属の事件捜査の状況および国政選挙等の特殊要因を勘案し積み上げているところである。なお、特殊要因については、捜査活動等への支障があることから、この場における答弁は差し控えさせていただきたい。
・警察官の不祥事への対応について
【斉藤委員】
一般質問でも「全国最悪」の事態だと。それも、本当に重大な事案が多かった。
なぜこうした事態となったのか。具体的にどういう対策を講じているか。
【警察本部長】
職員の不祥事・非違事案の発生は、県民からの警察に対する信頼を失わせ、警察活動を大きく阻害するものと認識しており、昨年本県警察において、飲酒運転事故等による懲戒免職処分2名を含む10名の懲戒処分者を出したことはきわめて遺憾であり、重く受け止めている。
こうした不祥事の要因は、法令順守の模範となるべき立場の警察職員としての職務倫理意識、自覚の欠如にあり、また幹部による身上把握・監督が不十分であったことにあると考えている。
こうした事案の背景等を踏まえ、再発防止対策として、業務管理および人事管理の徹底や、職員の自覚を促す工夫等を推進するために、警察署長会議等において再発防止に関する協議・指示を行ったほか、警察職員の使命感と誇りを醸成させるため、公安委員が直接警察署等に出向いての職務倫理講話の実施、また相互観察時における公安委員の非違事案防止座談会陪席による助言指導、会計経理に絡む非違事案防止を目的とした県警が委嘱する会計経理アドバイザーからの助言指導を実施するなど、徹底を図っている。
県警としては、今後も非違事案の絶無に向け、全職員に対し職務倫理供与や綱紀粛正について再徹底を図るなどの取り組みはもちろん、県民の安全安心の確保のため、本来業務に全力をあげて取り組み、信頼の回復に努めていく所存である。
【斉藤委員】
全国最悪という状況の中で、残念ながら私のところには隠ぺいされた不祥事がたくさん告発されている。
2月5日に、警察学校入校者の寮内で、入校者の死亡事件が発生した。死亡者の年齢・役職・死亡経過はどうなっているか。
【刑事部長】
本年の2月6日早朝、警部補任用科で、警察学校に入校していた40歳代の巡査部長が寮内で死亡した事案である。遺体については、検視を行ったうえ、司法解剖を実施するなど、所要の捜査を行った結果、事件性については認められなかった。
詳細については、亡くなった職員およびご遺族のプライバシーに関することであるので答弁は控えたい。
【斉藤委員】
私のところには、「2月5日の深夜、飲酒・酩酊のうえでケンカとなって押し倒され、後頭部を壁に強打し、くも膜下出血で死亡した」と。解剖したというが、死因は何か。
【刑事部長】
捜査結果は、事件性が認められないので、詳細についてはお答えを控えさせていただきたい。
【斉藤委員】
警察学校の中で1人亡くなっている。この人は何か病気をもっていたのか。死亡するような要因があったのか。簡単に死ぬはずがない。
この方は昇給して、その上で警察学校で研修を受けていた。そういう人が勝手に死亡するのか。告発の内容とは違うのか。
【刑事部長】
司法解剖などを行い、所要の捜査を行い、事件性がないものと判断し、適正に捜査している。
【斉藤委員】
県警本部長はどういう報告を受けているか。
【警察本部長】
刑事部長の答弁にあった通りである。
【斉藤委員】
40代の働き盛りの警察官が簡単に死亡するはずがない。隠ぺいの疑惑があるから聞いている。違うのであれば違うとはっきり言うべきである。死因は何だったのか。
【刑事部長】
捜査結果は、事件性が認められないので、プライバシーの問題もあり答弁を控えさせていただきたい。
いずれ所要の捜査を行い、検視して司法解剖して、事件性がないものと判断した。
【斉藤委員】
事件性がないから死因も明らかにしない、これを隠ぺいと言うのではないか。警察学校の中で1人亡くなっているのである。そういう答弁では済まない。
昨年11月15日に発生したひき逃げ逃亡事件、盛岡西署の対応について、事件直後になぜ対応・捜査が行われなかったのか。この事件は今どうなっているか。捜査ミスではないか。
【交通部長】
本件事故は、事故の衝突音を聞いた方からの110番通報により事件を認識し、死亡ひき逃げ事件として直ちに捜査を開始したものであり、事故現場における詳細な鑑識活動と並行しながら、検問・聞き込み・ビデオ精査などを実施している。
本件事故については、直接目撃者がいないことや、物証が乏しい状況などから、慎重な捜査を余儀なくされ、捜査が長期化しているが、警察本部と盛岡西警察署で専従体制を組み、犯人検挙に向け現在も捜査を継続している。
【斉藤委員】
その後の新聞報道を見たが、翌日の報道は、「事件と病気両面で捜査」である。18日に「ひき逃げと断定」と。「ドンという音がして男性が倒れていた」というのが最初の通報である。最初からひき逃げとして現場検証や緊急配備して捜査すべきだったのではないか。
【交通部長】
新聞報道では「事件と病気両面から捜査」と報じているが、当日、遺留品や目撃情報がなかったため、慎重に報道発表を行ったものであるが、対応としては当初からひき逃げ事件として対応している。
【斉藤委員】
緊急配備はしたのか。ひき逃げというのは、その時点での対応が大事である。何時間経ってからでは話にならない。だから今も解決していない。初動捜査にミスがあったのではないか。必要な手立てをとらなかったのではないか。
【交通部長】
発生当初から緊急配備等をして、初動捜査は所要の捜査を実施している。
【斉藤委員】
いつどういう緊急配備をしたのか。
【交通部長】
110番通報を受け、手元に詳細な時間経過等については所持していないが、通信指令室に110番が入ると、その段階で通常の場合だとひき逃げ容疑事件ということで、即座に通信指令室から県内各地に配備あるいは警戒活動の指示が出る。
【斉藤委員】
今の答弁は一般論である。
今回の新聞報道にあるように、ドンという音がして人が倒れているという通報に対して、ただちに体制をとらなかったのではないか。だから迷宮入りになっているのではないか。
【交通部長】
緊急配備等については、詳細な時間を持ち合わせていないが、当初から確実に実施している。
現在の捜査状況だが、目撃情報あるいはビデオ捜査等から、白い乗用車ということで浮上しており、現在もその乗用車について必要な調査を実施している。
【斉藤委員】
だいたい最初の通報自信が、ドンという音がして人が倒れていたという話なので、死体を解剖したら肋骨がバラバラになっていて、それでやっとひき逃げと断定したのではないか。本当に対応がまずかったのではないか。
岩泉警察署におけるパワハラ疑惑と警察官の辞職の経過について。なぜ辞職に追い込まれたのか。
【参事官兼首席監察監】
昨年末に岩泉警察署の署員が、依願退職している事実は承知しているが、その退職の理由については、一身上の都合を理由とするものであり、ご指摘のような理由ではない。退職理由の詳細については、署員のプライバシーに関わるので差し控えさせていただきたい。
【斉藤委員】
苛酷なパワハラを受けて辞職したと。公務員の警察官は簡単には辞めない。この署員は署長にたいして批判をしたことがあったと。そしたら執拗なパワハラを受けたということで辞めざるを得なかった事件である。本部長は聞いているか。
【警察本部長】
聞かせていただいている。
【斉藤委員】
全国最悪の不祥事なので、本当に1つ1つの問題について、下からの報告を鵜呑みにせずきちんとやらなければならない。
千厩警察署において、24年に警察官の首つり自殺事件があった。これは署内で起きた。署内で自殺するということは抗議の自殺である。この自殺の理由は何だったのか。遺書はあったのか。
【参事官兼首席監察監】
平成24年8月に、千厩警察署内で職員が自殺した事案があったことは事実である。
原因・動機等の詳細については、個人のプライバシーおよび死者の尊厳に関わるので答弁は差し控えさせていただきたい。
【斉藤委員】
これも隠ぺいされたと思うが、こういう指摘である。警務課の職員だったようだが、「裏金の作成命令を苦にして自殺した」と。家庭の問題だったら署内なんかでやらない。署内で自殺するということは、警察署長に対する告発である。プライバシーなどというが、本当に今警察が重大な状況になっているのではないか。綱紀粛正などというが、こういうことが隠ぺいされていていいのか。
【参事官兼首席監察監】
原因等については、プライバシーその他、尊厳に関わることである。遺書の有無についても答弁は差し控えさせていただきたい。
この係員については、特に公金を扱うとかそういった係ではない。委員が指摘するような事実等はない。
【斉藤委員】
裏金というのは、あらゆるところで作れる。各課に捜査報償費がある。
本会議では、皆さんが懲戒処分した不祥事は全国最悪だと言った。今回、隠ぺいされている不祥事を指摘した。本当に1つ1つの問題を本部長が先頭になり真相を解明すべきである。
本当に現場の警察官は頑張っていると思う。現場の警察官の頑張りに応えて、まともな警察組織をつくらなければならない。
【警察本部長】
現場の警察官への温かい励ましの言葉ありがとうございます。
私としては、そのような事案が発生した場合には、きちんとした調査をして、非違事案であるということであれば、きちんとした処分を行っていくということと、警察として本来果たすべき県民の方々の生命・財産を守るといった仕事に一生懸命努力し、良い成果を出して信頼回復、期待に応えることをしていきたい。