2014年7月7日 6月定例県議会・最終本会議
議案および請願不採択に対する高田一郎県議の反対討論
日本共産党の高田一郎でございます。
議案第21号に反対、請願陳情第100号、101号の不採択に反対討論を行います。
議案第21号は、閉伊川筋藤原地区水門災害復旧工事の請負契約に関し議決を求めるものであります。
議案に対するする質疑でも明らかにしたように、閉伊川の水門整備計画については、宮古市議会が6月23日付で、岩手県と宮古市に対し「詳細な説明を求める決議」を全会一致で採択しています。これは異例なものであります。宮古市議会と宮古市民に理解が得られていないものであり、現段階では反対するものであります。
宮古市議会の決議では、「設計変更や工期延伸の内容、水門建設による生態系への影響、船舶航路の問題、津波襲来時及び閉伊川の洪水時の水門の遠隔操作など、宮古市民に対する詳細な説明が十分とは言い切れない」と指摘しています。水門の整備は宮古市議会と宮古市民の合意を踏まえて進めるべきものであります。
そもそも、閉伊川の津波対策について、宮古市と宮古市議会は堤防のかさ上げを検討していました。ところが岩手県が災害査定の段階で、水門整備の方が経済性・事業費とL2対応時の浸水区域が狭くなるとして、十分な宮古市における検討なしに押し付け、宮古市長が市議会との協議もなしに独断で認めたことから、市議会と市民の疑問が広がった問題でした。
閉伊川の水門整備にあたっては、今回の宮古市議会の決議を踏まえ、宮古市議会と宮古市民に十分な説明を行い、理解と合意を得ることを大前提に進めるべきであります。
請願第100号、住民の安全・安心を支える公務・公共サービスの体制・機能の充実を求める請願は、政府が進める道州制や『地域分権改革』国の出先機関の廃止ではなく一層の公務・公共体制の充実を求める請願です。
東日本大震災、各地の台風豪雨被害などでもすべての地方出先機関が本庁と一体となって取り組まれており、これが廃止になれば迅速な復旧も極めて困難になることは避けられません。
住民自治を一層衰退させる道州制や国の出先機関の縮小ではなく、小規模市町村を含む身近な市町村行政を維持・強化するとともに、削減された地方交付税の回復など地方分権時代にふさわしい地方分権改革こそすべきです。
請願101号は、立憲主義を否定する集団的自衛権の行使容認に反対し、憲法を守り生かすことを求める請願です。
第一に、集団的自衛権の行使を容認する今回の「閣議決定」は、戦後日本の国のあり方を根底から覆そうとしています。
60年前に創設された自衛隊は「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない」とうたった憲法9条に反する違憲の軍隊としてつくられました。それでもこの60年間一人も戦死者を出さず、それは憲法9条が存在し歯止めがかかったからです。
これまで「自衛隊に許される武力行使は日本自身が攻撃された場合の『必要最小限の実力行使』とし、海外での武力行使は憲法上で許されない」というのが歴代政府の一貫した憲法解釈でありました。
これまで半世紀を超える国会論戦で定着してきた政府見解を180度変えることに対して国会でのまともな議論も行わず、国民に信を問うこともなく一片の閣議で決定することは憲法破壊のクーデターとも呼ぶべき暴挙であります。
第二に、今回の「閣議決定」は、海外で戦争できる国づくりを2つの道で推し進めるものです。一つは、従来の海外派兵法に明記されていた「武力行使をしてはならない」「戦闘地域にいってはならない」という歯止めを外し、自衛隊を戦地に派兵することです。「閣議決定」は、自衛隊が活動する地域を「後方地域」「非戦闘地域」に限定するという従来の枠組みを廃止し、これまで戦闘地域とされた場所でも活動できるとされました。それが何をもたらすか、それはこの間アフガン戦争に集団的自衛権を行使して参戦したNATO諸国がおびただしい犠牲者を出したことにも示されています。
二つは、「憲法9条の下で許容される自衛の措置」との名目で、集団的自衛権を公然と容認しています。日本に対する武力攻撃がなくとも「我が国の存立が脅かされる明白な危険がある場合」に武力行使できるとしています。しかし、この「明白な危険」を判断するのは時の政権であり、海外での武力行使がどこまでも広がる危険があります。政府は「すべての情報を総合的に判断する」としていますが、その情報も特定秘密となってしまうのではないでしょうか。いったん海外での武力行使に踏み切れば相手国から反撃を招き、「殺し殺される」、際限ない戦争の泥沼化になりかねません。集団的自衛権には事の性格上「必要最小限」などということはあり得ません。
「閣議決定」が強行されたからといって自衛隊を動かせるわけではなく、新たな立法措置が必要です。「閣議決定」を具体化し『海外で戦争する国』をめざす立法措置は、どれもが憲法に真っ向から背反するもので、国民世論が絶対に許しません。閣議決定後の各紙の世論調査を見ても「集団的自衛権容認反対」が共同通信で54.4%、朝日新聞50%、読売新聞51%と行使容認を大きく上回っています。
日本はいま、戦争か平和かをめぐって歴史的な岐路に立っています。この戦いの最終的な帰趨を決めるのは国民世論と運動です。憲法9条をなきものにする逆流に反対し、海外で戦争する国を目指す新たな立法措置を許さないために奮闘する決意を申し上げ、集団的自衛権行使容認に反対する請願の不採択への反対討論とします。
ご清聴ありがとうございました。