2014年4月15日 商工文教委員会
公契約のあり方検討チーム活動報告に対する質疑大要


【斉藤委員】
 今回の報告書は現段階ではよくまとまっていると思う。県議会での請願採択から1年半たったので、こういう到達点だということだと思う。
 中身は別として長野県に先を越されたということだが、先の県議会で副知事が「2月定例県議会に条例制定をめざす」という大変重い答弁をした。だからこの1年間は大変大事な、条例制定に向けた取り組みの時期ということになる。
 やはり公契約条例の一番核心は賃金条項だと思う。それが問題意識で請願が出されたという経過もあった。最近やっと、設計労務単価は、大工さんのレベルで20800円というところまできた。これは3ヶ月毎に被災地は更新するということになっているので、まだまだ改定される余地はあると思うが、現場で建設労働者がもらっている賃金は13000円程度だと。そういう点では、設計労務単価がきちんと下請けや孫請けまで反映されていない。いよいよそういう公契約条例が必要だという切実な声を、先日建設労働組合の公契約条例の早期制定を求める集会で聞いてきたところである。そういう意味でいくと、建設労働者が適切な賃金を確保できる賃金条項というのが一番の核心だと思う。
 報告書の3ページで、公契約条例の項目的内容を紹介しているが、例えば千葉県野田市は、工事または製造の請負契約、公共工事、設計労務単価の基準額の85%という設定をしている。神奈川県川崎市は、公共工事設計労務単価において、職種ごとの単価として定められた金額と。川崎市の場合は、基本的には設計労務単価そのものを基準にして、下請け・孫請けも含めてやるという理解でいいのか。全体として、市区町村レベルでは、先行自治体ではこういう賃金条項を明記していると思うが、その辺りの中身をお聞きしたい。

【労働課長】
 労働者の方々の賃金の設定の仕方と守らせ方については、自治体によって若干差異がある。額についても、条例そのもので、あるいは条例を受けて別なところでというところもあるが、労務単価の8割だとか75%といった形で決めている。それを実際に守っていただく仕組みについても、自治体側で違反等の事例があれば調査に入っていくと規定しているものもあれば、元請けのところできちんと下請けまでチェックを行き届かせてくださいというようなものもある。
【雇用対策労働室長】
 岩手県における公契約条例をどのようにつくるかだが、各県各市いろんな条例のタイプがあり、労働団体の意見、経営団体の意見等いろいろある。特に、県議の先生方のご意見も含め、広く意見をうかがいながら、情報提供も含め今後条例制定に向け努力していきたいしご協力もお願いしたい。

【斉藤委員】
 ぜひお願いしたいのは、賃金実態調査である。設計労務単価にたいして現場の建設労働者がどういう賃金を受け取っているのかという実態から出発すべきである。そしてそれを改革・改善する効力のあるものにすべきだと思う。
 それから、各労働団体・経営団体の聞き取りをしているが、労働団体の場合には請願の提出者ということもあり問題意識はかなりはっきりして、全国的な運動も反映していると思う。経営者団体の方は、事業者が条例についてほとんど知らないと思われる、話題になっていないと。認識のズレがあるのではないか。一方で、労働条件を上げないと若い人に来てもらえないという意識はあると。しかし抵抗感は大きいと。これは、十分公契約条例という中身が理解されていない反映ではないか。
 建設労働者がこの間激減したのは、1つは国・地方の公共事業が激減したということを背景に、設計労務単価が激減した。やっていけないような賃金になり大工になるのをやめたとか、建設関係に就くのをやめたという危機的な状況になり、ここは労働団体も経営者団体も共有できるのだと思う。やはり待遇を改善しないと、建設労働者を育成できない。建設労働者というのは、いろんな職種があり、ある意味でいくと我々の生活のライフラインである。これは復興事業に関わらず、そういう維持・管理を含めたライフラインを支える貴重な分野だと思っているので、今までのような労務単価の状況は根本的に見直すべきである。
 そこで2つ目に提案したいのは、ぜひ個別の聞き取りではなく、ワーキンググループという形で、労働団体・経営団体など意見交換をしながら共通認識・共通理解をつくりあげていく必要があるのではないか。現段階で意識の格差はあるわけで、そういう協議・共同の探究を通じて、合意を形成していくことが必要だと。
 そして3つ目に、学識経験者を含めたきちんとした、これからつくるわけなので、長野県を超えた全国に誇れる立派な公契約条例を制定するという点でいけば、全国的な到達点を踏まえたものにしていくという点で、その道に通じた専門家を含めた協議会というものも必要になってくるのではないか。

【労働課長】
 実態把握の部分については、他県の成功事例を見ても、実態調査を試みたところもあるが、やはり紙で質して回収してという形ではなかなか有効な調査結果が得られていないと思っており、建設業の実態がかなり複雑なので、建設業者の方からいろいろ意見を聞いて、実態を把握させていただきたいと思っている。
 関心・周知の部分については、たしかに公契約条例という言葉自体ご存じない方も中にはいるので、この条例に対する関心・理解を高めるような取り組みも必要だと考えているので、労使関係者や市町村職員の方々を対象とした勉強会のようなものも開催できないかと考えている。
 労使双方が入っての、学識経験者が入っての検討組織については、まずはいろいろ個別に県内の関係団体も含め、広い関係者からいろいろご意見を伺いながら、それから庁内的には、実質的なところをいろいろ協議・調整しながら、必要に応じて懇談の場を設けるなどして成案づくりを進めていきたい。

【斉藤委員】
 実態調査についてはやり方を工夫して。例えば、建設労働者から聞けば実態はすぐに分かる。経営者から聞くというのももちろんあるし、ある意味でいけば全体的な傾向が分かればいいので、そういうことをぜひ1つやっていただきたい。
 やはり関係者が意見交換するということはとても大事だと思う。そして共通理解、認識を深めていくという過程、どういう認識かということを行政が勝手に判断するということではなく、関係者が集まって知恵を出して、良いものに仕上げていくという共通理解・合意の形成を、ワーキンググループや検討組織という2つの手段で提案したので、ぜひそういう形で今後検討していただいて、全国に誇れる、みんなが喜ぶような条例制定にしていただきたい。

【商工労働観光部長】
 公契約条例については、先の2月議会でも議論になり、新年度の2月議会には成案として提案できるように取り組みを進めていくということであるので、これは全会一致で請願が採択されたという経緯も十分に踏まえながら、各議員・会派の先生方からもご意見を十分承るということもしっかり行う中で、そういった中で出されたご意見を踏まえ、真剣に取り組んで、計画通り作業を進めていきたい。