2014年7月3日 商工文教委員会
DIOジャパンのコールセンター問題に対する質疑(大要)


【斉藤委員】
 コールセンターオペレーター人材育成事業というのが緊急雇用事業として適切だったのか。今までコールセンターは県内に進出してきたが、みんな自社で育成してやっている。なぜ今回1年間税金丸抱えでこういうことをしなければならなかったのか。必要のない事業をやったのではないか。こういう例は今まであったか。

【雇用対策課長】
 コールセンターの問題については、地域で新たに、沿岸地域では新たな産業として期待してということで、コールセンターの人材を育成したものと承知している。
 盛岡市では24年度、事業開始にあたり、BPO人材育成事業ということで募集をしている。3社が事業を採用して行っている。

【斉藤委員】
 今までにはなかったと。今回震災関連の緊急雇用事業で盛岡市も、その違いは後から話すが、今まではなかった。コールセンターは陸前高田市にも進出しているが、緊急雇用事業、税金を使って人材育成などということはなかったのではないか。

【雇用対策労働室長】
 この事業については、通常委託する形での雇用というのが中心だったわけで、今回震災等緊急雇用事業については、雇用期間中に安定的な雇用につなげるために知識・技術を身につけるための研修等を行うことが可能となったということで実際に可能になったものと思う。
 過去においては、セミナーのような形で、誘致企業に対して、雇用側の正規のような形で人材の育成に協力した事例はある。

【斉藤委員】
 今度の事業の特殊性というのは、企業立地協定を結んで、企業誘致という形で進出したことである。企業立地協定では、この目的はどうなっていたか。

【企業立地推進課総括課長】
 企業立地協定は、会社・企業と市町村が協定をするという内容である。ただ、拘束力はなく、あくまでも紳士協定の類に入るものである。その中では、一番大きなものは、将来的に地域の企業として存続していただくということで、それを達成するためにお互いに連携をして、必要であれば情報を早めに出し合い努力しながら企業を育てるというのが協定の大きな目的である。

【斉藤委員】
 だから、企業立地をして、その人材を緊急雇用事業で育成しようと。これは一体だった。本来1年間人材育成期間は必要ないのだが、育成したら、企業の労働者として雇用するというのが前提だったと思う。
 24年度1年間育成して、25年度に採用された労働者はどのぐらいか。

【企業立地推進課総括課長】
 各コールセンターの従業員数ということで我々が把握しているのは、事業期間の中の人数と、その後それがどう変わってきたかという人数でお答えしたい。
 盛岡市は24年4月から25年3月までで、ピーク時で計画雇用数100、最終的には事業終了後は87に減っている。それが各月で80台を推移し結果的に22になるわけだが、緊急雇用事業終了後をピークにして増加したことはない。
 花巻は計画数50、事業期間中のピークは51、そして事業の終了のときには31、終了後は33から現在22名と把握している。
 奥州は計画数100、ピークは92、期間終了後84、その後70台から80台まで増えて現在57ということである。
 釜石は24年11月から計画数50にたいしピーク時で21、そして事業期間終了後は18名から14名という流れである。
 洋野は種市事業所と大野事業所を合わせた数で80ということだが、ピーク時が64、事業終了後46名から17名ということである。
 二戸は計画数50にたいし、事業期間中のピークは52名、事業終了時点で40名、その後30名から現在15名となっている。

【斉藤委員】
 委託契約を見ると、オペレーターの研修の基本期間は4〜6ヶ月となっている。ところが委託契約の中には「事業実施期間の加算」というものがありさらに加算できると。これは「フルタイムの正社員を育成するため」となっている。そして、これはどこもそうだが、二戸市の事業計画書では、「離職率0をめざした人材育成事業を行う」と。いわばフルタイムの正社員のために1年間研修し、離職率0の人材育成といって、終わった途端に雇い止めして、今では数分の1の雇用にしかなっていない。本当にこういう点では緊急雇用事業がごまかしだったのではないか。

【雇用対策課長】
 各市町村でいろんな契約があったと思うが、1年にしたということでは、より高度な人材育成ということでやったと思う。
 緊急雇用事業はたしかに短期の雇用ということで制度が組まれているが、事業を実施した市町村、また県の方も事業を通じて育成された方に安定的な職場に移行できるということを当然期待してやっている。今回このような事態となったということは誠に残念なことだと思っている。

【斉藤委員】
 事業計画書にそう書いている。本来なら4〜6ヶ月で終わる研修をわざと1年にして、それはフルタイムの正社員の育成、離職率0の人材育成をめざすと、これは子会社が書いている。そう謳って企業立地して、本来ならフルタイムの正社員として採用しなくてはならないのに、事業期間が終わった途端に雇い止めが始まると、これが実態だった。
 リース料が極端に高いということが先ほども指摘があったが、このリース料をなぜ2年目は0になったのか。

【雇用対策課長】
 リース料については、リースがそのまま継続されたのは2事業所であり、残り4事業所はリースが計上されていない。その理由としては、25年度の事業期間が短期であったことからリース契約ができず買い取りになったということである。あとは、契約にあたり、複数の見積もりをとっていただきたいという話を伺ったところ、リース契約ができずに結局は買い取りになったということである。リースそのものが現地の会社でなく、DIO本体の方が契約しているというものがあったということで、これはリースの対象外となった。

【斉藤委員】
 企業立地で進出した企業が、必要な機器・設備を自ら設備しないで、税金で100%賄うなんてことはあり得るのか。企業立地して事業継続しようという企業である。
 盛岡の場合は、BPO人材育成でコールセンターのところにパソナとかライフパートナーとかISFネットライフなど、同じ事業をやっているが賃借料・リース料が全然違う。例えばパソナだったら910万円、ライフパートナーだったら845万円、ISFネットライフだったら892万円、コールセンターは1億8222万円である。コールセンターだけ丸抱えでリースでたった1年間借りて、どうやって事業継続するのかと。最初からおかしいのではないか。特別扱いしたのではないか。だからあなた方はおかしいと思って厚労省に言ったのではないか。リースのあり方について統一した見解を求めて、厚労省が通知を出した。「雇用創出基金事業におけるリース契約の取り扱いについて 平成25年5月13日」と。だから4つの事業所が2年目はできなかった。おかしいのではないか。

【雇用対策労働室長】
 リースは当然所有権がないものと理解されるので、この点が不明確だとそれぞれの市町村において困惑するということがあるので、これは県から「明確にしてほしい」とお願いしている。

【斉藤委員】
 2年目が認められないとしたら、なぜ1年目が認められたのかと。お金を出してしまったから仕方なかったということにしかならない。1年目のリース料も検証しなければならない。たった1年のリースというのは買うぐらい高い。
 資料の6ページで、リース契約満了後、盛岡・花巻・釜石・洋野・二戸は所有権がそれぞれのコールセンターに移った。本当に買い取ったのか。1年目のリース料でだいたい払ってしまったのではないか。これは子会社からきちんと収支決算を求めるべきである。リース機器を買い取ったというのならいくらで買い取ったのか。リース料が適正だったのか。それは調べているか。

【雇用対策労働室長】
 24年度の取り扱いだが、この通知によると、今後契約を締結する事業については、25年度から適用されるということで、24年度については当初の契約にさかのぼって認めないということは困難と考えている。
 その後の所有権については、聞き取り等により確認している。額については把握していない。なお25年度に買い取りとなって外れてきているものは、その時点で買い取らざるを得なかったものと理解している。

【斉藤委員】
 だいたいこういうリースというのは3〜5年するとタダ同然である。1年リースで巨額なリース料を払ったら、おそらく定価の半分以下ではないか。だったら適正な価格で買ったということにならない。そこもきちんと調べなければいけない。所有権が移っているのだから。いくらで買い取ったのか。コールセンターの収支決算を出させるべきではないか。

【企業立地推進課総括課長】
 資料の中の両者からの回答の部分のリースのところで、申し入れの際も、リースの形態がどうなのかという確認ということもあり、こういった質問項目にさせていただいた。この回答は回答として、26日付できたものをまとめた部分だが、今後もこの辺りについては両者からの説明を当然求めていく考えである。

【斉藤委員】
 厚労省の通知が5月13日に出たので「今後」だと。それは官僚の発想であって、税金を払っている国民の感覚からいけば通用しない。2年後にダメなものは1年前にダメだというのが常識ではないか。そこまで含め徹底して検証すべきである。こんな高いリース、リースそのものが適正だったかということも見なければいけない。買い取りも含めて。これはみんな髄契で入札などやっていない。
 だいたい企業立地した企業が、コールセンターに必要な機器・設備を自ら整備しないでやるということ自身が、やる気がなかったという意味だと思う。だから他のコールセンター人材育成事業はみんなそうなっている。1億8000万円も緊急雇用事業の税金から出しているところは他のところはない。あなた方もそこに疑問を感じて厚労省に問い合わせしたと思う。本当にこれは国民の税金を食い物にした実例になってしまったのではないか。徹底した検証を求めたい。
 私のところにも、新聞報道であったUSB梱包、これで三日三晩働かさせられたという情報も寄せられた。県にも内部告発が4件あった、盛岡市にもあったと、盛岡市は調査するとなっているが、あなた方は指摘された内部告発を本気で調べたのか。
 もう1つは事業収入、梱包作業など人材育成事業と全然関係ないので、これの収益は収益にしなければならない。だいたい事業収益を上げなければ2年目になって事業ができるわけない。それが事業収益0が圧倒的である。事業収益を報告しているのは、盛岡の173万円、奥州の98万円、洋野の22万円、二戸の13万円だけである。これで二戸のコールセンターがどうなっているかというと、1億6000万円年間の事業をつくると。そういう事業計画だった。とんでもないごまかしである。それなりに事業もやったと思うが、この報告が無いか過小か、一定の実績がなかったら事業としてはできない。年度が変わったら突然1億6000万円の事業がくるのか。事業収益が出てこないということは、事業としては成り立たないということを示している。結局は緊急雇用事業の税金を食い物にしたと。このことを徹底して調べるべきではないか。

【雇用対策課長】
 告発に対しては、事業上問題となりかねない事項があったので、それは直ちに当該市町村にその内容を示し、事実確認を行い、それに対し相手側は「大変誤解がある」というような回答をしている。ただこれで良しとするのではなく、それに対しては市町村において完了確認において十分注意を払って対応したと聞いている。
 本日報道があったUSBの関係だが、これについての収益があったのかどうかということを確認したが、結果的にはUSBの納品が契約に間に合わず、収入が反映されなかったという説明を受けている。USBの梱包作業というのは収益には会社としても発生していないということを確認している。賃金については、計画上は、時間外手当について事業の対象としているということである。
 事業収益については、市町村が完了確認の際には、現地のコールセンター行くわけだが、なかなか限界があり、現地においてそういった書面がないと、なかなか収益として確認できないということである。
 こういった収益の全容を解明するには、東京本社の取引の関係を見ないと、一自治体で把握するのは限界があると思っているので、我々としては国の調査を得ることで事実関係が明らかになることを期待している。

【斉藤委員】
 事業については、各企業からの事業の受託はDIOジャパン本社が受ける。そこから各子会社に仕事がいく。その利益は全部DIOジャパンが吸い上げるという仕組みである。仕事は来るが収益はない。わずかに一部だけが報告された、こういう仕組みなので、ぜひ国も関与して、どこからどのぐらい仕事を請け負って、それが子会社にまわって、その利益を吸い上げたかというのは徹底して国も含めて解明していただきたい。
 企業立地して、1年2年で撤退したという例は今まであるか。

【企業立地推進課総括課長】
 コールセンターが盛岡にもいくつかあるが、その中で、これまでコールセンターは13社県内に立地したが、うち2社は操業開始1年半から3年ぐらいで閉鎖している。またこれらについて、すべてが同じ傾向かというわけではなく、事業継続している11社のうち、今年4月現在で、創業時から雇用者数が減ったものが5社、増えたものが6社となっている。コールセンターの内容、企業の取り組みといったものを個別に見なければ傾向は把握しかねるが、流れとすると早い状態と感じている。

【斉藤委員】
 15億円余の緊急雇用事業の補助を受けて、ほとんどまともな事業を行うこともなくほとんどが撤退、1社だけ継続している。これは税金を食い物にしたと言っても仕方のない状況ではないか。
 ただちにホームページの知事の会談の記事などは削除しなければいけない。100万円程度のことで義理を感じているような場合ではない。本当にこれは早く手を打って、徹底究明するという姿勢を内外に示さなければいけないのではないか。

【商工労働観光部長】
 そういうさまざまな事案を起こしている企業なので、事の重大性に鑑み、適切に早急に対応するよう関係部局とも質疑の内容も伝えながら適切に対応していきたい。