2014年7月3日 商工文教委員会
商工労働観光部に対する質疑(大要)


・中小企業振興条例について

【斉藤委員】
 本会議で知事が「中小企業振興条例の制定に向けて検討を進める」と前向きの答弁をした。どういう形で中小企業振興条例の制定を検討し、実らせるのか。

【経営支援課総括課長】
 条例の制定に向けて準備を進めていきたいと考えている。まず、企業や関係団体、支援機関、金融機関、大学など、関係者から広くヒアリング等をして意見を聞きたい。
 また、他県の先行事例もあるので、事例調査、あるいは現地にうかがい事情をお聞きすると。国の方でも、小規模企業基本法を制定されているので、そのような状況も調べながら検討していきたい。


・公契約条例の制定について

【斉藤委員】
 公契約条例の制定は来年2月の定例県議会に提案したいというのが答弁だった。もう1年ないという切迫した状況の中で、来年2月の定例県議会に向けて、どういう検討をしているのか。今後のスケジュールはどうなのか。労働者側と経営者側の間に、かなり認識の差があるので、1つのテーブルで何度も協議しながら、共通認識を築いていくという作業が特別に大事だと思う。行政の側が頭で考えるのではなく、現場の実態・実感に合わせて、関係者の共通認識をつくりながら、条例案を検討していく必要があるのではないか。そこに公契約条例に通じた学識経験者なり、専門家も入れてやるような取り組みをぜひやっていただきたい。

【労働課長】
 成案作りの進め方だが、ご提案のあった労使が同じテーブルについて議論を重ねていくようなワーキンググループスタイルも1つの手法かと思う。昨年度、使用者団体・労働団体と意見交換を行い、今年度に入ってからももう一度うかがったが、それとは別に県内の経済団体5団体ほど個別にいろいろご意見をうかがったが、その時のやりとりなどを考えると、ただちに同じテーブルについて議論を深めるということはなかなか難しいのではないかと思っている。
 いま考えているのは、労使関係者や市町村職員の方々などを対象にフォーラムを開けないかということを考えており、いずれどのような方法をとるかいろいろあるが、労使が忌憚なく意見交換を行う場の設定も含めて、そのような方法も模索しながら、厳しいスケジュールではあるが案作りを進めていきたい。

【斉藤委員】
 10月末ぐらいまでには条例の原案をまとめてパブリックコメントをしたいと。かなり迫った状況の中で、最大限の取り組みを。作ったが魂が入らなかったということではなく、条例に基づいて取り組む建設業者なり労働者が「ぜひ活用したい」というような気持ちがなかったら条例を制定する意味がない。そういう意味で、タイトな日程だが、安倍内閣でさえひどい内容のものだったが密室協議で何回もやって、しっかり協議していただきたい。


・被災地の雇用対策について

【斉藤委員】
 この間私が調査してきたところでは、有効求人倍率は震災後最高だが、しかし被災地は、建設関係ではたしかに千数百名の雇用が震災前と比べて増えているが、製造業・食料品製造業は同じぐらい震災前と比べて減っている。そういう意味では、復興で何千億円という事業が行われているので、その分の雇用は確実に増える。しかしこれは、5年6年経ったらなくなる雇用なので、今本当に地場産業がどう力をつけるのか。この点が重要だと思うが、直近の被災地における雇用状況はどうなっているか。県はどう取り組もうとしているか。
 1300人のがれき処理の方々は3月末で切れたが、緊急雇用事業も前年比1300人減っているので、こうした方々の安定した雇用もどうなっているかお聞きしたい。

【雇用対策課長】
 がれき処理の関係だが、25年度で事業が終了し、終了時点で約390人が事業の終了で仕事を失っていると。その後、岩手労働局の調べでは、うち138名が就職しており、その内容は傾向として、前の職場と同じようなものを求めている傾向があり、3割がたが建設、製造業へ3割という分析がなされている。
 緊急雇用については、一時的な仕事の創出ということで、基本的には民間の企業において安定的な職場を雇用されるということで、職場のマッチングという機会を地道ながら続けていくと。あるいは職場見学会などを通じ、地域における、例えば水産加工は地域における大切な産業であるので、しかし従業員数が減っている現実なので、そういった食料品製造業についても理解を深めていく取り組みを重ねていきたい。

【斉藤委員】
 がれき処理は25年度全体で1300人減っている。3月末は390人かもしれないが、1300人という数が25年度まで継続されていたのは事実なので、1300人働いていた人たちがどうなったかということを見ていかなければいけない。建設関係でどのぐらい震災前と比べて求人が増えて、被保険者数、そして食産業ではどうなのかと。リアリズムで答えていただきたい。

【雇用対策課長】
 被保険者数の状況は、人口が沿岸地域では震災前に比べ5月時点で22000人減っている中で、被保険者数については1619人増えている。ただ、その中で食料品製造業は逆に1622人減っているので、震災前に比べ食料品製造業の人手不足と認識している。


・山田町NPO問題について

【斉藤委員】
 知事が本会議で答弁をした。これについては、議会の決議を踏まえて、さらなる検証は必要だという認識で答えたのか。
 理由は、顧問弁護士の意見。徹底した検証が法的にどこまで可能かについて顧問弁護士に相談したと。その結果、「強制力をもって調査を行うことは難しいと考えられる。係争中の事案を同時並行に調査することを差し控えるのは通常」という顧問弁護士の回答があったから知事は「見守りたい」と。いわば、あの決議を踏まえて、再検証徹底した検証は必要だという認識だが、今の裁判や会計検査院の検査もあるのでそれを見守りたいということなのか。それとも、そのことを理由にやりたくないのか。

【商工労働観光部長】
 知事は、一般質問での答弁の中で、「この決議については、議会のご意思として真摯に受け止めている」という旨答えているので、その通り受け止めていただきたい。ただ、そういう中にあって、先ほど来から交わされている内容の事情もあるということで認識している。

【斉藤委員】
 県議会の決議が求めたものは何か。6億7000万円の不正支出を認定した。その上に立って、6億7000万円という返還を求めた不正支出に関わって、県の関与がどうだったのかと。この検証が不十分というのが決議の内容である。なにも事件の全容を解明しようとは求めていない。6億7000万円というのはおそらく会計検査院でも動かないと思う。問題は、それだけの金額の返還を求めざるをえなかったこの事業において、県はどう関与したのか、しなかったのか。県はどういう責任があったのかという点で、具体的な問題をこれまで指摘してきた。やるべきチェックをやっていなかったのではないかと。それを認めたから問題が拡大したのではないかと。ところが、検証結果の報告書は、もっと立ち入ってやればよかったというような報告である。逃げてしまっている。それが当該部局がやった検証報告の限界だと。事業を担当したところが検証すること自体に無理があったと思う。せめて、森のトレイ事案並に他部局の目で、第三者も入れて検証すべきだったのではないか。「県の関与、責任の究明があまりにも不十分」というのがあの決議である。
 いま刑事裁判やっているのは何かというと、緊急雇用事業という税金が具体的にどのように横領されたかということである。いま裁判で問われているのはせいぜい5000万円程度である。我々は6億7000万円の不正支出、それに県がどう関わったか、どういう責任があったかということを求めている。横領事件の究明など求めていない。そういう意味で、弁護士に聞いたから弁護士は裁判との関わりで考えたかもしれないが、これは考えすぎである。やはり不十分だったと自覚するのであれば、この間も調査そのものはそれなりにされたと思うが、結論の導き出しが担当部局に都合のいいような結論になっている。問われるべき課題はそれなりに提起をされた。それについての県の責任がきわめて曖昧なものになったと。
 だから、決議を真摯に受け止めるというのであれば、我々は法的責任の追及などを求めていない。議会で指摘された問題について、県がどういう関与と責任があったのかということをきちんとやるべきである。県議会の多数がそのことを指摘した。あの検証報告書は県議会の理解を得られなかった。そういう意味で、こういう形で顧問弁護士を使って逃げるのではなく、県議会決議を受け止めて、できる範囲でやればいいのである。そういうことをきちんとやるべきではないか。

【商工労働観光部長】
 決議に対する対応については、先ほど来答弁している通り、真摯に受け止めているので、しっかりと県民の皆様方にしっかり説明責任を果たせるような結果を得るような方法で、どのような法的な問題等も含めて可能なのかどうかを慎重に見極めながら検討していきたい。

【斉藤委員】
 ぜひ県議会があのような決議をあげて、議会では知事が答弁したが、やはり県議会の意向をしっかり受け止めて、やはりあの趣旨に沿うような対応をしないわけにはいかない。県議会の意向を正確に受け止めて必要な対応をとると。そのことを最後に求めたい。