2014年4月17日 復興特別委員会
復興庁岩手復興局長に対する質疑大要


【斉藤委員】
 市町村にいくと、岩手復興局・復興庁に対する評価は厳しいものがある。地元の要望にたいして、中二階的な、ストレートに受け止めてくれないという声はいまだに強くあるのではないか。
 切実な課題についてお聞きするが、被災者の切実な要望は住宅再建である。4つの障害があると思っている。1つは土地の確保が簡単にいかない。2つ目に資金の確保、3つ目は二重ローン、4つ目は時間がかかりすぎる、待ちきれないという問題である。
 土地の確保については、民間住宅等用地の供給見通しというのがあるが、来年度になっても55%である。2年経っても半分ちょっとしか宅地造成が進まないと。やっと議員立法で防集の関係はかなりの前進が見られるが、ここを本当に、この計画はうまくいった前提でのものなので、下手すればもっと遅れると。毎年計画が出される度に遅れている。本当にこの計画がこの通りに進むようにやっていただきたいし、防集は一歩前進だが、陸前高田市や大槌の場合には区画整理をやっている。起工承諾の特例措置がほしいと。仮仮換地でやれるという風に改善はされているが、なかなか地元は、訴訟リスクを含めてそこに踏み込めない。陸前高田市で今やろうとしているものの同意は93%だと。9割を超えたら工事を認めるような特例措置があってもいいのではないか。この点もぜひ今後区画整理が広がっていくのでやっていただきたい。
 資金の問題では、被災者生活再建支援金300万円で、見直すということになり見直し協議がされているが、国の方は二の足を踏んでいると。平均して住宅再建には2000万円かかる。家を流された人たちが、2000万円の家を新たに建てるということは大変なことで、県や市町村がさまざまな支援策を講じているが、やはり国が被災者生活再建支援金を500万円ぐらいに、こういう時期にこそ引き上げることが必要ではないか。
 二重ローンの問題だが、私的整理ガイドラインという制度でやっているが、まだまだ申請が1000件弱、債務整理成立がその3分の1である。申請しても3分の2が排除されている。当初全国で1万件ぐらいの活用を想定してつくられた制度だが、1200件ぐらいしか活用されていないので、これをぜひ改善して、せめて3分の2ぐらいは活用できるようなものにしていく必要があるのではないか。その1つの障害が730万円という収入基準にあるのではないか。これだったら共稼ぎの世帯が排除されると。そのことをぜひ改善していただきたい。
 生業の再生で、グループ補助金について、実績が示されているが、その後111グループまで岩手はいっていると思うが、かなりの効果をあげている。ただ、毎年の予算化による事業継続である。いつまで続くか分からないという不安を多くの事業者が抱えている。特に、岩手県の場合は仮設店舗で1800区画、宮城・福島の合計以上の数で、仮設店舗で再開している人たちが多いので、本設にはまだ1年2年以上かかる。そのときに、グループ補助のような支援策があるのかないのか。これは本当に不安である。やはり、復興にあと数年かかる見通しがはっきりしているので、平成30年まではこの事業を継続するとか、そういう方向を打ち出すべきではないか。
 財源の問題について、取り崩し型の基金、岩手は420億円、これは市町村に半分おろしたので県は210億円、そしてクウェートの資金含めて300億円で住宅再建に対する特別の支援や被災者の医療費・介護保険利用料などの免除などさまざまな支援策を積極的にやっている。この間県に聞いたら、平成30年で330億円になって今の基金を超えてしまうと。やはり国がやらないすき間の支援をしているわけで、この事業に使える財源を新たに設けていただくと。そうすれば、かなりのすき間のことをきめ細かく県も市町村もできるので、これはぜひ検討して方向性を出していただきたい。
 提言も含め、復興局の取り組み、考え方を教えていただきたい。

【復興庁岩手復興局長】
 多岐にわたるお話ありがとうございました。我々の方でも、いろいろそういうお話について、関係省庁に伝えていきたい。
 中でも、グループ補助金などについては、中小企業庁に伝えていきたいと思うが、国の予算制度が単年度主義ということもある中で、長期にきちんと予算を確保してということをやっていく必要があると。復興の場合は、そういうことがたしかにあるかと思うので、そういうことも含めて、お伺いしたことを関係省庁に伝えていきたい。

【斉藤委員】
 雇用の問題で、事業復興型雇用創出事業について、今年度も3500人分も新たに予算措置された。これは大変よかったと思う。
 ただ、この間大船渡市の水産加工会社に行ったときに、9月18日に事業を再開したと。この事業が始まったのは11月である。そうすると、早く再開した人たちは対象にならない。今でも復旧は約7割程度。国の第三次補正が遅れたのは国の責任なので、補正の前に再開したところを対象にしないというのは絶対におかしい。そこを見直していくだけで、賃上げだったり雇用を増やすことはさらに可能なので、せっかく3500人分措置されたので、遡及してそういうことも対象にすることは可能ではないかと思うが、県の事業の場合は、全部遡及適用してやっている。そこを突破していただければ、苦労していち早く再開した事業者もさらなる事業の拡充が可能ではないか。

【復興庁岩手復興局長】
 我々も、この事業に限らず、いろんな事柄について、いろんなお話をうかがう中で国の制度の改善を図ってきているもので、改善前にやっていた方が後からやった人より損をするではないかと聞いているところである。そこは、国の基本的な補助制度みたいなもので、基本的に補助がなくてもやられているのであれば補助は必要ないのではないかという考え方があって、なかなか遡及が難しい面があるが、県などではそこまでやられているということもある。国の方でも、一部そういうものもあったかと思うが、そういうことであったことをまた関係のところに伝えていきたい。

【斉藤委員】
 財源があってやったのではない。水産加工というのは漁期に合わせてやる。だからサンマ漁に合わせて再開したのである。だから財源があったからやったのではなく、それをやらないと1年棒に振るというので、頑張って再建したのが実態なので、そこをよく踏まえていただきお願いしたい。