2014年7月3日 商工文教委員会
教育委員会に対する質疑(大要)


・滝沢市の中学生の自殺問題について

【斉藤委員】
 5月31日に滝沢市の中学生が自殺をした。この点について、滝沢市の教育委員会と学校はこの間どういう対応をしてきたのか。時系列で示していただきたい。

【生徒指導課長】
 滝沢市の対応について。5月31日に事案が発生し、翌日、滝沢市教委と学校、その中に滝沢市の要請に応じて県教委の指導主事、緊急派遣のスクールカウンセラー等で、今後の対応等について協議したというのがスタートである。
 その後、すべての報告が県にきているわけではないが、遺族の意向を最大限に尊重しながら、保護者説明会を開催したり、調査したりというところで、現時点では、全校生徒・保護者へのアンケート調査の内容を集約しており、その後学校で生徒からの聞き取りなどをしており、これを市教委と一緒になって事実関係を明らかにしていくと聞いている。調査の回答の人数が大変多かったということもあり、聞き取りに時間がかかっているので、当初の予定されていた保護者説明会等が延期になったと聞いている。

【斉藤委員】
 例えば、保護者説明会は6月5日。その前にクラスで自殺した生徒の遺族に対して身上書を生徒に書かせているのではないか。これは知っているか。

【生徒指導課長】
 その件については分からない。

【斉藤委員】
 わたしが知っているのにあなたが知らないのは不思議でしかたない。県教委のこの問題に対する姿勢が厳しく問われている。
 6月5日に保護者説明会があったが、その前にクラスで身上書を書かせている。その身上書の中にも「いじめた」ということが書かれている。そして6月5日の保護者説明会には、途中から父親も参加していた。話を聞いていて、いじめがあったという声が保護者からたくさん出て、それでも学校は「いじめがあったかどうかは判断できない」という対応に終始した。だからこの父親は「もっと学校は真剣に対応してほしい」と述べ、いじめのアンケートを行うようになったと。保護者説明会のやりとりは詳しく聞いているか。

【生徒指導課長】
 先ほどの発言を訂正させていただきたい。身上書をクラスで書かれたということではなく、いわゆる亡くなった子どもに対するメッセージ的なものを書かせたと報告をいただいている。
 6月5日の説明会の中で、亡くなった子どもの保護者が出席しており、そこで発言したということも聞いている。

【斉藤委員】
 保護者説明会でのやりとりの詳しい内容については聞いていないのか。

【生徒指導課長】
 保護者説明会は全部で3時間近く行ったと聞いているが、その詳細、全てについて滝沢市の方からの報告はきていない。

【斉藤委員】
 6月1日に市教委、学校、県教委、スクールカウンセラーで今後の対応を検討しているのに、県教委は保護者説明会に参加していなかったのか。

【生徒指導課長】
 参加していない。

【斉藤委員】
 6月5日の保護者説明会でも、保護者からたくさん「いじめを見た、聞いた」という発言があった。
 ところが6日に市の教育長が記者会見を行ったが、新聞報道では「生徒の父親から『原因を詮索することは望んでいない。調査を要望しない』と話があった。再発防止のため原因究明が必要だ」と話した。「中学校はいじめは確認しておらず、理由は不明としている」と。5日に遺族の父親自身が詳細な調査と説明を求めているときに、翌日の記者会見がこういう中身というのは異常ではないか。この新聞記事は見たか。

【生徒指導課長】
 滝沢市の方では、いずれ遺族の意向を尊重しながら6月2日以降も対応していると報告を受けており、記者会見の中身については新聞記事で読んでいる。

【斉藤委員】
 3時間におよぶ保護者説明会でさまざまな具体的でリアルな発言が出された翌日に市の教育長がこういう発言をしていたら、事実にも反するし、姿勢も問われる。
 この間市教委は、全校生徒・保護者・教職員にアンケートを行った。いつどのように行われ、その結果はどうだったのか。

【生徒指導課長】
 生徒・保護者へのアンケートは、6月10日だと思うが、生徒を通して家庭に配られ、それを11日から2日間ぐらいのところで回収したと聞いている。その中身、詳細については現段階では滝沢市の方からは報告はきていない。

【斉藤委員】
 あなた方の姿勢が本当に不思議だと思う。アンケート調査の結果は新聞報道された。26日の市議会全員協議会で報告され、生徒705人中695人が回答し、うち生徒の27%、保護者は692人回答し22%がいじめを見たり聞いた旨の情報を寄せたと。この新聞報道されたことも聞いていないのか。

【生徒指導課長】
 新聞報道については見ており、現段階で22%の情報があったものをいろいろ精査しながら、事実について解明をしていると聞いている。

【斉藤委員】
 教育長はこの説明、報告を受けているか。今のような話だと県教委は全然やる気がないという意味になる。26日の市議会全員協議会で公式に報告している。教育長は報告を受けたか。

【教育長】
 今回の事案については、県内の学校で子どもの命が亡くなったという重大性については重く受け止めなければならないと思っている。
 事案が起きた直後の原因については、原因が特定することがさまざまな情報の中でできないということで、いじめとの因果関係があるかどうか確認できないというような、スタート時点でそのような話があったということと、それ以降にいろいろ保護者説明会だとか遺族との接触、アンケートの実施等々については情報提供をいただいている。
 いずれこの問題については、市町村立学校で起きた問題であり、県教委も教育という面では当然あるが、その原因を一義的に究明する当事者はやはり滝沢市教委と学校で明らかにすると。

【斉藤委員】
 教育長は随時報告を受けていると。課長はしっかり答えていただきたい。報道された事実、市議会全員協議会に報告された事実を確認している。課長は受けていないと。どちらが正しいのか。

【教育長】
 私が申し上げたのは、時系列でこういうことがあったということについては、市教委から情報提供を受けているということと、それから、新聞報道でそういう事実を見ているということであり、詳細なやりとりなどについての情報提供は受けていない。

【斉藤委員】
 私は公式の事実について聞いたので。この市議会全員協議会に報告された中身について教育長は報告を受けたか。

【教育長】
 新聞報道では見たが、市教委の方からそういう情報提供があったという状況はない。

【斉藤委員】
 新聞報道されても確認しないと、少し異常である。これだけ岩手の教育にとって重大な問題のときに。いわゆる文科省が言ういじめ対策法基本方針から見て重大事態である。
 695人の生徒がいじめを見た、聞いたと答えている。これは客観的にいじめがあったということである。問題は、そのいじめが自殺とどういう関係があったのかという因果関係は丁寧に調査されるべきだと思う。しかしこれだけの生徒が、父母が、いじめがあったと言っているときに、いまだにいじめの事実を認めていないのが学校である。この調査委員会というのが6月10日につくられた。学校長が責任者で、副校長が副責任者である。この責任者がこういう調査結果も示しながら、いまだにいじめの事実を確認できないと。こういうことでまともな調査、対応ができるのか。父母や生徒からは疑問が広がるだけではないか。

【教育長】
 市対応を含め、学校での具体的なアンケート調査の分析等が現在なされているということなので、その中で事実が浮き彫りになってくるということを期待している。

【斉藤委員】
 文科省のいじめ防止のための基本方針から見て、すでにこれは重大事態と判断して、それにふさわしい対応が今求められていると思うが、文科省の方針から見て、今の事態は重大事態ではないか。

【生徒指導課長】
 言葉足らずのところ申し訳ありませんでした。今のご指摘の通り、いじめの可能性は当然否定できないので、いじめ防止対策推進法でいえば、重大事態にあたる対応であると考えている。よって現在、新聞報道の27%の訴えがあったということも分かっているので、その中身について聞き取り調査をしながら精査をしていると思う。
 今後は、その調査結果の中身を遺族に伝えながら、遺族が再調査や追加調査を望む等、その上で第三者的な方が調査に入るということも滝沢市としては視野に入れているものと思う。

【斉藤委員】
 文科省のいじめ防止の基本方針の中には、「その事案が重大事態であると判断したときは、当該重大事態にかかる調査を行うため、すみやかにその下に組織を設けることとされている」と。この組織というのは、「当該調査の公平性・中立性を確保するように、職能団体・大学・学会からの推薦による参加をはかること」となっている。最初は市教委は教職員の調査も行うとしていたが、教職員の調査結果は何も示されていない。調査したのか。

【生徒指導課長】
 自殺事案が起こった場合は、まず真っ先に教職員からの聞き取りをやることとなっているが、それは第一週の段階でやったと思う。

【斉藤委員】
 6月6日の記者会見で、全教職員・全生徒・保護者のアンケートをやると言っている。そして教職員のアンケート結果はいまだに明らかにならない。なぜなのか。あまりにも認識にズレがあるのではないか。いじめを把握していなかったというような、だから重大事態が分からない。こうなると、学校はいじめの当事者である。当事者が調査をしていてはいけない。第三者が入ってしっかりやらないと。今の状態は、学校当局、校長が責任をもって調査する段階ではないと思う。

【教育長】
 学校がいじめの当事者かどうかというのはさまざまな言い方があろうかと思うが、いずれ市では、第三者委員会も含めて、まずアンケート調査をやった上で、状況を見ながらそれも視野に、今後具体的にその辺の事実関係を明らかにしていくというような話をしていると把握しているので、そういう方向で動くことを視野に入れていると承知している。

【斉藤委員】
 地元のうちの市議会議員が複数の保護者から相談を受けた。私のところには匿名の告発の文書も届いた。ほぼ中身が一致しているので、だいたい整合性があると思ってお聞きするが、保護者はいじめについて、一回目の保護者会のときに、「タイヤに画びょうを刺されていた」「生徒がトイレで泣いていた」という報告がすでにされていたと。実は6月11日配布で、12・13日回収で、これは学年のアンケート、自殺した生徒に関するアンケートをやった。その後クラスごとの事情聞き取りをやった。2回目のアンケートは6月16日配布、17・18日回収で、これは全学年生徒・保護者に対して行った。なぜ1回目学年アンケートをやったのに2回目またやったのかと、1回目の結果も示さないでやるのかという疑問を保護者は持っている。調査の内容はあなた方もよく把握していただきたい。
 そしてこのアンケートは記名式でやった。本当に勇気のあるアンケート、これが良いか悪いかは簡単ではないが、勇気を持っていじめを訴えた生徒に対して学校側はクラスごとに聞き取りをやっている。そのやり方は、「お前本当に見たのか。それがいじめだったのか。それがいじめと言えないならいじめはなかったことになる。それでいいな」という聞き取りだったと。私に対する告発では、「実名を書いたら内申が悪くなる。本当に見たのか。責任が持てるのか」と。保護者に対しても「内申が悪くなりますよ。それだけは分かってください」と。こんなことがあり得るか。これは調査ではない。恫喝にしかなっていない。いじめの調査というのは、そのいじめが自殺に関連があるかどうかというのは専門家が判断する。第三者が判断すべきである。どういういじめがあったのかという事実の確認をしなくてはいけない。しかしこのような聞き取りは全く違う。事実を聞きとればいい。その事実を積み上げて因果関係を判断する。ところが、「いじめたのか、責任もてるのか」と子どもたちに迫っている。こんなのは調査にならない。そして先生はないと思っている。こういう調査だったらまともな調査ではないし、教師と生徒の信頼関係はなくなると思う。こういうことはきちんと確認をして、そういう意味では、学校・校長任せの調査では信頼関係が崩れるだけだと。本当に客観的に子どもの立場に立って、子どもたちに寄り添ってやる必要があるのではないか。

【教育長】
 この事案が起きて、重大事態な事案と申し上げたが、それ以降、県教委と市町村教委でいろいろ話をさせていただいている。これは、命が亡くなったということであり、そういう行為があるということも聞こえてきたので、いずれ文科省や県の方針等も踏まえ重大事案ということを前提に、詳細な丁寧な対応をしてほしいという要請と合わせ指導を行ってきている。私も市町村教委と話をしたが、これは一定の方向性を決めつけて事実関係をまとめていくということではなく、客観的な情報をもとに、きちんと丁寧に対応してほしいと要請をしており、滝沢市もそういうことでやっていきたいと聞いている。
 ご指摘のあった匿名の具体的な内容については、そういうアンケートの中で具体的にそういう話があったというのが事実かどうかという問題もあろうかと思う。ただそういう投書があったということについては市教委に伝えたい。

【斉藤委員】
 私がいただいたのは匿名だが、うちの市議会議員には直接保護者が訴えているので、それは同じ内容だと。すべてが匿名ではないので。
 いじめの問題はこの間何度も取り上げ、すべての学校でいじめをなくす、いじめが発見されたときには学校をあげて全教職員が一体になって取り組むということを取り上げてきた。
 滋賀県大津市のいじめ問題のときの教訓というのは、なぜ当初失敗したかというと、一貫して「いじめは確認できていない。自殺との関係性は確認されていない」という対応を学校と市教委はした。いじめが訴えられても最初から結論ありきで。それに今回の件は似ているのではないか。これだけ大規模にいじめを見た聞いたと告発されているときに、いまだにいじめがあったかどうかを認めていない。これは調査としては大変異常なことではないか。そういう対応をしているから子どもたちとの信頼関係が崩れつつある。本当に子どもたちの立場に立って一緒に解決しようというのではなく、恫喝まがいの調査をしている。大変深刻な問題である。大津のときには、学校側が最初に相談したのは弁護士だった。弁護士と相談して、「いじめは認めるが、いじめとの因果関係は認めない」という基本方針を立ててやった。弁護士と相談したという経過はないと思うがいかがか。

【生徒指導課長】
 第三者委員の中に、弁護士とか精神科医といった人は考えているという話は聞いているが、実際に弁護士に相談したということまでは分からない。

【斉藤委員】
 大津のときには、弁護士との相談というのは最後まで隠していた。第三者委員会の調査で分かった。こういうことはないとは思うが、しかし1ヶ月余の経過を見ると、学校と市教委は子どもたちの立場に立ってやっているのかと、残念ながら疑問を持たざるをえない。そういう意味で、この問題は滝沢市の問題で、しかし岩手の子どもたちの命が関わった、教育そのものが問われる問題で、この事件は突発的な事件ではないので、それなりに深い背景があって、ある意味でいくとその問題がそのまま放置されたまま今続いているということである。そこでの重大性を認識して、よく連携してやっていただきたい。基本的には滝沢市教委が責任をもってやることだが、こういうときこそ県教委がきちんと指導援助し疑惑がもたれないように、よくやっていると思われるような取り組みをぜひやっていただきたい。

【教育長】
 事案が起きた当初から、子どもたちのサポートの関係だとか、学校での具体的な対応、市教委の対応、指針等も踏まえ丁寧にやってほしいという話をしてきており、具体的に指導主事等も派遣し情報共有をしているという中で、十分市町村教委と県教委が主体的な立場で連携を図りながらやっていこうという話をさせていただいており、今後とも丁寧に対応していきたい。

【斉藤委員】
 指導主事を派遣しているならこのような意思疎通の悪い答弁にはならないと思う。隠しているとしか思えないが、本当に意思疎通を図ってやっていただきたい。


・高校再編問題について

【斉藤委員】
 スケジュールに問題があると思っている。5回年内に議論して、年内にも報告書をまとめると。わずか5回程度の議論で本当にまとまるのか。第1回目の議事録を観たが、これから1つ1つのテーマ、新しいテーマをやるには、県教委の作った素案を認める認めないの議論にしかならないのではないか。7月8月にブロックごとに各地域で、何をやるのか。素案も出さないでやると。そういう意味では、きちんとした議論をすべきではないのか。

【高校改革課長】
 あり方検討委員会のスケジュールの関係だが、現在5回を予定しているが、これは22年に策定した「今後の高等学校教育の基本的方向」というものについての見直しを行うということで、震災の影響なり国の制度改正なり少子化の進行なりということはあるが、基本的方向を見直すという点で、委員のみなさんから議論をいただくということで5回程度としているが、それは5回に決まっているものではなく、検討の中でより検討が必要であるとなれば、もっと増えると。十分地域の皆さんなり意見を十分うかがった上で取りまとめていきたい。


・県内高校生の自衛隊・防衛大学校などへの受験と入隊の状況について

【斉藤委員】
 集団的自衛権の問題と関わって、県内高校生の自衛隊・防衛大学校などへの受験と入隊の状況について、ここ数年来どうなっているか。
 自衛隊というのは、大震災のときには大変頑張って復興のために取り組んだが、しかし海外で戦争しに行くということになると、これは話が違ってくる。本当に子どもを戦場に送るなということが問われるような状況になるのではないか。その点でまず今の実態を

【高校教育課長】
 自衛隊の方からは公表されておらず、高校教育担当で学校に対して調査した結果では、26年3月は受験者数203名で就職者数98名、25年3月は受験者数198名で就職者数は95名、24年3月は受験者数180名で就職者数は85名となっている。


・仮設住宅から通学する生徒の状況について

【斉藤委員】
 仮設住宅から通学する生徒の状況について示していただきたい。

【復興教育特命課長】
 平成26年6月末現在では、小学校1134人、中学校692人、計1826人で、昨年同月は小学校1322人、中学校846人、計2168人で342人減少。
 県立学校は、全日制と定時制合わせて6月末で736人、昨年は812人で76人減少している。
 人数的には昨年より減少傾向だが、現在も2600人近くの児童生徒が仮設住宅から通学している。