2014年3月20日 商工文教委員会
商工労働観光部に対する質疑(大要)


・グループ補助金の状況について

【斉藤委員】
 年度末なので直近の状況をお聞きしたい。
 中小企業等グループ補助金は、第9次で、決定グループ数、企業、決定金額が出たと思うが、これまで累計でどれだけのグループ企業数・決定金額になっているか。実際に申請したグループはたくさんあるが、実数として申請したグループで認定されたのはおよそどのぐらいか。
 年度末に第9次が決定されたので、交付決定されたうち、完成、未完成、未完成のうち繰越・自己繰越・再交付は現段階でどうなっているか。

【経営支援課総括課長】
 累計で111グループ、1244者、782億円を決定している。
 割合だが、例えば、1つのグループであったり事業者が複数回応募したりしている事例もあるのでカウントが難しいが、おおむね70〜80%台の採択にはなっている。
 交付決定している事業者が1244、そのうち、来年度も事業を継続してやる事業者は448者、そのうち明許繰越が81、自己繰越が259、再交付が108という見込みである。いずれ2月補正を積算する段階で、調整した数字であり、日々動いており、また諸変動はあるがこのようにとらえている。

【斉藤委員】
 再交付が108者ということだった。おそらくこの再交付は早い時期に決定されたグループだが、この2年余の間に資材も労賃も上がった。当初の計画だと4分の3補助だったが実質これから再交付であれば2分の1ぐらいにしかならない。この点で、当初の計画の見直しというのも当然考慮されるべきではないか。

【経営支援課総括課長】
 資材高騰等に関しては、これまでも国に要望してきた。経産省では、「どのような支援策が措置できるか、関係省庁とも相談し検討していきたい」ということなので、いま岩手の状況を経産省に伝えながら要望していきたい。

【斉藤委員】
 ぜひそういう形で対応していただきたい。
 例えば、山田町の飲食関係の業者で、1次2次のところで決定されたが、本設展開の土地が決まらないということで、つくったばかりの立派な店舗を流され、莫大な借金を抱えている。2年3年経つわけで、岩手県の主要な銀行は、最初は返済を猶予していたが、返済を求められると。月80万円だと。こんなことをされたら、せっかくグループ補助が決まって、本設の用地が決まったら二重ローンも決まると言われているのだそうである。そういう最中に、銀行がそういう仕打ちをするというのは、復興に逆行するものではないか。そういう事例は聞いているか。

【経営支援課総括課長】
 具体的な個別の案件については聞いていないが、金融機関の方では、トータルとすると、事業者支援は柔軟にやっているという声もうかがう。個別にはそれぞれ事情があってのことかと思う。

【斉藤委員】
 震災復興でさまざまな条件・障害があるわけで、山田の業者の方も主要な企業の1つである。そういう復興をめざして頑張っているときに、それに水をかけるような金融機関、とりわけ地方銀行は被災地の銀行なので。ぜひ機会あるごとに被災地の銀行が復興を応援すると。回収できるものは何でも回収するというやり方はなってはならない。


・二重ローンの解消問題について

【斉藤委員】
 2つの機構があるが、相談件数と債務成立件数・率はどうなっているか。

【経営支援課総括課長】
 岩手県産業復興相談センターでは、相談件数は479、債権買取支援決定は93件である。
 東日本大震災事業者再生支援機構では、相談件数が341、うち債権買取・出資などが94件となっている。

【斉藤委員】
 そうすると、820件のうち187件、率にして22.8%というのは極めて低いのではないか。
 これは復興第1期実施計画の目標があったと思うが、それと比べてもかなり低い状況ではないか。なぜそうなっているのか。

【経営支援課総括課長】
 相談の中には、制度の照会だったり、どういう対応ができるかといったようないろいろなものがあるので、その中で実際に買い取りに至るものは187件と。
 買取件数が少ないのではないかということだが、一方では、グループ補助金のように、融資ではなく、直接の補助を受けられるなど、相当支援が充実しているので、必ずしも債権買取ではないという形でも、事業者の方が実際に再建できるような措置はいろいろあるのではないかと考えている。また、まちづくりも本格化していないところもあり、これから資金需要も出てくるものと考えている。

【斉藤委員】
 おそらく仮設店舗が1800区画を超えているので、仮設で営業再開された方々がこれから本設展開する、その時にまた二重ローンが発生すると思う。現段階で20%そこそこである。それ自身が低いのではないか。その比率だったらこれからの見通しはますますなくなると思うので、実態も県がよく把握して、二重ローンが解消されれば再建できる人がいながら、再建できなくなってしまう。業者の場合は借金が多いので、しっかりやっていただきたい。


・仮設店舗の状況、支援について

【斉藤委員】
 商工会・商工会議所のデータによる営業再開が74.4%だった。そのうち、約半数近くが仮設店舗ではないかと思うが、岩手の特徴は、土地も用地も確保できなかったということも含め、仮設店舗で展開しているのが特徴ではないか。その調査もあるようだが、おそらく、今のまま仮設で最後までやりたいという人もいれば、後継者がいないのでそれで辞めてしまうと。さらに本設展開と。そういう状況をどのようにとらえているのか。
 それから、仮設商店街というものがある。当初は仮設商店街というのは、空き店舗がなくて店舗の力が結集され、かなり良かったと。いま震災から3年を迎え、復興需要が落ち着いてきた、落ちてきたと。例えば、建設関係も自前で飯場を作っているので。ボランティアも激減している。そういう中で、岩手県の場合は本当に仮設店舗の営業を支援し、本設をうまく軌道に乗せるということを特別に重視すべきだと思うが、どのように把握し、県としてどのような対策を第2期計画を含めて考えているか。

【経営支援課総括課長】
 売り上げや集客に苦戦している事業者もあり、また時間が経つにつれ個々のばらつきが大きくなってきているのではないか。仮設のままでいいという方、もう辞めようと思っている方など。
 仮設商店街についても、そういったばらつきを抱えながらやっており、やっとスケジュールも見えてきたということだが、まだ仮設の期間も一定期間続いているので、我々とすると、仮設が続いている間は仮設で商売が上手くできるよう、店づくりのアドバイザーを派遣したり、そして本設にスムーズに移行できるように、その際にやはりグループ補助が中心になるように、その活用ができるように支援していきたい。

【斉藤委員】
 民有地に整備された仮設店舗はどのぐらいか。そしてそういう地権者の理解が今後も確実に得られる状況にあるのか。

【経営支援課総括課長】
 市町村への調査では、76ヶ所ぐらいが今年度中に貸借の期間が終わるということだったが、いずれも期間延長することができるということのようである。市町村と地権者の間でそういうやりとりはできているのではないかと考えている。

【斉藤委員】
 おそらく多くは民有地だと思うので、特に商店街の場合は、区画整理したところに商店街を形成すると。しかし区画整理事業は、面的整備事業では一番遅れる。そういう意味では、そこまでどう持ちこたえて、また体力をつけていくか、ここが本当に大事だと思うので、その取り組みを強めていただきたい。


・被災地の雇用確保について

【斉藤委員】
 地場産業の1つの要だと思うが、建設業関係の雇用は震災前に増えたが、地場産業、製造業は7割が食産業でこれは減ったままだと。地場産業をどのように復興させるか。復興事業はあと5年ぐらいでなくなるので。そのときに、安定した雇用を守るという点で、地場産業とりわけ水産加工業の復興と雇用の確保が必要だと思うが、対策はどうなっているか。

【雇用対策課長】
 まず1つには、従来からやっている取り組みではあるが、地道なマッチングを継続していくことが1つ。面接会だとか相談会などさまざまな方法がある。25年の実績を見ると、月にして60件程度の就職件数が出ているので、この辺は労働局とも再三意見交換しているが、そういった地道なマッチングを継続していくということがある。
 もう1つは、震災以降、新卒者の地元就職が大変増えている。もちろん製造業でも増えているので、新卒者はもちろん、若年者の職場定着というところに着目して、企業の考え方、なかなか新卒者をしばらくとっていなかった企業もあろうかと思う。そういう意味で、企業に対する考え方や発想、労務管理・人材育成についてのセミナーや研修など事業展開を行い、入った人がそのまま定着するような施策をとっていこうかと思う。
 あとは、作業工程の改善による効率化や外に規律の呼びかけは継続して続けていきたい。
【産業経済交流課総括課長】
 水産加工業の企業の業績の回復に向けた取り組みだが、現状、まずは販路回復・拡大の前提となる商品力の向上に特化した支援を展開させていただいている。
 また現場の生産性を向上させるための改善の取り組みの導入についても精力的に支援しているので、今後とも水産加工事業者のニーズに応じたきめ細やかな支援を実施していきたい。

【斉藤委員】
 月60件というのは、沿岸の食料品・製造業への就職だと。
 事業復興型雇用創出事業は、水産加工業関係はどのぐらいか。来年度も継続され、3500人拡充できるということで、最大限地場産業がそれにより力になるようにすべきだと思うがいかがか。

【雇用対策課長】
 業種ごとの統計はとっていないので、水産加工業分というのは把握していない。
 来年度については、国から追加の交付金もきたので、新たに3500人分の助成を来年度受け付けようと思っている。現在進めている長期安定雇用の大きな柱の事業なので、しっかり取り組んでいきたい。

【斉藤委員】
 地場産業の水産加工業、半年や1年で販路が経たれて、それが簡単に戻らないという中で、6割7割というところだと思う。頑張っていると思うが、震災前までに戻るのは至難の業だと思う。
 もう1つ雇用の問題では、女性のパート型の企業から若手を採用できるような新しい、そういう意味での構造改革が水産加工でも問われているのではないか。そういう点での支援を強めていただきたい。


・公契約条例の制定について

【斉藤委員】
 予算特別委員会の総括質疑で副知事が「来年の2月県議会定例会での提案を1つの目途に考えている」と、かなり踏み込んだ答弁があった。
 全会一致で一昨年の9月県議会で請願が採択され、それ以来県がさまざまな意見聴取や調査をやられてきたと思うが、この間の県の取り組み状況、来年2月ということになるとこの1年間が勝負である。来年2月の県議会に向けた条例制定という点で、どういう取り組みをスケジュール的に考えているか。
 そして中身の問題として一番大事なのは賃金状況である。労務設計単価は上がってきているが、例えば大工でいくと20800円、それが現場では13000円だと。設計労務単価が上がっていることで若干は増えているが、結構なかい離がある。やはり設計労務単価の95%など、そういう基準を設け、鳥取県ではそういう指導をしていると。やはり現場で働く労働者の賃金はしっかり守るというのが公契約条例で一番求められている中身ではないか。

【雇用対策労働室長】
 今年度は、県庁内部の検討組織を立ち上げ、問題点の整理や他市の状況など進めてきた。労働組合や建設業の方々からの意見聴取も行ってきた。これらについては、まとめた形で今年度整備したいと考えている。
 来年度については、同じように取り組みを進めていくが、各県の状況を見ると、なかなか議会の中でもまとまらないということもある。そういうことも踏まえ、皆さんの理解をいただくことが重要だと思っており、関係団体の方々との意見調整など、そもそもこの条例をご理解いただいていない方もいると思うので、そういうところも深めていかなければならないと思う。
 条例の中身についても、罰則規定があるところと無いところがあり、論点としては大きいのではないかと思っており、ご指摘のあった賃金状況、下限額を設定するかどうか、理念型で条例をつくっているところもあるので、それは今後検討を進めていきたい。

【斉藤委員】
 公契約条例は、全国で10ぐらい制定され、それなりの成果もすでに上がってきている。中身は、理念型もあれば、賃金条項を定めたところもあるので、よく検討していただきたい。
 ただ、都道府県レベルはおそらくこのまま推移すれば岩手県が最初になると思う。そういう都道府県レベルでは先駆的な取り組みなので、意欲をもってたじろがないでしっかりやっていただきたい。
 全体の利益を得るという点で、今までは個別の意見聴取だったと思うが、関係団体がしっかり意見交換できる場も大事である。意見交換し、お互い立場と主張を理解し合うということも大事だと思うので、そういう各団体の議論の場というのも必要ではないか。

【商工労働観光部長】
 来年度の2月定例会に向け準備を進めていきたい。
 課題は多々あると今までの調査の中でも明らかになっているが、1つ1つ丁寧に関係者間の間で話し合いをしっかりしながらクリアし、着実に進めて提案できるよう、最善の努力を重ねていきたい。