2014年3月20日 農林水産委員会
農林水産部に対する高田一郎県議の質疑(大要)


・大雪被害対策について

【高田県議】
 私は、まず最初に2月の大雪被害に対する対策についてお聞きいたします。担当課から被害状況の資料をいただきまして、直近の被害状況は調査率80%ですけれども、7億8000万円ほどという状況です。今後更に拡大すると思いますが、農林水産省の方でもこれまでの被害対策ということから一歩踏み込んでね、支援を強めるという中身になったという報告をいただいています。いずれ前回の農水委員会でもそういった支援策があっても、農家はやっぱり、更に再建をして頑張ろうという気持ちにならなければ、本当の再建にはならない。そういうお話をいたしました。
 そこで何点かお伺いしたいと思いますが、今回の被害の状況をみますと、農林業関係ではハウス被害がかなり多いということです。これに対するハウスの撤去費用についても国は農家負担なしというような、そういう方向を示しておりますが、実際は定額負担という事でありますけれども、実際は農家負担といっても全く負担がないのかどうかですね。国の定額負担がどの程度になっているのか、もし分かればしめしていただければと思います。
 それから業者にお願いした場合は良いわけですけれども。例えば自分で、自力で撤去したいという方もいらっしゃると思います。そうすれば、自分の収入になるわけです。そういったものが可能なのかどうか。その点についてお伺いいたします。

【農業振興課総括課長】
 撤去費用についてでございますけれども、ちょっといま手持ち、申し訳ありません。それぞれの畜舎であるとか、ハウスであるとかという場合に応じて、その撤去費用の金額が定められているということになってございますけれども、今手元にはございません。自力の場合は費用が下がりますけれども、そういう措置は、国の方では、するということでございます。
 今現在は、大まかな状況で情報は入ってきておりますけれども、具体的には事業の要項、要領。これがまだ手元には届いてございませんので、それをはっきり申し上げるというのは出来ない状況でございます。

【高田県議】
 3月3日ですか。農水省はね。対策を示したんですけれども未だその詳細が明らかになっていないということですか。現場からお聞きしますと、パイプハウスが10aあたり29万円と。鉄骨の場合は88万円とか。そういう数字をいわれました。実際はパイプハウス29万円と言ってもですね。骨材が太くなればですね、実際、倍かかってしまうんだということで、実際は農家負担なしと言ってもかなりの課題があるのかなというのが、現場で起きていると思いますので、そういったことを是非、ふまえた対応をして頂きたいと思っております。自力で撤去は可能だと、いうことですね。

【農業振興課総括課長】
 概要として示されておりますが、具体的に、先ほど申し上げましたが要項、要領、正式なものが届いてございませんので、具体的には申し上げられません。

【高田県議】
 わかりました。いずれ、業者にお願いするよりも自力で撤去してね。いくらかでも自分の収入になるようになれば、農家にとってもプラスになるのかなというふうに思いますので、そういう方向に対応できるように是非お願いしたいなというふうに思います。それで撤去が終わって実際また、再建という事になるわけですが、国の方では再建について2分の1補助するという方向をうちだしております。残りについては、市町村が支援した場合には、特交で支援しますよと。上乗せ措置ができるんだということです。支援の内容をみますと地方自治体の上乗せ措置をすれば、かなり小額でねハウスの再建できるという。そういう方法になってあります。いま本当に、先ほども議論がありましたけれども新年度新しい農政改革でね。かなりの、水田で言えば農業は所得が落ちることは確実です。ですからこういったハウス栽培とか、園芸でね、少しでも所得を上げるというようなそういう努力が必要だというふうに思いますが、そういう点でかなり小額な負担で、本当に再建できるようにして欲しいとうふうに思いますけれども、県としては、どのような、国は2分の1やるといっておりますけれども、その残りの2分の1に対して自治体で上積みもできるんだというような国の支援策も打ち出されていますけれどもその辺の対応についてお聞きしたいと思います。

【農業振興課総括課長】
 撤去費用等についてでございますが、国が2分の1を出して、その残額を地方公共団体負担する場合に国が2分の1を負担するということでございますので、その内容、その対応につきましては、今検討してございます。いずれにしましても生産者の方々の負担。これが軽減されるべき対応を検討してまいりたいと思っております。それを念頭におきまして検討していきます。

【高田県議】
 詳細がまだまだこれから明らかになっていくということですので、これ以上質問しても難しいのかなというふうに思いますけれども。いずれ繰り返すようですけれども一歩踏み込んだ、国は今回の大雪災害で踏み込んだ支援策を打ち出しましたけれども、補助率の問題ではなくて、農家が再建できなければ本当の意味での支援策にならないわけですから詳細をよくつかんでですね。いま再建に向けてどこに問題があるのか、課題があるのかそういうことをよく実態を踏まえてね、県に対応を取っていただきたいと思います。
 それで今回の農林水産業の被害状況のなかで実は一番多いのが、大雪災害だったのですが、水産業は、かなり一番大きな被害を受けて私もこの実態みるとですね非常に驚いたわけです。水産業については、わかめ、こんぶ2120本とか、養殖施設の破損、漁船の転覆、漁港施設の損壊ということでね。いま、再建に向けて本当に頑張っているときに、こういう被害になって本当に大変だなと思うのですが、水産関係の復旧といいますかね、支援策といいますか。これがどのようになっているのか。もし分かればお聞きして終わります。

【水産振興課総括課長】
 水産物の方の対応につきまして、私のほうからお話をしたいと思いますけれども、このわかめあるいは昆布。これはある一つの地域と言いますか。一つの地域それも南の方に湾が向いているという地域が、一ヶ所だけ主に被害を受けて、4億何がしの被災額になってございます。これにつきましては、共済組合といいますか、漁業共済の方にすべて加入されておりますのでそちらの方で対応がされるものと思っております。ただ、まだ生産が最終的に確定しておりません。それで、わかめであれば6月ごろ、昆布であれば9月頃に最終的な金額の確定をもって共済金が支払われるということになっております。以上です。


・沿岸被災地の農地の復旧・再建状況ついて

【高田県議】
 最後にひとつですね沿岸被災地の農地の復旧・再建状況ついてお伺いいたします。
 農林水産予算特別委員会の部局審査でも議論になりまして色々質疑をききまして、本当に大変だなというような想いをしておりました。そこで何点かお伺いしたいと思います。
 現在、沿岸農地の被害は717haのうち450haが今年の9月までで復旧の見込みにあるということですが。残りの267haについては、まちづくりの関係で、なかなか時期が簡単に示されないというお話でありました。これは時間が経てば経つほど意欲が落ち込んでしまって再建が大変のなるのかなという想いをしています。これは、再建に向けてどの程度の時間がかかるのかですね、その点についてお聞きしたいと思います。その間、農地が復旧する間にですね被災農家経営再建支援事業というということで10aあたり3万5千円。野菜関係は、4万円ですか。こういった支援策も打ち出されていますけれども、これは、再建まで続くということで理解してよろしいんでしょうか。

【農村建設課総括課長】
 沿岸被災地の農地の復旧についてでございますけれども、今調整に時間を要して復旧工事に着手できない農地が267haあるというお話をさせていただいたところであります。その内容でございますけれども、例えば高田については、高台造成の土を仮置きするというようなことでもって、一次移転するわけですけれども。その後どの段階で、その土を撤去して、どのような高台への造成移転後のまちづくりをしていくのかというところについては、まだ見えないという地域もありますので我々としては、調整が済んだところから、着手できるようになったところから復旧工事に速やかに入るという姿勢で対応して行きたいと思っているところでございます。

【担い手対策課長】
 被災農家経営再開事業についてでございますが、この事業は、本来平成25年度までという時限の事業ではありましたが、被災状況がまだ見られるということで26年度も継続されることになったということでございまして、今のところ26年度までという事で聞いております。ただ、被災状況を見て我々もですね、今後、国の方に必要とあれば要望して行きたいというように考えています。

【高田県議】
 高台移転に関わる土砂の仮置き場の関係でね、時期が示せないと思うのですが、かなりの時間を要する課題だと思いますけれども、そういう点では、26年度になっている、この被災農家経営支援事業のですね。再建できるまで、財政支援をしてもらわないと農家は困るわけですから強く求めて行って欲しいと思います。被災農家の再建状況についてですけれども。部局審査の議論をきいていますとですね。農地で8割ぐらいの再建というようなね、そういう数も示されましたが、どうも良く被災農家の実態調査をあまりよくしていないんじゃないかなと思うんですね。なにかこの点についてですね、やはり被災農家が、どういう意欲をもっているのかね。あるいは担い手がどの程度なのかとか。そういった状況をしっかりつかんでやらないとですね。せっかく国費を投入をして、復興交付金を投入してしてね。立派な農地に蘇ったけれども、耕作者がいないということになっては、片手落ちになってしまうと思うんですね。そういう意味での営農実態調査というものをやっぱりしっかりとやっていくべきだと思うんですが。やっているというのであれば、良いのですが、特別委員会部局審査を聞いていますと、そういう状況ではないのではないかなという想いをしておりますので、その辺について答弁いただきたいと思います。

【農業普及技術課総括課長】
 営農再開の状況について作付けで出来なかった。昨年ですね、作付け出来なかった農家について個別に状況をお聞きしながら、今度の春、以降の作付けの意向を聞きながら歩いていると状況はございます。その中で、自ら出来ないけれども、誰か担い手に耕作してもらえれば、お貸しし、使ってもらいたいという方々もおりまして、そういった方々も一定なり、20ha近くが担い手に頼むと。原形復旧された方々の分ですね。そういう調査。現地を歩き、お聞きして担い手とのマッチングというのは進めてきてございます。一方で、まとまって圃場整備地区でどういった営農システムを作っていくかという事に関しては、地区全体の方々との話し合いを進め、最終的に担い手を誰にし、どのくらい担い手に集積するかという話し合いについては、各地域の中で対応の方々の意向を聞きながら、参加の基に、話し合い。普及センターも入りながら話をし、調整をしているというように私どもとしては認識しております。

【高田県議】
 担い手対策、マッチングをしているというお話でありますので、繰り返すようですけれども、担い手対策というのは、一番これから大事になってくるのかなというように思います。せっかく基盤整備をしても、働く担い手がいなくなってしまったら、本当に困るわけですので。しかし今考えてみますと、これまでの担い手対策というのは、受け手支援としてはね、10aあたり2万円とかね、支給してきましたけれども廃止になるわけですよね、今回ね。そして、米の直接支払い交付金も半分になってしまうと。農地中間管理機構というのも作られましたけれども、これは出し手支援ですよね。そういう意味では、本当に担い手こそ規模拡大する意欲がなくなるようなですね政策になっていくんじゃないかなと思います。そういう意味では、本腰で担い手対策というものをきっちりやっていかないと沿岸被災地の営農というものは、本当に再建できないなというように私は、強く思うんですが、その点について部長の所感をお聞きしたいと思います。

【農林水産部長】
 被災農地復旧と営農再開でございますが、私ども原形復旧、区画整備事業はもちろんですけれども、原形復旧についても営農再開の意向を確認し、その上で事業着手するという方法をとっております。ただ、農家の方々もそれぞれありますので復旧された農地について営農再開すぐできるかというと、なかなかそうも行かない事情もあり、日々被災した方々を取り巻く状況も変わってございますので、最初の以降調査どおりにはなかなか出来ないといったお話も出てくるのも普通に発生しているという状況です。ただ先ほど総括課長からも申し上げたとおり一戸、一戸、昨年春の反省のかんがみ、一戸、一戸の農家の事業個別にお聞きし、どういった形で農地が活用できるかというのを一つ一つつぶして歩くと。つぶして歩くというか、全部聞き歩くと。といったようなことで、復旧された農地がすべて生かされるようにというようなことを目標に、日々現場も努力してございますし、我々もそういったつもりで取り組んでまいりたいと考えてございます。


・閉鎖型高設栽培システムについて

【高田県議】
 閉鎖型高設栽培システム、いま説明を受けたのですがベンチだけで10aあたり750万と。通常よりも安いというお話でございましたけれども、これは実際ハウスを除いてですからおそらくハウスを含めればですね1千万を超えるようなですね、初期投資といいますかね。ならざるをえないと思うんですよね。被災者の皆さんが、これで再開をして頑張ろうというときにですね、果たしていまの金額でどれだけやる気になるかというところが今、問われていると思うのですが、おそらくこれは全額農家負担ではないというふうに思うんですが、実際初期投資にですね、さまざまな支援策を除いてどれだけの初期投資が必要なのかというところを教えていただきたいのと、それから木骨ハウスですね。非常に発想は良いと思うんですね。県産材を活用した低コストのハウスということで先ほどの説明ですとパイプハウスとそんなに変わりないコストだというお話がありましたが、実際コスト的には、どの程度になるのかね。鉄骨とかパイプハウスと対比して強度とか、耐用年数とか様々な実証試験やられていると思うんですけれども、より県産材を活用して低コストのハウスを県内に普及すべきだと思うんですが、そういう点で課題もあると思うんですがその点について示していただきたいと思います。

【農業普及技術課総括課長】
 コスト面でみれば決して安くないということからなかなかすぐに投資してやろうといういうことになりづらいというのも確かでございます。木骨のハウスも含めてパイプハウス等は、国庫の対象とならないものですけれども木骨ハウスについては一定の国の基準強度をクリアするものが商品化の目途がたっていますので、これを是非ひとつ国庫事業でも対象となるような形にして行きたいと。しかも、暖房機についてもですね、そういうことにならないかということでそう言ったことを含めて国庫、あるいは、県単施策というのも考えながら農家負担を減らすということは、今後大きな課題でありそれに向かって検討を進めてところでございます。
 木骨ハウス等のコストですけれども、いま目標としている木骨ハウスの価格は坪当たりに換算しますと5万円程度を目指しております。これに対して同じ強度をもつ鉄骨ハウスで言えば、かなり資材費の値上がり等もあるんですけれども7、8万くらい、坪ですね。の価格だろうと。パイプハウスについては、3万円程度。ですのでパイプハウスと鉄骨と比べてその中間ぐらいの価格になっており、更によりパイプハウスに近いような形にまで下げるような対応を進めているところでございます。
【農業振興課総括課長】
初期投資の県営の部分でございますけれども、いま復興交付金を活用して陸前高田のちょうど南部園芸研究室の隣接のところに、ハウスの団地をいま建設しようとしているところでございます。研究の部分がまとますれば、その部分も活用するところですが、活用したいと考えてございますが、補助率は復興の場合は国庫4分の3でございまして、あとの4分の1の部分は、市町村導入する施設ということで4分の1は交付税措置ということでその実効の部分はゼロになります。通常の場合は、国庫はおおよそ3分の1補助となります。

【高田県議】
 国や市町村の補助があるというのは分かるんですけれどもただ具体的に3分の1とか4分の3といわれても、なかなか良く理解できないんですが。例えば10a750万という話でありますけれどもハウスを導入すれば、おそらく1000万円ぐらい以上かかると思うのです。これではとても初期投資が出来なくて、実証試験に終わってしまうのかなという想いをしているんですが、国や例えば県、市町村の補助を導入すればこの程度で出来るんだというイメージがないんです。そのへんについてはどのくらいになっているんでしょうか。
 それから木骨ハウスについての実証試験もやっていると思うんですが価格てきには、かなりパイプハウスよりも2倍近くかかってしまって。これでは、実際はなかなかやろうと思っても実際大変なのかなという想いをしているんですが、ただ先に資料を頂きましたけれども、山と里と人に優しい岩手のふるさと産業育成事業という事で、木材活用低コストハウスを活用した場合には、国、県、市町村のね、支援がうけられると。資料も実際頂きました。これは被災地限定ですし、25年度から27年度までの事業でありますので、実際、被災地限定27年ということで。この事業を導入すればかなり農家負担が少なくて、じゃあ頑張ってみようかなとなるんですけれども、期間限定で被災地という事になれば、そこだけに終わってしまってせっかく発想が良い県産材を使ったハウスがですね。そこだけに終わってしまうのではないかなと。もっと内陸部にも、全県にも広まるようなですね支援策というのも、これから打ち出して行くべきではないかなという想いをしているんですが、その辺についても含めてお願いしたいと思います。

【農業普及技術課総括課長】
 国庫事業の活用とかですね、その辺はまだこれから、出来るだけそういう国庫も活用しながら農家負担を少なくするようなことは、引き続き検討してまいりますし、木骨ハウス自体のコストを下げるという改良の余地も、まだありますのでそういったことも含めて全体として農家負担が最小になるような施策ついては、更に普及して行けば沿岸だけでなく内陸部も含めてそういった形を含めて今後も検討してまいりたいとおもいます。
【農林水産部長】
 木骨ハウスの単価ですけれども、もともと木骨ハウスの導入を志したのは、そもそも国庫補助ではパイプハウスが対象とならないと。ただ、軽量鉄骨ハウスであれば高価すぎるというところで、地域材を活用してコストが安くかつ、国庫補助対象になるようなものが開発できればというのが発想の原点です。例えば、先ほど総括が申し上げました通りの通常の補助率で考えれば、いまもう一段の努力が必要ですけれども、坪単価を5万なりに近づけていけば、補助のないパイプハウスと同等の投資で使い勝手の良いかつ強度のある施設が手に入るというそういった事を目指したいというのが発想の原点でございます。そういうこともありますし、いま様々単価を下げるための努力をいたしておりますので、それが大体この線というのがまとまり次第、農家の予算にどんな投資規模になるのか、ランニングコストがどうなるのかというのが示せるようにしていきますので、それが早く示せるように努力していきます。

【高田県議】
 この木骨ハウスというのは非常に発想が良くてですね。本当に全県にね広がればよいのかなという想いをしております。それで実際は木骨ハウスというのは、耐用年数というのはどの程度となるのでしょうか。維持管理費もかかるのかなと思いますが。いずれ全県に広がるような支援策になるように県としても努力して頂きたいと思います。
 その一点だけお伺いします。

【農業普及課総括課長】
 木骨ハウスの耐用年数につきましては、かつてはですね木骨の骨組みのハウスを作ってみた経緯があるんですけれども、そのときは、水滴が木材に付いてそこで腐食が早かったという欠点がありまして今回はそれを木の骨材に水滴が付かないようなという改良も含めておりますので相当耐用年数とすれば、延ばせるものと考えておりまして、現時点での研究の目標とすれば20年程度は、もたせられるようなものにしたいと進めているところでございます。