2014年3月14日 予算特別委員会
商工労働観光部に対する質疑(大要)


・イオンタウン釜石の出店にかかる交通対策について

【斉藤委員】
 店舗面積が17394平米、駐車場1169台、開店から閉店が7時〜23時と。一番心配するのは交通対策で、釜石市内は、今でも平日で退勤時は大渋滞である。1日1万人呼ぶと。祝日は2万人、年間500万人と。交通対策は大丈夫なのか。混乱に陥るのではないか。どのように検討され対策がとられたのか。
 釜石の売り場面積はどのくらいか。地元の中小企業と共存共栄できるか。そうした点はどのような検討がなされたか。

【経営支援課総括課長】
 立地の際には、大規模小売店舗立地法による手続きをとっている。これは関係する市町村や警察、道路管理者に、計画について意見を求めて調整したものだが、交通渋滞についても当然審査項目に入っているが、警察・道路管理者とも意見はなかった。
 イオンでは、交通誘導員の配置や市内に案内板を設置したりといった対策をとっていると聞いている。
 面積については、46000ほどと把握している。

【斉藤委員】
 交通対策について意見がなかったというのは異常なことだと思う。
 例えば、平日に1万人来店を予想していて、あそこは国道283号しか幹線道路がない。そこにどのぐらい平日、休日あふれるのか。そういう申請のときの中身はあるのか。誘導員だけでは対策にならないと思う。
 釜石市からは、別なアクセス道路をつくるという話も聞くが、つくらないで出店している。アクセス道路の話は聞いているか。

【経営支援課総括課長】
 大店立地法の手続きにしたがい、交通に関しても審査し、警察・道路管理者とも意見はなかったところである。
 アクセス道路については、そういう計画があり、開店時ではないが、役場によれば平成27年度の開通を目指して対応すると聞いており、釜石市の渋滞対策本部も設置してこの問題に対応すると聞いている。

【斉藤委員】
 釜石市が渋滞対策本部をつくり、アクセス道路をつくると。なぜそれが今度の申請のときに検討されないのか。そのぐらい深刻さがあるからアクセス道路もつくる、渋滞対策本部もつくるとなっているのではないか。
 市がそういう対策をとろうとしているときに、それがまったく申請時に議論されなかったとしたら、申請の審査そのものが形骸化していると言わざるを得ない。

【経営支援課総括課長】
 地元市にも意見を求めており、警察・道路管理者とも所定の審査を行っているものと考えている。


・山田町NPO問題―県の検証報告書について

【斉藤委員】
 今回の検証報告書は、県の言い訳に終始し、責任回避。とても県議会の理解も県民の理解も得られないものだと思う。中身で、どこがずさんなのか質したい。
 御蔵の湯の建設事業、なぜこれはチェックできなかったか。この御蔵の湯というのは、7月28日の事業計画書で、被災者支援事業ということで盛り込まれた。8月31日の経費内訳で、これはリース料ということで1000万円。これは自衛隊の仮設風呂程度のものである。そういう形で盛り込まれたが、そして10月1日に工事が着手され、12月26日に開所式を迎えた。造られたものを見たら、とんでもないものができた。県は11月15日、担当者は驚いて、「これは緊急雇用対策事業じゃないでしょうね」と確認した。翌日に写真も撮った。しかし山田町が「リースだから」ということで認めてしまった。ここに最初のチェックミスがあったと思うが、1000万円で始まった事業が、あの建物を見て1000万円のものだと思ったのか。当初の計画とまったく違ったものがつくられたと担当者は受け止めたのではないか。

【雇用対策課長】
 その事実関係については、報告書23ページ以降に報告している。11月に担当者は疑問を感じ、12月に町に確認の結果、緊急雇用の対象はリース料等であるとの説明を受け、そのこと自体に事業として認められるものであった。決して建物全体の判断というよりは、その一部についてリース料として入っているという説明を受けたものである。

【斉藤委員】
 12月26日に開所式がされている。町長は、「町では復興支援事業の一環として、旧町立図書館跡地、通称御蔵山に建設しこの度開所の運びとなった」と。無料入浴施設を「建設した」と言っている。そして出席者名簿には、請け負った建設会社カガヤの社長が来ている。ここには、これを所有しているオールブリッジというのは一言もない。これは総事業費2億円だと翌日の新聞に書かれている。なぜ2億円かというと、アイシン精機から支援額1億2700万円入っている。この2億円の建物は、オールブリッジの建物だったのか。

【雇用対策課長】
 23年度の完了検査の時点で、その点について、県から山田町に確認した山田町の回答は、「所有者はオールブリッジである」というものだった。

【斉藤委員】
 材料費・リース料を払ったのはNPO法人で6600万円。オールブリッジはどこにお金をかけたのか。2億円誰が出したのか。オールブリッジは1円も出していない。開所式に出席もしていない。こんなリースは存在しないではないか。リースだと言いながら、所有者は最初から不明である。あなた方は節穴だったのではないか。

【雇用対策課長】
 ご指摘いただいた事項は、我々も24年12月11日に、この事業が破たんした以降の調査の中で初めて認識したものである。

【斉藤委員】
 だからずさんと言っている。
 11月15日に、1000万円では考えられないような建物が造られ、担当者は驚いて問い合わせた。そしたらリース物件だと。2億円のリース物件である。しかしリースと言いながら、材料費・リース料6600万円はNPOが払っている。おかしいと思わないか。

【雇用対策労働室長】
 8月に事業計画の提出があり、11月15日におかしいと気づいた。その後、2回目の契約があり2000万円となった。その後、12月26日に開所式があり、その際の県の認識は2000万円のリースだということで復命書で出している。その後、3月の契約の時点で、材料費ということで4000万円があり、ということで、当時の認識としては、リース費そのものについては、オールブリッジというものがあって、それが実態があるものだと認識していたので、6000万円という数字があって、それがオールブリッジが払っていないという認識は24年12月まで理解していなかったということである。

【斉藤委員】
 結局節穴だったということである。
 リース物件と言いながら所有者を確認しない。そもそも開所式に出ていない。最初から実態がなかったということである。所有者が出ない開所式などあり得るか。

【雇用対策課長】
 リース物件の所有者とすれば、式典への出席はないこともあるかと思う。

【斉藤委員】
 そういうのは答弁にならない。所有者が出ない式典などあり得ない。
 それから緊急雇用事業というのは建設工事はだめだった。重機を使う事業は建設事業である。重機を使った工事が実際やられていた。そういうのは見たらすぐ分かる。それも見過ごしたのではないか。

【雇用対策課長】
 あくまでも県の最終的な判断は、山田町の説明に基づいて行ったものである。

【斉藤委員】
 山田町の説明がでたらめだから、あなた方は結局それを鵜呑みにしてしまった。鵜呑みにしたどころか、あなた方は町と一緒になり、できないものを認めてしまった。
 あまりにもひどいので、完了検査のときにまた問題になった。完了検査のときに、これは建築工事だと、一度山田町に連絡し、山田町は4月19日に、「先日完了検査を行った。3日間では検査しきれなかった。りばあねっとについては持ち帰り精査を行った」と、これは県の話である。「県庁が回答があったので連絡する。それは建設事業に該当するから補助対象外となる」と。町は、「検査の結果については了解した。一般財源で返すということになるのか」というやりとりまでしている。それが5月7日に、「4月23日、建設土木事業に該当するため、補助対象外とするという岩手県の判断について協議したところだが、このほど交付契約に沿った形での処理を進めようと、宮古地域振興センターで詰めている旨回答があった」と。県から「認めましょう」と、そのための確認事項を県が出した。それについて回答したのが5月7日の4項目である。この4項目の内容で町が回答すれば認めるとした。認める手を差し伸べたのは県ではないか。

【雇用対策課長】
 委員ご指摘の内容は、町と宮古センターの間で口頭でやりとりされたものを、記憶に基づき町で記表した内容と認識している。その内容については、材料費という、勘定費目というか経費費目の中に、支払先が建設会社であったので、疑問を感じ持ち帰ったと認識している。町に伝えた内容はこれまでも再三常任委員会をはじめ説明してきたが、県における検討途中の内容が、担当者から町の担当者に伝えたものであり、あくまでも県としての見解は5月9日に伝えた、町からの回答に基づいて判断した補助事業として認めるというものである。

【斉藤委員】
 5月7日の文書になっている。
 県と町が合作したごまかしの4項目。@御蔵の湯はリース物件であり、その組み立てには専門性を要することから、業者に依頼して組み立て作業を行ったもので、その特殊性から、組み立ておよび完了までがリース経費の範ちゅうに入る、A御蔵の湯はリース契約に基づく借用物件であり、一定の期間が経過すればオールブリッジに返還する、B本件材料費は単にリース物件の組み立て費用の負担であり、リース費用に含まれるべき性質の経費である、C将来には解体して返却することとしており、補助金交付契約で禁じられている財産取得に当たらないと。これはまったくのでたらめである。
 御蔵の湯はリース物件、組み立ておよび解体完了までがリース経費の範ちゅうに入ると。このお金がNPOが出していて、なぜリース物件になるのか。オールブリッジが払ったのならリースになるかもしれない。払っていないのだから。
 御蔵の湯はリース契約に基づく借用物件であり、一定の期間が経過すればオールブリッジに返還すると。どういう借用契約があったのか。中身はないのではないか。
 この4項目というのは、まったく実態を無視した、できないことをできるようにした町と県の合作ではないか。

【雇用対策課長】
 現在我々の承知している事実からすれば、非常に偽りの多い内容である。当時は、その実態が分からず、その疑問点について問い合わせをし、それに対し町から回答を受けて、それに基づき県が判断し、この確認事項の書面について、今回の検証委員会の中で、委員の方々からも、この内容については否定しきれる内容ではないので、県も補助対象とした判断も不適切とは言い切れない、そういう判断もあるいは考えられるという検証をいただいた。

【斉藤委員】
 確認事項というのは、県から委託契約に関する質問を出して町に答えさせた。リース料・材料費はNPOが負担していて、オールブリッジが所有者だと。完了検査でやっているのだから、オールブリッジを確認するのは当然ではないか。11月時点と違う。そのときもオールブリッジを確認しなかったのか。

【雇用対策課長】
 確認していない。

【斉藤委員】 
 徹底してずさんである。報告書のいう適正だったなど言えない。
 完了検査がどんなにずさんだったか。完了検査は3月31日、土曜日だがやられたのか。

【雇用対策課長】
 事業の中心目的が雇用の創出ということなので、3月31日に雇用が完了したということで確認したが、詳細について補足的に4月に入ってから確認している。

【斉藤委員】
 報告書では、4月11日〜13日までやったが終わらなかった。山田町から聞いてきたが、5月までかかったと。ずさんで、領収書も伝票もないから、山田町自身が5月連休すぎまでかかったと言っている。当時の総務課長は、だから町長にたいし「職員を派遣しなければだめだ」と提言したが、町長から却下されたと。実際には、完了検査は5月すぎまでできなかった。そういうどさくさの中で御蔵の湯を認めてしまった。
 5回の契約変更が行われ、4回目5回目は不足払いの契約変更だった。これは山田町の担当者が言っている。特に悪質なのは5回目で、1月15日に、町とNPOで1億6900万円の契約変更を行った。そしてすぐ払った。県と町が協議したのが3月15日である。こんなことはあり得るか。1月15日という事業が終わる時期に、雇用人員は1人も変わらないのに1億6900万円の契約変更など全くごまかしではないか。なぜチェックできなかったのか。

【雇用対策課長】
 当時、山田町からは、時間経過とともに事業拡大に伴う雇用増加、これは最終回以前の変更分だが、あるいはそれまでの実績をもとに、年間事業費を精査した結果による所要額に基づく変更という説明を受け、事業の要件に照らして問題ないと判断したものである。
 今の我々の把握している内容から振り返れば、たしかに当時疑問を持てばという思いは私も持っている。
 なお、1月15日について、当該内容について県と山田町が変更契約した3月15日については、1月10日に山田町から県にたいし変更契約の相談を受け、県の担当者の思い違いというか、そういうミスがあり、3月末の他事業と一括した事業整理の中で処理したものである。

【斉藤委員】
 1月15日の契約変更は本当に異常だった。雇用人員は148人で変わらず、それなのに人件費は7146万円増である。このときに、初めて休日手当が出てきた。材料費が3566万円も増やされた。不足払いである。常識的に考えたらあり得ない。
 そしてこの最中に、平成24年度の7億9000万円という次年度の内定通知を出している。そしてその不足払いのやり方が24年度に拡大された。そういうことが徹底してなぜ検証されなかったのか。そのことが、24年度の5億円の不正に結びついた。
 検証の中身がずさんではないか。そして責任逃れである。県議会も県民もこれでは理解できないと思うがいかがか。

【商工労働観光部長】
 検証委員会は、学識経験者や庁内の専門的な知見をもつ職員により、公開の場で真摯な協議を行い、外部のチェックを受けとりまとめたものであり、検証報告書がずさんであるとは考えていない。
 検証報告書により提言されている事業の適切な執行管理のあり方について検討し、その仕組みを整理して適切な執行を管理し、責任を果たしていることにより、県議会・県民の方々からの信頼を得られるよう努めていきたい。