2014年3月25日 最終本会議
山田町災害復興支援事業等の第三者委員会での再検証を求める決議に対する賛成討論
日本共産党の斉藤信でございます。発議案第22号、「山田町災害復興支援事業等の第三者委員会での再検証を求める決議案」に賛成の討論を行います。
山田町災害復興支援事業等検証委員会の報告書について、商工文教委員会と予算特別委員会に報告があり、それぞれ審議で具体的な課題について質しましたが、一言で言って、県の言い訳に終始、県の責任を回避するものであり、とても県議会はもとより、県民の理解と納得が得られないものであります。
山田町がNPO法人「大雪りばぁねっと。」に委託した山田町災害復興支援事業は、2年間で6億7千万円余が不適正支出として返還が求められた異常で重大な問題でした。大雪りばぁねっと。の異常な行動を放置してきた山田町とともに、それをチェックできなかった県の責任も厳しく問われなければならない問題です。県の対応のどこに問題があったのか。残念ながら商工労働観光部内で設置された検証委員会では、十分な検証が行われなかったどころか、県の対応を容認する内容となりました。
検証されなかった第一の問題は、「御蔵の湯」建設を容認したことです。無料入浴施設の整備については、平成23年8月に、1000万円の事業費で被災者支援事業として計上されたものです。ところが、実際に建設されたのはその規模を大幅に超える入浴施設でした。11月15日に担当した県職員はそのことに気づき、山田町に問い合わせし、翌日実際の工事現場を見ましたが、改善の措置が取られませんでした。12月26日には、「御蔵の湯」の開所式が行われましたが、リース会社のオールブリッジは出席していませんでした。翌日の新聞では、総事業費2億円の事業と報道されましたが、県はリース物件との山田町の説明をうのみにして、そのごまかしに気づくことができませんでした。平成24年3月31日の完了検査は実態がなく、完了検査の中で、「御蔵の湯」を補助事業として認めるかどうかが検討されました。一時は、県は「建設土木事業に当たる」と山田町に伝えましたが、5月7日になって、補助事業の対象にしようと山田町と合作で「御蔵の湯はリース物件で、所有者はオールブリッジ」とする、4項目のでたらめな確認事項で認めてしまったのであります。この時もオールブリッジの実態を確認することはありませんでした。そもそも緊急雇用事業の要綱では、「重機を使った事業は建設土木事業」であり、その確認さえも怠ったと言わなければなりません。
検証委員会報告書では、ごまかしの4項目の確認事項を理由に、「県の対応は、一概に不適切であるとまでは言い難い」と県の対応を擁護していることはきわめて問題です。
第二の問題は、平成23年度に、山田町災害復興支援事業は5回にわたって契約変更がなされ、当初1500万円の事業費が4億3千万円に、28倍にも膨れ上がったことです。
特に5回目の契約変更は、平成24年1月15日に山田町とNPOとの間で行われましたが、年度末だというのに、1億6900万円もの増額補正でありました。その内容は、雇用人員に変化がなく、人件費に7146万円、材料費3566万円等を増額するなど、実質不足払いの内容でした。このやり方が、平成24年度にさらに拡大して行われることになったのであります。この契約変更については、検証委員会報告では、全く検証されていないことは異常です。検証に値しない内容といわなければなりません。
第三の問題は、県の完了検査の問題です。
県は3月16日に、大雪りばぁねっと。を直接指導しました。その内容は、「領収書も伝票もない」「会計等書類の整備状況ができていない」「よって検査・確認することは不可能」という異常で、厳しいものでした。3月31日の完了検査は、実態のない雇用が終了したことを確認するだけのものでした。4月にも完了検査が継続して行われましたが、終了せず、5月の連休明けまで行われたのが実態です。こうした異常な中で、翌年度の7億9千万円の事業費が3月23日に内定通知されていることは完全なミスといわなければなりません。ずさんな完了検査が、翌年度の5億円に及ぶ不正支出の傷を広げたのであります。
検証委員会報告では、「さらにもう一歩踏み込んだ取り組みがあれば異なる結果になった可能性がある」と述べながら、「県の補助事業の進捗管理は、他道県に比べて踏み込んだ方法で行っている」と県の全く不十分な対応を容認していることはきわめて問題であります。
第四に、こうした異常な事態の根本に、山田町が委託したNPO法人「大雪りばぁねっと。」の実態を確認しなかったという初歩的なミスがありました。大雪りばぁねっと。の代表の履歴書も、自動車免許証のコピーもとらず、NPO法人の実績も調べず、2年間で総額12億2千万円の事業を委託したことは異常なことです。委託事業者の適格性について、県は山田町に早い時期に確認にさせるべきでありました。
この問題では、平成23年の5月2日に、県地域福祉課総括課長と県社協の専務理事、災害ボランティアの3名が、山田町長に、「大雪りばぁねっと。については、問題があり、北海道に帰ってもらった方がよい」と直訴していた事実は重いものがあります。県全体でこの情報と対応を共有していたなら、県の対応も違ったものになったのではないでしょうか。
この問題も全く検証されていないことは問題です。
以上、山田町災害復興支援事業に関わる県の対応の具体的な問題点と検証委員会報告書の問題を指摘しました。内部検証という限界と問題が表れたというべきであります。第三者による検証が必要なことはきわめて明らかなことではないでしょうか。このことを訴えて賛成討論といたします。
ご清聴ありがとうございました。